借地権付き建物とは、建物は自分の所有物で、その敷地は地主から借りている状態の不動産です。土地代がかからない分だけ安く持てますが、地代の負担と、売却や建て替えに地主の承諾が要るという制約が付きます。買うか、持ち続けるか、手放すか。判断に必要な確認点を、手元の書類に沿って整理します。
借地権付き建物とは?土地を借りて建物だけを所有する不動産です

借地権付き建物とは、建物の所有権は自分にあり、その敷地は地主から借りている不動産を指します。借地権とは建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権のことで(借地借家法 第2条第1号、2026年8月時点)、土地そのものを買うわけではありません。
つまり、同じ敷地の上に「自分の建物」と「他人の土地」が同居している状態が借地権付き建物です。所有権の家との違いは、価格や税金だけでなく、売る・建て替える・貸すといった場面で相手が一人増える点です。
借地権には旧法の借地権、普通借地権、定期借地権といった型があり、更新できるかどうかが型によって変わります。それぞれの基本的な定義は借地権の種類と仕組みの解説にまとめています。
登記簿と契約書のどこを見れば借地権付きと分かるのか
判別の起点は登記事項証明書です。建物の登記事項証明書は自分(または被相続人)の名義、土地の登記事項証明書は地主の名義になっていれば、その物件は借地権付き建物にあたります。土地の登記に「賃借権設定」の記載がないことも珍しくありません。借地権は登記されていないことのほうが多いためです。
登記がなくても借地権が守られる根拠は借地借家法にあります。土地の上に借地権者名義で登記された建物を所有していれば、借地権の登記がなくても第三者に対抗できると定められています(借地借家法 第10条第1項)。土地が第三者に売られても、建物の登記があれば「出ていってほしい」と言われずに済むという意味です。
裏を返すと、建物が未登記のままだったり、建物の名義が借地契約の名義人と違っていたりすると、この対抗力を失うおそれがあります。相続後に名義を変えていない物件では特に確認が必要な点です。
借地の持ち家は全国88万200世帯|そのうち8割超は更新できる型
借地の持ち家がどれくらいあるのかは、統計で確認できます。総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、敷地が借地の持ち家に住む世帯は全国で880,200世帯、持ち家全体(33,971,700世帯)の約2.6%です(総務省「令和5年住宅・土地統計調査」第186-1表、調査時点2023年10月・公開2025年1月)。
その内訳を、公表値をもとに構成比へ換算すると次のようになります。
| 区分 | 世帯数 | 借地全体に占める割合 | 読み取れること |
| 借地の持ち家 全体 | 880,200 | 100% | 持ち家全体の約2.6%(およそ38戸に1戸) |
| うち 一般の借地権 | 724,400 | 約82.3% | 更新して住み続けられる型が多数派 |
| うち 定期借地権など | 155,800 | 約17.7% | 期限で終わる型は少数派 |
| うち 敷地の取得が1990年以前 | 356,700 | 約40.5% | 現行法の施行前から続く契約が相当数残る |
借地の持ち家の内訳(全国・主世帯数・2023年10月時点)。総務省「令和5年住宅・土地統計調査」第186-1表の公表値を基に当社換算(借地総数を分母とする構成比へ四則演算のみで換算)
この数字が示すのは、「借地権付き=期限が来たら終わり」という理解が実態とずれているということです。実際には8割超が更新を前提とした一般の借地権であり、期限で確実に終わる定期借地権などは2割弱にとどまります。一方で敷地の取得が1990年以前の層が4割を占め、現行の借地借家法が施行される前から続く契約も相応に残っています。ですから価格の安さを評価する前に、自分の契約が更新できる型なのかを契約書で確かめてください。
借地権付き建物を買う・持ち続けるメリットは?

