再建築不可物件で住宅ローンは組める?審査で見られる点と代替手段

再建築不可物件は住宅ローンで買えるのか。結論から言えば、一般の住宅ローンを使えるケースは限られ、可否は物件の担保評価でほぼ決まります。建物は経過年数とともに評価が消え、土地は建て替えができない分だけ評価が下がるからです。審査で実際に見られている点と、住宅ローン以外に取れる資金調達手段を整理します。

再建築不可物件で住宅ローンは組めるのか?

接道2m未満の敷地は建て替えができず、可否が年収ではなく担保評価で決まる仕組みを示した図解
接道条件が建築ではなく担保の問題として審査に効く流れを整理(出典: e-Gov法令検索 建築基準法第43条、2026年8月時点)

再建築不可物件では一般の住宅ローンを使えないことが多く、可否は申込者の年収よりも物件の担保評価で決まります。再建築不可物件とは、建築基準法上の接道条件を満たさず、いまの建物を取り壊すと新しい建物を建てられない土地のことです。借りられる金額の上限が物件側で決まるという点が、通常の中古住宅との最大の違いになります。

「組めない」のではなく「扱える金融機関が限られる」

多くの金融機関は住宅ローンの商品要項で対象となる物件の条件を定めており、再建築不可物件はその条件から外れることがあります。制度として禁止されているわけではなく、商品の対象範囲から外れているというのが正確な状態です。

そのため「絶対に借りられない」と決めつける必要はありません。一方で、特定の金融機関なら必ず通るという情報も同じくらい根拠が薄い点には注意が必要です。個別の金融機関がどこまでを対象とするかは公表されておらず、同じ銀行でも物件の状態や申込者の条件で結論が変わります。

そもそもなぜ再建築不可になるのか

建築基準法は「建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない」と定めています(e-Gov法令検索 建築基準法第43条、2026年8月時点)。この条件を満たさない敷地では、既存の建物は使い続けられても、新築や建て替えの確認が下りません。

金融機関から見ると、これは「担保として押さえた土地に、将来あらためて建物を建てられない」ことを意味します。再建築不可という言葉は建築の話に見えて、実際には担保の話として審査に効いてきます。接道の考え方や物件の全体像から確認したい方は、まず再建築不可物件の基本を再建築不可物件の総合解説で押さえてください。

なぜ担保評価が下りないのか?

借入比率を重視する金融機関が38.9%から46.8%へ3年連続で増えた推移と建物評価0円の年数分布を示したグラフ
借入額を担保評価値で割った比率の重視度が3年連続で上昇していることを可視化(出典: 住宅金融支援機構「2025年度 住宅ローン貸出動向調査結果」2025年度 n=297・複数回答可、2026年8月時点)

担保評価が下りないのは、建物が経過年数で評価を失い、土地が建て替えできない分だけ減点されるためです。中古の戸建てでは、建物部分の担保評価が0円になる経過年数を21年以下とする金融機関が30.9%、22年とする金融機関が29.4%を占めます(住宅金融支援機構「2025年度 住宅ローン貸出動向調査結果」、n=265・複数回答可、2026年8月時点)。

この調査は中古住宅全般を対象にしたもので、再建築不可物件だけを調べたものではありません。ここは切り分けて読む必要があります。築古で建物の評価が残らないのは再建築不可に限った話ではなく、再建築不可に固有なのは土地側の減点だからです。断られた理由を「建物の古さ」と「土地の再建築不可」に分けて確認しておくと、次に打つ手を選びやすくなります。

評価の対象 金融機関の一般的な見方 再建築不可物件での効き方
建物部分 経過年数に応じて評価が下がり、22年前後で0円とする例が多い 築古の物件が多く、建物に評価が残りにくい
土地部分 原価法や各社の内部基準で評価し、掛け目をかけて融資額を算定 建て替えができない分、売りやすさの評価が下がる

データ出典: 住宅金融支援機構「2025年度 住宅ローン貸出動向調査結果」の担保評価に関する集計を基に当社整理(2026年8月時点)

