共有名義とは?デメリットと解消7つの方法・単独名義にする費用

登記簿に複数人の名前が並んでいる状態を、共有名義といいます。共有名義とは、1つの不動産を2人以上が持分割合で共同所有している登記上の状態のことで、単独でできる行為の範囲は民法が3段階で定めています。デメリットと解消7つの方法、単独名義にする費用まで順に見ていきます。共有持分の全体像は共有持分の完全ガイドで整理しています。

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共有名義のまま動かせない不動産も、持分の状態を伺えば取れる手段をお伝えします。

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共有名義とは?1つの不動産を複数人の持分で所有している状態です

持分2分の1が不動産の全部に及ぶ権利であることと、相続・共同購入という2つの発生経路を登記簿の記載とあわせて図解
持分割合は面積の取り分ではなく権利の割合。確認する場所は登記簿の権利部・甲区(出典: e-Gov法令検索 民法249条・250条)

共有名義とは、1つの不動産を2人以上が持分割合で共同所有している登記上の状態を指します。持分割合は建物や土地の面積を分け合った取り分ではなく、不動産の全部に及ぶ権利の割合です。民法250条は、割合が決まっていない場合には各共有者の持分を相等しいものと推定すると定めています。

登記簿の権利部(甲区)では、共有名義の場合に「持分2分の1 ○○」のように名前の前へ割合が付いて複数人が並びます。この違いが、そのまま「誰の同意がないと何ができないか」の違いになります。

単独名義 共有名義
登記簿の記載 所有者1名 持分割合+複数名
売却の判断 本人だけで決められる 共有者全員の同意が必要
相続で起きること 相続人が新しい所有者になる 亡くなった人の持分が相続人に分かれる

持分割合は「面積の取り分」ではなく「権利の割合」です

持分2分の1という記載は、建物の半分を使えるという意味ではありません。民法249条1項は、各共有者が共有物の全部について持分に応じた使用ができると定めています。つまり2分の1の持分を持つ人も、建物全体に対して権利を持っています。

このため、共有者の1人だけがその家に住んでいる場合、住んでいない共有者の権利が使われている状態になります。民法249条2項は、別段の合意がある場合を除き、自己の持分を超える使用の対価を他の共有者へ償還する義務を負うと定めています。「兄が実家に住んでいるだけで自分は何も関係ない」という理解は、法律上は正しくありません。

共有名義になるのは「相続」と「共同購入」の2ルートです

共有名義が生まれる入口は、実務上ほぼ2つに絞られます。1つは相続で、遺産分割の話し合いがまとまらないまま、法定相続分どおりに登記してしまうケースです。もう1つは共同購入で、夫婦や親子が資金を出し合って住宅を買い、出資割合に応じて持分を登記するケースです。

このうち相続によるものは、とりあえず全員の名前を入れておくという判断で生まれることが多く、後から解消の必要に迫られます。共同購入によるものは購入時に意図して選ばれた形ですが、離婚や相続をきっかけに同じ問題に行き着きます。なお、購入時にどの割合で持分を決めるべきかという論点は、住宅ローンや贈与税の設計の話になるため扱いません。ここから先の内容は、すでに共有名義になっている不動産をどうするかに絞っています。

共有名義でも自分だけでできることは?民法が同意のラインを3段階で決めています

変更は全員同意・管理は持分価格の過半数・保存と持分処分は単独という3段階を、持分5分の3の1人が5分の1ずつの2人に優先する例と並べた図
過半数は人数ではなく持分の価格で数えるため、持分5分の3の1人の判断が2人の反対に優先します(出典: e-Gov法令検索 民法251条・252条)

共有名義の不動産では、行為の重さに応じて民法が同意のラインを3段階に分けています。売却や建て替えなどの変更は共有者全員の同意、賃貸やリフォームなどの管理は持分価格の過半数、修繕などの保存行為と自分の持分の処分は単独で決められます(e-Gov法令検索 民法、2026年8月時点)。