借地権付き建物のメリットは、取得価格を抑えられることと、土地の固定資産税を地主が納めることの2点です。固定資産税は固定資産の所有者に課すと定められているため(地方税法 第343条第1項、2026年8月時点)、土地分の固定資産税・都市計画税は地主に、建物分だけが借地権者に課される仕組みです。
同じ立地でも取得価格を抑えられる
借地権付き建物では、土地の所有権を買わずに使用する権利だけを引き継ぎます。そのため、同じエリアの所有権物件と比べて取得時の支払いが小さくなります。都心の住宅地のように土地価格が高いエリアほど、この差は大きくなる傾向です。
土地の価値のうち借地権がどれだけを占めるかは、相続税の路線価図で地域ごとに示されており、記号Aの90%から記号Gの30%まで幅があります(国税庁「路線価図の説明」、2026年8月時点)。この割合の読み方と使い方は借地権の基礎解説で扱っています。押さえておきたいのは、同じ立地でも土地の価値の3割から9割という幅で借地権の評価が変わるという点です。
土地の固定資産税・都市計画税は地主が納める
土地の固定資産税・都市計画税の納税義務者は土地の所有者、つまり地主です。借地権者に納税通知書が届くのは建物分だけになります。土地が広い物件ほど、この差は毎年の支出として効いてきます。
ただし、当社はこれを「実質ゼロ」と説明するのは正確ではないと見ています。地主は土地に対する租税その他の公課の増減を理由に地代の増額を請求できるためです(借地借家法 第11条第1項)。土地の税負担は、地代という形で間接的に借地権者へ回ってくる構造になっています。だから所有権の家と比べるときは、地代の年額と、その物件が所有権だった場合の固定資産税相当額を並べて検討してください。
更新できる型なら期限で追い出されるわけではない
普通借地権の存続期間は30年で、更新後は最初の更新が20年、その後は10年ずつと定められています(借地借家法 第3条・第4条)。期間が満了しても、建物がある限り借地権者は更新を請求でき、地主が異議を述べるには正当の事由が必要です(同法 第5条・第6条)。
同法第13条は、更新がないまま期間が満了したとき、借地権者が地主に対して建物を時価で買い取るよう請求できると定めています。土地は返すが建物代は受け取れる、という設計です。
一方で、定期借地権にはこの更新も建物買取請求も原則としてありません。同じ「借地権付き建物」でも、更新できる型かどうかで持ち続けられる年数がまったく変わります。
| 項目 | 所有権の家 | 借地権付き建物 | 当社が査定で見るポイント |
| 取得価格 | 土地+建物 | 建物+借地権 | 立地に対して割安か |
| 土地の固定資産税 | 自分が納める | 地主が納める | 地代への転嫁の程度 |
| 毎年の固定的支出 | 固定資産税 | 地代+建物の固定資産税 | 地代の改定履歴 |
| 建て替え・売却 | 自分だけで決められる | 契約により地主の承諾が必要 | 承諾条件が書面にあるか |
| 保有できる年数 | 制限なし | 権利の型と残存期間による | 残り年数と更新の可否 |
所有権の家と借地権付き建物で持ち主が負う費用と制約の違い。地方税法・借地借家法の規定に、当社の買取査定で確認している観点を加えて作成
要点: 借地権付き建物の経済的な利点は、取得価格の低さと土地の税負担が地主側にあることの2つで、その代わりに地代という毎年の固定支出を引き受ける構造になっています。
借地権付き建物のデメリットと引き受けるリスクは?

