借地権付き建物が売れないと言われるのは、譲渡に地主の承諾が要り、買主が資金を用意しにくく、買える人が限られるという3つの層が重なるためです。地主が承諾しない場合でも、裁判所が承諾に代わる許可を出す制度があります。どの層で止まっているかを切り分ければ、打つ手は変わります。
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地主との話が止まっている借地権付き建物も、全国どこでもご相談をお受けします。
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借地権付き建物は本当に売れないのか?

借地権付き建物は売れないわけではなく、買主が地主か借地権を扱う専門業者に絞られるだけです。借地権とは、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権を指します(国税庁 タックスアンサー No.4611、2026年8月時点)。土地の所有権は地主に残ったままなので、売買の対象になるのは建物と借地権の組み合わせです。
一般の売却と決定的に違うのは、買主が土地の所有者にならない点です。買主は地主との賃貸借契約をそのまま引き継ぐ立場になるため、購入判断の材料に「物件の良し悪し」だけでなく「地主との関係が今後どうなるか」が入ります。ここが仲介市場で反応が鈍る出発点になります。借地権を体系的に知りたい方は借地権の基礎からの解説が便利です。
なお、価格の目安は更地としての評価額に借地権割合を掛けて考えます。割合そのものの読み方は路線価図と評価倍率表を確認する作業になるため、借地権売却価格の計算方法をご覧ください。
旧法・普通・定期で売りやすさはどう変わるのか?
同じ借地権でも、契約更新があるかどうかで買主の見え方が変わります。旧借地法時代からの借地権と普通借地権は更新が前提の設計です。一方、定期借地権は契約の更新も、期間満了時に建物を買い取ってもらう請求もないと定めることができる仕組みで、公正証書などの書面で設定されます(借地借家法22条)。
| 借地権の種類 | 契約の更新 | 期間満了後 | 売却時の見え方 |
| 旧法借地権 | あり(更新が前提) | 使い続けられる | 買主が長期利用を見込める |
| 普通借地権 | あり(更新が前提) | 使い続けられる | 旧法借地権に準じる |
| 定期借地権 | なし(特約で排除可) | 土地を返還する | 残存期間が短いほど買主が付きにくい |
借地借家法9条・13条・22条の定めをもとに当社が整理(2026年8月時点)
つまり定期借地権が売りにくいのは、物件の状態ではなく契約の設計に理由があります。まず手元の契約書で、どの種類の借地権かを確認するところから始めてください。種類ごとの基礎知識は借地権の種類と基礎知識にまとめています。
借地権付き建物が売れない3つの原因とは?

借地権付き建物が売れない原因は、権利・資金・需要という3つの層に分けられます。層ごとに止めている要素が違い、解消できるかどうかも変わるため、値下げをする前にどこで詰まっているかを特定する必要があります。以下は当社が買取のご相談を受けるときに使っている切り分けです。
| 層 | 何が止めているか | 解消できるか | 打ち手 |
| 権利の層 | 譲渡に地主の承諾が要る | できる(交渉または裁判所の許可) | 条件を組み直して再交渉、借地非訟 |
| 資金の層 | 買主が土地を担保にできない | 買主側で変えられない | 現金で買える買主に相手を替える |
| 需要の層 | 地代・建替え制限を引き受ける買主が限られる | 相手選びで変えられる | 借地権を扱う専門業者・地主へ |
当社の買取相談における実務分類。法的根拠は民法612条および借地借家法10条(2026年8月時点)
原因1:譲渡に地主の承諾が要る(権利の層)
建物を売ると土地の賃借権も一緒に移るため、地主の承諾が必要になります。根拠は民法612条1項です。賃借人は賃貸人の承諾を得なければ賃借権を譲り渡せない、という条文です。さらに同条2項は、承諾なしに第三者へ使わせた場合に賃貸人が契約を解除できるとしています。
売却の現場で重いのは1項より2項です。買主の立場で考えると、承諾のないまま買えば買った直後に借地契約を解除されるリスクを丸ごと引き受けることになります。だから承諾の見通しが立たない物件には、価格を下げても買付が入りません。値下げで解決しようとする前に、地主から承諾を得られる見込みがどの程度あるかを整理してください。
原因2:買主が資金を用意しにくい(資金の層)
土地は地主の所有物なので、買主は土地に担保を設定できません。加えて借地借家法10条1項は、賃借権の登記がなくても建物の登記があれば借地権を第三者に対抗できると定めています。つまり法律自体が、賃借権を登記しない状態を前提にした組み立てです。
その結果、金融機関が担保として押さえられるのは建物部分に限られます。借地上の建物を対象にした住宅ローン商品もありますが、地主の承諾書などの条件が加わるため、利用できる先は限定的です。土地付きの物件と同じ条件で資金を用意するのは難しく、買主候補は自己資金の比率が高い人や、現金で買える事業者に寄っていきます。ここは売主側の努力では動かせない層です。だから建物を直したり価格を調整したりするより、最初から現金決済ができる相手に当たるほうが早いという判断になります。
原因3:地代や建替え制限を引き受ける買主が限られる(需要の層)
買主は購入後も地代を払い続け、建替えや増改築のたびに地主の承諾を求める立場になります。契約期間が満了すれば更新の交渉も必要です。所有権の物件を探している人にとって、これは購入後に続く手間そのものです。
そのため買主層は、借地権の扱いに慣れた事業者と、土地を持つ地主に集約されます。仲介で反応が薄いのは物件の魅力の問題ではなく、対象になる買主の母集団が小さいためです。
要点: 権利の層は交渉と裁判所の手続で動かせますが、資金の層は買主側の事情なので動きません。反応がないまま値下げを重ねている場合は、原因が資金と需要の層にあるのに権利の層だけを見ていないか確認してください。
地主が譲渡を承諾しないときはどうすればよいのか?