この3段階を、実際の場面と条文、そして手続きが止まりやすいポイントで並べると次のようになります。

行為の例 区分 必要な同意 買取実務で止まりやすい場面
売却・建て替え・解体・長期の賃借権設定 変更 共有者全員(民法251条1項) 1人でも反対・無回答だと契約に進めない
賃貸に出す・大規模でないリフォーム・管理者の選任 管理 持分価格の過半数(民法252条1項) 人数の過半数と誤解して合意を取り直しになる
雨漏りの修繕・不法占拠者への明渡請求 保存 単独で可能 費用を誰が出すかで後からもめる
自分の持分の売却・贈与・担保設定 持分の処分 単独で可能 他の共有者に無断で進めて関係が悪化する

行為の区分は民法251条・252条の定めに基づく整理で、右端の列は当社が共有名義の物件を取り扱う中で実際に手続きが滞る場面をまとめたものです。

売却・建て替え・解体は共有者全員の同意が必要です

民法251条1項は、各共有者は他の共有者の同意を得なければ共有物に変更を加えられないと定めています。不動産を丸ごと売る、建物を取り壊す、建て替えるといった行為はここに入ります。共有者が5人いれば5人全員、1人でも欠ければ売買契約は成立しません。

ただし同意が要るのは「形状または効用の著しい変更を伴う」行為に限られ、外壁の塗り替えのように現状を保つ工事は含まれません。判断が難しい工事では、書面で合意を残しておくと後の紛争を防げます。

賃貸やリフォームは「持分価格の過半数」で決められます

民法252条1項は、共有物の管理に関する事項を各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決すると定めています。ここは誤解が非常に多い箇所です。過半数は人数ではなく持分の価格で数えるため、持分5分の3を持つ1人の判断が、持分5分の1ずつの2人の反対に優先します。

管理として決められるのは、第三者への賃貸、大規模でないリフォーム、管理者の選任などです。賃借権には期間の上限があり、建物なら3年、土地なら5年を超えない範囲までが管理の枠に収まります。それより長い賃貸借は「変更」として全員の同意が必要になります。

修繕と自分の持分の処分は単独でできます

共有物の現状を維持する保存行為は、共有者1人で実行できます。雨漏りの応急修繕、不法占拠者への明渡請求、共有者全員のための相続登記の申請などがこれに当たります。

さらに重要なのが、自分の持分は自分だけの判断で処分できるという点です。持分は共有者それぞれが持つ独立した財産なので、売却も贈与も担保設定も、他の共有者の同意なしに実行できます。手続きの具体的な流れや、共有者との関係でどこまで配慮すべきかは共有持分だけを売却する方法で詳しく扱っています。なお「共有者の同意がなくても不動産全体を売れるのか」という論点は、冒頭でご案内した共有持分の完全ガイドで整理しています。

要点: できないのは「不動産全体を動かすこと」であって、「自分の持分を動かすこと」ではありません。全員の同意が取れない状態でも、持分単位なら今日から選択肢があります。

共有名義のメリットは?効くのは買うときと売るときだけです

共有名義のメリットが働くのは、住宅を買うときと売るときの2つの場面に限られます。購入時は住宅ローン控除を共有者それぞれが受けられ、売却時はマイホームを売ったときの3,000万円の特別控除を各自が使えます。一方で、保有している期間中に効いてくるメリットはほとんどありません。

住宅ローン控除と3,000万円特別控除が共有者ごとに使えます

夫婦がそれぞれ住宅ローンを組んで持分を登記した場合、住宅ローン控除は2人分適用されます。所得税額の範囲内でしか控除は受けられないため、収入のある2人で分けたほうが控除枠を使い切りやすくなります。

売却時はさらに差が出ます。居住用財産を売ったときの3,000万円の特別控除は要件を満たす共有者ごとに適用されるため、夫婦それぞれが要件を満たせば合わせて最大6,000万円まで譲渡所得から差し引ける計算になります。

保有している間はメリットが働きません

問題は、住宅ローン控除の適用期間が終わり、売却の予定もない期間です。この間、共有名義であることによる税制上の優遇はなくなり、意思決定に全員の同意が必要という制約だけが残ります。共有名義のメリットは購入時と売却時に集中し、保有期間が長くなるほど不利な側面だけが残っていきます。

離婚時の財産分与で持分をどう動かすか、その際に贈与税がかかるかという論点も共有名義とつながっていますが、婚姻期間や財産の内訳によって扱いが変わるため、個別に専門家へご確認ください。

