事故物件の売却方法は3つ|価格が下がる理由と選び方

事故物件の売却方法は、仲介・専門業者への直接買取・建物を解体して土地として売るの3系統に整理できます。価格が下がるのは事案そのものではなく買い手の母数が狭まるためで、下落幅を定めた公的な基準はありません。3つの方法の選び方と、清掃や解体の費用を回収できるかの判断まで整理します。

基礎から確認したい方は事故物件と告知事項の基礎解説へ。

\ 他社で断られた物件も買取可能 /

人が亡くなった住まいも、片付けや清掃をしないままの状態で査定します。

受付時間 10:00〜19:00(水・日曜定休)

事故物件の売却方法は?3つの選択肢を整理する

買主が個人の実需層か再販事業者か土地を探す人かで仲介・直接買取・解体売却の3系統に分かれることを整理した図
3つの違いは手続きではなく最終的な買主が誰かにある(当社の買取実務における各方法の取り扱い条件に基づく)

事故物件の売却方法は、仲介・専門業者への直接買取・建物を解体して土地として売るの3系統に整理できます。3つを分けているのは手続きの違いではなく、最終的に誰が買主になるかという点です。買主が個人の実需層なのか、再販を前提とした事業者なのかで、価格の決まり方も引き渡しまでの期間も変わります。

当社が上位の解説記事を確認した範囲では、多くが「仲介か買取か」の二択で説明していました。ただし実務ではもう1つ、建物を取り壊して土地として売る道があります。建物の傷みが激しい物件や、事案の記憶が建物と強く結びついている物件では、この3つ目が現実的な選択肢です。まず自分の物件がどの系統に乗るのかを見極めてから、価格の話に進むほうが判断は早くなります。

仲介で買主を探す

仲介は、不動産会社に買主を探してもらい、個人へ売る方法です。市場価格に近い金額を狙える点が最大の利点で、立地や間取りに市場性が残っている物件では第一候補です。

一方で、買主が個人である以上、事案に対する受け止め方は人によって大きく異なります。内見や条件交渉が進んだ段階で買主が離れると、そこまでの数週間が一度リセットされます。売却期間が読みにくいのは、事故物件の仲介に共通する構造的な事情です。

固定資産税を払い続けながら、遠方から管理に通う状況が続くのであれば、期間そのものが目に見えないコストになります。仲介は「時間に余裕がある物件」の方法だと考えておくと、判断を誤りにくくなります。

専門業者に直接買い取ってもらう

直接買取は、不動産会社が買主となって物件を購入する方法です。買主が事業者になるため、個人の心理的な受け止め方に成約が左右されにくく、内見の繰り返しも発生しません。

価格は市場価格より下がりますが、その分だけ確実性と期間を手に入れる取引だと整理できます。清掃や遺品整理を終えていない状態でも査定と契約が進められるため、相続直後で手が回らない段階でも動けます。

不動産会社が直接買主になる買取では、仲介手数料が発生しません。売主と買主が直接契約するため、仲介という役務自体が存在しないからです。ただし、別の不動産会社が間に入って買取業者を紹介する形の取引では、その会社への仲介手数料が発生します。提示価格が仲介の想定より低く見えても、手数料と保有期間中の維持費を差し引いた手取りで比べると、差が縮まる場合があります。

建物を解体して土地として売る

3つ目は、建物を取り壊して更地にしてから土地として売る方法です。建物に残存価値がなく、更地の需要がある立地であれば有効な選択肢になります。

ただし「更地にすれば事案と切り離せる」と単純に考えるのは避けてください。国土交通省が令和3年10月に策定した人の死の告知に関するガイドラインは、結びの部分で次のように述べています。

人の死が生じた建物が取り壊された場合の土地取引の取扱いや、搬送先の病院で死亡した場合の取扱い、転落により死亡した場合における落下開始地点の取扱いなどは、一般的に妥当と整理できるだけの裁判例や不動産取引の実務の蓄積がなく、現時点では、本ガイドラインの対象としていない。
宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省、令和3年10月)

