不動産買取でトラブルが起きたらどうする?事例別の対処法と相談先

不動産買取のトラブルは価格・費用・契約内容・引き渡し後の4系統に分かれ、契約が成立した後ほど取れる打ち手が狭まります。解除できるか、誰に相談できるかを分けるのは、いま査定・契約・決済のどの段階にいるかです。実際に、約1,000万円で自宅を売った後に家賃の値上げを通告されたという相談も、公的機関に寄せられました。起きた後に残っている選択肢と、その相談先を順にたどります。

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不動産買取ではどんなトラブルが起きているのか?

価格・費用・契約内容・引き渡し前後の4系統が査定から引き渡し後のどの段階で表面化し、最初に当たる窓口がどこかを取引の時間軸上に配置した図
トラブルの系統を取引段階の時間軸に並べ、段階が進むほど窓口が行政から専門家へ移ることを示した図(当社の実務分類。窓口の役割は国民生活センターおよび国土交通省の公開情報に基づく)

不動産買取で起きるトラブルは、価格・費用・契約内容・引き渡し前後の4つの系統に整理できます。買取とは、不動産会社が買主になって直接物件を買い取る取引のことです。系統ごとに問題が表面化する段階が違うため、自分のケースがどこに当たるかを決めると、次に打てる手も絞り込めます。

トラブルの系統 表面化しやすい段階 先に失われるもの 最初に当たる窓口
価格 契約直前〜契約時 手取り額 監督行政庁
費用・手数料 契約時〜決済時 手元に残るお金 消費生活センター
契約内容 契約後〜決済前 選び直す自由 弁護士・司法書士
引き渡し前後 決済〜引き渡し後 時間と追加の負担 弁護士・司法書士

データ出典: 当社の実務分類。窓口の役割は国民生活センターおよび国土交通省の公開情報に基づく(2026年8月時点)

上の表が示すのは、トラブルが4つの系統に分かれ、起きる取引段階もだいたい決まっているという点です。買取そのものの仕組みや仲介との違いなど、不動産買取の前提知識は不動産買取の完全ガイドにまとめています。

査定額と契約額が食い違う「価格のトラブル」

最初の査定で示された金額と、契約直前に提示された金額が食い違う——これは相談として最も多く挙がる形です。物件の状態や権利関係の調査が進んで金額が動くこと自体は取引の中で起こりますが、下げ幅の根拠が説明されないまま金額だけが動くなら、話は別になります。

対処の入口は、金額を動かした要因を書面で出してもらうことです。境界が未確定だった、建物に想定外の傷みが見つかった、法令上の制限が判明したといった具体的な要因が示されれば、下げ幅が妥当かどうかを他社の査定と並べて検証できます。逆に「相場が変わった」といった説明しか返ってこない場合は、その回答自体を記録に残しておきます。

なお、買取価格が仲介での売却価格より低くなること自体は取引の構造から生じるもので、不当な買い叩きとは別の話です。この線引きは不動産買取のデメリットと向き不向きで整理しています。

後から出てくる「費用・手数料のトラブル」

事前の見積もりになかった費用が決済前に出てくるケースです。買取では仲介手数料がかからない一方、収入印紙代、抵当権などの抹消費用、住所変更登記の費用といった売主側の実費は残ります。どこまでが売主負担で、どこからが買主負担かの線引きが曖昧なまま進むと、決済直前に差額として現れます。

確認したいのは、費用の名目と金額と負担者が一覧になっているかの1点です。買取価格から差し引く形で処理される費用がある場合、手取り額は提示価格そのままにはなりません。契約前に一覧がもらえていないときは、決済日までに書面で求めておくと、後からの上乗せを防げます。すでに請求を受けている場合は、契約書と重要事項説明書に対応する記載があるかを確かめることが先になります。

説明と契約書が一致しない「契約内容のトラブル」

担当者の口頭説明と、契約書の条項が一致していないケースです。残置物をそのままにしてよいと言われたのに撤去義務の条項が入っていた、引き渡し時期が説明と違う、支払い方法が指定されていた、といった形で表面化します。

契約が成立した後は、口頭の説明ではなく契約書の条項が優先されます。だからこそ、説明と条項の食い違いに気づいた時点で、どちらが正しいのかを書面で照会しておくことに意味があります。メールやメッセージでのやり取りは、後から第三者に相談するときの材料です。電話で説明を受けた場合は、日時と内容と担当者名を自分でメモに残しておくだけでも、記録がまったくない状態とは大きく違います。

決済・引き渡しをまたいで起きるトラブル

入金が予定日に行われない、隣地との境界の扱いで話がまとまらない、引き渡し後に建物の不具合を指摘されて費用を求められる、といった段階です。買取では売主の契約不適合責任が免除される取り決めになることがありますが、その効力の範囲は契約条項によって変わります。免責条項の読み方は空き家売却の注意点で扱っています。

入金が遅れている場合は、督促そのものより先に、契約書の決済条項と遅延した理由の説明を突き合わせます。買主側の資金調達が理由なのか、書類の不備なのかで、その後に取れる手続きが変わるためです。

契約してしまった後でも解除できるのか?

