不動産買取のデメリットは?価格が下がる理由と向く物件の見極め方

不動産買取のデメリットは、価格・対象物件・契約条件の3つです。なかでも影響が大きいのは価格で、買主になる業者が再販までの費用と売れ残りのリスクを先に引き受けるぶん、仲介で売れる相場より下がります。判断に必要なのは、下がる幅がどこから来るのか、契約面で売主がどこまで不利になるのか、そして自分の物件が買取に向くのかの3点です。

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不動産買取のデメリットは?押さえておきたい3つの不利

価格・依頼先・契約の3つの不利を、売主が対処できる余地の大きさ(大・中・小)で並べた図解
対処できる余地が大きい順に並べると、価格→依頼先→契約条件の順です。余地の大小の判定は当社の買取査定と契約実務に基づいています。

不動産買取のデメリットは、価格が下がる・依頼先と対象物件が限られる・売主に法律上の保護が働かない、の3つです。買取とは、不動産会社が買主になって物件を直接買い取る取引で、買い手を探してもらう仲介とは仕組みが違います。3つのうち売主側の工夫で小さくできるのは価格と依頼先だけです。

不動産買取の全体像は不動産買取の完全ガイドで整理しています。

売却価格が仲介での相場より下がる

仲介は住まいとして使いたい個人に売る取引、買取は仕入れて再び売る事業者に売る取引です。買い手の目的が違えば、支払える金額の上限も変わります。事業者は買い取った後の工事費と、再販までに価格が動くリスクを自分で抱えるため、その分は査定額を出す時点で先に差し引かれます

買取価格が「相場の何割」という数値は、公的機関が集計・公表しているものではありません。出どころの示されていない割合をそのまま自分の物件に当てはめるのは危険です。見るべきなのは割合ではなく、提示額の根拠を業者が説明できるかどうかです。

買取に対応する会社も、買い取れる物件も限られる

2つ目は依頼先の少なさです。不動産会社の多くは仲介を主業としており、自社の資金で買い取るには在庫を抱える体力と再販先を見つける力が要ります。そのため、対応できる会社は地域や物件の種類によって偏るのが実情です。

対象物件にも制限があります。再建築不可、共有持分、借地権、事故物件といった条件が付くと、再販の見通しが立たず断られることがあります。ただし断られた理由が物件の側にあるとは限りません。その会社に再販の出口がないだけ、という場合もあります。悪質な業者の見分け方は空き家買取業者の選び方ガイドにまとめています。

売主にはクーリング・オフなどの保護規定が適用されない

3つ目は契約面の不利です。宅地建物取引業法には、申込みを撤回できる規定(第37条の2)や、担保責任について買主に不利な特約を制限する規定(第40条)があります。ただしこれらは条文上、いずれも「宅地建物取引業者が自ら売主となる」場合に買主を守る規定です(宅地建物取引業法)。

買取は業者が買主、個人が売主という逆の形です。そのため買取契約にクーリング・オフの制度はなく、成立した後に撤回することは原則できません。同法第78条第2項は、第37条の2から第43条までの規定を宅地建物取引業者相互間の取引には適用しないと定めており、これらが業者と個人の取引で買主側を守るための規定群であることを示しています。契約書の条件がそのまま結論になるため、署名の前に宅地建物取引士や弁護士へ内容を確認してください。

デメリット 特に効いてくる場面 売主側で小さくできる余地
価格が仲介の相場より下がる 期限を切らずに売れる市場性のある物件 大きい(複数社に出す・相場を調べる)
依頼先と対象物件が限られる 再建築不可・共有持分・借地権・事故物件 中(専門に扱う会社なら選択肢は残る)
売主に法律上の保護が働かない 契約後に価格や引渡し条件を見直したいとき 小(契約前に条件を確定させるしかない)

3つの不利を効いてくる場面と減らせる余地で整理しました。区分は当社の買取査定と契約実務に基づいています。

なぜ買取価格は仲介より下がるのか?