つまり、解体後の土地をどう扱うかについて、国は現時点で基準を示していません。「更地にすれば説明が不要になる」と断言できる公的な根拠はない、というのが正確な理解です。解体費用が先払いになることと合わせ、慎重な判断が求められます。

事故物件の価格が下がるのはなぜ?下落幅に公的な基準はない

告知の4区分を買い手の母数への影響度の順に並べ、下落幅に触れた記述が0か所であることを示した図
区分が右に寄るほど買い手の母数が狭まり、価格・賃料の下落幅を定めた記述はない(出典: 国土交通省 人の死の告知に関するガイドラインを基に当社作成)

事故物件の価格が下がるのは事案そのものが原因ではなく、買い手になれる人の母数が狭まるためです。国が示した告知に関するガイドラインにも、価格や賃料の下落幅を定めた記述はありません(国土交通省、2026年8月時点)。下落幅は死因のラベルではなく、物件の条件で決まります。

価格が下がる仕組みは「買い手が減ること」にある

不動産の価格を動かすのは、その物件を買いたい人が何人いるかです。事案があると、購入候補から外す人が一定数出るため、同じ立地・同じ広さの物件でも競り合いが起きにくくなります。

競り合いが起きなければ、成約までの期間が延びます。売主が期間を短縮しようとすれば、価格を調整するしかありません。価格が下がるのは事案への「罰」ではなく、買い手が減った分を期間か金額のどちらかで埋める調整の結果です。

この仕組みがわかると、次の判断がしやすくなります。買い手の母数を減らしているのが何なのかを特定できれば、そこだけを手当てすればよいからです。買主が事案をどこで知るのかについては、事故物件の探し方・調べ方で整理しています。

国のガイドラインは価格について何も定めていない

事故物件の解説記事では「孤独死なら1〜2割減、他殺なら3〜5割減」といった数字がよく見られます。ただし、当社が上位記事を確認した範囲では、これらの数字の出どころを示したものは見当たりませんでした。

告知に関するガイドラインは全8ページの文書ですが、価格・売買価格・賃料の下落幅に触れた記述は1か所もありません。この文書が扱っているのは、宅地建物取引業者が宅地建物取引業法上どこまで調査し、何を告げるべきかという解釈だからです。

売買における告知の考え方そのものは、冒頭で紹介した告知事項の基礎解説で扱っています。ここで押さえておきたいのは、死因別の下落率を裏づける公的な統計や基準は、当社が確認した範囲では公表されていないという点です。したがって、査定額を「相場の◯割」で検算する考え方自体が成り立ちません。

告知の区分は「買い手の母数」への影響で読み替えられる

ガイドラインは告知の要否を4つに区分しています。この区分を売主の視点で読み替えると、買い手の母数がどれだけ狭まるかの目安になります。当社が売却判断の軸として整理したものが次の表です。

事案の区分 売買での告知の考え方 買い手の母数への影響 売却方法への含意
自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒・溺死・誤嚥など) 原則として告げなくてよい ほぼ影響しない 通常の物件と同じ進め方で検討できる
上記の死で、長期間放置され特殊清掃や大規模リフォームが行われた場合 買主の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある 一定数の買主が候補から外れる 仲介と買取を並行して比較する
隣接住戸・買主が日常生活で通常使用しない共用部分での事案 原則として告げなくてよい(事件性・周知性が特に高い場合を除く) 限定的 過度に価格を下げる必要はない
上記以外の死(自死・他殺・火災など) 判断に重要な影響を及ぼす場合は告げる必要がある 大きく狭まる 買取や更地化を含めて検討する

データ出典: 前掲の国土交通省ガイドラインの区分を基に、売却判断の軸として当社が整理(2026年8月時点)。

自然死であっても、特殊清掃が行われた場合は扱いが変わります。まずご自身の物件がこの4区分のどこに入るのかを確認してから査定に臨むと、提示価格の意味を正しく受け取れます。