建物は築22年前後で評価が消える

前掲の住宅金融支援機構の調査では、建物部分の担保評価を0円とする経過年数の設定は「21年以下」30.9%と「22年」29.4%を合わせて約6割にのぼります。

つまり築20年を超えた木造住宅では、建物にいくら手を入れていても、担保としての評価はほとんど期待できません。担保は実質的に土地だけで判断されることになります。なお同じ調査では「維持管理・経年劣化・リフォームによる物件毎の品質差を考慮し評価」と回答した金融機関も30.9%あり、建物の状態が一切見られないわけではありません。

土地は「建て替えができないこと」で評価が下がる

土地部分の評価では、担保として押さえた後に処分できるかが見られます。再建築不可の土地は建て替えを前提にした買い手が付かないため、売却時に買い手が限られます。回収の見通しが立ちにくい担保は、評価額そのものが抑えられます。

ここが、築古であることとは別に効いてくる再建築不可固有の減点です。建物の古さは時間の経過で誰にでも起きますが、接道条件は物件に固定された性質であり、放置していても改善しません。

審査では借入比率の重視度が上がっている

金融機関が重視度を増している審査項目を見ると、借入額を担保評価値で割った「借入比率」を挙げる割合が3年連続で上がっています(住宅金融支援機構「2025年度 住宅ローン貸出動向調査結果」16ページ、2025年度 n=297・複数回答可、公開日2026年3月24日)。

重視度が増している審査項目 2023年度 2024年度 2025年度
返済負担率(毎月返済額/月収) 71.8% 73.3% 77.4%
職種、勤務先、雇用形態 46.8% 46.3% 46.8%
借入比率(借入額/担保評価値) 38.9% 42.3% 46.8%
担保となる融資物件の時価 14.3% 13.0% 15.5%

データ出典: 住宅金融支援機構「2025年度 住宅ローン貸出動向調査結果」16ページの集計(2023年度 n=301/2024年度 n=300/2025年度 n=297・複数回答可、2026年8月時点)

この推移は、担保評価の低い物件ほど審査の入口で弾かれやすくなっている変化だと当社は見ています。収入が十分だから通るはずという前提を一度外し、物件の評価額に対していくら借りようとしているのかという比率で計画を点検しておくと、相談の精度が上がります。

要点: 断られる理由は年収ではなく担保評価にあり、しかも建物(築年数)と土地(建て替え可否)で発生する場所が違います。どちらで減点されているかが分かれば、改善できる部分とできない部分を切り分けられます。

融資を通すために何を整えればよいのか?

担保評価額のうち借入で賄えるのは60%超〜70%以下が52.3%で最多、残り3〜4割は自己資金という資金内訳の図
担保掛け目の最頻値から、購入資金のうち自己資金で埋める必要がある割合を可視化(出典: 住宅金融支援機構「2025年度 住宅ローン貸出動向調査結果」n=277、2026年8月時点)

住宅ローンの審査は、物件の担保評価に対して借入額が収まっているかどうかで判断されます。したがって整えるべきは物件側の条件と、担保評価では足りない部分をどう自己資金で埋めるかの2点です。物件の状態を先に確認してから、借入額と自己資金の配分を決める順番が現実的です。

物件側で先に確認しておくこと

最初に確認したいのは、敷地が接している道の幅員と、その道が建築基準法上の道路にあたるかどうかです。あわせて、特定行政庁による第43条第2項の認定や許可の対象になり得るかも、役所の建築指導担当で確認できます。

同項では、幅員4メートル以上の道に2メートル以上接する建築物のうち一定の基準に適合するものや、周囲に広い空地を有する建築物について、特定行政庁が支障がないと認めた場合の例外が定められています。この見込みがあるかどうかで、相談できる金融機関の幅が変わります。認定や許可を実際に取りにいく手順、セットバックや隣地取得といった改善策の中身については、再建築不可物件の裏ワザで扱っています。

自己資金でどこまで埋める必要があるか

担保評価額の全額を借りられるわけではありません。中古住宅の担保掛け目は、戸建ての土地部分で「60%超〜70%以下」に設定している金融機関が52.3%で最多です(住宅金融支援機構「2025年度 住宅ローン貸出動向調査結果」、n=277、2026年8月時点)。

購入資金の計画に置き換えると、借入で賄えるのは担保評価額の6〜7割程度が目安で、購入価格との差額は自己資金で用意する前提になります。建物に評価が付かない築古の再建築不可物件では、この差額が想定より大きくなりやすいところです。物件価格の何割を頭金に回せるかを先に決めておくと、相談の場で条件を詰めやすくなります。

