古民家差し上げます|無償譲渡より買取で現金化する方法

古民家を無償で譲ること自体はできますが、受け取る側に登録免許税と不動産取得税が残るため、0円でも引き受け手は限られます。まず確かめたいのは、相手にいくらの初期費用が発生するかです。この記事では、無償譲渡・空き家バンク・相続土地国庫帰属制度・買取を同じ評価軸で並べ、古民家の構造条件が査定額をどう左右するかまで整理します。

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「古民家差し上げます」で手放せる古民家、決まらない古民家

相手に再生・賃貸・店舗・隣地一体利用の出口があるかで決まり、待つ間は勧告で住宅用地の1/6軽減が外れる分岐図
出口の有無で決まるかが分かれ、勧告を受けると小規模住宅用地の課税標準1/6軽減が外れる(出典: 政府広報オンライン・国土交通省を基に当社作成)

無償で譲ること自体はできますが、受け取る側に税負担が残るため引き受け手は限られます。決まるかどうかを分けるのは建物の古さよりも、相手にその古民家を使う目的があるかどうかです。再生して住む・貸す・店にするといった出口を持つ相手か、隣の土地とまとめて使いたい相手なら、条件が折り合います。逆に目的のない相手に「タダだから」と持ちかけても話は進みません。

0円で決まらないのは物件の状態のせいではなく、受け取る側に数十万円単位の費用が残る仕組みのせいです。この費用の中身は次の章で示します。

待っている間も負担は積み上がります。2023年12月に施行された改正空家法では「管理不全空家」という区分が新設され、特定空家に至る前の段階でも市区町村が指導・勧告できるようになりました。勧告を受けると次の影響が生じます(いずれも政府広報オンラインの解説による。2026年7月時点)。

  • 住宅用地の特例が外れる: 小規模住宅用地で課税標準を6分の1に減額する軽減が適用されなくなります
  • 行政による強制撤去がある: 特定空家への命令に従わない場合は50万円以下の過料が定められており、行政代執行が行われることもあります

管理不全空家・特定空家への措置をどう判断するかは、国土交通省の空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報にガイドラインとして公開されています。

負担は税だけではありません。老朽化した建物が倒壊して近隣に被害を与えた場合、民法第717条により所有者が損害賠償責任を負います。古民家は瓦屋根や土壁に重量があるぶん、崩落したときの被害が大きくなります。ほかにも次の問題が起こります。

  • 不法侵入・不法投棄: 人の気配がない建物は投棄や侵入の対象になりやすく、放火の危険も指摘されています
  • 害虫・害獣の発生: シロアリやハクビシンが住み着き、隙間の多い古民家では侵入を防ぎにくくなります
  • 景観の悪化: 雑草が伸び、周辺の住環境や近隣との関係にも影響します

住んでいなくても管理責任は免除されません。相続した古民家の名義がそのままになっている場合は、相続登記の期限も関わってきます。この点は神奈川で空き家を無償譲渡する5つの方法で制度面を詳しく扱っています。全国の空き家数と空き家率は総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査で公表されており、使用目的のない空き家はこの20年でおよそ2倍に増えました(政府広報オンライン)。

この記事では、無償譲渡で動くお金、手段ごとの比較、査定額を左右する構造条件、買取を選ぶ場面、地域ごとの事情の順に整理します。

無償で譲るときに動くお金|譲る側と受け取る側の負担

家屋と宅地を各500万円で0円譲渡した場合の受け取る側の初期費用約281万円と、うち贈与税231万円が占める内訳図
登記と不動産取得税だけで50万円、贈与税を含めると約281万円になる(出典: 国税庁・総務省の公表資料を基に当社試算)

無償譲渡でも受け取る側には登録免許税と不動産取得税がかかり、贈与税の対象にもなります。譲る側は所有している間の固定資産税と都市計画税を払い続けます。どちらの負担も物件の評価額に連動するため、評価額を確認すれば話がまとまる相手の条件が見えてきます。以下に挙げる税率と控除額は、2026年7月時点の法令等によります。

