契約不適合責任の免責とは?免責でも売主に残る責任と契約前の確認点

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「契約不適合責任免責って、結局どこまで責任がなくなるの」
「免責の物件は買わない方がいいって言われたけど、本当かな」

契約不適合責任の免責とは、引渡し後に不具合が見つかっても売主が買主からの請求を負わないと決める特約です。ただし、売主が知りながら告げなかった不具合については、免責特約があっても責任を免れることができません。免責で外れる範囲、それでも残る責任、売主が誰かで変わる限界、「現状有姿」との違い、契約前の確認点までをご案内します。

契約不適合責任の免責とは?免責特約で外れる責任の範囲

免責特約で外れる履行の追完・代金減額・損害賠償・契約解除の4つの請求と、残る引渡し義務を整理した図解
外れるのは買主からの4つの請求で、契約書どおりの物件を引き渡す義務は残る(出典: e-Gov法令検索 民法566条・572条)

免責特約とは、引渡し後に買主から出てくる請求を売主が引き受けないと決める取り決めです。民法にも「担保責任を負わない旨の特約」として書かれていますので、契約書に「売主は契約不適合責任を負わない」という一文を入れて双方が納得すれば結べます(e-Gov法令検索 民法572条)。ただし免責にできない範囲があり、そこは後半の「免責特約があっても売主が責任を負う2つのケース」で整理します。

そもそも契約不適合責任とは、引き渡された土地や建物が契約の内容に合っていないときに、売主が買主に対して負う責任のことです。雨漏りやシロアリ被害のように、契約書に書いていない不具合が後から出てきたときに問題になります。責任の期間や請求できる中身まで含めた全体像は、契約不適合責任とは何を指すのかを先に押さえておくと、この先の話がつかみやすくなります。

免責で外れるのは買主からの4つの請求

免責特約で外れるのは、買主が売主に対してできる次の4つの請求です(民法566条)。

  • 履行の追完の請求——直してもらう、足りない分を補ってもらう
  • 代金の減額の請求——払った代金を、不具合の分だけ減らしてもらう
  • 損害賠償の請求——修理にかかった費用などを払ってもらう
  • 契約の解除——契約をなかったことにして、代金を返してもらう

免責特約は、この4つを引渡し後に持ち出さないという約束です。4つとも外すのか、それとも雨漏りやシロアリだけを外すのか。範囲は契約書の書き方で変わりますので、「免責」の二文字を見つけたら、そこから先の一文まで読んでください。

免責にしても、契約書に書いた物件を引き渡す義務は残る

免責特約が外すのは引渡し後の請求であって、「どんな物件を引き渡すか」という約束そのものではありません。契約書に土地の面積や建物の構造を書いて売った以上、その内容の物件を引き渡す義務は残ります。約束した物件と違うものを渡してよくなる特約ではない、ということですね。

免責特約は「引渡し後の請求を外す約束」であって、契約そのものを軽くする約束ではありません

免責特約が付くと売主と買主に何が起きるのか

免責特約で引渡し後の修繕費の負担が売主から買主へ移る仕組みを、当事者別の変化で示した図
売主は引渡し後の請求から外れ、買主は不具合を自分の費用で直す前提に変わる(当社作成)

免責特約が付くと、売主は引渡し後の修繕費や減額の請求を負わなくなり、買主は不具合が出ても自分の負担で直すことになります。どちらが得をするという話ではなく、引渡しの後に出てくる費用を売主と買主のどちらが持つかが動くだけ、と考えると整理しやすいです。

売主側に起きること:

  • 引渡し後に修繕費や代金の減額を求められない
  • 売った後になって、修理をめぐるやり取りが長引かない
  • 状態に不安のある築古の建物でも、売却の相談を進めやすい

買主側に起きること:

  • 引渡し後に見つかった不具合は、自分の費用で直すことになる
  • その負担を織り込んだうえで、買うかどうかを決める必要がある

免責特約があっても売主が責任を負う2つのケース

免責特約を結んでも、売主が責任を免れることのできないケースが民法に2つ定められています。1つは売主が知りながら告げなかった事実、もう1つは売主が自ら第三者のために設定し、または第三者に譲り渡した権利です(民法572条)。契約書に「一切の責任を負わない」と書いたとしても、この2つは特約の外側に残ります。