契約書の手付解除の期限日を境に、解除にかかる負担が手付金の倍額から契約条項の違約金へ変わる分岐を示した判断フロー図
確認の起点は契約書の手付解除の期限日。期限内なら手付倍返し、過ぎると違約金へ変わる(出典: 国民生活センター「自宅の『リースバック』トラブルにご注意!」2026年8月4日公表を基に当社整理)

買取では宅地建物取引業法のクーリング・オフが使えず、契約が成立すると無条件では解除できません。この制度は不動産会社が売主になる売買で買主を守るためのもので、会社が買主になる買取では売主側に適用されないためです(国民生活センター、2026年8月時点)。解除する場合は、手付金の倍額を支払う手付解除が入口になります。

買取にクーリング・オフが使えないのはなぜか

宅地建物取引業法のクーリング・オフは、不動産会社が自ら売主となって物件を売る場面を想定した制度です。事務所以外の場所で申し込んだ買主が、一定期間内なら無条件で申し込みを撤回できる、という組み立てになっています。

買取では、この売主と買主が入れ替わります。物件を売るのは個人で、買うのが不動産会社です。そのため、自宅を不動産会社に売却した個人にはクーリング・オフが適用されません。国民生活センターも、消費者が不動産業者に自宅を売却する場合はクーリング・オフが適用されないと明記しています。訪問販売のイメージから「契約書にサインしても数日は取り消せる」と考えてしまうのは危険です。

当社は、この点こそ売主に最初に伝えるべき事実だと考えています。契約書に署名する前に、「署名した時点では撤回できない」という前提で条項を読んでみてください。

手付解除ができる期間と、過ぎた後にかかるもの

契約が成立した後でも、手付解除が可能な期間内であれば売主から解除できます。その場合に必要なのが、受け取った手付金の倍額を買主へ支払う「手付倍返し」です。

問題はその期間を過ぎた後です。国民生活センターの説明では、手付解除が可能な期間を過ぎると、ほとんどの場合は契約条項に基づく違約金が必要になります。不動産は取引金額そのものが大きいため、違約金の額も比例して大きくなります。

いまの段階 解除の可否 解除にかかるもの
契約成立前 申し込みを撤回できる 原則としてなし
手付解除の期間内 売主から解除できる 手付金の倍額(手付倍返し)
手付解除の期間後 契約条項による 契約条項に基づく違約金
決済・引き渡し後 極めて難しい 個別の事情による

データ出典: 国民生活センター「自宅の『リースバック』トラブルにご注意!」(2026年8月4日公表)を基に当社整理

手付解除の期限は契約書に日付で書かれています。まず確認すべきはその1行で、解除できるかどうかは、いま自分がどの段階にいるかで決まります

解除以外に取れる手段はあるか

解除だけが選択肢ではありません。金額や引き渡し条件の再交渉、費用負担の見直し、引き渡し時期の変更といった条件変更は、契約を維持したまま話し合える範囲です。申し入れは口頭ではなく書面かメールで行い、いつ・何を求めたかが残る形にします。

相手の対応に宅地建物取引業法上の問題があると感じる場合は、免許を出した行政庁へ情報提供するという道もあります。ただし、行政庁は監督権限を行使する立場であって、個々の売買代金の返還を代行する窓口ではありません。金銭の回復を求めるのであれば、専門家に相談して法的な主張を組み立てる必要があります。個別の契約で解除できるか、違約金がいくらになるかは契約条項と個別の事情によって決まるため、弁護士や司法書士など資格を持つ専門家に契約書そのものを見てもらうのが確実です。

要点: 解除の可否は法律の一般論ではなく、手元の契約書に書かれた手付解除の期限で決まります。相談に動く前に、まず自分がどの段階にいるかを日付で確定させてください。

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トラブルが起きたら、どこに相談すればいいのか?

