家の名義変更の必要書類|ケース別の一覧と役所を回る順番

不動産買取の基礎知識

小浜地方合同庁舎 税務署法務局ハロワほか

「戸籍って、結局何通そろえればいいんだろう」
「役所には何回行けば終わるんだろう」

家の名義変更では、登記申請書と登記原因証明情報、新所有者の住民票、評価証明書の4点がどのケースでも必要です。そこに、相続なら戸籍一式、贈与や売買なら手放す側の権利証と印鑑証明書が加わります。ケース別の一覧、取得先と手数料、有効期限、様式の入手先までまとめました。

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家の名義変更で必ず要る書類は?どのケースでも共通する4点

登記申請書・登記原因証明情報・住民票・評価証明書の4点を役割別に並べ、自分で作る2点と窓口で取る2点に仕分けた図解
4点のうちゼロから作るのは登記申請書と登記原因証明情報の2点(出典: 法務局「不動産登記の申請書様式について」を基に当社作成)

家の名義変更では、登記申請書・登記原因証明情報・住所証明情報・評価証明書の4点が共通して必要です。名義変更とは、法務局に所有権移転登記を申請して、登記簿に載っている持ち主を書き換える手続きのこと。この4点は相続でも売買でも変わらず、入れ替わるのはケースごとに足す書類のほうです(法務局「不動産登記の申請書様式について」)。

先にどのケースでも共通する4点を押さえ、そこから自分のケースの追加分を足していく——この順番だと、集める量の全体像が一度に見通せます。

共通4点はそれぞれ何を証明する紙か

4点はそれぞれ役割が違います。何を証明する紙なのかが分かると、代わりに何を出せばよいのかも判断できます。

  • 登記申請書:誰から誰へ、どの不動産の所有権を移すのかを法務局に伝える書類。自分で作成します
  • 登記原因証明情報:「なぜ持ち主が変わったのか」を示す書類のこと。遺産分割協議書・売買契約書・贈与契約書などが当てはまります
  • 住所証明情報:新しく所有者になる人の住民票。その人が実在し、どこに住んでいるかを示します
  • 固定資産評価証明書:家と土地の評価額を市区町村が証明する書類。相続なら、毎年4月頃に届く固定資産課税明細書でも足ります

たとえば、亡くなった親名義の実家を、子ども2人のうち1人が引き継ぐと話し合いで決めた場合。登記原因証明情報は相続人でまとめた遺産分割協議書、住所証明情報は自分の住民票、評価額の証明は手元の課税明細書——という当てはめになります。⇒ ゼロから作るのは登記申請書と遺産分割協議書だけなんです。

権利証(登記識別情報)が要るのは手放す側がいる売買・贈与・財産分与

家を売る・あげる・分けるときには、手放す側が持っている権利証を添えます。権利証とは、その不動産の所有者であることを法務局が通知した書類のこと。2005年の法改正以降は順次、登記識別情報という12桁の英数字の形で通知されるようになり、それ以前は登記済権利証という表紙付きの書類が交付されていました。

一方、相続では権利証を出しません。手放す側にあたる本人が亡くなっているためで、代わりに戸籍で「亡くなったこと」と「誰が相続人か」を示すことになります。ここが相続とそれ以外の、いちばん大きな分かれ目です。

なお相続では、取得を知った日から3年以内に登記を申請する義務もあります。これが令和6年4月1日に始まった相続登記の義務化(相続した不動産の名義変更を法律で義務づける決まりのこと)です(法務省)。書類集めを後回しにしにくい理由でもあるんです。誰が対象になるのかという制度側の線引きは、相続登記の義務化と名義変更の関係で整理しています。

ケース別に変わる必要書類|相続・生前贈与・財産分与・売買

手放す側が手続きに参加するかで相続と贈与・財産分与・売買に分け、加わる書類と印鑑証明書の必要人数を示した分岐図
印鑑証明書は相続(遺産分割協議)なら相続人全員分、贈与・財産分与・売買なら手放す側1人分。法定相続分どおりの登記と遺言書がある相続では不要(出典: 法務局「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」を基に当社作成)