地主が承諾しなくても、裁判所が地主の承諾に代わる許可を出せます。根拠は借地借家法19条1項で、譲渡しても地主に不利となるおそれがないのに承諾が得られないとき、借地権者の申立てにより許可を与えられると定められています。この手続は借地非訟と呼ばれるもので、承諾されないことは売却の終点ではありません。
まず条件を組み直して再交渉する
裁判所の手続に進む前に、条件面での再交渉が現実的な入口になります。借地借家法19条1項の後段では、裁判所が許可を財産上の給付に係らしめることができるとされており、承諾に金銭の授受が伴う前提は法律にも織り込み済みです。実務で承諾料や名義書換料と呼ばれるものがこれに当たります。
金額に法定の基準はなく、当事者の合意で決まるものです。だから交渉では、買主が誰になるのか、地代の支払いが今後も滞りなく続くのかといった、地主が気にする点を先に示すほうが通りやすくなります。承諾を含めた売却の進め方は借地権を売却する方法と流れで扱っています。
借地非訟(承諾に代わる許可)はどう進むのか?
借地非訟事件として扱えるのは6種類で、建物を第三者に譲渡する場面は「土地の賃借権譲渡又は転貸の許可申立事件」に当たります(東京地方裁判所 民事第22部、2026年8月時点)。申立先は借地の所在地を管轄する地方裁判所です。
| 段階 | 目安の時期 | 内容 |
| 申立て | — | 申立書と土地固定資産評価証明書などを提出 |
| 第1回審問期日 | 申立てから概ね1〜1.5か月後 | 当事者から陳述を聴く |
| 鑑定委員会の調査 | 審問期日の約1.5か月後に現地調査 | 弁護士・不動産鑑定士らが意見書を作成 |
| 最終審問・決定 | 意見書提出から1〜1.5か月後 | 許可の可否と給付額を決定 |
東京地方裁判所 民事第22部の手続案内をもとに当社が整理(2026年8月時点)
注意すべき点が2つあります。1つは、申立てを代理人に依頼する場合、代理人は弁護士に限られることです(借地借家法44条1項)。不動産会社に任せきりにはできません。もう1つは時間で、多くの事件は特段の事情がなければ概ね1年以内に終わるとされています。売却の完了まで1年前後を見込む必要があるということです。
費用の構造も、着手前に押さえておくと判断しやすくなります。
| 費目 | 決まり方 | 負担 |
| 申立手数料(収入印紙) | 目的物の価格をもとに算定。譲渡許可の申立てでは、目的物の価格=固定資産評価額÷2(借地が土地の一部なら面積で按分) | 申立人 |
| 予納郵便切手 | 相手方1名で6,000円(1名増ごとに1,000円追加) | 申立人 |
| 鑑定委員の費用 | 国が負担 | 当事者の負担なし |
| 弁護士費用 | 依頼先との契約による | 申立人 |
東京地方裁判所 民事第22部の手続案内(第2 手続の流れ・第3 費用)の記載をもとに当社が整理(2026年8月時点)。印紙の具体額は裁判所の手数料額早見表で確認してください
地主が自ら買い取ると申し出る場合がある
申立てをすると、地主側が対抗して自ら買い取る道もあります。借地借家法19条3項は、裁判所が定めた期間内に地主が建物と賃借権を譲り受ける旨の申立てをしたときは、相当の対価を定めてこれを命じることができるとしています。これが実務でいう介入権です。
ここは売却の計画に直結する分岐になります。第三者に売るつもりで申し立てた結果、買主が地主になる可能性があるからです。だから申立ての前に、地主に買ってもらう形でも納得できるのかを決めておいてください。
要点: 借地非訟は使える制度ですが、弁護士への依頼が前提で、決着まで1年前後かかり、しかも地主が買主になる分岐を含みます。当社は、この手続を最後の切り札として温存しつつ、承諾が不要なルートを並行して検討するほうが早く決着するという立場です。
借地権付き建物を売却する4つの方法

借地権付き建物の売却先は、地主・買取業者・底地との同時売却・等価交換の4つに整理できます。地主の承諾が要るかどうかと、決着までの時間がそれぞれ違うため、急いでいるかどうかで選ぶべきルートが変わります。契約から引き渡しまでの具体的な段取りは借地権付き建物を売却する手順にまとめました。
| 売却先・方法 | 地主の承諾 | 想定期間 | 向いているケース |
| 地主に買い取ってもらう | 不要(地主が買主) | 短い(交渉が整えば早い) | 地主が土地の一体化を望んでいる |
| 借地権を扱う買取業者に売る | 必要 | 短い(現金決済が前提) | 早く手放したい・建物が古い |
| 底地と一緒に売る | 地主の協力が必要 | 中程度 | 地主と関係が良好で足並みが揃う |
| 等価交換して所有権にする | 地主の合意が必要 | 長い(分割・測量を伴う) | 土地に十分な広さがある |
当社の買取実務における評価軸で整理(2026年8月時点)。売却額の目安は借地権売却の相場を参照してください
方法1:地主に買い取ってもらう