譲る側に残り続ける費用

古民家を持っているだけで毎年発生するのが、固定資産税と都市計画税です。固定資産税は土地・家屋の所有者に課され、課税標準は価格(適正な時価)、標準税率は1.4%です(総務省「固定資産税の概要」)。賦課期日は毎年1月1日なので、その時点で名義があれば1年分がかかります。

都市計画税は市街化区域内の土地・家屋が対象で、制限税率は0.3%です(総務省「都市計画税」)。課税するかどうかや税率水準は市町村の条例で決まるため、同じ評価額でも自治体によって金額が変わります。

税以外にも、火災保険料、草刈りや通水などの管理費、屋根や外壁の応急的な修繕費が発生します。これらは立地と傷み具合で幅が大きく、公的な統計としてまとまった相場は公表されていません。遠方に住んでいる場合は交通費や管理委託料も上乗せされるため、税額だけを見て判断すると実際の負担を小さく見積もることになります。

受け取る側にかかる3つの税

譲り受ける側には、次の3つが発生します。

  • 登録免許税: 所有権移転登記にかかる国税です。贈与による移転は土地・建物とも不動産の価額の1,000分の20で、課税標準は原則として固定資産課税台帳に登録された価格です(国税庁 No.7191)。住宅用家屋の1,000分の3という軽減税率は売買と競落に限られるため、贈与では使えません
  • 不動産取得税: 都道府県税で、税率は4%、土地と住宅については軽減税率の3%が適用されます。総務省は「不動産の取得は、お金を払ったか(有償)、払ってないか(無償)を問わず、不動産所有権を得た事実を意味します」と説明しており、0円で受け取っても課税されます総務省「不動産取得税」
  • 贈与税: その年に贈与で受け取った財産の合計から基礎控除110万円を差し引いた残額に税率がかかります。親族以外への譲渡は一般税率が使われ、基礎控除後1,000万円以下の部分で40%(控除125万円)となります(国税庁 No.4408

登記費用として司法書士への報酬が別途かかることもあります。相手が「タダなら欲しい」と言っていても、これらの負担を説明した段階で条件が折り合わなくなることがあります。

0円で譲ったときに相手が負担する初期費用

前提を開示したうえで試算します。固定資産税評価額500万円の家屋と、固定資産課税台帳の価格500万円の宅地を、親族以外の第三者へ0円で譲るケースです。2026年7月時点の法令等にもとづき、原則税率のみで計算しています。

税目 課税標準 税率 概算
登録免許税(土地・贈与による移転) 500万円 1,000分の20 10万円
登録免許税(家屋・贈与による移転) 500万円 1,000分の20 10万円
不動産取得税(土地) 500万円 3% 15万円
不動産取得税(家屋) 500万円 3% 15万円
贈与税(一般贈与財産・基礎控除後890万円) 890万円 40%・控除125万円 231万円
合計 約281万円

方法論を明示します。対象は上記の前提1ケース、集計は各税の課税標準に税率を掛けた単純計算で、住宅用地特例や新築住宅の控除は本ケースでは適用対象外として扱いました。データは国税庁と総務省の公表資料によります。

譲る側にとっての0円は、受け取る側にとっての0円ではありません登記と不動産取得税だけで50万円、贈与税を含めると約281万円という規模になります。続柄や評価額が変われば税額も変わるため、実際の金額は税理士への確認が必要です。ただし方向性ははっきりしています。無償譲渡を成立させたいなら、評価額が低く贈与税がかかりにくい物件か、相手にその古民家を使う明確な目的があるか、このどちらかが必要になります。

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古民家を手放す手段を同じ物差しで比べる

6つの手段を成立までの期間と所有者の費用負担の2軸に配置し、国庫帰属は申請5,698件に対し帰属2,885件と示した位置関係図
期間の読みやすさと費用負担で各手段の位置が分かれ、建物が残る古民家では国庫帰属を選べない(出典: 法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」)

手段ごとに成立までの期間と費用負担が大きく異なるため、物件条件から逆算して選ぶと絞り込めます。建物を残したいのか更地でよいのか、時間をかけられるのか急ぐのかで、現実的な選択肢は入れ替わります。ここでは5つの手段を見たうえで、最後に同じ評価軸で並べます。

