東京都のゼロ円物件は多摩の4市に9件のみで、23区はゼロです。しかもその9件はすべて成約済か取引中止で、いま応募できる枠は残っていません。掲載の実数と東京都の統計から、23区と多摩で条件が分かれる理由と、0円で動かない物件の手放し方までを確認します。仕組みや費用の全体像は、総論を担当する0円物件の仕組みと費用をまとめた総合ガイドにあります。
\ 査定料無料・最短6時間で回答 /
23区の古家も多摩の傾斜地も、当社の買取くんなら現状のまま査定に出せます。
受付時間 10:00〜19:00(水・日曜日定休)
この記事の監修者

鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)
宅地建物取引士/賃貸経営管理士/FP2級
一棟投資物件専門の仲介会社で不動産業界に参入後、前職では「訳あり・瑕疵物件」に特化したコンサルティングプログラム責任者として600名以上の投資家の購入から売却までに携わる。自身も再建築不可物件を中心に訳あり物件へ投資し、転売売買から保有物件まで数々の実績を持つ。
東京にゼロ円物件はあるのか|掲載9件を全数追った結果

東京都のゼロ円物件は多摩の4市に9件のみで、23区はゼロでした。9件はすべて成約済または取引中止で、応募できる枠は残っていません。掲載自体は存在しますが、いま動ける物件があるかどうかは別の話になります。
無償譲渡マッチングサイトの東京都カテゴリを2026年7月31日に確認し、掲載されている物件を1件ずつ記録しました。前回2026年7月に数えたときと件数・市の内訳は変わっていません。今回は掲載日と取引の状況、成約までにかかった日数まで追加で記録したため、「東京にゼロ円物件はあるのか」という問いに、件数だけでなくいま応募できる枠があるかという角度から答えられます。
掲載9件の内訳は多摩の4市に限られる
掲載されていた9件は、八王子市・町田市・日野市・小平市の4市に集中していました。23区からの掲載は1件もありません。市ごとの内訳と物件の傾向は次のとおりです。
| エリア | 0円物件の掲載数(当社集計) | 物件の傾向 | 種別の内訳 | 取引状況 |
| 八王子市 | 4件 | 山林・傾斜地・古家付き土地 | 土地のみ4件 | 成約済3件・取引中止1件 |
| 町田市 | 3件 | 県境の土地・土地2区画など | 土地・建物1件/土地のみ2件 | 成約済3件 |
| 日野市 | 1件 | 線路沿いの山林 | 土地のみ1件 | 成約済1件 |
| 小平市 | 1件 | 住宅街の小規模な一軒家 | 土地・建物1件 | 成約済1件 |
| 23区 | 0件 | 掲載なし | — | — |
集計の方法は次のとおりです。対象は無償譲渡マッチングサイトの東京都カテゴリ、時点は2026年7月31日で、抽出やサンプリングはせず、掲載されていた9件を全数記録しました。記録した項目は市区町村・物件種別・掲載日・取引状況・成約までの日数の5つで、集計は当社が行っています。
内訳で目を引くのは物件種別です。建物が付いているのは2件だけで、残り7件は土地のみでした。土地のみの7件は、山林・傾斜地・斜面・県境の土地といった、そのままでは使いにくい形状のものが並びます。住める家を前提に東京のゼロ円物件を探すと、候補は実質2件相当まで縮むことになります。
9件はすべて成約済か取引中止で募集中は0件
取引の状況まで見ると、東京の現状はさらにはっきりします。9件のうち8件が成約済、1件が取引中止で、募集中の物件は0件でした。つまり、この一覧を開いても、いま手を挙げられる物件は存在しません。
掲載日にも偏りがあります。最も古い掲載が2020年12月26日、最も新しい掲載が2024年5月23日で、2026年7月31日時点まで2年以上、東京都カテゴリへの新規掲載がない状態です。物件が次々に出ては消えているのではなく、そもそも新しく出てこない、というのが東京の実態でした。
| # | 市 | 種別 | 物件の傾向 | 掲載日 | 取引状況 | 成約日数 |
| 1 | 町田市 | 土地・建物 | 黒川駅から車で7分、ひな壇の土地に建つ2階建一軒家 | 2024/5/23 | 成約済 | 36日 |
| 2 | 八王子市 | 土地のみ | JR八王子駅から車で13分、中央自動車道へのアクセスが良い土地 | 2023/9/23 | 成約済 | 44日 |