共有名義のデメリットは?時間がたつほど共有者が増えて動かせなくなります

共有名義のデメリットの中心は、相続のたびに共有者が増えて全員の同意が取れなくなることです。共有者が2人のうちは話し合いが1対1で済みますが、それぞれに相続が起きると当事者は枝分かれし、面識のない親族と交渉することになります。この構造は時間の経過だけで悪化します。

相続のたびに持分が細分化していきます

長野県上田市は空き家対策のページで、不動産を共有名義で登記した場合に「維持管理責任をめぐって共有者間でもめる」「売却や賃貸・リフォームが自由にできない」「共有者が増え、不動産の活用における意思統一が難しくなる」「相続によって子や孫をトラブルに巻き込む可能性がある」といった問題が生じうるとして、早期に共有状態の解消へ向けて話し合うことを呼びかけています(上田市、2026年8月時点)。

自治体が空き家対策の文脈でこの注意喚起を出していることを、当社は重く受け止めています。共有名義は、それ自体が違法でも危険でもありませんが、行政が空き家対策として取り上げるほど身近な経路になっているということです。だから、今すぐ売る予定がない方こそ、共有者が2人から3人に増える前に一度話し合いの場を作っておくと、後の選択肢が大きく減らずに済みます。

なお、相続で不動産を取得した場合の登記そのものには期限があり、怠ると過料の対象になります。手続きの流れや費用は名義変更(相続登記)の全体手順で扱っています。

維持費や税金の負担でもめやすくなります

民法253条1項は、各共有者がその持分に応じて管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負うと定めています。固定資産税、火災保険料、草刈りや修繕の費用は、本来なら持分割合どおりに分担するものです。ところが実際には、近くに住む1人が立て替え続け、遠方の共有者が払わないまま年数が過ぎるという形になりやすくなります。

ここで知っておきたいのが民法253条2項です。共有者が1年以内に費用負担の義務を履行しないときは、他の共有者は相当の償金を支払ってその者の持分を取得できます。つまり、払わない共有者の持分をこちらに寄せる道が条文上用意されています。見落とされやすい規定ですが、負担が一方に偏った状態を放置しないための手がかりになります。共有者間の税金の分担ルールそのものは、共有持分の完全ガイドで整理しています。

共有者が認知症・行方不明だと手続きが止まります

共有者の1人が認知症などで判断能力を失うと、その人は売買契約に有効な同意を与えられません。この場合は家庭裁判所で成年後見人を選任し、後見人が本人の利益になるかを判断したうえで手続きを進めることになります。後見人が就いても、本人に不利な条件の売却には同意が得られません。

共有者と連絡が取れない場合は、不在者財産管理人の選任に加えて、後述する民法262条の2などの手続きを使う道があります。いずれも家庭裁判所や地方裁判所を経由するため、時間と費用がかかります。共有者が元気で連絡が取れているうちに動くことが、結果としていちばん安く早く終わります。

共有名義を解消する7つの方法は?合意できる相手と費用で選びます

合意できる相手が全員・一部・誰もいないの3分岐で、7つの解消手段が2つまで絞り込まれていく過程を示した分岐図
共有者が5人に増え1人が所在不明になると、現実的な候補は持分売却と裁判所手続の2つに絞られます(当社の共有名義物件の査定実務に基づく整理)

共有状態を解消する方法は大きく7つあり、誰とどこまで合意できるかで選べる手段が決まります。全員と合意できるなら全体売却や現物分割、一部とだけ合意できるなら持分の売買や贈与、誰とも合意できないなら自分の持分の処分か共有物分割請求という順に、選択肢は絞られていきます。

解消の手段 合意が必要な相手 主な費用 向いているケース
①他の共有者の持分を買い取る 買い取る相手の共有者 買取代金・登録免許税・司法書士報酬 自分がその不動産を使い続けたい
②全員で全体を売って分ける 共有者全員 仲介手数料・譲渡所得税 誰も使う予定がなく全員が売却に前向き
③土地を分筆して分ける 共有者全員 測量費・分筆登記費用 十分な広さの土地で全員が土地を持ちたい
④自分の持分を贈与・譲渡する 受け取る共有者 贈与税・登録免許税 持分の評価額が小さく身内に集約したい
⑤自分の持分を放棄する 手続き上は他の共有者の協力が必要 登録免許税・司法書士報酬 権利も代金も要らず関係を切りたい
⑥自分の持分だけを第三者に売る 不要(単独で可能) 譲渡所得税・買取価格の減額 他の共有者と話が進まない
⑦共有物分割請求を起こす 不要(裁判所が判断) 弁護士費用・訴訟費用 協議も調停もまとまらない

