借地権の更新料はいくら?支払い義務と相場の調べ方・交渉の進め方

借地権の更新料に、法律上当然の支払い義務はありません。金額も借地権価格を基準にした実務上の目安があるだけで、公的な相場統計は存在しません。提示された額が妥当かを自分の土地の数字で検証する手順と、高いと感じたときの打ち手をまとめます。まず借地権の基本を借地権の基礎からの解説で押さえてください

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借地権の更新料に支払い義務はある?

借地借家法に更新料の条文はなく、契約書の定め・今回の合意・過去実績+今回の合意の3ケースでのみ債務が生じることを整理した図
義務の有無は法律ではなく契約書が決める。過去の支払い実績だけでは次回の義務は生じない(出典: 借地借家法(e-Gov)・国税庁 法人税基本通達 第13章)

借地権の更新料には、借地借家法で定められた支払い義務はなく、契約に定めがあるときにだけ支払う債務が生じます。同法が置いているのは更新後の期間や更新拒絶の要件を定めた条文で、金銭の授受を求める規定はありません(借地借家法)。1992年7月31日以前に設定された古い借地も、この点は変わりません。

借地借家法に「更新料」の条文はない

借地借家法が更新について定めているのは、更新後の存続期間(第4条・最初の更新は20年、以降は10年)、借地人が更新を請求したときに建物があれば従前と同じ条件で更新したものとみなす法定更新(第5条)、そして地主が更新を拒むには正当の事由が必要だとする規定(第6条)の3点です。いずれも期間と手続きのルールであって、更新の対価を求める条文ではありません。

1992年7月31日以前に設定された借地権は、附則第6条によって更新に関しては旧借地法の扱いが続きます。ただし旧法にも更新料の規定はないため、義務の有無を決めているのは新法か旧法かではなく契約の中身です。旧法・新法の違いそのものは借地権の基礎知識で整理しています。

支払い義務が生じるのはこの3つのどれかに当てはまるとき

更新料を払う債務が生じるのは、次のいずれかに当てはまるときです。

当てはまるケース 何を確認すればよいか
契約書に更新料の定めがある 借地契約書の原本・写し、過去の覚書
今回の更新で金額を含めて合意した 更新契約書、地主とのやり取りの記録
過去の更新で払っており、今回も同じ扱いで合意する 前回の領収書、振込記録、通帳の履歴

注意したいのは3つ目です。過去に払った実績があるだけでは、次回も払う義務が自動的に生まれるわけではありません。過去の支払いは「今回も同じように合意しよう」という話し合いの材料にはなりますが、それ自体が将来の約束にはならないためです。更新料を払う義務があるかどうかは、法律ではなく手元の契約書が決めています。まず契約書を探すところから始めてください。

国税庁の通達も「更新料の慣行がない地域」を前提にしている

更新料が全国どこでも当たり前に授受されているわけではない点は、課税実務の側でも明文で前提にされています。法人税基本通達の定めは次のとおりです。

(更新料等)
13-1-13 法人が、借地権の設定等に係る契約の更新又は更改をする場合において、当該借地権に係る土地の存する地域において通常いわゆる更新料又は更改料を授受する取引上の慣行があることが明らかでないためその授受をしなかったときは、これを認める。
(出典: 国税庁 法人税基本通達 第13章

当社はこの一文を、更新料の位置づけを示す材料として重視しています。国が「更新料を授受する慣行が明らかでない」地域の存在を前提に課税の取り扱いを定めている以上、更新料は全国一律の商慣習ではなく、地域と契約ごとに違うと考えるほうが実態に近いでしょう。そのため、「借地なら更新料は払うもの」という前提から入らず、自分の契約と地域でどう扱われてきたかを確認するところから始めてください。

借地権の更新料の相場はいくら?自分の土地で試算する3ステップ

路線価215D・150平方メートルの土地で更新料の目安が約161万〜323万円、同じ5%を借地権価格に掛けると約97万円になる分母別の比較チャート
同じ「5%」でも分母が更地価格か借地権価格かで金額は約1.7倍変わる(出典: 国税庁 路線価図の説明の表記ルールと全日本不動産協会の目安を基に当社試算・2026年8月時点)