借地権付き建物のデメリットは、地代の継続負担、地主の承諾、住宅ローンの通りにくさの3点です。いずれも法律と契約の仕組みから生じるもので、地主の人柄や金融機関の姿勢とは別の次元の話になります。売却や建て替えのたびに相手の同意が要る、という構造がその中心にあります。
地代を払い続ける負担は所有権にはないコスト
地代は借地契約が続く限り発生し、途中でなくなることはありません。金額は当事者の合意で決まりますが、租税の増減や土地価格の変動、近傍類似の土地の地代との比較で不相当になったときは、当事者のどちらからでも将来に向かって増減を請求できます(借地借家法 第11条第1項)。
増額の協議がまとまらない場合、請求を受けた側は裁判が確定するまで相当と認める額を支払えば足ります。ただし裁判の結果、既払額に不足があったときは年1割の利息を付けて支払う必要があります(同条第2項)。「納得できないから払わない」は選べないという点は押さえておいてください。地代の水準や値上げを求められたときの考え方は、借地権の基礎解説で詳しく扱っています。
売る・建て替える・貸すたびに地主の承諾が要る
借地権付き建物を第三者に売る場合、売買の対象は建物でも、敷地の賃借権が一緒に移ります。賃借人は賃貸人の承諾を得なければ賃借権を譲り渡すことも転貸することもできず、違反した場合には契約を解除される可能性があります(民法 第612条、2026年8月時点)。地主に黙って売買を進めると、買主もろとも借地権を失いかねません。
| 場面 | 承諾が必要になる根拠 | 承諾が得られない場合 | 当社が見る難易度 |
| 第三者への売却 | 民法612条(賃借権の譲渡) | 裁判所の許可を申し立てられる(借地借家法19条) | 残存期間が長いほど通りやすい |
| 建物の建て替え | 契約の増改築制限特約 | 裁判所の許可を申し立てられる(同法17条2項) | 特約の有無で大きく変わる |
| 建物を人に貸す | 建物賃貸は承諾不要が原則 | — | 契約書の特約を要確認 |
| 相続で引き継ぐ | 承諾は不要(譲渡ではない) | — | 地主への連絡は必要 |
地主の承諾が必要になる場面と、断られたときに取れる手順。民法・借地借家法の規定に、当社が買取の現場で確認している観点を加えて作成
承諾が得られないときは裁判所の許可を申し立てられる
地主に断られても、そこで手続きが終わるわけではありません。第三者が賃借権を取得しても地主に不利となるおそれがないのに承諾が得られないときは、裁判所が地主の承諾に代わる許可を与えられます(借地借家法 第19条第1項)。裁判所は賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、譲渡を必要とする事情その他一切の事情を考慮すると定められています(同条第2項)。増改築を制限する特約がある場合も、通常の利用上相当な増改築については同法第17条第2項に同様の許可の制度が用意されています。
当社の見解を付け加えると、承諾を断られた状態は行き止まりに見えますが、法律は承諾が得られないときのために裁判所の許可という手順をあらかじめ用意しています。当社が訳あり物件の買取で提携弁護士・司法書士と組んでいるのも、この手順を前提に出口を設計するためです。だから断られた時点で結論を出さず、残存期間と地主とのこれまでの経緯を記録として整理しておいてください。それが次の一手の材料になります。なお、個別の申立ての可否は事情によって判断が分かれるため、弁護士への相談を前提にしてください。
住宅ローンが通りにくいのは土地に担保を付けられないから
借地権付き建物で融資が通りにくい理由は、担保の設定範囲にあります。抵当権の目的にできるのは不動産のほか、地上権と永小作権に限られています(民法 第369条)。住宅用の借地権の多くを占める賃借権型の借地権そのものには、抵当権を設定できません。
その結果、金融機関が担保に取れるのは建物と、地上権型であればその借地権までとなり、土地を担保に含められる所有権物件と比べて評価が下がります。金融機関が慎重なのは姿勢の問題ではなく、担保にできる財産の範囲が法律で決まっているためです。
だからこそ、購入を検討する段階では買付を入れる前に取扱いのある金融機関で事前審査を通しておくことが、後戻りを防ぐ現実的な手順になります。
定期借地権は期限が来たら建物を壊して返す前提
定期借地権は存続期間を50年以上として設定され、契約の更新も、建物の築造による期間の延長も、建物買取請求もないと定めることができます(借地借家法 第22条第1項)。期間が満了すれば、原則として建物を取り壊して土地を返すことになります。
事業用の建物を目的とする場合は存続期間30年以上50年未満(または10年以上30年未満)で設定され、契約は公正証書によらなければなりません(同法 第23条)。事業用の細かい仕組みは事業用定期借地権の仕組みと存続期間をご覧ください。また、設定後30年以上を経過した日に建物を地主へ相当の対価で譲渡する特約を付ける型もあります(同法 第24条)。
定期借地権の物件では、残存期間が短くなるほど解体費用の負担が現実のものになる点に注意が必要です。購入価格の安さだけで判断できないのはこのためです。
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借地権付き建物を買う・相続する前に確認すべき4点は?