費用の内訳は事案や依頼先によって変わるため、金額は見積もりで確認してください。この表は当社が共有名義の物件を査定する際に使っている選び分けの考え方を整理したものです。

①他の共有者の持分を買い取って単独名義にする

自分がその不動産に住み続ける、あるいは活用したい場合の基本形です。他の共有者に持分の対価を支払い、持分移転登記を行って単独名義にします。相続の場面では代償分割と呼ばれ、不動産を取得する人が他の相続人へ代償金を払う形になります。

現金の準備が最大の壁になりますが、話し合いさえ成立すれば最も短期間で終わる方法です。価格の根拠がないと交渉が長引くため、先に査定を取って相場観を共有しておくと進みやすくなります。

②共有者全員で不動産全体を売って代金を分ける

誰もその不動産を使う予定がない場合に、最もきれいに終わる方法です。全員が売主として契約し、売却代金を持分割合に応じて分けます。相続の場面では換価分割と呼ばれます。

持分だけを売る場合と違って市場価格で売れるため、手取りの合計額はこの方法が最も大きくなりやすいという利点があります。ただし全員の署名押印と印鑑証明書が必要で、1人でも遠方や海外にいると日程調整に時間がかかります。

③土地を分筆して現物分割する

土地であれば、持分割合に応じて分筆し、それぞれを単独名義にする方法があります。全員が土地を持ち続けたい場合に選ばれます。

ただし、分筆後の各土地が建築基準法の接道要件を満たさなくなると、建物が建てられない土地になってしまいます。間口が狭い土地や不整形な土地では現実的でないことが多く、測量費と分筆登記費用も発生します。分けた結果、合計価値が分ける前より下がっていないかを事前に確認してください。

④自分の持分を他の共有者に贈与・譲渡する

対価を受け取らずに持分を他の共有者へ移す方法です。持分を受け取った側には贈与税がかかる可能性があります。国税庁は、暦年課税の基礎控除額は110万円で、1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下であれば贈与税はかからないと説明しています(国税庁 No.4402、2026年8月時点)。

持分の評価額が基礎控除に収まる小規模な不動産であれば、費用を抑えて名義を集約できます。評価額が大きい不動産では贈与税の負担が買い取りより重くなることがあり、税率の面でも不利になります。

⑤自分の持分を放棄する

民法255条は、共有者の1人がその持分を放棄したとき、その持分は他の共有者に帰属すると定めています。権利も代金も要らないという判断であれば選択肢になりますが、放棄の意思表示だけでは登記は動かず、実際には他の共有者と共同で登記申請を行う必要があります。手続きの詳細と注意点は共有持分の放棄の手続きと注意点で扱っています。

土地であれば、相続土地国庫帰属制度という別の出口もあります。法務省は、相続などにより土地の共有持分を取得した共有者について、共有者の全員が共同して申請を行うことで本制度を利用できると説明しています。審査手数料は土地一筆当たり14,000円で、承認後に一定の負担金を納付した時点で所有権が国庫に帰属します(法務省、2026年8月時点)。共有だから国に引き取ってもらえないと考えて選択肢から外す前に、この条件を確認しておくと判断の幅が広がります。

⑥自分の持分だけを第三者に売却する

他の共有者との話し合いが進まない場合でも、自分の持分は単独で売却できます。持分だけでは不動産全体を自由に使えないため一般の買主は付きにくく、実際の受け皿は共有持分を扱う買取業者になります。

市場価格に持分割合を掛けた金額より低い価格になるのが通常で、その差額が「単独で決められること」の対価です。価格の決まり方や業者の見極め方は共有持分の買取の仕組みと業者選びで詳しく扱っています。