自治体の空き家バンクに登録する

空き家バンクは、市町村が空き家の情報を登録し、利用希望者とつなぐ制度です。国土交通省が構築・運営を支援した「全国版空き家・空き地バンク」は、各自治体が持つ情報を自治体をまたいで検索できるようにしたもので、平成30年4月から本格運営されています(国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」)。参画自治体数と物件掲載件数の実績も同ページで公開されており、公表されている最新の集計は2026年6月末時点のものです。

行政が関与する仕組みで、登録費用がかからない点が利点です。一方で、掲載から成約までの期間は所有者側で管理できません。傷みが進んだ物件や登録要件を満たさない物件は、掲載自体を断られることもあります。問い合わせ対応や内見の立ち会いも基本的に所有者が行うため、遠方に住んでいると手間が重くのしかかります。

個人間のマッチングサイト・掲示板を使う

民間のマッチングサイトや掲示板を使えば、譲渡先を自分で探せます。性格の異なる次のようなサービスがあります。

  • みんなの0円物件: 無償譲渡の物件に特化したマッチングサイトで、無料で手放したい場合に向いています
  • 家いちば: 掲示板形式で売り手と買い手を直接つなぐサービスで、価格は売り手が自由に決められます
  • ジモティー: 地域内の個人間取引に使われているプラットフォームで、不動産以外の物品とあわせて掲載できます

仲介手数料がかからない場合もあり、価格を自由に設定できる点が特徴です。

ただし個人間取引では、契約書の作成も登記手続きも自分で進めることになります。引き渡し後に不具合が見つかったときの責任の所在があいまいになりやすく、不動産取引に慣れていない場合の負担は小さくありません。掲示板で募集する仕組みとその実態については、掲示板で「空き家差し上げます」と募集する仕組みと実態で詳しく解説しています。

隣地所有者・近隣に打診する

隣の土地の所有者に声をかける方法は、見落とされがちですが有効です。隣接地を取得できれば敷地が広がり、駐車場・家庭菜園・倉庫用地・庭の拡張などに使えます。土地をまとめられることは、隣地所有者にとって実利のある話です。

費用はほとんどかかりませんが、相手が引き受ける意思を持っているかどうかに左右されます。人口が減っている地域では、土地を増やしたいと考える人自体が少なくなります。無償で譲る場合は前章のとおり相手側に贈与税が発生するため、税務上の扱いを事前に整理しておく必要があります。

相続土地国庫帰属制度を使う

2023年4月に始まった相続土地国庫帰属制度は、相続で取得した土地を国に引き渡せる仕組みです。ただし古民家の所有者には次の制約があります(法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」)。

  • 建物がある土地は対象外: 却下事由の筆頭が「建物がある土地」で、建物が建ったままでは申請できません。申請するには自費で解体して更地にする必要があります
  • 費用がかかる: 審査手数料が土地一筆当たり14,000円かかり、取り下げた場合や却下・不承認となった場合でも返還されません。承認後は負担金を納付し、その時点で所有権が国庫に移ります
  • 条件が厳しい: 担保権が設定された土地、境界が明らかでない土地、土壌汚染された土地も却下の対象です

運用の実績も見ておきます。法務省が公表する統計(2026年6月30日現在・速報値)では、申請件数は5,698件、帰属件数は2,885件でした(法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」)。

区分 件数 主な内訳
申請 5,698件 田・畑2,226件/宅地1,973件/山林868件/その他631件
帰属 2,885件 宅地1,073件/農用地925件/森林193件/その他694件
却下 83件 通路の用に供されている土地22件/境界が明らかでない土地21件/建物の存する土地4件 ほか
不承認 93件 地上に有体物が存する土地45件/追加整備が必要な森林36件 ほか
取下げ 1,063件 有効活用の見込みが生じた562件/却下・不承認が判明した375件/その他126件