不動産価格指数148.0と、同じ月に住宅地が前月比1.1%減・戸建住宅が1.2%増と分かれた振れ幅を示した図
同じ月でも住宅地と戸建で価格の方向が分かれ、この振れ幅を業者が保有中に引き受けます(出典: 国土交通省 不動産価格指数、2026年8月時点)。

買取価格が下がるのは、業者が取得時の税金・工事費・保有中の維持費・価格変動リスクを査定の時点でまとめて引き受けるからです。買取再販とは、宅地建物取引業者が中古住宅を取得し、増改築等を行ってから個人へ再販する事業を指します(国土交通省、2026年8月時点)。これらは業者の裁量による値引きではなく、取引の形に組み込まれた費用です。

買取業者は再販までにかかる費用を先に差し引く

国土交通省の定義にある「一定の質の向上を図るための特定の増改築等」という言葉は、買取再販が工事を前提とした事業であることを示しています。同省の特例措置でも、宅地建物取引業者が既存住宅を取得する際に課される不動産取得税が減額の対象とされており、業者が取得段階で税を負担することが前提です。

当社はこの点を、価格の妥当性を測る物差しとして使うべきだと考えています。工事費・取得時の税金・登記費用は、物件の傷み具合や権利関係で変わります。同じ相場の物件でも、傷みが進んでいるほど引かれる額は大きくなります。提示額そのものより「どの費目でいくら引いたのか」を説明できる相手を選ぶほうが、損をしにくくなります。

買取業者が抱える費用・リスク 中身 買取価格への効き方
取得時の税金・登記費用 不動産取得税、所有権移転登記の登録免許税 取得段階で確定するため先に引かれる
再販前の工事費 制度上「質の向上を図る増改築等」が前提 傷みが進んだ物件ほど差引額が大きい
保有中の維持費 固定資産税・都市計画税・管理費・光熱費 期間が読めない物件ほど多めに見込む
価格変動リスク 保有中の市場価格の上下 買い手の見込みが薄いほど厚くなる
再販時の販売費と利益 広告費、再販時の仲介手数料、利益 再販価格が読みにくいほど大きくなる

データ出典: 国土交通省「買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置」(2026年8月時点)。費目の整理は当社の買取査定の実務に基づいています。

保有している間に価格が動くリスクも織り込まれる

価格変動リスクは、想像より現実的な負担です。国土交通省の不動産価格指数は、年間約30万件の取引価格情報をもとに毎月公表されています。2026年8月時点の最新値(令和7年12月分・季節調整値、2010年平均=100)では、全国の住宅総合が148.0でした。ただし内訳では住宅地が前月比1.1%減、戸建住宅が1.2%増と、同じ月でも方向が分かれています国土交通省)。

取得から再販までの間、業者はこの上下を自社で受け止めます。当社の実務でも、この保有期間の見込みはおおむね数か月から1年です。当社はこれが買取価格の差が生まれる主因だと見ており、再販先の見込みが薄いほど下振れに備えて厚めに引く判断になりがちです。査定額を比べる前に「買った後どこへ売るのか」を1つ質問しておくと、金額差の理由がつかみやすくなります。

同じ物件でも業者によって価格差が出る

買取価格は、その業者が持っている出口の太さで変わります。再販先を自力で探す必要がある会社ほど保有期間が読めないぶん、その不確実さを価格へ反映せざるを得ません。

当社の買取くん(株式会社リアテクス)は、購入意欲の高い不動産投資家を常時300名以上抱え、投資家からの紹介手数料を収益源として運営しています。買った物件をどこへ渡すかが先に見えているぶん、保有リスクを大きく見込む必要がありません。買い叩かなくても事業として成り立つ構造にしている、というのが考え方です。

相場の見当をつけたい場合は、国土交通省の不動産情報ライブラリで取引価格情報や地価公示、レインズの成約価格情報を確認できます。

要点: 引かれている費目のうち売主側が動かせるのは、傷みの説明と業者の出口の2つです。工事費や税金の額は変えられませんが、出口を持つ会社を選べば保有リスク分の上乗せは小さくできます。

仲介手数料0円を含めても、手取りは仲介が上になるのか?