借地権の更新料に公的な相場統計はなく、実務上の目安が語られているだけです。目安の計算に使う借地権価格は、更地としての価額に借地権割合を掛けて求めます(国税庁 借地権の評価、令和8年4月1日現在法令等)。借地権割合は国税庁の路線価図に記号で載っているため、自分の土地の数字で目安額を出せます。

「◯%」だけでは金額は決まらない — 分母を確認する

公益社団法人全日本不動産協会の税務解説では、借地契約の更新にあたり「一般には更地時価の5〜10%程度の金銭の授受が行われています」とされています(全日本不動産協会、月刊不動産2005年10月号掲載)。これは統計ではなく実務の目安であり、掲載も20年前である点は割り引いて読む必要があります。

そのうえで当社が実務で重視しているのは、%の数字よりも分母のほうが金額を左右するという点です。実務では「更地価格の◯%」と「借地権価格の◯%」の両方の言い方が使われますが、借地権割合が60%の土地なら借地権価格は更地価格の6割ですから、同じ「5%」でも分母の取り方で金額は約1.7倍変わります提示額を見たら、まず「何の何%なのか」を地主に確認してください

ステップ1〜2:路線価図で借地権割合と更地価格を確認する

国税庁の財産評価基準書で、対象の土地が面している道路の路線価を引きます。路線価は1平方メートルあたりの価額を千円単位で表示したもので、その右隣のA〜Gの記号が示すのが借地権割合です(国税庁 路線価図の説明、2026年8月時点)。

記号 借地権割合
A 90%
B 80%
C 70%
D 60%
E 50%
F 40%
G 30%

たとえば「215D」と書かれていれば、1平方メートルあたり215,000円、借地権割合は60%です。路線価に地積を掛ければ更地としての価額の目安が出ます。借地権割合の読み取りや路線価図そのものの見方は借地権の基礎からの解説で詳しく扱っているので、あわせて確認してください。

ステップ3:更新料の目安額を試算する

路線価「215D」・地積150平方メートルの土地を例に、実際の金額まで落としてみます。

ステップ 計算 金額
更地としての価額 215,000円 × 150㎡ 3,225万円
借地権価格 3,225万円 × 60% 1,935万円
更新料の目安(更地価額の5〜10%) 3,225万円 × 5〜10% 約161万〜323万円
参考:同じ5%を借地権価格に掛けた場合 1,935万円 × 5% 約97万円

データ出典: 国税庁 路線価図の説明の表記ルールと全日本不動産協会の目安を基に当社試算(2026年8月時点)

この試算には3つの限界があります。奥行きや形状に応じた補正率を考慮していない簡易計算であること、路線価は相続税・贈与税の評価額であり、実際の取引価格とは一致しません。そして更新料の割合そのものが目安にすぎないことです。それでも、地主から提示された額が「約161万〜323万円」の帯から大きく外れていないかどうかは、この計算だけでも判断が可能です。

要点: 更新料の妥当性は「相場の%」ではなく、自分の土地の路線価と借地権割合から出した金額帯と提示額を突き合わせて判断できます。

提示された更新料が高すぎるかを見分ける3つの基準

契約書の算定方法・前回実額・路線価からの逆算という3つのチェックを順に通し、説明がつかない基準が2つ以上なら根拠を尋ねる判定フロー図
3基準を順にチェックし、説明がつかないものが2つ以上あれば書面で算出根拠を求める(出典: 国税庁 路線価図の説明・借地契約書の記載を基に当社作成・2026年8月時点)

提示額が高いかどうかは、%の比較ではなく契約書・前回の更新料の実額・借地権割合からの逆算という3点の突き合わせで判定します。3つのうち2つ以上で説明がつかない金額であれば、根拠を尋ねる余地は十分にあるでしょう。金額そのものより、地主が何を根拠に算出したのかがわかっているかが判断の分かれ目です。

基準 確認先 高いと判断できる目安
契約書の定め 借地契約書・覚書 契約書の算定方法と提示額が合わない
前回の更新料の実額 領収書・振込記録 地価の動きを超えて大きく増えている
借地権割合からの逆算 国税庁の路線価図 試算した金額帯を明らかに上回る

この3点がすべて揃わなくても、揃った分だけ交渉の材料になります

一般論として、更新料は当事者の合意で決まる以上「正解の金額」は存在しません。だからこそ当社の買取くんでは、借地権のご相談をお受けするときに、まず契約書と前回の支払い記録の有無を確認したうえで路線価から金額帯を出し、提示額がその外にあるかどうかを一緒に見るようにしています。金額の高低を感覚で争っても話は進まず、数字の出どころを揃えたほうが結論が早いためです。なお、契約の解釈や訴訟の見込みに関わる判断は、弁護士・司法書士など資格を持つ専門家にご相談ください。

高い更新料はどう交渉すればいい?