消費生活センター等への相談が2024年度91.3万件から2025年度100.6万件へ増えた推移と、併用できる3つの相談窓口の役割を並べた図
相談件数は1年で約9万件増え、70歳以上が25.6%を占める。3つの窓口はできることが違い併用できる(出典: 国民生活センター、2026年8月時点)

買取のトラブルの相談先は、消費生活センター・都道府県の監督行政庁・弁護士などの専門家の3系統に分かれます。消費生活センターは消費生活全般の相談を専門の相談員が受ける窓口、監督行政庁は宅地建物取引業者を処分できる立場、専門家は法的な主張を組み立てる立場と、それぞれ役割が違う関係です。3つは併用できます。

消費生活センターと消費者ホットライン188

消費生活センターは、商品やサービスなど消費生活全般に関する苦情や問合せを、専門の相談員が公正な立場で受け付ける窓口です。不動産の売買も相談の対象に含まれます。全国共通の消費者ホットライン「188」にかけると、最寄りの市区町村または都道府県の窓口を案内してもらえます。

窓口が話中でつながらない場合には、国民生活センターのバックアップ相談(03-3446-0999/平日10時〜16時)が用意されています(国民生活センター、2026年8月時点)。土日祝日も、自治体の窓口が開いていない場合は188経由で受け付けられます。

相談の規模感も、動く前に押さえておきたい情報です。2025年度に全国の消費生活センター等へ寄せられた相談は100.6万件で、前年度の91.3万件から約9万件増えました。契約当事者の年代は70歳以上が25.6%で最も多くなっています(国民生活センター、2026年8月時点)。当社の見方では、この数字は相談が珍しいことではないという事実を示すものです。だから、金額の大小にかかわらず、迷った段階で一度電話を入れておくほうが選択肢は残ります。

都道府県の宅地建物取引業の監督行政庁

宅地建物取引業者は、免許を出した行政庁の監督を受けます。事務所が1つの都道府県内にあれば都道府県知事、複数の都道府県にまたがる場合は国土交通大臣です。行政庁が行う処分には、指示・業務停止・免許取消の3種類があります。

ここに情報提供する意味は、同じ業者による同種の行為が積み上がったときに監督につながる点にあります。一方で、行政庁は自分の売買代金を取り戻してくれる窓口ではありません。金銭の回復と業者の監督は、別の道筋です。両方が必要な場合は並行して動くことになります。相談する際に手元にあると話が具体化するのは、契約書の写しと、いつ誰にどう説明されたかの記録です。

弁護士・司法書士などの専門家

契約の解除、損害の賠償、登記をめぐる主張は、いずれも法的な判断を伴います。契約書の条項を前提にどこまで主張できるかを見極める作業は、資格を持つ専門家の領域です。費用面が心配な場合は、日本司法支援センター(法テラス)や、各都道府県の宅地建物取引業協会が設けている無料相談も選択肢になります。

登記の実務が絡む場面で効いてくるのが、司法書士の関与です。当社では所有権移転登記を提携する岩村司法書士事務所の岩村広宣司法書士が担当しており、名義の移転に第三者の資格者が入ることで、手続きの経緯が記録として残る形をとっています。

押さえておきたい点窓口は一つに絞る必要がなく、併用できます。そして、どの窓口でも話が具体化するかどうかは、残っている記録の量で決まります。

相手の業者は公的サイトでどこまで確認できるのか?

国土交通省の2つの検索サイトを商号で順に照会する手順と、公開5年分・23府県は別サイトなど処分歴なしが安全の証明にならない限界を示した図
商号で2サイトを順に照会する流れと、その結果で判断を止める条件を整理(出典: 国土交通省の各検索サイトの掲載情報、2026年8月時点)

取引相手の宅地建物取引業の免許が実在するかと、直近5年の行政処分歴は、国土交通省の2つの公的サイトで無料で照会できます。免許の実在は建設業者・宅建業者等企業情報検索システム、処分歴はネガティブ情報等検索サイトで調べます(2026年8月時点)。どちらも商号さえわかれば検索できる仕組みです。

比較する軸 企業情報検索システム ネガティブ情報等検索サイト
わかること 免許の実在・商号・所在地・専任の宅地建物取引士の人数 直近5年の免許取消・業務停止・指示
わからないこと 過去の行政処分歴 5年より前の処分、処分に至らなかった苦情
更新の頻度 月2回 概ね月1回
注意したい点 掲載内容は許可等行政庁が登録したもの 23府県は各県のサイトで別に公開されている

データ出典: 国土交通省の各検索サイトの掲載情報(2026年8月時点)

宅地建物取引業の免許が実在するかを照会する

企業情報検索システムでは、商号や免許番号から宅地建物取引業者を検索できます。免許の有無だけでなく、商号、本店の所在地、事務所ごとの政令使用人の氏名、従事者と専任の宅地建物取引士の総数まで表示されます。この項目は2025年4月に追加されたもので、事務所の規模感まで確認できるようになりました。