注目したいのは取下げの中身です。取下げ1,063件のうち562件は「有効活用の見込みが生じた」ことによるもので、法務省は具体例として、自治体や国の機関による活用が決まった、隣接地所有者から引き受けの申し出があった、農業委員会の調整で農地として活用される見込みになった、という3つを挙げています。制度を申請する過程そのものが、別の引き受け手を掘り起こしています。国庫帰属を検討する場合でも、並行して隣接地所有者や自治体に当たる意味があります。

訳あり物件専門の買取業者に売る

譲るのではなく売る、という選択肢です。訳あり物件を専門に扱う買取業者であれば、一般の不動産会社が扱いを断るような古民家でも、現状のまま買い取る判断ができます。仲介と違って買い手を探す役割は業者側にあるため、所有者が問い合わせ対応や内見に追われることもありません。

仲介では法定上限の報酬が発生しますが、買取では仲介手数料そのものが発生しません。ただし買取価格は、業者が再生や再販にかかる費用とリスクを引いたうえで提示されるため、市場で流通する価格を下回ることがあります。時間をかけて仲介で売れる物件なら、仲介のほうが手取りが大きくなるケースもあります。古民家に限らず空き家全般の手放し方で迷っている場合は、神奈川の空き家を手放す方法と買取の判断基準もあわせてご覧ください。

5つの手段と仲介を同じ評価軸で並べる

評価軸を先に示します。①成立までの期間、②所有者の費用負担、③受け取る側・買い手側の負担、④成立しやすい物件条件の4つです。当社の買取も他の手段と同じ4軸で記載しており、根拠となる公的資料は表の下にまとめました。

手段 成立までの期間 所有者の費用負担 相手側の負担 成立しやすい物件条件
空き家バンク 掲載後は相手次第で読めない 登録は無料・内見対応の手間 登録免許税・不動産取得税・改修費 住める状態に近く、移住需要のある地域
個人間マッチング・掲示板 相手次第で読めない 掲載は無料〜少額・契約と登記を自分で進める 同上+贈与税 再生を目的とする相手が付く物件
隣地所有者・近隣への譲渡 相手が決まれば数週間〜数か月 登記費用 同上+贈与税 隣地と一体で使える立地
相続土地国庫帰属制度 申請から審査を経るため長い 解体費・審査手数料14,000円・負担金 国が管理(相手方の税負担なし) 建物がなく境界が明確な土地
仲介による売却 買い手が見つかるまで読めない 法定上限の報酬・引き渡し前の片付け 購入代金・登録免許税・不動産取得税 住宅として通用する状態の物件
訳あり物件専門の買取 査定から決済まで短い 仲介手数料なし・現状のまま引き渡し 業者が改修・再販費用を負担 再生や土地活用の出口がある物件

データ出典: 国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」国税庁「登録免許税の税額表」総務省「不動産取得税」法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」(2026年7月時点)。買取の行は当社が提供している条件を記載

比較と推奨は分けて考えます。どれを選ぶべきかは物件の条件によるため、買取が向く場面は次章以降で条件付きに述べます。

買取査定を左右する古民家の構造と再生価値

買取査定は再生後の想定価格から改修費と手続き費用を差し引いて決まるため、構造条件が金額を左右します。築年数そのものではなく、直して使える状態に戻すまでにいくらかかるかが評価の軸になります。同じ「築100年の古民家」でも、屋根と基礎の状態で査定額は変わります。

構造と屋根材が改修費の幅を決める

古民家に多い伝統的な木造は、貫や差鴨居で軸組を固め、礎石の上に柱を立てる石場建てなど、現在の在来工法とは異なる作りをしています。柱や梁が太く、傷んだ部材を差し替えて長く使える一方、耐震補強の設計は在来工法より手間がかかります。

屋根材も費用差の大きい要素です。茅葺きは葺き替えに専門の職人が要り、瓦屋根は重量があるため下地の傷みが進んでいると野地板からの全面工事になります。トタンで覆われている場合は、下の茅や瓦の状態が開けてみるまでわかりません。土壁も、竹小舞から作り直すか内側から乾式で仕上げるかで金額が変わります。接道が2メートルに満たない土地や車が入らない立地では、資材の搬入方法から検討することになります。なお借地権付き・再建築不可・共有持分といった問題を抱える物件は、費用ではなく権利関係が出口を決めます。この点は借地権や共有持分がある不動産の買取で整理しています。