更新料の減額交渉は、資料を揃えてから書面で根拠を示して進めます。感情的なやり取りを避け、契約書の定め・前回の実額・路線価からの試算という事実を並べたほうが、地主にとっても検討しやすい形です。合意した内容は更新契約書や覚書へ落とし込んでください。

交渉を始める前に揃える3つの資料

手元に用意するのは、借地契約書(原本または写し)、前回の更新料がわかる領収書や振込記録、そして対象地の路線価図の該当ページの3点です。契約書が見つからない場合でも、地代の振込記録や固定資産税の通知書から契約の存在と経緯をたどれることがあります。

資料が揃ったら、提示額のどこが説明できないのかを1〜2行で言語化しておきましょう。「前回の3倍になっている理由を教えてほしい」「契約書には算定方法の記載がないので、根拠を確認したい」といった具体的な問いのほうが、単に「高い」と伝えるより話が前に進みます。

交渉が進まないときにどこで区切るか

更新の時期が迫っている場合は、口頭のやり取りを早めに書面へ切り替えます。いつ・誰が・何を提示したかが記録に残るため、後から条件が変わる事態を防げるからです。話し合いが平行線のまま期限が近づくなら、契約の解釈が争点なら弁護士、金額の妥当性や出口の比較が争点なら借地権を扱う不動産会社、と相談先を分けると判断が早まります。

更新のタイミングで地代の値上げを同時に提示されることもあります。地代は更新料とは別の論点で、増減額請求のルールも異なるため、借地権の基礎からの解説の該当章もあわせて確認してください。

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更新料を払わないとどうなる?

更新料を払わなくても、建物が建っている限り借地権そのものは法定更新によって原則として続きます。ただし契約書に更新料の定めがある場合は話が別で、支払わないこと自体が契約違反として扱われます。結果が分かれる境目は、やはり契約書の中身です。

契約に更新料の定めがある場合とない場合で結果が変わる

契約書に更新料の定めがない場合、支払いを断っても契約上の義務違反にはなりません。存続期間が満了しても建物があり、借地人が土地の使用を続けていれば、地主が正当の事由をもって異議を述べない限り従前と同じ条件で更新したものとみなされます(借地借家法第5条・第6条)。建物が建っている限り、更新料を払わなくても借地権そのものは原則として続きます

一方、契約書に更新料の定めがある場合は、支払わないと債務不履行を問われます。不払いの程度や経緯によっては、契約解除の可否まで争点になることもあるでしょう。請求や訴訟に発展すれば時間も費用もかかり、その後の建替え承諾や譲渡承諾の交渉にも影響します。なお法定更新の場面では建物の登記の有無が第三者への対抗力を左右するため、登記状況に不安があれば借地権の登記は必要かの判断基準もあわせて確認してください。

「払わずに粘る」戦術に出口がない理由

更新料を払わないまま様子を見る、という選択には落とし穴があります。借地人には建物を時価で買い取らせる建物買取請求権がありますが、この権利は契約の更新がないときにしか使えません(前掲・借地借家法第13条第1項)。法定更新で契約が続いている間は、建物を地主に引き取らせて借地から抜けるという出口が開きません。

つまり「払わない」は借地に住み続けるための選択肢にはなり得ても、借地から離脱するための手段にはなりません。手放すことも視野に入れているなら、払わずに引き延ばすより、更新の期限までに条件を整理して動くほうが選択肢は広く残ります。

要点: 更新料を払わない選択は、契約に定めがなければ成立しますが、借地から抜ける出口を用意する手段にはなりません。

更新料が払えないときの選択肢は?