見るべきは、相手が名乗っている商号と所在地が登録内容と一致しているかです。名刺やチラシに書かれた社名で検索してヒットしない、あるいは所在地が違うという結果は、それ自体が確認を止める理由になります。建設業者・宅建業者の情報は月2回更新されるため、直近に免許を受けた業者でも比較的早く反映されます。

過去5年の行政処分歴を調べる

ネガティブ情報等検索サイトで調べられるのは、国土交通大臣や都道府県知事が宅地建物取引業者に対して行った行政処分等です。公開されるのは免許取消・業務停止・指示で、処分の年月日、免許番号、商号、本店所在地、処分の種類、違反内容の概要まで確認できます。

公開されているのは最近5年分で、更新は概ね月1回です。1つの事件を契機に複数の処分が行われた場合、それぞれ1件として掲載されます。同じ商号で複数の処分が並んでいれば、違反の内容と時期を読んで、いま自分が受けている対応と重ならないかを確かめられるはずです。

公的サイトでわからないこと

この2つのサイトには、はっきりした限界があります。第一に公開期間が5年で、それより前の処分は表示されません。第二に、茨城・埼玉・千葉・神奈川・新潟・富山・石川・福井・山梨・長野・岐阜・愛知・滋賀・京都・兵庫・和歌山・鳥取・島根・広島・山口・徳島・愛媛・高知の23府県は各県のサイトで別に公開されており、国のサイトだけを見ると取りこぼします。第三に、処分に至らなかった苦情や相談はそもそも載りません。

つまり、処分歴が出てこないことは、その業者に問題がないことの証明にはなりません。当社はこの2つを、相手を除外するための道具であって、安全を保証する道具ではないと位置づけています。検索でヒットしなかった場合も、契約条件そのものの確認は省かないでください。契約前の確認手順は買取を依頼する前に確認したい注意点で整理しました。悪質な業者に共通する勧誘の型については、悪質な買取業者の見分け方で扱っています。

高齢の親名義の家で、特に注意したい勧誘はどれか?

高齢の親名義の自宅では、売却後も住み続けられるとうたうリースバック型の勧誘で被害が深刻になっています。リースバックとは、自宅を売る契約と同時に賃貸借契約を結び、その後は家賃を払って同じ家に住み続ける取引です。相談の契約当事者は約7割が70歳以上で、件数もここ数年増えています(国民生活センター、2026年8月時点)。

「売っても住み続けられる」型の契約で起きていること

公的機関に寄せられた相談には、次のような内容があります。

6年前、生活が苦しく築40年の分譲マンションのリースバック契約をした。約1000万円で売却し、家賃7万円で賃貸借契約をした。先日、貸主であるリースバック業者から家賃を約10万円に値上げすると言われた。貸主は転売を考えているようで、値上げに不満なら退去するよう言われた。

出典: 国民生活センター「自宅の『リースバック』トラブルにご注意!」(2026年8月4日公表)

当社はこの相談を、売却時点の条件だけを見て契約が判断されたことによる結果だと見ています。売却代金は一度きりですが、家賃は住み続ける限り発生し続けます。住む期間が長くなるほど、家賃の総額が売却額を上回る局面が来ます。だから、この形の提案を受けている方は、売却額ではなく「何年住むと家賃の総額が売却額を超えるか」で採否を判断してください。同じ資料には、200万円で売却した自宅の買い戻しに1,000万円を提示された事例も掲載されています。

リフォーム契約から売却へ誘導される流れ

もう一つ、訪問勧誘と組み合わさる形があります。自宅を訪問した業者が高額なリフォーム工事を契約させ、支払えないと伝えると、別の不動産業者を紹介して自宅の売却代金から工事代金を払わせる、という流れです。実際に、自宅を1,100万円で売却した同じ日に450万円のキッチン等のリフォーム契約が結ばれていた相談が報告されています。

この件について、国民生活センターは、リフォームによって売却価格が上がるわけではなく、他人の所有物になる住宅のリフォーム代金を払わされている形になるため、リースバック契約の利用目的として不適切だと評価しています。リフォーム工事は売却価格を押し上げません。当社も現場での経験から同じ見方をしています。買主となる会社は建物の状態を織り込んで価格を出すため、直前の工事が価格へ加算される場面はまずありません。だから、売却の話とリフォームの話が同じ相手から同時に出てきたときは、その場で判断せず持ち帰ってください。