| 3 | 町田市 | 土地のみ | 黒川駅から車で7分、東京と神奈川の県境の小高い土地 | 2023/8/8 | 成約済 | 90日 |
| 4 | 八王子市 | 土地のみ | JR八王子駅から車で9分、小宮公園の近くの土地 | 2023/5/3 | 成約済 | 50日 |
| 5 | 日野市 | 土地のみ | 京王線長沼駅から車で4分、線路沿いの手付かずの山林 | 2023/4/25 | 成約済 | 14日 |
| 6 | 八王子市 | 土地のみ | 多摩南大沢から車で約10分、堀之内の傾斜地 | 2022/12/8 | 成約済 | 88日 |
| 7 | 八王子市 | 土地のみ | 野猿街道沿い、野猿峠バス停近くの斜面の土地 | 2022/8/17 | 取引中止 | — |
| 8 | 小平市 | 土地・建物 | 住宅街にある建坪10坪の2階建て一軒家 | 2021/8/12 | 成約済 | 7日 |
| 9 | 町田市 | 土地のみ | 野津田町の269坪、土地2区画をあわせて0円 | 2020/12/26 | 成約済 | 77日 |
立地にも共通点があります。最寄り駅からの距離が示されていた物件は、いずれも「駅から車で数分から十数分」という形で紹介されており、徒歩圏の鉄道駅を掲げた物件はありませんでした。JR八王子駅から車で9分・13分、小田急多摩線黒川駅から車で7分、京王線長沼駅から車で4分といった具合で、車を前提にした生活動線でなければ成り立たない場所が中心です。同じ多摩でも、駅前の住宅地や商業地に近い区画は0円まで下がっていません。通勤や通学の便を条件に入れるなら、東京のゼロ円物件は最初から候補に入らないと考えたほうが、探す時間を無駄にせずに済みます。
建物付きは7日と36日で決まっている
成約までの日数を見ると、需要と供給のどちらが足りていないのかが分かります。建物が付いていた2件は、掲載から7日と36日で成約しました。土地のみで成約した6件は14日から90日に分布し、中央値は63.5日です。
住める家の形をした物件は、出れば1か月前後で決まっています。東京でゼロ円物件が見つからないのは、欲しい人がいないからではなく、出てくる数そのものが少ないからです。この違いは、探し方の判断を変えます。じっくり比較して選ぶ前提では間に合わず、新着の通知を受け取れる状態にしておき、出た時点で動ける準備をしておくほうが現実的です。
準備しておくことは大きく2つです。ひとつは、複数の探し先に利用登録を済ませておくこと。もうひとつは、条件の優先順位を先に決めておくことです。建物が使える状態かどうか、車がなくても生活できる立地が必要か、土地から手を入れる時間と費用を確保できるか。この3点を先に決めておけば、掲載が出たときに現地を見るかどうかをその日のうちに判断できます。逆に条件が固まっていないと、7日で決まる物件には間に合いません。
要点
- 東京都カテゴリの掲載は9件で、すべて多摩の4市。23区は0件
- 9件のうち成約済8件・取引中止1件で、募集中は0件
- 新規掲載は2024年5月23日を最後に止まっている
- 建物付きは2件のみで、いずれも7日・36日で成約している
東京に空き家は約90万戸あるのに0円物件が出ない理由

東京都は中古住宅の流通が活発で長期の空き家になりにくく、掲載される空き家は他県より少ないと都が説明しています。空き家の数自体は約90万戸ありますが、0円まで価格が下がる物件の母集団は薄いままです。
数だけを見れば東京の空き家は全国でも多いほうです。それでも0円物件が出てこないのは、空いた住宅が放置される前に次の使い道が決まるからです。この構造は推測ではなく、統計と東京都自身の公表文で確認できます。
空き家は約90万戸でも空き家率は10.9%
令和5年の調査によると、東京都の総住宅数は8,201,400戸、そのうち空き家は896,500戸で、空き家率は10.9%でした(東京都「令和5年住宅・土地統計調査(確報)」)。平成30年の前回調査と比べると空き家は86,600戸増え、空き家率も10.6%から10.9%へ上がっています。
約90万戸という数字はたしかに大きな規模です。ただし東京は住宅の総数が820万戸あるため、割合でみると全国平均の13.8%(総務省「令和5年住宅・土地統計調査」基本集計)を下回ります。東京の空き家は「多いけれど、住宅全体に占める割合は低い」という位置づけです。