2025年4月から変わった大規模リフォームの手続き

再生費用の見通しに影響する制度変更がありました。令和4年6月に公布された改正建築基準法により、木造戸建の大規模な修繕・模様替が建築確認手続きの対象になりました(国土交通省「令和4年改正 建築基準法について」)。木造建築物の建築確認検査や審査省略制度の対象が見直され、非木造と同じ規模まで広がった形です。あわせて、2階建て以下の木造で構造計算が必要になる規模も、延べ面積500㎡超から300㎡超へ引き下げられました。

この改正は令和7年(2025年)4月1日から施行されています国土交通省 報道発表)。古民家の再生は「大規模の修繕・模様替」に当たることが多く、設計と確認申請の期間・費用が改修費に上乗せされます。再生を前提に買う側は、この分を見込んで金額を出すことになります。

ただし伝統的な木造が一律に不利になったわけではありません。同じ改正では、小規模な伝統的木造建築物等について、構造設計一級建築士が設計または確認を行い、専門的知識を有する建築主事等が審査する場合は構造計算適合性判定を不要とする特例も設けられました。詳細は国土交通省の建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直しで公開されています。

買い手の出口から逆算する査定の考え方

査定額は、買い手が何をして回収するかで決まります。住宅として再生して売る事業者の場合、断熱・水回り・屋根の改修費を引いた残りが上限です。宿泊施設や店舗への転用を考える事業者なら、用途変更や消防設備の費用が加わる代わりに、収益から逆算した価格を出せることもあります。土地としての利用を前提とする買い手であれば、解体費を引いた土地値が基準になります。

つまり、同じ古民家でも声をかける相手によって上限価格が変わります。梁や柱に使われている古材そのものに引き取りの需要があることもあり、建物を丸ごと動かせなくても部材単位で価値が付く場合があります。「価値がないから解体するしかない」と決める前に、どの出口で評価されるかを確かめる価値はあります。

無償譲渡より買取が現金化につながる場面

0円譲渡と買取を引き渡し後の責任・片付け・手元に残るもので比べ、現金化まで最短3日と示した比較図
責任と片付けの負担が入れ替わり、現金化までは最短3日となる(当社の買取サービスの提供条件に基づく)

0円譲渡では手元に何も残りませんが、買取なら売却代金を受け取れる可能性があります。加えて、引き渡し後の責任と片付けの負担が変わります。ここでは買取が有利になる3つの場面を挙げます。

0円のつもりの古民家に値がつく場合

「タダでも引き取ってほしい」と考えている古民家に値が付くのは、次のような価値が残っているときです。

  • 再生素材としての価値: 古い梁や柱には新築では出せない風合いがあり、再利用の需要があります。特に年数を経た古材は数が限られます
  • 立地の価値: 建物の状態にかかわらず土地そのものに需要のある場所であれば評価が付きます。駅や幹線道路との距離、上下水道の引き込み状況が判断材料になります
  • 転用先としての価値: 古民家カフェ・ゲストハウス・シェアハウス・宿泊施設への転用を狙う買い手が付くことがあります

これらを評価できる相手は出口ごとに違います。一般の不動産市場で値が付かなくても、再生や運用を前提とする買い手は別の評価軸を持っています。

契約不適合責任が免責される

個人間で無償譲渡や売却をした場合、引き渡した後に欠陥が見つかると、元の所有者が契約不適合責任を問われることがあります。古民家は年数が長いぶん、自分でも把握していない問題を抱えていることがあります。

  • シロアリ被害が引き渡し後に発覚した場合
  • 雨漏りや基礎の傾きが見つかった場合
  • 土壌汚染や地中埋設物が発見された場合
  • アスベストを含む建材が使われていた場合