本人以外が気づいたときにできること

契約したのが親で、子どもが後から気づくケースでは、本人以外が動けるかどうかが問題になります。消費生活センターへの相談は、家族やホームヘルパー、地域包括支援センターの職員からでも可能です。本人を連れて行けない段階でも、状況を伝えて助言を受けられます。

早く相談するほど、残っている選択肢は多くなります。手付解除の期限内なのか、決済が済んでいるのかで打てる手はまったく違うためです。判断能力の低下が疑われる状態での契約は、成年後見や取消しの可否といった法的な論点にもつながります。この領域は個別の事情で結論が変わるため、弁護士や司法書士に早い段階で相談してください。

当社が買主として直接契約するとき、責任の所在をどう明確にしているか

買取は、不動産会社が買主として売主と直接契約する取引です。仲介会社が間に入らないぶん、説明する責任も、条件を守る責任も、買主となる会社1社に集まります。相手が誠実なら話が速い一方、相手を選び損ねると相談する先が社外にしかなくなる——これがこの構造の両面です。仲介と買取の仕組みの違いそのものは、不動産買取の完全ガイドで扱っています。

当社の買取くん(株式会社リアテクス)は、この構造を先に開示することを運用の前提にしています。具体的には次の3点です。

  • 価格の根拠を出口から説明する: 買い取った物件を誰にどう引き渡すかという出口を持っているため、価格が何を基準に決まったのかを最初から示せます。金額だけを提示して根拠を伏せる進め方はとりません。
  • 名義移転に第三者の資格者を入れる: 所有権移転登記は提携する岩村司法書士事務所の岩村広宣司法書士が担当します。買主側だけで手続きが完結しない形にすることで、経緯が記録として残ります。
  • 権利関係の論点を社内で受ける: 境界、共有持分、借地権、再建築不可といった論点は、提携する弁護士・司法書士・土地家屋調査士の体制で確認します。売主側に調査を丸投げしません。

売主として確かめていただきたいのは、当社かどうかではなく、買主が誰で、条件を守れなかったときに誰へ言えばよいのかが契約書から読み取れるかという1点です。そこが明確な相手であれば、この記事で挙げたトラブルの多くは入口で避けられます。

不動産買取のトラブルに関するよくある質問

Q. 不動産買取の契約後にクーリング・オフはできますか?

できません。宅地建物取引業法のクーリング・オフは、不動産会社が売主となる売買で買主を保護する制度です。買取では会社が買主になるため、自宅を売った個人には適用されません。訪問販売のような「申し込みの撤回」とは別の枠組みである点に注意してください。

Q. 手付金を渡した後でも、売主から契約を解除できますか?

手付解除が可能な期間内であれば解除できます。その場合に売主が支払うのは、受け取った手付金の倍額です。期間を過ぎた後は契約条項に基づく違約金が必要になるのが一般的で、金額は契約書の条項によって変わります。実際の可否と金額は契約書を専門家に確認してもらってください。

Q. 買取業者が宅地建物取引業の免許を持っているかは確認できますか?

確認できます。国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムで、商号や免許番号から検索すると、免許の有無、本店の所在地、事務所ごとの専任の宅地建物取引士の人数まで表示されます。名刺の記載と登録内容が一致しているかを見てください。

Q. 相談する前に、手元へそろえておく資料は何ですか?

売買契約書、重要事項説明書、査定書、担当者とのメールやメッセージ、入出金の記録の5点です。日付順に並べておくと、どの段階で何が変わったかを説明しやすくなります。消費生活センターに相談する際は、氏名・住所・電話番号などの基本情報も聞かれる点を覚えておいてください。

不動産買取ガイドで全体像を再確認する

まとめ

不動産買取のトラブルは価格・費用・契約内容・引き渡し前後の4系統に分かれ、それぞれ表面化する取引段階が決まっています。買取ではクーリング・オフが使えないため、契約が成立した後の解除のコストは、手付解除の期限を境に大きく変わる点に注意が必要です。相談先は消費生活センター・監督行政庁・専門家の3系統で、免許と直近5年の処分歴は国土交通省の公的サイトで確かめられます。まずは手元の契約書で自分がどの段階にいるかを日付で確定させ、記録をそろえてから窓口に連絡してください。

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この記事の監修者

株式会社リアテクス 執行役員 鶴野博之

鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)

宅地建物取引士/賃貸経営管理士/FP2級

一棟投資物件専門の仲介会社で不動産業界に参入後、前職では「訳あり・瑕疵物件」に特化したコンサルティングプログラム責任者として600名以上の投資家の購入から売却までに携わる。自身も再建築不可物件を中心に訳あり物件へ投資し、転売売買から保有物件まで数々の実績を持つ。

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