1. 知りながら告げなかった不具合は免責の対象外

たとえば、引渡し前から2階の天井に雨染みが出ていて雨漏りに気づいていたのに、それを買主に伝えないまま売った場合です。この不具合については、免責特約があっても売主が責任を免れることはできません

似た言葉に「重大な過失」があります。少し注意すれば気づけたのに見落としていた状態のことで、これは免責特約とは別の決まりに出てくる言葉です。買主は不具合を知ってから1年以内に売主へ通知することになっています。ただし、売主が引渡しの時に不具合を知っていた場合、または重大な過失で知らなかった場合には、この1年の期限は働きません(民法566条ただし書)。免責特約で外せないのは、あくまで売主が知りながら告げなかった事実です(民法572条)。

知っていた不具合は、書き方を工夫しても外せません。心当たりがあるなら、隠して売るより告知書に書いて売るほうが、後のもめごとを避けられます。

2. 売主が自分で設定・譲渡した権利も同じ扱い

もう1つは、売主が売る前にその不動産へ第三者のための権利を設定していた場合、あるいは権利の一部を第三者に譲り渡していた場合です。抵当権や借地の権利がその例で、売主自身が作った権利関係については、免責特約があっても責任を免れることができません。

買主の側から見れば、この2つに当てはまるときは、免責の物件でも追完や減額を求める余地が残ります。どの請求をどこまでできるかは、契約不適合責任そのものの話です。

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売主が個人か宅建業者かで免責できる範囲は変わる

売主が個人・宅建業者・法人・新築住宅の売主のどれかで、免責にできない範囲と根拠条文が変わる分岐図
売主欄をたどると自分の契約の下限がわかり、宅建業者が売主なら引渡しから2年以上が下限になる(出典: e-Gov法令検索の民法・宅建業法・消費者契約法・品確法)

免責にできる範囲は、売主と買主がそれぞれ個人か事業者か、そして新築かどうかで変わります。免許を受けて不動産の売買や仲介を仕事にしている会社が、宅地建物取引業者(略して宅建業者)です。宅建業者が自ら売主になる売買では、引渡しの日から2年以上とする特約を除いて、民法566条より買主に不利な特約を結ぶことはできません(e-Gov法令検索 宅地建物取引業法40条)。

4つの法律を売主と買主の組み合わせで1枚にまとめると、自分の契約がどの行に当たるかが見えます。

売主 → 買主 免責にできない範囲 根拠条文
個人 → 個人 知りながら告げなかった事実/自ら設定・譲渡した権利 民法572条
個人 → 宅建業者(買取) 同上(40条の下限は働かない) 民法572条(40条は売主が宅建業者の場合の規定)
宅建業者 → 個人 上記に加え、引渡しから2年より短い期間など買主に不利な特約 宅建業法40条
宅建業者 → 宅建業者 民法572条の2つのみ(40条は適用外) 宅建業法78条2項
法人(宅建業者以外)→ 消費者 損害賠償責任の全部を免除する条項 消費者契約法8条1項1号
新築住宅の売主 → 買主 引渡しから10年間、構造耐力上主要な部分等の瑕疵 品確法95条

データ出典: e-Gov法令検索 民法宅地建物取引業法消費者契約法住宅の品質確保の促進等に関する法律

中古住宅の売買で多いのは、上の3行(個人→個人・個人→宅建業者・宅建業者→個人)です。このうち外せない範囲がいちばん広いのは宅建業者→個人で、宅建業者どうしの取引では民法572条の2つに戻ります。下の2行は、法人が売主のときと新築住宅のときに、それぞれ別の法律による制限が加わる組み合わせです。

宅建業者が売主のときは引渡しから2年以上が下限

ここでの下限は引渡しの日から2年で、これより短くするなど民法566条より買主に不利な特約は無効になります(宅地建物取引業法40条1項・2項)。

たとえば、不動産会社が売主のリノベーション済み中古住宅を個人が買う場合。契約書に「契約不適合責任は全部免責」と書かれていても、その条項は無効です。

一方で、この制限は宅建業者どうしの取引には適用されません(宅地建物取引業法78条2項)。逆に、個人が売主で当社のような宅建業者が買主になる現況買取(家財を片付けずに今の状態のまま買い取る取引)もあります。40条は「宅建業者が自ら売主となる」場合の規定ですので、こちらに下限は働きません。