地主が借地権を買い取れば、土地は制約のない所有権に戻ります。買主が地主自身なので、承諾という関門がそもそも発生しません。相続や代替わりで土地を整理したい地主にとっては、条件が合えば受け入れやすい話です。交渉の進め方は借地権を買い取ってもらう交渉で詳しく扱っています。
一方で、地主に買い取る資金や意向がなければ成立しません。打診しても反応がない場合は、この方法だけに時間をかけず次のルートを並行して当たってください。
方法2:借地権を扱う買取業者に直接売る
買取業者が買主になる形です。業者は現金で決済するため、原因2で挙げた資金の層を回避できます。承諾は必要ですが、承諾料の負担や地主との折衝を織り込んだうえで価格を提示できる相手なので、話が前に進みやすくなります。
当社の買取くん(株式会社リアテクス)は、こうした条件の物件を減点要因ではなく専門領域と位置づけています。査定は最短6時間、条件が合えば最短3日での現金化が可能な体制です。実績としては、東京都北区の築50年超・傾きのある建物を4,400万円で買い取りました。仲介手数料はかかりません。
方法3:底地と一緒に売る
借地権と底地を同じタイミングで市場に出し、買主から見て制約のない土地建物として売る方法です。所有権の物件として扱えるため買主の母集団が広がり、合計額も上がりやすくなります。
成立の条件は、地主が売却に同意し、売却代金の配分に合意できることです。合意したあとに配分の割合で折り合わず話が止まる例もあるため、取り分の考え方は早い段階で共有しておくと安全です。手間はかかりますが、双方にとって手取りが増える可能性があるため、地主との関係が良好なら最初に検討する価値があります。売却後の税金の扱いは借地権売却にかかる税金の種類と計算で整理しています。
方法4:等価交換して所有権にしてから売る
土地を分割し、一部を地主に返す代わりに、残りを完全な所有権として取得する方法です。所有権になれば通常の不動産として売却できます。ただし分割後もそれぞれの土地が使える広さである必要があり、測量や分筆の手続も伴います。
決着までの時間が最も長いルートなので、急いで手放したい場合には向きません。時間に余裕があり、土地に十分な面積があるケースの選択肢です。
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仲介で買主が見つからない借地権付き建物も、当社が買主になる形なら成立します。
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借地権付き建物の売却でよくある質問
承諾料はいくら払えばよいのですか?
法律に定められた金額はなく、地主との合意で決まります。借地借家法19条1項は、裁判所が承諾に代わる許可を財産上の給付に係らしめることができると定めており、金銭の授受を前提にはしていますが、水準までは定めていません。交渉が難航している場合は、金額そのものより、買主が誰でどのように地代を払い続けるのかを示すほうが動くことがあります。
建物が古くて住めない状態でも売れますか?
建物の状態が悪くても売却の対象になります。買主が事業者であれば、解体や再生を前提に価格を出せるためです。ただし解体費用を誰が負担するかは交渉次第で、更地にしてから返すのか現況のまま引き渡すのかで手取りが変わります。当社は残置物や家財が残ったままの現況買取にも対応可能です。
競売で借地上の建物を買った場合も地主の承諾は必要ですか?
必要です。競売や公売で建物を取得した場合も賃借権を譲り受けることになるため、地主の承諾が要ります。承諾が得られないときは取得者自身が裁判所に許可を申し立てられますが、この申立ては借地借家法20条3項により、建物の代金を支払った後2か月以内に限られます。期限が短いため、落札前からの準備が欠かせません。
地主から契約を更新しないと言われた場合、建物はどうなりますか?
借地借家法13条1項により、存続期間が満了して契約の更新がないとき、借地権者は地主に対し建物を時価で買い取るよう請求できます。ただし定期借地権では、この買取請求をしないと定めることが認められています。手元の契約書が定期借地権かどうかで結論が変わるため、まず契約の種類を確認してください。借地権の周辺論点は借地権の総合解説で理解を深めることができます。
まとめ
借地権付き建物が売れない原因は、地主の承諾という権利の層、買主が土地を担保にできない資金の層、引き受けられる買主が少ない需要の層の3つに分かれます。承諾が得られない場合も裁判所の許可という道が残っていますが、弁護士への依頼が前提で1年前後かかるため、承諾が不要なルートと並行して検討するのが現実的です。まずは契約書で借地権の種類を確かめ、どの層で止まっているのかを特定してください。承諾料の水準や税務の扱いは物件ごとに事情が異なるため、個別の判断は弁護士・司法書士・税理士にご相談ください。
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