共通4点に加わるのは、相続なら亡くなった人の戸籍一式、生前贈与・財産分与・売買なら手放す側の権利証と印鑑証明書です。共通4点のうち登記原因証明情報の中身は、遺産分割協議書・贈与契約書・離婚協議書・売買契約書と、ケースごとに入れ替わります。

下の表は、法務局が公開している相続の必要書類一覧と、原因別の申請書様式・記載例の添付情報を、4つの原因(相続は3パターン)で横に並べたものです。自分の列を縦に読めば、そのままチェックリストになります。

書類 相続(遺産分割協議) 相続(法定相続分) 相続(遺言書あり) 生前贈与 離婚の財産分与 売買
登記申請書 要(自分で作成) 要(自分で作成) 要(自分で作成) 要(自分で作成) 要(自分で作成) 要(自分で作成)
登記原因証明情報 遺産分割協議書 戸籍一式で兼ねる 遺言書 贈与契約書 離婚協議書・財産分与契約書 売買契約書
権利証(登記識別情報) 不要 不要 不要 要(贈与する側) 要(家を渡す側) 要(売主)
亡くなった人の戸籍・除籍・改製原戸籍 出生から死亡まで全部 出生から死亡まで全部 死亡の記載があるもの 不要 不要 不要
亡くなった人の住民票の除票または戸籍の附票 不要 不要 不要
相続人の戸籍謄本 要(死亡日以降の発行) 要(死亡日以降の発行) 要(死亡日以降の発行)。配偶者・子以外が引き継ぐなら戸除籍謄本等も加わる 不要 不要 不要
印鑑証明書 要(相続人全員) 不要 不要 要(贈与する側) 要(家を渡す側) 要(売主)
新しく所有者になる人の住民票
固定資産評価証明書・課税明細書
相続関係説明図 戸籍を返してもらうなら要 戸籍を返してもらうなら要 戸籍を返してもらうなら要 不要 不要 不要
委任状 代理で申請するときのみ 代理で申請するときのみ 代理で申請するときのみ 代理で申請するときのみ 代理で申請するときのみ 代理で申請するときのみ

データ出典: 法務局「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」法務局「不動産登記の申請書様式について」(当社作成)

横に並べると、印鑑証明書が「誰の分か」で意味の変わる書類だと見えてきます。相続(遺産分割協議)で要るのは相続人全員分、贈与・財産分与・売買で要るのは家を手放す側1人分。同じ書類名でも、集める人数がまったく違うわけです。

自分がどの原因に当たるのかと、名義変更全体の流れは家の名義変更の進め方で整理しています。

相続は3パターンで中身が変わる

相続は、遺産分割協議・法定相続分・遺言書ありの3パターンで中身が入れ替わります。法務局がこの3パターン別に一覧を公開していて、どれに当てはまるかで集める量が大きく変わるんです。法定相続分とは、民法で決まっている相続人ごとの取り分のこと。相続人どうしで話し合って分け方を決めたなら「遺産分割協議」、話し合わずに民法の取り分どおり登記するなら「法定相続分」、遺言書があるなら「遺言書あり」です。上の表も、自分に当てはまる列だけを縦に読めば大丈夫なんです。

遺産分割協議で決めた場合は、相続人全員が署名した遺産分割協議書と、そこに押した実印の印鑑証明書が加わります。法定相続分どおりに登記するなら、この2つはどちらも不要。遺言書がある場合は、亡くなった方の戸籍が「出生から死亡まで」ではなく死亡の事実が分かる戸籍で足りるんです。

ただし遺言書のパターンには条件が付くんです。自筆証書遺言が法務局に保管されているときは遺言書情報証明書が必要で、それ以外の自筆証書遺言と秘密証書遺言は家庭裁判所の検認を受けてから使います(法務局の必要書類一覧)。