増え方の中身も確認しておきます。長期不在や取壊し予定にあたる「その他の住宅」は、東京都で平成30年の約18万戸から令和5年に約21万戸へ増えました(東京都住宅政策本部「東京都の空き家の現状」)。空き家全体の増加が86,600戸であるのに対し、放置に近い区分の増加は約3万戸にとどまります。増えた空き家の多くは、賃貸用・売却用など市場で動いている区分であり、そのまま0円物件になりうる層はかぎられます。
23区は1区だけで多摩最多の市を上回る空き家を抱えている
空き家の実数で見ると、23区と多摩の関係は多くの人が思い描くものと逆になります。東京都住宅政策本部の区市町村別データでは、区部の空き家数は世田谷区が5.9万戸で最も多く、大田区4.9万戸、足立区4.4万戸と続きます。一方、多摩部で最も多いのは八王子市の3.4万戸です。
つまり、世田谷区・大田区・足立区はいずれも1区だけで、多摩でいちばん空き家の多い八王子市を上回っています。それでも0円物件の掲載は区部で0件、八王子市では4件でした。空き家の数と0円物件の数は、東京では連動していません。
理由は、空き家がその後どうなるかにあります。23区の住宅は空いても賃貸や売却の対象になりやすく、古い戸建てでも更地にして駐車場やアパートに転用する、あるいは賃貸に回すといった選択肢が現実に取れます。使い道が残っているうちは無償で手放す動機が生まれません。23区の空き家は「行き先がある空き家」で、多摩の一部にある0円物件は「行き先が見つからなかった土地」という違いです。空き家の多さを根拠に、23区でゼロ円物件を待つ意味は乏しくなります。
東京都自身が「掲載はごく少数」と注意している
東京都は空き家ポータルサイトの「空き家を探す」ページで、探し先を案内する前に次の注意書きを載せています。
都内の空き家は、中古住宅流通が活発であることにより、長期間空き家状態となりにくいという特徴があります。そのため、下記サイトに掲載される都内の空き家は、他県に比べてごく少数です。(東京都住宅政策本部「空き家を探す」、2026年7月時点)
行政が自ら「他県に比べてごく少数」と書いているのは、掲載が少ない状態を一時的な品切れではなく構造的な結果として認めているということです。都はこのあと「さらに空き家物件をお探しになりたい場合は、地元不動産会社等へご相談ください」と続けています。サイトを眺めて待つ方法だけでは行き止まりになりやすい、という前提が公式に示されています。
関東の中で東京がどの位置にあるかは、都県ごとの傾向差を扱う関東広域の0円物件比較で確認できます。0円物件がなぜ生まれるのかという仕組みそのものは、冒頭で挙げた総合ガイドが全国の統計と制度から整理しています。
23区と多摩でゼロ円物件の成立条件が分かれる理由

空き家率が最も高いのは豊島区の13.9%ですが、0円で出たのは空き家数が多い八王子市と町田市でした。ゼロ円物件が出る自治体は、空き家の「率」ではなく「数」と土地の性質で決まっています。
同じ東京都でも、23区と多摩では0円物件の成立条件がまったく違います。ここを取り違えると、空き家が多いと聞いた区を延々と探し続けることになりかねません。都が公表している区市町村別のデータと、掲載9件の実際の分布を突き合わせると、その違いが数字で見えてきます。
空き家率が最も高いのは23区の豊島区
東京都住宅政策本部は、区部と多摩部それぞれについて空き家数と空き家率の上位を公表しています。これに当社が数えた0円物件の掲載を並べると、次のようになります。
| 区分 | 空き家数の上位3 | 空き家率の上位3 | 0円物件の掲載(当社集計・2026年7月31日時点) |
| 東京都区部 | 世田谷区 5.9万戸/大田区 4.9万戸/足立区 4.4万戸 | 豊島区 13.9%/港区 13.7%/荒川区 12.9% | 0件 |
| 東京都多摩部 | 八王子市 3.4万戸/町田市 2.0万戸/府中市 1.8万戸 | 清瀬市 13.6%/国立市 13.5%/府中市 13.0% | 9件(八王子市4・町田市3・日野市1・小平市1) |
空き家数・空き家率の出典は東京都住宅政策本部「東京都の空き家の現状」、掲載件数は当社集計です。