買取価格が仲介の想定成約価格の約95.4〜96.3%を下回ると手取りが逆転する分岐点を、価格帯別に比較した棒グラフ
手取りが並ぶ分岐点を価格帯別に比較し、低廉な空家等では約93.4%まで下がることを併記しました(出典: 国土交通省・国税庁の公式値を基に当社換算、2026年8月時点)。

仲介手数料が0円でも、それで埋められる価格差は成約価格の4〜7%ほどにとどまります。仲介手数料の上限額(国土交通省)と印紙税の軽減後税額(国税庁)の公式値から手取りを当社換算すると、買取価格が仲介の想定成約価格の95〜96%を下回った時点で手取りは逆転します(2026年8月時点)。

想定成約価格(仲介) 仲介の手取り目安 手取りが並ぶ買取価格 仲介価格に対する割合
500万円 476.8万円 476.9万円 約95.4%
1,000万円 959.9万円 960.4万円 約96.0%
1,500万円 1,442.9万円 1,443.9万円 約96.3%

仲介手数料は上限額を満額支払う前提(順に23.1万円・39.6万円・56.1万円)、印紙税は軽減後税額(同順に1千円・5千円・1万円)。広告実費・登記費用・譲渡所得税は除いています。公式値を基に当社換算(2026年8月時点)。

数字が示しているのは、手数料が無料になっても価格差の大部分は残るということです。買取価格が仲介の9割なら、手数料を差し引いてもなお6%前後の差が手取りに出ます。

ただし低価格帯では話が変わります。価格800万円以下の「低廉な空家等」は、2024年7月1日から仲介手数料の上限が「30万円×1.1倍の金額」まで引き上げられました。500万円の物件でこの上限額を支払う場合、手取りが並ぶ買取価格は約93.4%まで下がります。価格が低い空き家ほど手数料の重みが増し、買取との差は縮みます

この試算は売却できた時点で比べた場合の数字です。仲介で売り出している間の固定資産税・管理費・光熱費は仲介側の手取りから目減りしていくため、売却までの期間が延びるほど差は縮んでいきます。

当社の買取では仲介手数料はかかりませんが、収入印紙代1万〜4万円、抵当権等の抹消費用が約3万円、住所変更登記が必要なら約2万円が売主側の実費になります。譲渡所得税は取得費や特例の有無で大きく変わるため、見通しは税理士にご確認ください。契約前の確認事項は買取を依頼する前に確認したい注意点で扱っています。

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買取が向くケース・向かないケースはどう見極める?

期限・秘匿性・物件条件の3分岐から買取と仲介のどちらが向くかを判定し、仲介側に囲い込み確認手順を添えた意思決定フロー図
3つの分岐で自分の物件がどちらに向くかを判定できます。仲介を選ぶ場合の確認手順は2025年1月1日施行の改正に基づきます(出典: 国土交通省 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)。

買取が向くのは、売却期限が決まっている、周囲に知られたくない、仲介では買い手が付きにくい条件が付いている、のいずれかに当てはまる物件です。逆に、時間をかけられて市場で買い手が見つかる見込みのある物件は、仲介のほうが手取りは大きくなります。判断軸は期限・物件条件・市場性の3つです。

買取を選んだほうがよいケース

もっともわかりやすいのは、期限が動かせない場合です。買取は買主が最初から決まっているため、引渡しまでの日程を先に確定できます。

買取を選ぶ理由 具体的な状況
期限が動かせない 相続税の納付、住み替え先の決済、財産分与
周囲に知られたくない 広告掲載と内見を挟まずに売りたい
一般の買い手が付きにくい 再建築不可・共有持分・借地権・築古で傷みが大きい

特に3つ目の条件が付く物件は、住宅ローンを組みにくく買い手の対象が狭まるため、仲介では売り出し期間が読みにくくなり、待つ間も固定資産税と管理の手間は発生し続けます

仲介を続けたほうがよいケース

駅からの距離や築年数、間取りに大きな難がなく、期限にも余裕があるなら、仲介を続けたほうが手取りは大きくなります。手数料の差では価格差を埋めきれないためです。

もう1つ確認したいのが契約不適合責任の扱いです。買取では「引渡し後に不具合が見つかっても責任を負わない」という免責の特約を結ぶ形が採られます。ただし宅地建物取引業法第40条は業者が売主になる場合の規定なので、免責は法律で保証されているのではなく、契約書の特約で決まります。特約の書き方については空き家売却で注意したいポイントで解説しました。

仲介を選ぶなら「囲い込み」を自分で確かめる

売却を任せた会社が他社からの問い合わせを断り、自社で買主も見つけようとする行為は「囲い込み」と呼ばれます。売主にとっては、買い手に出会う機会をそのぶん失うことになります。