⇒ 兄弟姉妹や孫が新しい所有者になる場合は、法定相続人であることを確認できる戸除籍謄本等も必要です。親子間の相続に比べて、たどる戸籍の範囲は広めになります。

生前贈与で加わる書類

生前贈与では、贈与契約書が登記原因証明情報になります。加えて、贈与する側の権利証(登記識別情報)と印鑑証明書、もらう側の住民票を用意します。

相続と違い、贈与では渡す側が手続きに参加します。実印を押して印鑑証明書を出すのも渡す側。税金の扱いは書類とは別の判断が要るので、親から子へ名義を移すときの選択肢をご覧ください。

離婚の財産分与で加わる書類

離婚に伴う財産分与では、離婚協議書または財産分与契約書が登記原因証明情報になります。加えて、家を渡す側の権利証と印鑑証明書、受け取る側の住民票が必要です。

順番に注意が要るのはここ。財産分与を原因とする登記は、離婚届が受理されて離婚が成立したあとでなければ申請できません。離婚の記載が入った戸籍で、成立した事実を示すことになります。

売買で加わる書類

売買では、売買契約書が登記原因証明情報になります。売主の権利証と印鑑証明書、買主の住民票を添えるという構成は、贈与や財産分与と同じです。

司法書士が代理で申請する場合は、売主・買主それぞれの委任状も加わります。決済の当日に代金の受け渡しと登記申請をそろえるため、書類の不備がそのまま決済の遅れにつながる点に注意してください。土地だけの名義変更で必要になる書類は、土地の名義変更でまとめています。

書類はどこで取る?取得先・手数料と、役所を回る順番

法務局から市区町村へ順に回る5ステップに、登記事項証明書600円・戸籍1通450円などの手数料と戸籍代2,700円の目安を並べた図
先に法務局で不動産の個数を確定してから役所を回ると戻り作業が減る(出典: e-Gov「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」・法務省「登記手数料について」を基に当社作成)

書類の取得先は本籍地の市区町村・住所地の市区町村・資産税の窓口・法務局の4つに分かれます。戸籍は1通450円、除籍謄本と改製原戸籍は1通750円です(e-Gov「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」)。登記事項証明書は法務局の窓口請求で600円かかります(法務省「登記手数料について」)。

窓口が4つに分かれているぶん、取りに行く前に「どこで・いくらで・まとめて取れるか」を一枚で見ておくと空振りが減ります。

取得先と手数料の一覧

先に、耳慣れない書類名を整理しておきます。改製原戸籍とは、戸籍の様式が変わったときに書き換え前の内容を残した戸籍のこと。戸籍の附票は本籍地の市区町村が管理している住所の履歴で、住民票の除票は転出や死亡で消除された住民票を指します。相続では、この3つで「登記簿の住所」と「亡くなった方」を結びつけます。表に出てくる「広域交付」は、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍を請求できる仕組みのこと。くわしくは次の見出しで説明します。

書類 取得窓口 手数料 本籍地以外の窓口(広域交付)で取れるか 備考
戸籍謄本(現在の戸籍) 本籍地の市区町村 1通450円 取れる(本人・配偶者・直系尊属・直系卑属の分) 相続では出生から死亡までたどる
除籍謄本・改製原戸籍 本籍地の市区町村 1通750円 取れる(同じ範囲。電算化されていない戸籍を除く) 転籍や結婚のたびに通数が増える
戸籍の附票 本籍地の市区町村 市区町村により異なる 取れない(対象は戸籍・除籍の証明書のみ) 住所の履歴を確認するときに使う
住民票・住民票の除票 住所地の市区町村 市区町村により異なる 取れない(対象は戸籍・除籍の証明書のみ) マイナンバーの記載がないものを取る
印鑑証明書 住所地の市区町村 市区町村により異なる 取れない(対象は戸籍・除籍の証明書のみ) 遺産分割協議書に押した実印の分
固定資産評価証明書 不動産所在地の市区町村(東京23区は都税事務所) 市区町村により異なる 取れない(対象は戸籍・除籍の証明書のみ) 相続では課税明細書でも足りる
登記事項証明書 全国の法務局 窓口請求600円/オンライン請求・郵送520円/オンライン請求・窓口交付490円 取れない(法務局が出す証明書) 不動産の個数と登記上の住所を確認