この表で注目したいのは、空き家率のトップが多摩ではなく区部の豊島区13.9%である点です。多摩部の最高は清瀬市の13.6%ですから、率だけを比べれば23区のほうが高い区を抱えています。それでも0円物件の掲載は区部で0件でした。「空き家率が高い自治体ほど0円物件が出る」という見方は、東京では成り立ちません。
0円で出るのは市域が広く山林を抱える自治体
掲載があった4市を空き家数で見ると、八王子市が多摩部1位の3.4万戸、町田市が2位の2.0万戸です。掲載件数も八王子市4件・町田市3件と、この2市に集中しています。一方、空き家率で上位に並ぶ清瀬市・国立市・府中市からの掲載はありませんでした。
府中市が分かりやすい例です。多摩部で空き家数3位(1.8万戸)、空き家率も3位(13.0%)と、どちらの指標でも上位に入っています。それでも0円物件の掲載は0件でした。鉄道の便がよく市街地が連続しているエリアでは、空き家が出ても賃貸や売却で動きやすいためと考えられます。同じ多摩でも、駅と市街地が整っている市では0円まで価格が落ちません。
差を生んでいるのは土地の性質です。八王子市と町田市はいずれも市域が広く、丘陵地や中山間部を抱えています。実際に掲載されていた物件も、傾斜地・山林・県境の土地・斜面といったものが中心でした。住宅として使いにくく、売っても値が付きにくい土地を抱えている自治体でだけ、0円という価格が成立しています。
同じ条件で見ると、青梅市・あきる野市・奥多摩町といった西多摩の市町村も、市域が広く中山間部を抱えている点は共通します。候補地を選ぶときは、空き家率のランキングを追うより、市域が広く、使い道の限られた土地を抱えているかを見るほうが空振りを減らせます。隣接する神奈川県の事情は神奈川県の0円物件事情にまとめています。
多摩の0円物件は住める家より土地・山林が中心
条件が合う自治体を絞り込めても、出てくる物件の形は選べません。掲載9件の内訳が示すとおり、建物が付いていたのは2件だけで、残る7件は傾斜地・山林・斜面・県境の土地でした。
土地から活用を考えられるかどうかで、東京のゼロ円物件が選択肢になるかが変わります。移住や二拠点の拠点として土地から手を入れられる人には候補になりますが、通勤や生活の利便性を優先する人には条件が合いにくいのが多摩の物件です。掲載9件のうち駅からの距離が示されていた物件が、いずれも車で数分から十数分の場所だった点も、判断材料になります。
接道義務を満たさず建て替えができない土地や、境界が確定していない土地は、郊外の0円物件で見落とされやすいところです。ただし取得前に確認すべき権利関係の全体像と、取得時にかかる登録免許税・贈与税・不動産取得税の目安は、0円物件の仕組みと費用をまとめた総合ガイドが評価額別の試算まで含めて扱っています。取得後に費用で後悔しやすい型は0円物件で後悔しやすい失敗パターンと回避策が詳しいので、契約前に目を通しておくと判断がぶれません。
要点
- 空き家率トップは区部の豊島区13.9%だが、区部の0円掲載は0件
- 掲載が集中したのは空き家数で多摩部1位・2位の八王子市と町田市
- 空き家数・空き家率とも3位の府中市でも掲載は0件
- 候補地は空き家率ではなく、市域の広さと土地の使いにくさで選ぶ
\ 残置物そのままで買取OK /
0円で出しても手が挙がらない多摩・島しょの物件も、300人超の投資家ネットワークで買い手を探します。
受付時間 10:00〜19:00(水・日曜日定休)
東京でゼロ円物件を探すときに使える公的な窓口
東京都は多摩島しょ向けの移住定住ポータル、区市町村の空き家バンク一覧、練馬区と日野市のマッチングという3つの公的な入口を案内しています。いずれも0円限定ではありませんが、民間サイトには出てこない物件に届く経路です。
民間の無償譲渡サイトだけを見ていると、東京の在庫が止まっている今の状況では手詰まりになります。都と自治体には公式の窓口があり、扱っている情報がそれぞれ違います。まずは3経路の性格を押さえてから、どこに登録するかを決めるほうが効率的です。
東京都の公式ポータルと多摩島しょの相談窓口
東京都が案内している探し先のうち、公的な窓口は次の3つです。
| 経路 | 運営主体 | 対象エリア | 扱う情報 | 0円物件の掲載 |
| 東京たましま移住定住ポータルサイト | 東京都総務局行政部 | 多摩地域・島しょ地域 | 移住定住の支援制度、住まい、しごと、暮らし体験ツアー、相談窓口 | 物件の直接掲載はなし |