申込側で整えること

重視度が増した項目として最も多く挙がっているのは返済負担率で、2025年度は77.4%の金融機関が挙げています。毎月の返済額が月収に対して重いと、担保評価とは別の理由で条件が厳しくなります。

自己資金を厚くすれば借入比率と返済負担率の両方が改善しますが、手元資金を出し切るのは避けたいところです。再建築不可物件は既存の建物を使い続ける前提になるため、屋根・外壁・給排水の修繕費が後から必要になります。修繕予備費を残したうえで出せる額が、実質的な自己資金の上限です。

融資の通しやすさを3つに分けて考える

物件ごとの改善余地は、当社が買取の現場で見ている限り、おおむね次の3つに分かれます。

区分 敷地の状況 現実的な資金調達 確認しておきたいこと
A 改善の余地がある 幅員4メートル以上の道に2メートル以上接し、認定・許可の対象になり得る 住宅ローンの相談余地が残る 役所で認定・許可の見込みを先に確認
B 部分的に余地がある 隣接地の取得や敷地の使い方で接道条件が変わる可能性がある 自己資金+担保に依存しない借入 改善にかかる費用と借入条件の差額を比較
C 余地が乏しい 周囲を他人の土地に囲まれ、通路の確保が難しい 自己資金が中心 借入前提の購入は避け、出口から逆算

データ出典: 当社が訳あり物件の買取で用いている改善余地の判断基準に基づく整理(2026年8月時点)

住宅ローン以外にどの資金調達手段が現実的か?

5つの資金調達手段を担保評価への依存度と売却時の身軽さの2軸に配置したポジショニングマップ
担保に依存する手段ほど出口が重くなる関係を2軸で配置(当社の評価軸〔担保依存度・接道条件・出口〕に基づく整理、2026年8月時点)

資金調達の手段は、物件の担保評価に依存するものと、依存せずに借りられるものの2つに分かれます。依存しない手段は物件の条件に左右されにくい一方で、借りられる金額の上限と返済期間の条件が変わります。「借りられるか」だけで選ぶと、返済が終わる前に資金繰りが苦しくなることがあります。

資金調達手段 担保評価への依存度 接道条件の影響 購入後の出口への影響
住宅ローン 高い 直接受ける 売却時に買主も同じ壁に当たる
不動産担保ローン 高い 直接受ける 売却前に抵当権の抹消が必要
フリーローン(無担保) 低い ほぼ受けない 物件に担保が付かず売却は身軽
リフォームローン 中程度 受ける場合がある 工事できる範囲の制約が残る
自己資金 なし 受けない 売却の時期を自分で選べる

データ出典: 各手段の一般的な性質を当社の評価軸(担保依存度・接道条件・出口)で整理(2026年8月時点)

担保評価に依存する手段

住宅ローンと不動産担保ローンは、いずれも物件に抵当権を設定して低い金利と長い期間を成立させる仕組みです。金利や期間の条件が良い代わりに、借入額の上限が担保評価に縛られます。再建築不可物件でこの2つを狙う場合は、前述の3分類でAかBに当てはまるかを先に確認しておくと空振りを減らせます。

担保評価に依存しない手段

フリーローンやリフォームローンは物件の評価に左右されにくい代わりに、借入額と返済期間の条件が住宅ローンとは別のものになります。リフォームローンを検討する場合、そもそも再建築不可物件でどこまでの工事ができるかが先に決まります。工事の範囲は再建築不可物件のリフォームで整理しています。

建物を解体して更地にしても、再建築不可の土地では建て替えができないため建築の制約は変わりません。解体後の税負担が変わる点も含め、再建築不可物件を更地にするリスクを先に確認してください。

要点: 手段選びの基準は金利の高低ではなく、担保に依存するかどうかです。依存しない手段を選べば物件の評価に左右されませんが、返済期間が短くなる分、毎月の負担は重くなります。

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買う前に確認したい税制と出口はどうなるか?