価格を左右する4つの実務要因

当社が実際に査定するとき、価格に効いてくるのは次の4点です。死因のラベルよりも、これらの組み合わせで金額が動きます。

要因 価格が上がる方向 価格が下がる方向
再販の出口 投資家・事業者が買える(賃貸需要や再建築の余地がある) 個人の実需しか出口がない
事案の周知性 報道されておらず近隣にも広く知られていない 報道され地域で広く知られている
立地と収益性 駅距離・生活利便が良く賃料が取れる 賃貸需要が乏しく空室が読める
建物の損傷と原状回復費 損傷が小さく現況のまま流通できる 大規模な復旧工事が前提になる

データ出典: 当社の買取査定における判断項目に基づく(2026年8月時点)。

このうち売主側で動かせるのは、実は多くありません。周知性や立地は変えられず、建物の損傷も費用をかけない限り改善しません。売主が変えられる変数は「どの出口を持つ相手に売るか」、つまり依頼先の選択にほぼ集約されます。

価格が下がりにくい物件の条件

同じ事故物件でも、価格の下がり方には差が出ます。目安になるのは次の4条件です。

  • 事件性が低く、報道もされていない
  • 駅からの距離や生活利便が良く、賃貸に回しても空室になりにくい
  • 事案による建物の損傷が小さく、大規模な復旧工事が要らない
  • 区分マンションで、事案が起きたのが専有部ではなく共用部である

これらに複数当てはまる物件は、事案がない同条件の物件と比べても、極端に不利な条件を飲まずに売れる可能性があります。逆に1つも当てはまらない場合は、仲介での長期化を覚悟するか、期間を優先して買取に切り替えるかの判断が早い段階で必要です。

3つの売却方法はどう選ぶ?物件条件別の判断基準

市場性・時間の余裕・更地需要の3つの問いで仲介と買取と解体売却のどれが向くかをたどる分岐図
分岐をたどって方法を絞り、提示額ではなく手取りと月数で比べる(当社の買取実務における各方法の取り扱い条件に基づく)

3つの方法を選ぶ基準は、価格の最大化を優先するか、確実に手放せる期間の短さを優先するかの2択です。事案の内容よりも、建物と立地に市場性が残っているかどうかで選べる方法が絞られます。まず物件の条件を当てはめてから、優先順位を決めてください。

比較軸 仲介 専門業者への直接買取 解体して土地として売る
想定できる価格 市場価格に近い 市場価格より下がる 土地値から解体費を差し引いた水準
引き渡しまでの期間 読みにくい 短い 解体工事の期間が加わる
先に必要な支出 清掃・修繕を求められる場合がある 原則なし(現況のまま) 解体費用が先払い
仲介手数料 発生する 買取業者と直接契約するなら発生しない 仲介経由なら発生する
向く物件の条件 立地・間取りに市場性がある 期間と確実性を優先したい 建物に残存価値がなく更地需要がある立地

データ出典: 当社の買取実務における各方法の取り扱い条件に基づく(2026年8月時点)。買取と仲介の仕組みそのものの違いは不動産買取の完全ガイドで解説しています。

仲介が向くのは、事案がなくても売れる物件

仲介を選ぶ前提は、事案を除いた条件だけで買主が付く物件であることです。駅から近い、土地の形が整っている、築年が新しいといった要素があれば、価格を優先して時間をかける戦略が成り立ちます。

判断の目安になるのは、事案が起きる前にその物件を売りに出していたら、どのくらいの期間で売れそうだったかという想定です。もともと買い手が付きにくい条件だったのであれば、事案が加わった状態で仲介に出しても、期間だけが延びる結果になりかねません。

専門買取が向くのは、期間と確実性を優先したい場合

相続税の納付期限が迫っている、遠方に住んでいて管理に通えない、近隣から建物の状態について連絡が来ているといった状況では、期間そのものがコストになります。この場合は買取が現実的な選択肢です。

買取のもう1つの利点は、契約前に片付けや清掃を求められない点です。遺品整理の段取りがつかない段階でも査定と価格提示まで進められるため、他の相続手続きと並行して動かせます。