| 都内区市町村の空き家バンク一覧 | 東京都住宅政策本部 | 都内全域 | 区市町村ごとの空き家バンクの一覧 | 各バンク次第。都は「掲載はごく少数」と注記 |
| 区市町村等によるマッチング | 練馬区・日野市 | 各区市 | 不動産流通の促進、活用マッチング、専門家派遣 | 0円限定ではない |
出典は東京都住宅政策本部「空き家を探す」と東京たましま移住定住ポータルサイトです(いずれも2026年7月時点)。都のページでは、このほかに民間が運営する全国版の空き家・空き地バンクも案内されています。
このうち多摩と島しょを専門に扱うのが東京たましま移住定住ポータルサイトで、運営は東京都総務局行政部です。物件情報そのものより、移住支援制度・仕事・暮らし体験ツアーといった周辺情報が中心で、東京多摩島しょ移住・定住相談窓口(電話 080-8719-4073、月曜日と祝日および夏季・冬季は休業)に直接相談できます。掲載を待つのではなく人に聞ける経路がある点が、民間サイトとの違いです。
3経路の使い分けはこう考えると整理しやすくなります。都の空き家バンク一覧は、どの区市町村がバンクを運用しているかを把握するための地図にあたります。たましまポータルは、支援制度や暮らしの条件から候補地を絞るための入口です。そして区市町村のマッチングは、実際に物件と所有者へ近づくための窓口です。都自身が最後に「地元不動産会社等へご相談ください」と付け加えていることからも、公的な3経路だけで完結する前提では設計されていないと分かります。公的窓口で候補地を固め、地元の不動産会社にも当たるという二段構えが、東京では現実的な進め方になります。
奥多摩町には「0円空家バンク」という枠組みがある
東京都内で唯一、自治体が「0円」を掲げている枠組みが奥多摩町にあります。町の空家バンクには事業種別が複数あり、そのひとつが0円空家バンクです。
内容を確認すると、次のような制度でした。
- 手放したい物件を登録できるほか、年齢要件や定住要件に合わず通常の空家バンクを使えない人も利用できる
- アトリエ・倉庫・別荘などを探している人も対象になる
- 町は手放したい人と活用したい人のマッチングを行うが、物件の案内はせず、現地確認は利用者が自分で行うことが条件
- 契約や登記にかかる費用は、物件を譲り受ける側の負担になる
- 利用登録(様式第8号)を済ませてから、物件へ申し込む流れ
ただし在庫の状況は確認が必要です。登録物件一覧に載っている4件はすべて契約済で、現在の登録物件は0件と表示されています(奥多摩町「0円空家バンク登録物件一覧」、2026年7月時点)。
あわせて押さえておきたいのが、奥多摩町の通常の空家バンクとの違いです。通常のバンクには2026年7月時点で19件が掲載されていますが、価格は130万円から1,700万円で、0円ではありません。「奥多摩なら0円で家が手に入る」という理解は、いまの在庫とは一致しないことになります。制度があることと、いま物件があることは分けて確認するのが安全です。利用登録だけ先に済ませておけば、新しい登録が出たときに動けます。
区市町村のマッチング窓口は練馬区と日野市
東京都が「区市町村等によるマッチング」として挙げているのは、練馬区と日野市の2つです。練馬区は環境課とまちづくり公社が空き家の活用相談窓口を担い、日野市はまちづくり部都市計画課住宅政策係(電話 042-514-8371)が窓口になっています。
ここで見落とされやすいのは、23区で空き家のマッチング窓口が都のポータルに載っているのは練馬区だけという点です。23区に0円物件の掲載がないことと合わせて考えると、区部で無償譲渡に近い形の物件を探す経路はほとんど残っていません。一方の日野市は、当社が数えた0円物件の掲載が1件あった市でもあります。
空き家バンクそのものの使い方や、掲載されている物件の傾向は0円空き家バンクの使い方と掲載物件の傾向にまとめています。登録から応募までの流れを先に把握しておくと、窓口とのやり取りがスムーズです。
島しょ部は窓口経由が中心になる
当社が確認した東京都カテゴリの掲載9件に、島しょ部の物件は1件も含まれていませんでした。伊豆諸島や小笠原諸島で家を探すなら、民間の無償譲渡サイトではなく、東京たましま移住定住ポータルサイトと各町村の窓口が入口になります。