データ出典: e-Gov「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」別表八法務省「登記手数料について」法務省「戸籍法の一部を改正する法律について」(当社作成)

戸籍代は、たどる通数で決まります。現在の戸籍が1通、除籍と改製原戸籍が3通必要だったとすると、450円+750円×3で2,700円。転籍や結婚が多い方ほど通数が増えるので、先に目安を持っておくと郵送請求の定額小為替も用意しやすいですよ。

登記事項証明書は、オンラインで請求したほうが窓口請求より安く済みます。登録免許税や司法書士報酬まで含めた総額は、家の名義変更の費用で解説しています。

戸籍は本籍地以外の窓口でもまとめて取れる

戸籍集めがつらいのは、本籍地が転々としているときですよね。ここで使えるのが広域交付です。令和6年3月1日から始まった仕組みで、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書・除籍証明書を請求できるようになりました(法務省)。

うれしいのは「まとめて」の部分。ほしい戸籍の本籍地が北海道と九州に分かれていても、住まいや勤務先の最寄りの窓口1か所で請求できます。

ただし、使える条件が決まっています。

  • 請求できるのは、本人・配偶者・父母や祖父母(直系尊属)・子や孫(直系卑属)の戸籍証明書等
  • 郵送や代理人による請求はできず、戸籍担当窓口へ本人が出向く必要がある
  • 窓口では運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど、顔写真付きの本人確認書類を提示する
  • コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍は対象外で、一部事項証明書・個人事項証明書も請求できない

この範囲に当てはまらない戸籍は、従来どおり本籍地の市区町村へ請求します。兄弟姉妹の戸籍をたどるケースでは、広域交付で取れる分と本籍地へ請求する分を最初に仕分けておくと、窓口での空振りを防げます。

取り寄せの順番——先に法務局、次に役所

同じ書類をそろえるのでも、取る順番で戻り作業の量が変わります。おすすめは次の順番です。

  1. 法務局で登記事項証明書を取り、不動産の個数と登記簿上の住所を確定する
  2. 亡くなった方の戸籍・除籍・改製原戸籍と、住民票の除票または戸籍の附票を取り、登記簿の住所とのつながりを確認する
  3. 相続人の戸籍謄本と印鑑証明書を集める(遺産分割協議書に押す実印の分)
  4. 新しく所有者になる人の住民票を取る
  5. 固定資産評価証明書、または手元の課税明細書を用意する

最初に登記事項証明書を取るのは、土地が2筆に分かれていた、私道の持分があった、といった見落としがここで分かるためです。平日に休みを取れるのが1日だけ、というときほど、この順番が効いてきます。

細かい点も2つだけ。住民票はマイナンバーの記載がないものを取ってください(記載があると登記に添付できません)。固定資産課税明細書は、申請する日の属する年度のものを使います(法務局の申請書様式ページ)。

有効期限は原因で変わる|相続はなし、売買・贈与は印鑑証明書が3か月

相続登記に出す書類に有効期限はなく、期限が付くのは売買・贈与・財産分与の印鑑証明書だけです。法務局が公開する相続の必要書類一覧は、戸籍・住民票・印鑑証明書のいずれも有効期限欄を「なし」としています(法務局)。

名義変更の原因 印鑑証明書の有効期限 戸籍・住民票の有効期限
相続(遺産分割協議・法定相続分・遺言書あり) なし なし
生前贈与・離婚の財産分与・売買 申請書に記名押印する側の分は作成後3か月以内 法令上の定めなし(発行時期は取引の当事者間で調整)