借地権付き建物の判断は、権利の型・残存期間・承諾条件・資金調達の見通しの4点を確認すれば組み立てられます。必要な書類は借地契約書と、土地・建物それぞれの登記事項証明書の3点で、いずれも売主や地主、法務局から入手が可能です。
①権利の型と契約日を確認する
最初に見るのは借地契約書の日付です。現行の借地借家法は1991年10月4日に公布され、附則で公布から1年以内に施行すると定められたうえで、1992年8月1日に施行されました。そして施行前に設定された借地権の更新については、なお従前の例によるとされています(借地借家法 附則第1条・第6条)。つまり1992年8月1日より前に結ばれた契約かどうかが、旧法と現行法を分ける最初の目印になります。
契約書に「更新がない」「期間満了時に更地にして返還する」といった条項があれば定期借地権系、更新の定めがあれば普通借地権か旧法の借地権です。それぞれの型が制度としてどう違うのかは、借地権の種類と仕組みの解説にまとめています。
②残存期間で打てる手がどう変わるか
残存期間は買い手の評価を最も大きく左右します。残り年数が短いほど、次の買い手が組めるローンの期間も短くなるため、買える人が減っていくからです。当社が買取の現場で使っている判断の目安を、年数帯ごとに整理すると次のようになります。
| 残存期間の目安 | 買い手から見た評価 | この段階で打てる手 | 当社の買取判断 |
| 30年以上 | 所有権に近い感覚で検討される | 通常の売却・建て替えの検討 | 一般的な流通ルートが使える |
| 20〜30年 | ローン期間との兼ね合いが出る | 承諾条件の書面化・更新条件の確認 | 条件整理で選択肢が残る |
| 10〜20年 | 買い手が限られはじめる | 地主との交渉、底地との一体化の検討 | 現況のまま買取を検討する段階 |
| 10年未満 | 一般の買い手はほぼ付かない | 地主への売却、専門業者への相談 | 建物の状態と解体費を含めて判断 |
残存期間別に見た借地権付き建物の判断の目安。借地借家法の存続期間・更新の規定と、当社の買取判断の基準に基づいて作成
残存期間は借地契約書の始期と存続期間から逆算します。更新を重ねている物件では、直近の更新日から10年(設定後最初の更新なら20年)を起点に数えます。
③承諾料・更新料などの条件が書面にあるか
承諾料や名義書換料、更新料には法律で定められた金額がありません。契約と地域の慣行で決まるため、同じ条件の物件でも負担額が変わります。更新料の水準や求められたときの対応は借地権の更新料の解説で扱っています。
確認すべきは金額そのものより、契約書に条項があるかどうかです。「そのときに話し合う」としか書かれていない契約は、売却や建て替えの局面で金額の交渉から始めることになります。口頭の合意しかない場合は、地主と覚書を交わして書面に残しておけば、次の判断が早くなるはずです。
④資金調達の見通しを買付前に確認する
借地権付き建物では、金融機関の選定と地主の承諾がセットで進みます。取扱いのある金融機関でも、借地権付き物件では地主の承諾書や、土地への担保設定に関する同意を条件にすることがあります。
手順としては、物件資料と借地契約書を揃えて事前審査を申し込み、金融機関が必要とする書類を確認したうえで地主との承諾交渉に入る流れが安全です。承諾を取り付けてから融資が付かないと分かる順序になると、地主との関係にも影響します。
相続で引き継いだ場合に最初にやること
相続は「譲り渡し」ではなく包括承継にあたるため、借地権を相続することそのものに地主の承諾は不要です。民法612条が想定する譲渡・転貸には該当しません。ただし、契約の当事者が変わったことを地主へ知らせておかないと、地代の振込先や連絡先で行き違いが起きます。
税務面では、借地権は相続税や贈与税の課税対象になります(国税庁「No.4611 借地権の評価」、2026年8月時点)。土地を所有していないから相続税に関係ない、という理解は誤りです。申告が必要かどうかは他の財産との合計で決まるため、税理士に確認してください。あわせて建物の名義を変える相続登記も必要で、手続きの流れは土地の名義変更(相続登記)の解説で扱っています。
| 確認する項目 | 何で確認するか | 見るポイント |
| 権利の型と契約日 | 借地契約書 | 1992年8月1日より前か、更新の定めがあるか |
| 残存期間 | 借地契約書 | 始期・存続期間・直近の更新日 |
| 承諾条件 | 借地契約書・覚書 | 承諾料・更新料・増改築制限の条項 |