解体して土地として売るのが向く場合と、向かない場合

更地化が有効なのは、建物に残存価値がなく、かつその土地に一定の需要がある場合だけです。市街地の住宅地であれば更地のほうが買主の裾野は広がります。

一方で、郊外や地方で土地そのものの需要が乏しい場合、解体費用を投じても売却価格がその分上がるとは限りません。解体費用は先払いになるため、回収できなければそのまま損失になります。費用の目安は家の解体料金の相場を確認したうえで、更地にした場合の想定売却価格と突き合わせてください。

迷ったときは、方法を絞り込む前に価格を並べて比べる

3つのうちどれが有利かは、机上では決まりません。仲介での売り出し想定価格と、買取業者が出す提示価格の両方を並べたうえで、期間と手取りを比べるのが現実的な順序です。

比べるときは、提示された金額をそのまま並べないでください。仲介なら仲介手数料と売却期間中の固定資産税・管理費・電気水道の基本料金が差し引かれ、更地化なら解体費用が先に出ていきます。比べるべきは提示額ではなく、引き渡しが終わった時点で手元に残る金額と、そこまでにかかる月数です。

査定を受けること自体は売却の約束にはなりません。金額を把握してから方法を選んでも遅くないため、先に一方へ絞り込む必要はないと当社は考えています。

特殊清掃やリフォームの費用は、売却価格に返ってくるのか

原状回復にかけた費用は、その支出が売却価格に転嫁できる場合にだけ回収でき、それ以外は持ち出しになります。特殊清掃・リフォーム・解体は目的も回収のしやすさも異なるため、まとめて「やっておくべき」とは判断できません。支出ごとに回収の見込みを分けて考えてください。

支出 主な目的 売却価格への転嫁 判断の目安
特殊清掃 引き渡せる状態にすること しにくい 臭気・汚損が残り現況引き渡しができない場合のみ実施
内装リフォーム 内見時の印象を良くすること 買主が個人なら一部、事業者ならほぼ乗らない 仲介で個人へ売る前提のときだけ検討
解体・更地化 建物を土地に戻すこと 更地需要のある立地でのみ乗る 想定土地値と解体費を先に突き合わせる

データ出典: 当社の買取実務における原状回復費用の取り扱いに基づく(2026年8月時点)。

特殊清掃は「売るため」ではなく「引き渡すため」の支出

特殊清掃を「売れるようにするための投資」と考えると、判断を誤ります。清掃は物件を引き渡せる状態に戻す作業であり、価格を押し上げる性質の支出ではありません。

さらに押さえておきたいのは、清掃を行った事実そのものが説明の対象になりうる点です。告知に関するガイドラインは、自然死や日常生活の中での不慮の死であっても、次の場合を例外として扱っています。

ただし、自然死や日常生活の中での不慮の死が発生した場合であっても、取引の対象となる不動産において、過去に人が死亡し、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴い、いわゆる特殊清掃や大規模リフォーム等(以下「特殊清掃等」という。)が行われた場合においては、買主・借主が契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす可能性があるものと考えられる
宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省、令和3年10月)

当社はこの整理を、支出の目的をはっきりさせてくれるものだと受け止めています。清掃をしても事実が消えるわけではないため、清掃に価格上昇を期待する必要はありません。費用をかける前に「清掃なしのまま引き取れる相手はいないか」を確認してください。

リフォームは買主が事業者ならほとんど価値が乗らない

内装リフォームの費用が価格に乗るかどうかは、買主が誰かで決まります。個人が自宅として買う場合、きれいな内装は購入の後押しになり、一定の範囲で価格に反映されます。

買主が再販事業者や投資家の場合は事情が別です。事業者は自社の仕様で内装を作り直す前提で価格を組み立てるため、売主が先に施したリフォームは評価の対象になりにくく、場合によっては撤去費用として扱われます。買主が事業者になる可能性があるなら、リフォームは着手前に相談したほうが確実です。