データ出典: 法務局「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」/e-Gov「不動産登記令」16条3項(当社作成)

「証明書は3か月で切れる」という感覚は、売買・贈与の話。相続で集めた戸籍が古くなって無駄になることはありません。

相続では期限がない代わりに守る条件

期限がない代わりに、相続には発行のタイミングの条件があります。相続人の戸籍謄本は亡くなった日以降に発行されたものを使い、固定資産課税明細書は登記申請をする日の属する年度のものを使う。この2つです(法務局の必要書類一覧)。

たとえば、印鑑証明書を先に取ったあとで遺産分割の話し合いが3か月以上かかった場合。売買なら取り直しですが、相続登記では取り直しになりません。話し合いが長引きそうなご家庭でも、先に集められる書類から手を付けて大丈夫、ということです。

気をつけたいのは年度をまたぐとき。3月中に用意した課税明細書で4月以降に申請すると、年度が変わっています。話し合いが越年しそうなら、明細書だけは申請の直前に用意し直します。

売買・贈与・財産分与で3か月以内が要る書類

売買・贈与・財産分与では、不動産登記令16条3項が「前項の印鑑に関する証明書は、作成後三月以内のものでなければならない。」と定めています(e-Gov「不動産登記令」)。

対象になるのは、申請書に記名押印した人の印鑑証明書です。つまり家を手放す側の分。もらう側・買う側が出す住民票には、この3か月の定めはありません。決済日が延びたときに取り直しになるのは、売主側の書類というわけです。

なお、ここでいう有効期限は書類の話であって、登記そのものをいつまでに申請するかという期限とは別物です。相続の3年という期限については名義変更の期限と過料で解説しています。

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戸籍の束を1枚にまとめる法定相続情報一覧図

戸籍を集める2つの手段と束を出し直さずに済む3つの手段を、窓口へ出向く回数と束を出す回数で並べた比較図
手続き先が2か所以上なら法定相続情報一覧図、法務局1か所なら相続関係説明図が向く(出典: 法務省「戸籍法の一部を改正する法律について」・法務局「法定相続情報証明制度について」を基に当社作成)

法定相続情報一覧図は、登記官が相続関係を確認して認証文を付けた写しを無料で交付する制度です。戸除籍謄本の束の代わりに使えるため、複数の法務局や金融機関へ同じ束を出し直さずに済みます(法務局「法定相続情報証明制度について」)。

一覧図でできること

法定相続情報一覧図とは、誰が相続人かを1枚の図にまとめ、法務局の登記官が戸籍と突き合わせて認証したものです。一覧図と戸除籍謄本等の束を登記所へ提出し、民法の定める相続関係と合っているかを確認してもらいます。

効いてくるのは、手続き先が複数あるときです。法務局が例に挙げているのは、所有する不動産が複数の管轄にまたがる場合。本来ならそれぞれの法務局へ戸除籍謄本の原本の束を提出しなければなりませんが、一覧図の写しがあれば束の代わりになります。預貯金の払戻しや相続税の申告、年金の手続きにも使えるんです。

さらに、一覧図の写しの右肩には法定相続情報番号が記載されます。令和6年4月1日からは、この番号を登記申請書の添付情報欄に書けば、写しそのものの添付を省略できるようになりました(法務局の法定相続情報証明制度のページ)。

一覧図を作らないときは相続関係説明図で戸籍を返してもらう

手続き先が今回の登記だけなら、一覧図を作らずに相続関係説明図で足ります。相続関係説明図を戸籍全部事項証明書・除籍全部事項証明書等と一緒に提出すると、登記の調査が終わったあとに戸籍等の原本を返してもらえます(法務局の申請書様式ページ)。

原本還付とは、提出した書類の原本を返してもらう手続きのことです。コピーに「原本に相違ありません。」と記載し、申請書に押印した人がそのコピーに署名(記名)押印して原本と一緒に出します。2枚以上になるときは、各用紙のつづり目ごとに契印を押します。別途の還付請求書は要りません。