法人が売主・消費者が買主なら全部免除の条項は無効

売主が事業者、買主が消費者という消費者契約(事業者と消費者の間で結ぶ契約のこと)では、損害賠償責任の全部を免除する条項は無効になります(e-Gov法令検索 消費者契約法8条1項1号)。

ただし、一律に無効というわけではありません。その契約で事業者が履行の追完をする責任、または不適合の程度に応じて代金を減額する責任を負うと定めている場合。このときは同じ8条の2項1号により、1項は適用されません。「一切責任を負わない」は通らないけれど、「直す責任は負う」と書いてあるなら残る余地がある、ということです。

新築住宅は建物を支える部分などに10年間の責任が残る

新築住宅の売買では、売主は引き渡した時から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分等(基礎や柱など建物を支える部分)の瑕疵について担保責任を負います。これに反する買主に不利な特約は無効です(e-Gov法令検索 住宅の品質確保の促進等に関する法律95条)。

なお、個別の契約でどこまで免責が有効になるかは、物件の状態や条項の書き方によって変わります。判断に迷うときは、提携する司法書士などの専門家に条項そのものを見てもらってください。

「現状有姿」「免責」「保証なし」は同じ意味なのか

現状有姿と保証なしは責任が残る側、契約不適合責任免責だけが4つの請求を外す側にあると示した判定図
引渡し後の請求が外れるのは免責特約を書いたときだけで、確かめる場所は特約条項欄と容認事項欄(出典: e-Gov法令検索 民法572条・566条)

現状有姿は「今の状態のまま引き渡す」という合意で、責任を免除する免責特約とは別の取り決めです。「保証なし」も、設備などの保証を付けないという説明であって、それ自体が民法上の責任を消す言葉ではありません。責任を負わないという合意は、契約書に「担保責任を負わない旨の特約」として書いて初めて形になります(民法572条)。

3つの言葉は、契約書の中で決めていることがそれぞれ違います。

言葉 何を決めた言葉か 責任はどうなるか
現状有姿 引き渡すときの物件の状態についての合意 責任そのものは外れない(別に免責の記載が要る)
契約不適合責任免責 引渡し後の請求を売主が負わないという特約 民法572条の2つを除いて4つの請求が外れる
保証なし 設備などの保証を付けないという説明 特約に免責の記載がなければ責任は残る

データ出典: e-Gov法令検索の民法572条・566条(現状有姿と保証なしは法令で定義された用語ではないため、契約実務での使われ方として整理しています)

現状有姿の一行だけでは、免責と同じにはなりません

現状有姿は「今の状態で引き渡す」という約束

契約書に現状有姿としか書かれていない場合を考えてみます。この一文が約束しているのは、売主が修理やクリーニングをしないで、今ある状態のまま引き渡すことです。引渡し後に不具合が出たときの請求をどうするかまでは、この言葉だけでは決まりません。

売主の立場では「現状有姿と書いたから責任はない」と受け取りやすいところです。買主の立場では、現状有姿の記載があるからといって、追完や減額をあきらめる必要はありません。どちらの側でも、確かめる場所は同じ。契約書の特約です。

契約書のどこを見れば免責かがわかるか

見るのは売買契約書の特約条項欄です。「売主は契約不適合責任を負わない」といった一文が、ここに入っているかどうかで扱いが変わります。あわせて容認事項欄も開いてください。この欄には、越境や設備の不具合など、買主が承知したうえで買うことになる事柄が並びます。

売主として実際に免責特約を付けて売る場合は、条件の詰め方や書き方が別の論点になりますので、免責特約を付けて売るときの実務をご覧ください。

免責の物件は買わない方がいいのか?契約前に確かめる材料

免責の物件が敬遠されるのは、引渡し後に出てきた不具合を買主が自分の負担で直すことになるからです。ただ、避けるか避けないかの二択ではありません。免責の範囲が契約書でどこまで限定されているかによって、引き受けることになる負担の大きさは変わります。