解体・更地化は「立地」で判断する

更地化は3つの支出のなかで金額が最も大きく、後戻りができません。判断の順序は、解体費用の見積もりを取る前に、更地にした場合の土地としての想定価格を確認することです。

前掲の国土交通省ガイドラインが、建物取り壊し後の土地取引を対象外としている点も踏まえる必要があります。更地にすれば買主への説明が一切不要になる、という前提で費用を投じるのは避けてください。更地化は「説明を消すため」ではなく「土地としての買い手を増やすため」の手段だと位置づけると、判断を誤りません。

費用をかけずに売るという選択肢

3つの支出をいずれも見送り、現況のまま引き取る相手に売る道もあります。当社の買取くん(株式会社リアテクス)では、残置物や生活用品を残したままの現況買取に対応しているため、清掃・遺品整理・リフォームの先払いは不要です。

先に費用をかけると、その支出を回収したいという意識が働き、かえって売却の判断が遅れることがあります。現況のまま査定を受けて金額を把握し、それから費用をかける価値があるかを比べる順序のほうが、選択肢を狭めずに済むはずです。

要点: 原状回復の支出は「やるかやらないか」ではなく「回収できるか」で決めます。特殊清掃は引き渡しのための費用、リフォームは買主が個人のときだけ、解体は土地としての需要がある立地のときだけ、と切り分けてください。

\ 残置物そのままOK・査定無料 /

大阪府堺市では、家財を残したままの相続実家を1,200万円で買い取った実績があります。

受付時間 10:00〜19:00(水・日曜定休)

マンションの一室が事故物件になった場合は?

区分マンションでは、事案が専有部で起きたか、日常的に使わない共用部で起きたかで売買時の扱いが変わります。隣の住戸や通常使用しない共用部分での事案は、売買でも原則として告げなくてよいと国が整理しています(国土交通省、2026年8月時点)。まず自分のケースがどちらかを確認してください。

専有部で起きた場合は戸建てと同じ考え方になる

自分が所有する部屋の中で事案が起きた場合、取引の対象そのもので発生したことになります。この場合の考え方は戸建てと変わらず、売却方法の選択肢も価格の考え方も、前の章までに整理した内容がそのまま当てはまります。

区分マンションで戸建てと違うのは、更地化という選択肢が存在しない点です。建物を取り壊す判断は区分所有者が単独ではできないため、実質的に仲介か直接買取の二択になります。選択肢が1つ減る分、仲介と買取の比較をより丁寧に行ってください。

隣室や通常使わない共用部での事案は扱いが違う

自分の部屋ではなく、隣の住戸や、日常的に使わない共用部分で事案が起きた場合は前提が変わります。ガイドラインは、取引対象ではない隣接住戸や、買主が日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した事案について、売買・賃貸のいずれも原則として告げなくてよいと整理しています。ただし、事件性・周知性・社会に与えた影響が特に高い事案は例外です。

ここで注意したいのは、共用部分のすべてが同じ扱いではない点です。同じガイドラインは、ベランダなど専用使用が可能な部分のほか、共用の玄関・エレベーター・廊下・階段のうち日常的に使うと考えられる部分については、取引対象と同様に扱うと注記しています。

したがって、「マンションで事案があった」という一言で自分の部屋の価格まで下げる必要はありません。どこで起きたのかを特定することが、価格を守る最初の一手になります。

管理組合・管理会社への確認が必要になる場面

共用部分での事案は、区分所有者本人よりも管理会社が経緯を把握していることが多くなります。売却前の確認先として、管理会社への照会は現実的な手段です。

また、専有部の原状回復であっても、排水管や床下など共用部分に及ぶ工事が必要になる場合は、理事会の承認を求められることがあります。工事の可否と手続きにかかる期間は売却スケジュールに直結するため、リフォームを検討する前に管理規約を確認しておくと段取りが崩れません。

要点: 区分マンションでは、事案の発生場所が専有部か、通常使用しない共用部かで前提が変わります。共用部の事案であれば、売買では原則として説明の対象外とされているため、価格交渉で過度に譲る必要はありません。