ただし登記申請のためだけに作成したもの(委任状・登記原因証明情報など)や印鑑証明書は、原本の還付ができません。ほかの手続きでも印鑑証明書を使う予定があるなら、最初から必要な通数を取っておくほうが確実です。

戸籍を集める手段と、集めた戸籍を出し直さずに済む手段

戸籍の取り寄せは郵送請求か広域交付で行い、そろえた束は法定相続情報一覧図か相続関係説明図で使い回します。集める段階と、集めたあとに出し直しを減らす段階。この2つを分けて考えると、どちらで手間取っているのかが見えてきます。

まずは、集める手段の比較から。

集める手段 窓口へ出向く回数 取れる戸籍の範囲 向いている状況
本籍地の市区町村へ郵送で請求 0回(本籍地の数だけ郵送のやり取り) 広域交付の範囲に当てはまらない戸籍も請求できる 本籍地が1〜2か所、平日に窓口へ行きにくい
最寄りの窓口で広域交付 1回(1か所でまとめて請求) 本人・配偶者・直系尊属・直系卑属の戸籍(電算化されていない戸籍を除く) 本籍地が全国に散っている、親や祖父母の戸籍をたどる

次に、集め終えた束を出し直さずに済ませる手段です。

使い回す手段 追加で出向く先 束を出す回数 向いている状況
法定相続情報一覧図 法務局(登記所)へ申出 最初の1回だけ。以降は認証文付きの写しで代用 不動産が複数の管轄にまたがる、預貯金や年金の手続きも控えている
相続関係説明図で原本還付 なし(登記申請と同時に提出) 提出のたびに束を出すが、調査終了後に原本が戻る 登記のあとで別の窓口へ同じ戸籍を出す予定がある
束をそのまま提出 なし 提出先ごとに束が必要 戸籍の通数が少なく、提出先も法務局1か所

データ出典: 法務省「戸籍法の一部を改正する法律について」/法務局「法定相続情報証明制度について」/法務局「不動産登記の申請書様式について」(当社作成)

一覧図を作るには法務局への申出が1回増えますが、不動産が2つの管轄に分かれていたり銀行口座の解約が控えていたりするなら、束を持ち回る回数のほうが多くなります。⇒ 手続き先が法務局1か所だけなら相続関係説明図、2か所以上なら一覧図です。

登記申請書の様式と遺産分割協議書の記載例は法務局で手に入る

登記申請書は法務局が原因別に様式と記載例を公開しており、WordとPDFをダウンロードしてそのまま使えます。相続だけでも法定相続・遺産分割・数次相続・公正証書遺言・自筆証書遺言・相続人への遺贈の6種類があり、売買・贈与・財産分与も別々に用意されています(法務局の申請書様式ページ)。

原因別に用意されている様式の選び方

様式は自分のケースに合うものを1つ選ぶだけで、書く項目が決まります。相続なら、遺言書があるか、遺産分割協議をしたか、相続が二代にわたっていないか(数次相続)で選び分けます。売買・贈与・財産分与は、原因ごとに1種類ずつです。

記載例には、登記の目的・原因・課税価格・登録免許税といった欄の書き方が示されています。ゼロから作文する必要はなく、日付と名前を自分のものに置き換えていく作業です。

遺産分割協議書は記載例を手本に自分で作る

一方、遺産分割協議書は自分たちで作る文書です。法務局にあるのは記載例で、中身は相続人全員で決めた内容を書きます。誰がどの不動産を取得するのかを、登記事項証明書のとおりの表示(所在・地番・家屋番号)で特定するのがポイント。

作成したら相続人全員が署名し、実印を押して、それぞれの印鑑証明書を添えます。相続関係説明図のほうは、戸籍の原本還付を希望しないのであれば作らなくてもかまいません。