⑦共有物分割請求で裁判所に決めてもらう

民法256条1項は、各共有者がいつでも共有物の分割を請求できると定めています。協議が調わないときや協議自体ができないときは、民法258条に基づき裁判所に分割を請求できます。裁判所が命じられるのは、現物を分割する方法、共有者に債務を負担させて他の共有者の持分を取得させる方法(賠償分割)、そしてこれらができない場合の競売の3つです。

連絡が取れない共有者がいるときに使える手続き

2023年4月に施行された改正民法で、所在の分からない共有者がいても前へ進む道が増えました。

条文 使える場面 できること
民法262条の2 共有者の所在が分からない 裁判所の裁判で、その持分を他の共有者に取得させる
民法262条の3 共有者の所在が分からず全体を売りたい 他の共有者全員が譲渡することを条件に、不明者の持分も併せて譲渡する権限が付与される
民法252条2項2号 催告しても賛否を明らかにしない共有者がいる その共有者を除いた持分価格の過半数で管理事項を決められる

いずれも裁判所の手続きになるため、司法書士や弁護士への相談が出発点になります。

相続から10年を過ぎると、使える手続きが変わります

民法258条の2は、遺産分割をすべき場合には共有物分割の手続きを使えないと定めつつ、相続開始の時から10年を経過したときは、相続財産に属する共有物の持分についても共有物分割の手続きで処理できるとしています(e-Gov法令検索 民法、2026年8月時点)。10年という節目の前後で、取れる手続きそのものが変わります。共有物分割請求の流れは、共有持分の完全ガイドで整理しています。

当社の見解

解消手段は7つありますが、実際に選べるのは「いま合意できる相手が何人いるか」で決まります。共有者が2人なら7つ全部が候補に残り、5人に増えて1人が所在不明になった時点で、現実的な候補は持分の売却か裁判所を使う手続きに絞られます。だから当社の買取くんでは、共有名義の物件を査定するとき、持分割合よりも先に連絡が取れている共有者は何人かを確認しています。共有者が増える前・所在不明が出る前の段階であれば、全体売却と持分単位の出口を並べて比べられるからです。

要点: 手段が7つあること自体より、選べる手段が時間とともに減っていくことのほうが実務では効いてきます。合意できる相手が残っているうちに動くほど、手取りは大きく、期間は短くなります。

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共有名義から単独名義にする費用は?登記原因で登録免許税が5倍変わります

課税標準500万円の持分移転で登録免許税が2万円・7万5千円・10万円と分かれ、最大8万円の差が生じることを示した棒グラフ
同じ持分を動かしても登記原因の違いだけで最大80,000円の差(出典: 国税庁 No.7191 の税率を基に当社換算・2026年8月時点)

共有名義を単独名義にする登録免許税は、共有物分割なら0.4%、贈与や売買なら2%です。同じ「単独名義にする」という結果でも、登記の原因が何かによって税率が5倍変わります。土地の売買については、2029年3月31日までに登記を受ける場合の軽減税率が1.5%とされています(国税庁 No.7191、2026年8月時点)。

登録免許税の税率は「なぜ名義が動くか」で決まります

国税庁の税額表では、土地の所有権の移転登記について、売買は1,000分の20、相続・法人の合併・共有物の分割は1,000分の4、贈与や交換などのその他は1,000分の20と定められています。課税標準となる不動産の価額は、固定資産課税台帳に登録された価格がある場合は原則としてその価格です。

ここで注目したいのが、共有物の分割が相続と同じ1,000分の4に置かれている点です。共有者どうしで持分を整理して単独名義にする行為は、税制上「新しく買った」のではなく「もともとあった権利を整理した」ものとして扱われています。持分を集約する話し合いをするなら、どの原因で登記するかまで含めて決めたほうが費用を抑えられます。

ただし、共有物の分割の1,000分の4が使えるのは、分割前に持っていた持分に応じた価額の範囲内までです。分割の結果、もとの持分の価額を超えて取得した部分については1,000分の20が適用されます。そもそも「共有物分割」という登記原因を選べるかどうかは、土地の分筆を伴うかなど分割の中身で決まるため、話し合いの段階で司法書士に確認しておくと安全です。