専門の買取業者に売るとどうなるのか

1,200万円で売却した場合の印紙税1万円・抵当権抹消約3万円・住所変更登記約2万円という売主実費の内訳図
仲介手数料は0円だが、3項目すべてに当てはまる場合は売主側の実費が合計で約6万円かかる(出典: 印紙税は国税庁、その他は当社の買取実務に基づく)

専門業者への直接売却では買主が事業者になるため、内見や価格交渉の繰り返しがなく、現況のまま引き渡せます。その代わり価格は市場価格より下がるので、何を優先するかを決めてから依頼先を選ぶことになります。ここでは流れと実費、業者選びの確認点を整理しました。

買取の流れは4ステップ

直接買取の手順は、仲介と比べてかなり簡素です。

  1. 査定依頼: 物件の所在地・種別・面積と、いつどのような事案があったかを伝えます。現地に立ち会わずに進められる場合もあります。
  2. 価格提示: 査定額と引き渡し条件(残置物の扱い、引き渡し時期)が示されます。
  3. 売買契約: 条件に合意したら売買契約を締結し、契約書に印紙を貼ります。
  4. 決済・引き渡し: 代金を受け取り、所有権移転登記を行って完了です。

仲介のように販売活動の期間が存在しないため、価格に合意してから引き渡しまでの日数が短く収まるのが特徴です。当社の買取くんでは、査定から最短3日での現金化に対応しています。

査定を依頼するときに用意しておく情報

査定の精度は、最初に渡す情報の量でほぼ決まります。手元にそろえておくと、価格提示までのやり取りが短くなる情報は次のとおりです。

  • 登記事項証明書または権利証: 面積・構造・築年と、抵当権が残っているかを確認するため
  • 公図・測量図: 土地の形状と接道の状況を確認するため(見つからない場合は無くても構いません)
  • 管理規約と直近の管理費・修繕積立金の額: 区分マンションの場合に必要
  • 事案の概要: 発生時期、発生した場所(専有部か共用部か)、特殊清掃や大規模リフォームを行ったかどうか

このうち価格に最も影響するのは最後の項目です。発生場所と特殊清掃の有無がわかるだけで、前の章で整理した4区分のどこに当たるかが決まり、想定できる買主の幅が見えてきます。書類が一部そろわなくても査定は進められるため、そろうまで待つ必要はありません。

売主側で発生する実費

買取では仲介手数料が発生しませんが、売主側で負担する実費はあります。代表的なものは印紙税・抵当権の抹消費用・住所変更登記の費用です。

契約書に貼る印紙税は、契約金額によって決まります。不動産の譲渡に関する契約書は令和9年3月31日までに作成されるものについて軽減措置が適用され、税額は次のとおりです(国税庁、2026年8月時点)。

契約金額 軽減後の印紙税額
100万円を超え500万円以下 1千円
500万円を超え1,000万円以下 5千円
1,000万円を超え5,000万円以下 1万円
5,000万円を超え1億円以下 3万円

たとえば1,200万円で売買契約を結ぶ場合、印紙税は1万円です。これに加えて、住宅ローンが残っていれば抵当権等の抹消費用が約3万円、登記上の住所が現住所と異なる場合は住所変更登記に約2万円ほどかかります。売却益が出た場合の譲渡所得税は、取得費や控除の有無で結論が変わるため、個別の事情は税理士へご相談ください。

買主に伝わる内容には限度がある

事案の内容がどこまで人に伝わるのかは、売却の判断に関わる部分です。この点について、前掲の国土交通省ガイドラインは、告げる際には亡くなった方や遺族の名誉と生活の平穏に配慮する必要があるとして、氏名・年齢・住所・家族構成・具体的な死の態様・発見状況までは告げる必要がないと整理しています。

つまり、買主に伝わるのは事案の発生時期・場所・死因といった取引判断に必要な範囲であり、家族の事情まで説明する話ではありません。なお、引き渡し後の責任の範囲を定める契約不適合責任の免責特約については、空き家売却の注意点で詳しく扱っています。