提出前に整える綴じ方と書き方のルール

書類がそろったら、法務局の形式に合わせて整えます。整え方が不十分だと、中身が正しくても差し戻しにつながることがあるんです。

  • 申請書はA4サイズ、複数枚になるときは左とじにする
  • 鉛筆は使用不可(書き損じの訂正にも使えません)
  • 添付書面は原本の添付が原則。住民票の写し等もコピーでは受け付けられません

窓口・郵送・オンラインの出し方を含む申請から完了までの進め方は、自分で相続登記を申請する手順にまとめています。相続人が海外にいる、数次相続で相続人が10人を超えるといった複雑なケースでは、提携する司法書士のような専門家に一度確認しておくと安全です。

制度の側から手続き全体を見通しておきたい方は、相続登記の義務化から見た手続きの全体像もあわせてご覧ください。

家の名義変更の必要書類についてよくある質問

戸籍謄本は生まれてから亡くなるまで全部必要ですか?

遺産分割協議と法定相続分での相続では、亡くなった方が在籍していた出生から死亡までの全ての戸籍・除籍謄本が必要です。一方、遺言書がある場合は死亡の事実の記載がある戸籍・除籍謄本で足ります(法務局の必要書類一覧)。転籍や結婚のたびに戸籍が作り替えられているため、たどると数通になります。

印鑑証明書に有効期限はありますか?

相続登記では有効期限がありません。売買・贈与・財産分与では、申請書に記名押印した人の印鑑証明書が作成後3か月以内である必要があります(不動産登記令16条3項)。同じ書類でも、原因によって扱いが変わる点にご注意ください。

遺言書がある場合は必要書類が変わりますか?

変わります。遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書が不要になり、亡くなった方の戸籍も死亡の事実が分かるもので足ります。ただし自筆証書遺言が法務局に保管されているときは遺言書情報証明書が必要で、それ以外の自筆証書遺言と秘密証書遺言は家庭裁判所の検認を受けます(法務局の必要書類一覧)。

提出した戸籍謄本は返してもらえますか?

相続関係説明図を戸籍等と一緒に提出すれば、登記の調査終了後に戸籍の原本を返してもらえます。ほかの書類も、コピーに「原本に相違ありません。」と記載して署名押印すれば原本還付を受けられますが、委任状などの登記申請のためだけに作成した書類と印鑑証明書は還付できません(法務局の申請書様式ページ)。

買取くんでは、名義変更の書類がそろう前の家でも査定を依頼できますか?

依頼できます。当社は物件の場所と状態をうかがうところから始めるため、登記が親御さん名義のままでも査定に進めます。無料査定は最短6時間で、全国どこの物件でも対応しています。名義を自分で整えるか、売却まで含めて考えるかを決める前の段階でもかまいません。

まとめ:ケース別に足りない書類を洗い出してから役所へ

家の名義変更の必要書類は、どのケースでも共通する4点に、原因ごとの証明書類を足したものです。ここまでで書類の一覧と取得先、手数料、有効期限までは確定できます。ただし数次相続、相続人に兄弟姉妹が含まれるケース、海外在住の相続人がいるケースは、提携する司法書士のような専門家に確認したほうが確実です。まずは登記事項証明書で不動産の個数を確定し、親や自分の戸籍は広域交付で近くの窓口にまとめて請求しましょう(兄弟姉妹の戸籍は本籍地へ請求します)。

当社の買取くんでは、所有権移転登記の担当は提携する司法書士です。書類集めの途中で手が止まっている家を、片付けずにそのまま引き取ってほしい方に向いています。

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この記事の監修者

株式会社リアテクス 執行役員 鶴野博之

鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)

宅地建物取引士/賃貸経営管理士/FP2級

一棟投資物件専門の仲介会社で不動産業界に参入後、前職では「訳あり・瑕疵物件」に特化したコンサルティングプログラム責任者として600名以上の投資家の購入から売却までに携わる。自身も再建築不可物件を中心に訳あり物件へ投資し、転売売買から保有物件まで数々の実績を持つ。

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