定期船やヘリコミューターの便、上下水道や電気などの生活インフラ、医療機関へのアクセスは、島ごとに条件が大きく違います。移住者を受け入れたい町村では空き家の改修費補助や移住支援金を用意している場合もあるため、家探しと支援制度をまとめて相談できるのが窓口経由の利点です。
順番としては、物件を探す前に暮らしの条件から確かめるほうが失敗しにくくなります。通院が必要な家族がいるか、仕事を島で続けられるか、本土との往復にどれだけ時間と費用をかけられるか。こうした条件は物件の良し悪しより先に効いてきます。たましまポータルでは暮らし体験ツアーや空き家見学ツアーの募集も告知されているため、まず短期間滞在してから物件を探す進め方も選べます。
0円で動かない東京の空き家・古家をどう手放すか

23区は土地に値が付きやすく、0円で譲る前に価格を確かめる順番なら選択肢を狭めずに済みます。多摩や島しょで引き取り手が現れない物件も、現状のまま買い取れる場合があります。
視点を手放す側に移すと、東京都には長期不在や取壊し予定にあたる「その他の住宅」が約21万戸あります(東京都住宅政策本部「東京都の空き家の現状」)。相続した実家や古家を抱えたまま動かせない所有者にとっては、東京の物件だからこその出口があります。
23区の実家・古家は譲るより売るほうが有利なことが多い
23区の物件は、0円で譲るより売却したほうが手元に残る額が大きくなる場合があります。中古住宅の流通が活発な東京では、古家付きでも土地に値が付きやすいためです。「古いから売れないだろう」と無償譲渡を検討する前に、まず価格が付くかを確かめる価値があります。
当社の買取くんは、築古・再建築不可・共有持分・借地権・残置物ありといった、他社で断られやすい物件も現状のまま買い取ります。東京都北区の築50年超で傾きのある借地権付き戸建てを、4,400万円で買い取った実績があります。土曜日の対応やSMSでのやり取りにも応じ、決済まで進めた事例です。傾きがあり借地権も付いた築50年超の戸建てでも23区では値が付いた、という点が、0円譲渡を検討する前に査定を挟む理由になります。
税制の面でも順番は効きます。相続した空き家を一定の要件で売却すると、譲渡所得から最高3,000万円(令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上のときは1人あたり2,000万円)を控除できる特例が、令和9年12月31日までの譲渡で使える可能性があります(国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)。0円で譲るとこの控除を使う機会そのものが失われます。適用要件は細かいため、個別の事情は税理士に確認したうえで判断してください。
手放す前に確かめておくこと
譲る・売る・解体するのどれを選ぶにしても、先に整理しておくと手続きが途中で止まりにくくなります。東京の物件で特に確認しておきたいのは次の点です。
- 共有名義になっていないか。相続で兄弟の共有になっている場合、全員の同意がないと処分できません
- 借地か所有権か。23区の古い戸建てには借地権付きのものがあり、地主との関係で手続きが変わります
- 残置物を誰が処分するか。家財が残ったままでも買い取れる会社と、更地渡しを求める会社があります
- 境界が確定しているか。特に多摩の傾斜地や山林では、隣地との境界が不明確なことがあります
無償で譲り受ける側には贈与税がかかる点も、譲る相手と話を進める前に共有しておくと行き違いを防げます。個人から不動産を無償で受け取ると法律上は贈与にあたり、その年に受け取った財産の合計が基礎控除110万円を超えると申告と納税が必要になります(国税庁「贈与税がかかる場合」)。タダで渡すつもりが、相手に想定外の税負担を求める形になっていたというのは、個人間の0円譲渡でつまずきやすいところです。譲り受ける側の負担は、贈与税だけでなく登録免許税や不動産取得税まで含めて、話を進める前に確かめておくと安全です。
多摩・島しょで引き取り手がつかない物件の出口
一方、多摩の郊外や島しょ部では、0円で出しても引き取り手が現れないことがあります。接道のない土地や残置物が残ったままの家は、無償譲渡サイトに掲載しても問い合わせが入らず、その間も固定資産税と管理の手間だけが積み上がっていきます。掲載9件のうち1件が取引中止で終わっていたとおり、0円で出せば決まるとは限りません。