買取業者への売却では、契約不適合責任を免責とする特約を付けて取引するのが一般的です。業者は購入前に自社でリスクを見込んだうえで買い取るため、引き渡し後の不具合を売主に求めない形で契約できます。ただし免責の範囲は特約の内容で決まり、民法では売主が知りながら告げなかった事実について責任を免れられないとされています。把握している不具合は隠さず伝えたうえで、特約条項の範囲を宅地建物取引士や弁護士に確認してください。

残置物や未清掃のまま引き渡せる

無償譲渡やマッチングサイトでの取引では、「片付けてから引き渡してほしい」と求められることがあります。古民家には次のようなものが残りがちで、処分の手配自体が負担になります。

  • 家財道具・家電・衣類などの生活用品
  • 納屋や蔵に残された農具・什器
  • 仏壇や神棚など、扱いに配慮が要るもの
  • 庭木・庭石・ブロック塀といった外構

手取りは売却代金だけでなく、かけずに済んだ費用も含めて比べる必要があります。片付けと解体を自己負担してから譲るのと、現状のまま売って代金を受け取るのとでは、最終的に残る金額が逆転することがあります。

当社の買取くんは、空き家・古民家・別荘・再建築不可・共有持分・事故物件といった訳あり不動産を専門に買い取っています。提供している条件は次のとおりです。

  • 査定は最短6時間、現金化は最短3日で対応します
  • 300人超の投資家ネットワーク(個人投資家 約40%、不動産投資会社 約30%、リノベーション会社 約20%、その他 約10%)から、物件の出口に合う買い手を探します
  • 査定料無料・仲介手数料0円で、契約不適合責任も免責とします
  • 現状買取に対応し、清掃・残置物処理・解体は不要です
  • 提携する弁護士・司法書士・土地家屋調査士が、相続や権利関係の絡む案件を支援します
  • 土曜日の対応やSMSでのやり取りにも応じるため、遠方の所有者でも進められます

運営は株式会社リアテクスで、宅地建物取引業の免許は東京都知事免許(1)第107888号、代表者は藤山大二郎、(公社)東京都宅地建物取引業協会の会員です。免許の内容は国土交通省の宅地建物取引業者検索で、免許行政庁を「東京都」、免許証番号を入力すればどなたでも照合できます。買取価格帯や成約事例は買取くんの公式ページで公開しています。

なお、買取業者そのものをどう選ぶかという比較の観点は本記事では扱いません。査定スピード・訳あり物件の対応範囲・費用負担・契約不適合責任といった評価軸ごとの見方は、空き家買取業者の比較と評価軸にまとめています。

地域で変わる古民家の出口

古民家の出口は地域の需要構造で変わるため、所在地に合わせた情報を確認する必要があります。同じ築年数・同じ間取りでも、移住需要のある地域と住宅需要そのものが縮んでいる地域とでは、引き受け手の見つかりやすさが違います。ここでは代表的な3つの地域類型を挙げます。

別荘や二次的住宅が多い地域

避暑地や高原の別荘地を抱える地域では、同じ古民家でも引き受け手が見つかりにくくなります。世代交代で使われなくなった建物がまとまって残り、住宅としての需要に対して供給が上回るためです。寒冷地では断熱・水回り・屋根の改修が前提になるぶん、譲り受ける側の初期費用も膨らみます。山間部では給排水や生活道路の維持にも手間がかかります。

長野県はこの構造が県内に凝縮されている例です。都市部・別荘地・山間部が同居しており、同じ県内でも手放しやすさが大きく分かれます。地域ごとの事情と県内で相談できる業者の比較まで含めた進め方は、長野県で古民家差し上げますを検討するときの手順で解説しています。別荘そのものの維持コストや別荘地の実情については、別荘を手放すときの費用と選択肢で扱っています。

町家と山間部が混在する地域

歴史的な町並みが残る市街地と、過疎が進む山間部を同時に抱える地域では、出口が二極化します。町家は観光や店舗への転用需要が期待でき、条件が合えば買い手が付きます。一方、駅や幹線道路から離れた山間部の古民家は、移住希望者にとっても生活の利便性が壁になり、貰い手も買い手も限られます。