資金の目処の有無で分割・地代上乗せ・支払時期の後ろ倒しという支払い方法変更と、更新前に手放す選択に分岐する二択フロー図
減額交渉より先に支払い方法の変更を提案し、合意内容は書面へ残す(出典: 当社の借地権・訳あり物件の買取実績・2026年8月時点)

資金が用意できないときの打ち手は、支払い方法を変える交渉と、更新を機に手放す選択の2系統です。前者は分割払いや地代への上乗せ、後者は地主や専門業者への売却が中心になります。どちらも更新の期限までに動き出せるかどうかで選べる幅が変わります。

支払い方法を変える交渉から始める

まず検討したいのは、金額そのものではなく支払い方法の変更です。一括での支払いが難しい事情を伝えたうえで、複数回に分けての支払い、月々の地代への上乗せ、支払時期の後ろ倒しといった案を具体的に示します。地主にとっても、更新料が回収できないより分割で確実に受け取れるほうが利益になるため、金額の減額より合意に至りやすい交渉です。

条件がまとまったら、口約束で終わらせず、書面に残してください。分割の回数・各回の金額・支払期日・遅れた場合の扱いまで更新契約書か覚書に書き込んでおけば、地主の代替わりがあっても合意内容を示せます。

更新を機に手放すという選択

支払いの目処が立たない場合や、そもそも使っていない借地であれば、更新前に手放す選択も比較対象になるでしょう。

比較の軸 更新料を払って住み続ける 更新前に手放す
当面の支出 更新料の一括負担が発生 支出なし・売却代金が入る
その後の負担 地代・建物の修繕費が続く なくなる
出口の自由度 次の更新まで同じ判断を繰り返す 一度で完了
地主の関与 更新の合意が必要 第三者へ譲渡する場合は承諾が必要

売却先には地主と専門業者の両方があり、それぞれ進め方が異なります。詳しくは借地権を地主・業者に買い取ってもらう方法で、売却全体の流れは借地権売却の進め方をご覧ください。

当社の買取くんでは、借地権や再建築不可といった条件のついた物件を直接買い取っています。東京都北区の築50年超・傾きのある物件を4,400万円で買い取った実績があり、提携する岩村司法書士事務所の司法書士が所有権移転登記までを担当する体制です。ただし直接買取は仲介より価格が下がる場合があることも、あらかじめお伝えしておきます。更新料を払う前に、手放した場合の金額を一度知っておくと判断が具体的になります

借地権の更新料に関するよくある質問

更新料はいつまでに支払えばよいですか?

法律上の支払期限はありません。契約書に支払時期の定めがあればそれに従い、定めがなければ更新の合意時に地主と取り決めます。存続期間の満了日そのものが期限になるわけではないため、期限を理由に急いで金額に合意する必要はありません。

契約書を紛失していて更新料の定めがわかりません。どうすればよいですか?

まず地主に写しの提供を求めます。地主側も保管していない場合は、前回の更新時の覚書、地代の振込記録、法務局で取得できる建物の登記事項証明書から契約の経緯をたどります。定めが確認できないまま金額に合意すると、その合意自体が新たな根拠になるため、確認を先に済ませてください。

更新料と譲渡承諾料・増改築承諾料は何が違いますか?

更新料は契約期間を延長する場面の金銭、譲渡承諾料は借地権を第三者に譲るときに地主の承諾を得るための金銭、増改築承諾料は建物を建て替えたり増築したりする際の金銭です。支払う場面が違うため、更新と譲渡が同じ時期に重なると別々に発生します。譲渡承諾料の詳細は借地権の譲渡で扱っています。

定期借地権でも更新料はかかりますか?

定期借地権は契約期間の満了で終了し、更新がありません。したがって更新料も発生しません。更新料が問題になるのは、旧借地法または借地借家法の普通借地権にもとづく契約です。自分の契約がどちらかは、契約書の名称と設定時期から判別できます。

まとめ

借地権の更新料の支払い義務を決めているのは、法律ではなく契約書です。金額に公的な相場はなく、国税庁の路線価図から借地権割合を確認して自分の土地の金額帯を出せば、提示額が妥当かは自分で検証できます。払えない場合も、分割の交渉と更新前に手放す選択の両方を比べたうえで決められます。判断に迷ったときは借地権の総合ガイドで次の一手を確認するのが早道です。

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