買わない方がいいと言われる3つの理由

  1. 引渡し後の不具合を買主が自分の負担で直すことになる(さきほど見た負担の移動です)
  2. 売主が個人の場合は宅建業法40条の下限が働かず、免責の範囲を広く設定できる
  3. 免責の範囲が契約書で限定されていないと、責任が残るのは民法572条の2つのケースだけになる

3つとも「免責だから危ない」ではなく、「範囲が広いと買主の負担が読めない」という話です。裏を返せば、範囲が絞られていて、物件の状態が資料で確かめられるなら、判断できる買い物になります。

契約前に確かめる材料

契約書と付属の書類で、次の4点を順に見てください。

  • 売主が誰か——契約書1ページ目の売主欄です。個人か、宅建業者か、宅建業者以外の法人かで、適用される法律と外せない範囲が変わります
  • 免責が「全部」か「一部」か——特約条項欄の文言です。「一切の契約不適合責任を負わない」なら全部免責、「雨漏り・シロアリの害・給排水管の故障を除き」などと書かれていれば、その部分の責任は売主に残ったままです
  • 告知書と容認事項欄の記載——売主が把握している不具合が書かれる場所です。ここに書かれていない不具合を売主が知っていたなら、免責特約があっても責任は残ります
  • 建物状況調査の結果報告書があるか——あれば、劣化の状況を第三者の目で確かめた資料として読めます

事故物件や告知事項ありの物件でも、免責特約そのものは結べます。どこまでが告知の必要な事実にあたるかは、告知事項ありとは何を指すのかでご確認ください。

見るのは「免責かどうか」ではなく「免責の範囲がどこまで書いてあるか」です

売る側で読んでいる方は、状態を伝えないまま話を進めるのが一番危ない進め方です。売却全体でつまずきやすい行為は家の売却で避けたいNG行為にまとめています。責任の期間や請求できる中身まで戻って確かめたいときは、契約不適合責任の期間や請求内容を整理したガイドをどうぞ。

契約不適合責任の免責でよくある質問

契約不適合責任免責と瑕疵担保責任は同じ意味ですか

同じではありません。瑕疵担保責任は、契約不適合責任という呼び方になる前に使われていた責任の名前で、免責はその責任を負わないと決める特約の名前です。呼び方と中身がどう変わったのかは、本文でご案内した契約不適合責任のガイドで整理しています。

免責特約は契約書のどこに書かれていますか

売買契約書の特約条項欄です。物件の状態について買主が承知した事柄なら、容認事項欄のほうに書かれています。どちらの欄にも免責の記載がなければ、契約不適合責任は原則どおり残ったままです。条項をどう書くかは、売主が免責の条件を詰めるときの進め方が詳しいです。

告知事項ありの物件でも免責特約は使えますか

使えます。ただし、売主が知りながら告げなかった事実は免責の対象外ですので(民法572条)、知っている事実を告知書に書いたうえで特約を結ぶ形になります。どこまで伝える必要があるかは、告知が必要になる事実の範囲をご覧ください。

買取くんでは不具合のある物件でも、免責を相談したうえで買い取ってもらえますか

ご相談いただけます。当社は買主として直接買い取るため、家財や生活用品が残ったままの現況買取も可能です。他社で断られた物件や少額の物件も含めて、全国で査定して買取の可否を判断します。仲介手数料はかかりません。免責にできるかどうかも含めて条件を相談できますので、まずは物件の状態をそのままお聞かせください。

まとめ

契約不適合責任の免責とは、引渡し後に出てきた不具合について、買主からの4つの請求を売主が負わないと決める特約です。外せるのはその4つで、売主が知りながら告げなかった事実と、自ら設定・譲り渡した権利は外せません。売主が宅建業者なら引渡しから2年以上が下限になり、新築住宅では10年間の責任が残ります。契約前に開くのは、契約書の特約条項欄と容認事項欄、そして売主欄の3か所です。

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この記事の監修者

株式会社リアテクス 執行役員 鶴野博之

鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)

宅地建物取引士/賃貸経営管理士/FP2級

一棟投資物件専門の仲介会社で不動産業界に参入後、前職では「訳あり・瑕疵物件」に特化したコンサルティングプログラム責任者として600名以上の投資家の購入から売却までに携わる。自身も再建築不可物件を中心に訳あり物件へ投資し、転売売買から保有物件まで数々の実績を持つ。

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