| 名義と対抗力 | 土地・建物の登記事項証明書 | 建物が借地権者名義で登記されているか |
購入・相続の前に確認する4点と、確認できる書類
要点: 4点のうち残存期間と承諾条件は後から変えにくく、資金調達はこの2つの結果に左右されます。確認の順番は契約書が先、金融機関はその後です。
更新も活用も難しいときはどうする?借地権付き建物を手放す3つの方向

借地権付き建物を手放す方向は、地主へ売る、第三者へ売る、専門業者へ直接売るの3つです。どれを選ぶかは残存期間と地主との関係、そして建物の状態で決まります。地主への売却は話がまとまりやすく、専門業者への直接売却は期日を確定できる、という違いがあります。
地主に買い取ってもらう場合は、土地の権利が地主に戻るため、価格の主導権が地主側に傾きやすくなります。交渉の進め方は借地権の買取交渉の解説で扱っています。地主と一緒に第三者へ売る方法や等価交換を含む選択肢の全体像は借地権を売却する4つの方法と流れに、建物が建ったままの状態で売るときの具体的な段取りは借地権付き建物を売却する流れにまとめています。価格の目安を知りたい場合は借地権の売却相場の解説を参照してください。
残存期間が短い物件ほど、買い手を探す時間そのものが損失になる
当社の買取くん(株式会社リアテクス)が借地権付き建物を扱ううえで前提にしているのは、残存期間が短い物件や建物が傷んだ物件ほど、一般の買い手を探す時間そのものが損失になるという見方です。実際、当社の買取実績には東京都北区の築50年超・傾きのある物件を4,400万円で買い取った例があります(借地人退去後の物件)。大阪府堺市では相続した実家を、家財を残したまま1,200万円で買い取りました。仲介で買い手を探し続けるか、価格を確定させて期日を切るか。この選択を早い段階で決められると、地代を払い続ける期間も短くできます。
売る前提でなくても構いません。残存期間と承諾条件が分かる書類が揃った時点で、いくらで売れる物件なのかを一度確認しておくと、持ち続ける判断にも根拠が持てます。
借地権付き建物についてよくある質問
Q1. 借地権付き建物でも住宅ローンは組めますか?
取扱いのある金融機関はあります。建物には抵当権を設定できるためです。ただし、借地権付き物件では地主の承諾書や、借地権に担保を設定することへの同意書を条件とする金融機関が多く、書類の準備に時間がかかります。物件を押さえる前に、承諾関係の書類まで含めて事前審査で確認しておくと安全です。
Q2. 借地権付き建物は地主の許可なく建て替えられますか?
契約書に増改築を制限する特約があるかどうかで変わります。特約があれば地主の承諾が必要で、協議がまとまらないときは裁判所に承諾に代わる許可を申し立てられます(借地借家法 第17条第2項)。特約がない場合、建て替えに法律上の承諾は必須ではありませんが、更新後の期間や再築の扱いで争いになりやすいため、事前に地主と書面で確認しておくことをおすすめします。
Q3. 借地権付き建物を相続するとき、地主の承諾は必要ですか?
相続では承諾は不要です。相続は譲渡にあたらないためです。ただし、相続人以外の人へ遺贈する場合は譲渡にあたり、地主の承諾が必要になります。遺言で借地権付き建物を親族以外へ渡す予定があるときは、この違いを踏まえて準備してください。
Q4. 借地権付き建物の売買契約書では何を確認すればよいですか?
地主の承諾取得を契約の停止条件にしているか、承諾料を売主と買主のどちらが負担するかの2点です。承諾が取れなかったときに契約が白紙に戻る条項がないと、承諾が下りないのに代金だけ支払う事態になりかねません。承諾料の負担者も、書かれていなければ引渡し直前に揉める原因になります。
ここまで見てきた判断の前提として、借地権そのものの仕組みや評価の考え方をまとめて確認したい場合は、借地権の全体解説に戻ると全体像から整理できます。
まとめ
借地権付き建物は、建物だけを所有し敷地は借りている不動産です。取得価格を抑えられて土地の固定資産税も地主が納める一方、地代と地主の承諾という制約を引き受けることになります。判断に必要なのは権利の型・残存期間・承諾条件・資金調達の4点で、いずれも借地契約書と登記事項証明書で確認できます。書類を手元に揃えたうえで借地権全体の仕組みから読み直せば、自分の物件が置かれた位置がはっきりするはずです。
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