2025年1月1日施行の国土交通省の解釈・運用の考え方の改正により、専任媒介契約でレインズに登録した物件の取引状況が事実と異なる場合、宅地建物取引業法第65条第1項の指示処分の対象になりました国土交通省、2026年8月時点)。

売主は、媒介契約後に受け取る登録証明書のURL・ID・パスワードで「売主専用画面」にアクセスし、自分の物件が「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時停止中」のどの状態かを確認できます(国土交通省)。2025年1月からは登録証明書に二次元コードも載ります。内見の連絡が来ない理由が物件にあるのか情報の流れ方にあるのかは、この画面で切り分けられます。買取後に起きやすい行き違いは買取で起きやすいトラブルと回避策にまとめました。

要点: 3つの判断軸のうち決定的なのは市場性です。買い手が見つかる物件なら期限に余裕を作る工夫が先で、見つかる見込みが薄い物件は待つほど固定資産税と管理の負担だけが積み上がります。

訳あり物件を確実に手放すなら買取くんへ

当社は買取を「価格を諦める代わりに早く終わらせる手段」だとは考えていません。価格が下がる幅の大半は、業者が保有リスクをどれだけ見込むかで決まります。出口を先に確保しておけば、買い叩かずに提示できる余地が生まれます。投資家ネットワークを収益の軸に置いているのは、その余地を残すためです。

再建築不可、共有持分、借地権、事故物件は権利や登記の整理が伴います。当社では提携の弁護士・司法書士・土地家屋調査士がこれに対応し、所有権移転登記は岩村司法書士事務所の司法書士・岩村広宣が担当します。他社で断られた物件ほど、専門チームの有無が価格に効いてきます

不動産買取のデメリットに関するよくある質問

Q1. 買取保証と、そのまま買い取ってもらう方法は何が違いますか?

買取保証は、まず仲介で一定期間売り出し、期間内に買主が決まらなければあらかじめ決めた価格で不動産会社が買い取る方式です。即時買取は売り出し期間を挟まず最初から会社が買主になります。買取保証は市場価格で売れる可能性を残せますが、対象になる物件は限られます。

Q2. 買取価格に納得できないまま契約した場合、あとから撤回できますか?

原則としてできません。申込みの撤回を認める宅地建物取引業法第37条の2は、宅地建物取引業者が自ら売主となる場合に買主を守る規定です。買取では業者が買主になるため、売主には働きません。納得できる金額でない場合は、署名の前に保留してください。

Q3. 買取再販を行う業者と、一般の不動産会社は何が違いますか?

買取再販は、宅地建物取引業者が既存住宅を取得し、質の向上を図る増改築等を行った後、個人の自己居住用住宅として再販する事業です。仲介専業の会社が買主を探して手数料を受け取るのに対し、買取再販の会社は自社の資金で仕入れて売却益を得ます。

Q4. 複数の買取業者に査定を出すと不利になりますか?

不利にはなりません。買取価格は業者の再販先によって差が出るため、複数社に出すこと自体が価格を確かめる手段です。比較の前に近隣の取引価格を見ておくと、提示額が妥当な範囲かを判断しやすくなります。

買取以外の売り方も含めて見直したい場合は、不動産買取の全体解説に戻ると流れをつかみやすくなります。

まとめ

不動産買取のデメリットは、価格・依頼先と対象物件・契約条件の3つです。価格が下がるのは業者が取得時の税金と工事費、保有中のリスクを先に引き受けるためで、仲介手数料が0円でも埋められる差は成約価格の4〜7%ほどにとどまります。契約後の撤回ができない点は、事前に条件を固める以外に対処がありません。期限と物件条件、市場性の3つで自分の物件を測り、判断がつかない部分は査定額の根拠ごと業者に確かめてください。

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この記事の監修者

株式会社リアテクス 執行役員 鶴野博之

鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)

宅地建物取引士/賃貸経営管理士/FP2級

一棟投資物件専門の仲介会社で不動産業界に参入後、前職では「訳あり・瑕疵物件」に特化したコンサルティングプログラム責任者として600名以上の投資家の購入から売却までに携わる。自身も再建築不可物件を中心に訳あり物件へ投資し、転売売買から保有物件まで数々の実績を持つ。

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