評価額1,000万円・持分2分の1で実際にいくら違うか

税率だけを見ても実感が湧きにくいので、固定資産税評価額1,000万円の土地について、持分2分の1を移す場合の登録免許税を計算します。課税標準は1,000万円×2分の1で500万円です。

登記の原因 税率 登録免許税の実額
共有物の分割 1,000分の4 20,000円
相続 1,000分の4 20,000円
売買(土地・2029年3月31日までの登記) 1,000分の15 75,000円
売買(本則)・贈与 1,000分の20 100,000円

国税庁 No.7191 の税率を基に当社換算(2026年8月時点)。共有物の分割の税率は、もとの持分に応じた価額の範囲内に適用されるものとして計算しています。同じ持分を動かすのに、原因の違いだけで最大80,000円の差が生まれます。評価額が3,000万円の不動産なら差は24万円に広がります。

登録免許税以外にかかるお金

名義変更の費用は登録免許税だけではありません。全体像を押さえたうえで見積もりを取ってください。

費目 内容
司法書士報酬 登記申請の代理費用。事務所や事案の難易度で幅があるため見積もりで確認
必要書類の取得費 戸籍謄本・住民票・印鑑証明書・固定資産評価証明書などの発行手数料
譲渡所得税 持分を対価を受け取って譲渡した場合、譲渡益に対して課税
贈与税 対価なく持分を受け取った場合、基礎控除110万円を超える部分に課税
測量費 土地を分筆する場合に必要

もう1点、遺産分割の話し合いで単独名義にすることが決まった場合は、そこで終わりではありません。法務省は、相続人は不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をすることが法律上の義務になり、正当な理由がないのに登記をしない場合は10万円以下の過料が科される可能性があると説明しています。遺産分割で不動産を取得した場合も、別途、遺産分割から3年以内に登記が必要とされています(法務省、2026年8月時点)。登記の手順や必要書類は名義変更(相続登記)の全体手順で扱っています。

なお、どの登記原因を選べるか、実際の税額がいくらになるかは個々の事情で変わります。個別の税額や登記原因の選び方は、税理士・司法書士にご確認ください。

要点: 単独名義にする費用は「いくらかかるか」より「どの原因で登記するか」で決まります。話し合いの段階で原因まで詰めておけば、同じ結果を数万円から数十万円安く実現できます。

共有名義についてよくある質問

共有名義の片方が亡くなったら、持分はどうなりますか

亡くなった共有者に相続人がいる場合、その持分は相続人へ承継されます。相続人が複数いれば、1人分の持分がさらに分かれて共有者の数が増えます。相続人がまったくいない場合には、民法255条により、その持分は他の共有者に帰属します。「片方が亡くなれば自動的に自分の単独名義になる」わけではない点にご注意ください。

共有名義と単独名義では、どちらが有利ですか

購入時と売却時に限れば、住宅ローン控除と3,000万円特別控除を人数分使える共有名義に利点があります。それ以外の保有期間中は、意思決定に他人の同意が必要になる分だけ単独名義が有利です。判断の目安は保有予定期間で、長く持つほど共有名義の制約が効いてきます。

共有者と連絡が取れない場合はどうすればよいですか

まず戸籍の附票や住民票で住所を追跡します。それでも所在が分からない場合は、民法262条の2に基づき裁判所の裁判で所在等不明共有者の持分を取得する、または民法262条の3に基づき持分の譲渡権限を付与してもらう手続きがあります。いずれも裁判所の手続きになるため、司法書士や弁護士へ早めに相談してください。

共有名義の持分割合は、後から変更できますか

変更できます。ただし持分の移転は財産の移動なので、無償なら贈与税、有償なら譲渡所得税の対象になります。実際の出資割合と登記された持分割合がずれている場合の是正など、事情によって扱いが変わるため、動かす前に税理士へ確認してください。

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まとめ

共有名義とは、1つの不動産を複数人が持分割合で所有している状態で、単独でできることは民法が変更・管理・保存の3段階で線引きしています。制約がかかるのは不動産全体を動かす場面であり、自分の持分は今日からでも動かせます。解消の手段は7つありますが、相続で共有者が増えるほど選べる手段は減っていきます。単独名義にする費用も、登記原因の選び方で登録免許税が5倍変わります。まずは共有者が何人で、誰と連絡が取れるかを整理するところから始めてください。

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