業者を選ぶときに確認したい3点

買取を依頼する相手を選ぶときは、次の3点を確認すると判断がぶれません。

  • その物件タイプの取り扱い実績: 事故物件、共有持分、再建築不可など、条件付きの物件を実際に扱っているか
  • 価格の根拠を説明できるか: 「事故物件だから」ではなく、立地・賃料想定・原状回復費といった内訳で説明できるか
  • 引き渡し条件の範囲: 残置物・清掃・測量のどこまでを買主側で負担するか

3点目は手取り額に直結します。査定額が高くても、清掃と残置物処分が売主負担であれば、実際に残る金額は逆転する場合があります。金額だけでなく条件込みで比べてください。

当社が事故物件の価格をどう見ているか

事故物件の価格を実際に決めているのは、死因のラベルではなく再販の出口だと当社は考えています。買った後にその物件を誰へ渡すのかが決まっていなければ、業者は不確実性の分だけ価格を下げるしかありません。

当社は、購入意欲の高い不動産投資家と常時つながる形で事業を運営しています。出口が投資家であれば、判断材料は事案の内容そのものよりも、立地・賃料が取れるか・建物の状態といった収益面です。だからこそ、一般の仲介では買い手が見つからなかった物件でも価格を提示できる場面があります。

この構造があるため、事故物件は減点要因ではなく、扱い方のわかっている専門領域として位置づけています。査定額の高低だけでなく「その業者に出口があるか」を尋ねてみると、提示価格の妥当性を判断しやすくなるはずです。

告知や事故物件の考え方を全体から捉え直したい場合は、告知事項・事故物件の完全ガイドをあらためて確認することをおすすめします。

事故物件の売却でよくある質問

Q1. 更地にすれば売却価格は元に戻りますか?

元に戻ると考えないほうが安全です。更地にすると土地としての買い手は広がりますが、国土交通省のガイドラインは建物取り壊し後の土地取引の扱いを現時点の対象外としており、説明が一切不要になると断言できる根拠はありません。解体費用は先払いになるため、更地にした場合の想定土地値と費用を先に突き合わせてから判断してください。

Q2. 特殊清掃をしないまま売却することはできますか?

できます。現況のまま買い取る事業者に売る場合、清掃や遺品整理を終えていなくても査定と契約は進みます。ただし仲介で個人に売る場合は、内見が必要になるため臭気や汚損が残った状態では現実的ではありません。清掃をするかどうかは、どの売り方を選ぶかとセットで決めてください。

Q3. 一度誰かに住んでもらってから売れば価格は戻りますか?

売買では、間に居住者が入ったことを理由に説明が不要になる仕組みはありません。ガイドラインが概ね3年という目安を示しているのは賃貸借取引についてであり、売買には同様の期間の定めが置かれていません。詳しい考え方は、この記事の冒頭とまとめ前で案内している告知事項の基礎解説で確認してください。

Q4. 孤独死があった実家も、価格は下がるのでしょうか?

一律に下がるわけではありません。老衰や病死などの自然死は、売買・賃貸のいずれも原則として告げなくてよいと整理されています。ただし長期間発見されず特殊清掃や大規模リフォームが行われた場合は、買主の判断に影響する事案として扱われます。結論を分けるのは、発見までの経過と清掃工事の有無です。

まとめ

事故物件の売却方法は、仲介・専門業者への直接買取・建物を解体して土地として売るの3系統です。価格が下がるのは買い手の母数が狭まるためで、死因別の下落率を定めた公的な基準はありません。清掃やリフォーム、解体にかける費用は、回収できる支出かどうかで判断してください。まずは現況のまま査定を受けて金額の目安をつかみ、そのうえで費用をかける価値があるかを比べる順序が、選択肢を狭めずに済む進め方です。

\ 最短3日で現金化・全国対応 /

物件の所在地と、いつどのような事案があったかを聞かせていただければ判断できます。

受付時間 10:00〜19:00(水・日曜定休)

関連記事