借入の目処が立っても住宅ローン控除が使えるとは限らず、床面積・返済期間・築年数の要件を満たす必要があります。築年数の要件は耐震基準への適合で代えることもできるため、築古の再建築不可物件では事前の確認が欠かせません(国税庁 No.1211-3、2026年8月時点)。

住宅ローン控除の要件を満たせるか

中古住宅を取得した場合の主な要件は次のとおりです。

国税庁が定める主な要件 内容 再建築不可物件で確認したい点
床面積 50平方メートル以上で、2分の1以上を自分の居住用に使う 狭小な敷地の物件では床面積が届かないことがある
返済期間 10年以上にわたり分割して返済する借入金であること 期間の短い借入では対象外になる
築年数・耐震 昭和57年1月1日以後に建築、または耐震基準に適合すると証明されたもの 築古の物件では建築年か耐震基準適合証明の確認が必要
所得 控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下 借入手段にかかわらず共通

データ出典: 国税庁 No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(2026年8月時点)

国税庁が示すこれらの要件は、物件が再建築不可かどうかを直接の判定材料にしていません。再建築不可であること自体が控除を妨げるのではなく、実際は築年数と借入条件で決まります。物件を絞る段階で建築年月と床面積を先に確認しておくと、後から控除が使えないと分かる事態を避けられます。具体的な適用可否は個別の事情で変わるため、税務署または税理士にご相談ください。

借りる前に出口を確かめる

当社の買取くんは訳あり物件の直接買取を専門にしていますが、再建築不可物件について最初に確認すべきは融資の可否ではなく、返し終わる前に手放す必要が出たときに引き受け手があるかどうかだと考えています。

理由は担保評価の仕組みそのものにあります。金融機関が評価を抑えるのは処分のしやすさに不安があるからで、その不安は所有者が売る場面でもそのまま現れます。借入で購入できたとしても、転勤や相続で手放すときに買主が同じ壁に当たる構造は変わりません。

購入前に「この物件を売るとしたら誰が買うのか」を一度確かめておくと、資金計画の安全度が上がります。賃貸や駐車場として持ち続ける道もあり、選択肢は再建築不可物件の活用方法で整理しています。保有・活用・売却を含めた出口の総合的な判断は再建築不可物件はどうするべきかをご覧ください。

再建築不可物件の住宅ローンでよくある質問

Q. 再建築不可物件でも住宅ローン控除は受けられますか?

A. 要件を満たせば受けられます。中古住宅では床面積50平方メートル以上、返済期間10年以上、昭和57年1月1日以後の建築または耐震基準への適合が主な条件です(国税庁 No.1211-3、2026年8月時点)。再建築不可であること自体は判定条件に含まれていません。ただし借入がフリーローンなど住宅取得のための借入金に当たらない場合は対象外になるため、借入の種類とあわせて税務署へ確認してください。

Q. 再建築不可物件のローンは金利が高くなりますか?

A. 選ぶ手段によって条件が変わります。住宅ローンの金利が低いのは物件に抵当権を設定して回収の確実性を高めているためで、担保に依存しないフリーローンなどではその前提が成り立ちません。金利や期間は金融機関ごとに異なり公表条件も一律ではないため、複数の商品を実際の返済総額で比べてください。

Q. 特定の銀行なら再建築不可物件でも通ると聞きましたが本当ですか?

A. 個別の金融機関がどの物件まで対象とするかは公表されておらず、通った・通らないという体験談から一般化はできません。同じ金融機関でも、接道の状況・建物の状態・自己資金の割合で結論が変わります。銀行名で探すよりも、自分の物件が前述の3分類のどこに当てはまるかを確認してから相談したほうが、無駄な申込を減らせます。

物件の種類ごとの制約や税金まで含めて全体像をつかみたい方は、再建築不可物件の総合ガイドで次の一手を確認することをおすすめします。

まとめ

再建築不可物件で住宅ローンが使いにくいのは、建物が経過年数で評価を失い、土地が建て替えできない分だけ評価を下げられるためです。借入比率を重視する金融機関が増えている以上、担保評価で足りない部分は自己資金で埋める設計が前提になります。そして借入の可否と同じくらい、手放すときに引き受け手があるかを先に確かめておくことが、長く持ち続けるうえでの安全弁になります。判断に迷ったら、いまの物件がいくらで売れるのかという一点から逆算してみてください。

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