当社は清掃や解体をしない状態でも買い取り、査定の回答は最短6時間、現金化は最短3日で対応しています。相手が現れるまで待つ無償譲渡と違い、期間が読める点が構造的な違いです。300人超の投資家ネットワークを通じて買い手を探すため、無償譲渡では敬遠されやすい物件も査定の対象になります。仲介手数料はかかりません。なお当社(株式会社リアテクス)は東京都知事免許(1)第107888号の宅地建物取引業者で、免許番号は国土交通省の宅地建物取引業者検索で照合できます。
査定額は物件の状態とエリアで変わるため、価格が付かない場合もあります。それでも査定を受けること自体は無料で、結果を見てから無償譲渡や解体を選び直せる点は変わりません。逆に、譲渡契約を結んで所有権が移ったあとや、解体して建物がなくなったあとでは、選び直す余地はもうありません。後戻りできない出口を選ぶ前に、価格が付くかどうかだけ先に確かめておくと、判断の幅が残ります。買取会社の見極め方については、株式会社リアテクスの選び方を整理した記事もあわせてご確認ください。
要点
- 23区は古家付きでも土地に値が付きやすく、0円譲渡は損になる場合がある
- 相続した空き家の売却には3,000万円の特別控除が使える可能性がある
- 共有名義・借地権・残置物・境界は、動き出す前に確認しておく
- 譲渡と解体は後戻りできない。査定は無料で、結果を見てから選び直せる
東京のゼロ円物件によくある質問
Q1. 東京都でゼロ円物件はどこで探せますか?
民間の無償譲渡マッチングサイトと、東京都が案内する公的な窓口の併用が基本です。都は東京たましま移住定住ポータルサイト、都内区市町村の空き家バンク一覧、練馬区と日野市のマッチングという3経路を挙げています。実際の掲載は八王子市・町田市・日野市・小平市に偏るため、この4市と西多摩を軸に探し先を横断すると効率的です。ただし2026年7月31日時点で民間サイトの東京都カテゴリに募集中の物件はなく、新着通知を登録して待つ形になります。
Q2. 東京23区にゼロ円物件が出ることはありますか?
現状ではほとんど出ていません。当社が2026年7月31日に確認した時点で、東京都カテゴリの掲載9件はすべて多摩地域で、23区内の掲載は0件でした。空き家率だけを見れば豊島区が13.9%と都内で最も高いのですが、23区では空き家が放置される前に売買や賃貸で流通するため、0円まで価格が下がりません。都心の利便性を求めるほど、ゼロ円物件は現実的な選択肢から外れていきます。
Q3. 東京都の空き家に使える移住支援や補助はありますか?
多摩地域や島しょ地域の市町村を中心に、移住支援金や空き家の改修補助を用意している自治体があります。制度の一覧と相談先は、東京都総務局行政部が運営する東京たましま移住定住ポータルサイトにまとまっており、東京多摩島しょ移住・定住相談窓口(080-8719-4073)に直接問い合わせもできます。対象要件や金額は市町村ごとに違うため、狙う自治体を決めてから個別に確認してください。
Q4. 奥多摩町の0円空家バンクにはいま物件がありますか?
2026年7月時点では0件です。奥多摩町の0円空家バンク登録物件一覧に載っている4件はすべて契約済で、新しい登録は出ていません。同じ町の通常の空家バンクには19件の掲載がありますが、価格は130万円から1,700万円で0円ではありません。制度としては存在するので、利用登録を先に済ませておけば新規登録が出たときに動けます。
まとめ|東京のゼロ円物件は在庫と出口の両方で判断する
東京都のゼロ円物件は多摩の4市に9件のみで、23区は0件でした。その9件も成約済8件・取引中止1件で募集中はなく、新規掲載は2024年5月を最後に止まっています。空き家率が最も高いのは豊島区13.9%ですが0円掲載はなく、掲載があったのは空き家数の多い八王子市と町田市でした。探すなら民間サイトと、都の多摩島しょ移住定住ポータルや奥多摩町の0円空家バンクといった公的な窓口を両方当たり、待つ期間を先に決めておくことです。そして手放す側に回るなら、0円で譲ると決める前に価格が付くかを確かめておくと、選び直せる余地が残ります。
\ 最短3日で現金化 /
東京のゼロ円物件を探すより、手持ちの物件を早く手放したい方へ。
受付時間 10:00〜19:00(水・日曜日定休)