こうした地域では、無償で譲る際に受け取る側の贈与税が具体的な論点になりやすく、評価額しだいで話がまとまらないことがあります。文化財としての価値がある一方で現在の耐震基準を満たさず、住居として使うには改修が前提になる建物も少なくありません。奈良県はこの構図がわかりやすく表れる地域です。県内の事情と贈与税の具体的な扱いは、奈良で古民家差し上げますを考えるときの注意点にまとめています。

都市近郊で需要が二分する地域

都市圏に近い地域でも、鉄道沿線から離れた郊外や山あいでは引き受け手が限られます。観光地や移住先として注目される地域と、過疎化が進む地域が同じ県内に並存するためです。神奈川県内で空き家や古民家を無償で譲る具体的な手順は、神奈川で空き家を無償譲渡する5つの方法で解説しています。

そのほかの地域についても、エリア別の解説を用意しています。

古民家差し上げますに関するよくある質問

古民家は本当にタダでもらえるのですか

物件の代金という意味では0円で譲り受けられます。ただし受け取る側には税金がかかります。所有権移転登記に伴う登録免許税は、贈与による移転で不動産の価額の1,000分の20(国税庁「登録免許税の税額表」)、不動産取得税は税率4%で、土地と住宅には軽減税率3%が適用されます(総務省「不動産取得税」)。総務省は不動産の取得を有償・無償を問わないと説明しており、0円でも課税対象になります。評価額が基礎控除110万円を超えると贈与税もかかります。

古民家を譲る側にも費用はかかりますか

譲渡が成立するまでの間、固定資産税と都市計画税を払い続けることになります。固定資産税は標準税率1.4%(総務省)、都市計画税は市街化区域内で制限税率0.3%です(総務省)。賦課期日は毎年1月1日なので、年をまたぐたびに1年分が発生します。このほか火災保険料や草刈りなどの管理費、登記手続きの費用も譲る側の負担になります。

どの方法がいちばん早く古民家を手放せますか

期間の読みやすさで比べると、査定から決済までのスケジュールを業者側が示せる買取が最も短くなります。空き家バンクやマッチングサイトは掲載後の反応が相手次第で、いつ決まるかを所有者側で管理できません。相続土地国庫帰属制度は建物の解体と審査を経るため、最も時間がかかります。急ぐ理由があるかどうかで、選ぶべき手段は変わります。

建物がある土地でも国に引き取ってもらえますか

引き取ってもらえません。法務省は却下事由の筆頭に「建物がある土地」を挙げており、申請するには解体して更地にする必要があります(法務省)。制度の運用状況は2026年6月30日現在で申請5,698件に対し帰属2,885件、却下83件、不承認93件、取下げ1,063件です(法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」)。建物を残したまま手放したい場合は、この制度以外の手段を比較することになります。

具体的な相談先を検討する段階では、運営会社の免許や体制も判断材料になります。当社の運営会社については、株式会社リアテクスについて詳しく解説した関連記事をご覧ください。

まとめ

古民家を無償で譲ること自体はできますが、受け取る側には登録免許税・不動産取得税・贈与税が残ります。評価額500万円の家屋と土地を0円で譲る前提の試算では、相手の初期費用は約281万円でした。0円で決まらない原因は物件の状態ではなく、この費用構造です。手段は、成立までの期間・費用負担・相手側の負担・成立しやすい物件条件の4点で並べると比べやすくなります。建物を残したまま手放すなら相続土地国庫帰属制度は使えません。放置している間も固定資産税は発生し、勧告を受ければ住宅用地の特例まで外れます。税額や登記の判断は税理士・司法書士に確認し、まずは自分の古民家がどの出口で評価されるかを確かめてください。

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片付けや解体をしないまま、古民家の売却価格を確かめられます。

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この記事の監修者

株式会社リアテクス 執行役員 鶴野博之

鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)

宅地建物取引士/賃貸経営管理士/FP2級

一棟投資物件専門の仲介会社で不動産業界に参入後、前職では「訳あり・瑕疵物件」に特化したコンサルティングプログラム責任者として600名以上の投資家の購入から売却までに携わる。自身も再建築不可物件を中心に訳あり物件へ投資し、転売売買から保有物件まで数々の実績を持つ。

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