借地権売却の税金はいくら?計算式と取得費の出し方を解説

借地権を売ったときにかかる税金は、譲渡益に対する所得税・住民税・復興特別所得税と、売買契約書の印紙税です。税率は譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば20.315%、5年以下なら39.63%に分かれます。税額を動かすのは取得費と譲渡費用の出し方なので、計算の順序と申告までの流れを整理します。借地権割合や地代の考え方といった借地権の入門的な整理は借地権の基礎からの解説にあります。

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借地権を売るとかかる税金は何がいくら?

必ずかかる譲渡所得税と印紙税・契約で決める登録免許税・非課税の消費税という4つの税を3層に分けた借地権売却の税負担整理図
4つの税を「必ずかかる/契約で取り決める/かからない」の3層に整理(出典: 国税庁 No.3208・No.7108・No.7191・No.6201を基に当社作成)

借地権の売却でかかる税金は、譲渡益に対する所得税・住民税・復興特別所得税と、売買契約書に貼る印紙税の2種類が基本です。借地権は国税庁が譲渡所得の対象資産として名前を挙げている財産で、土地の所有権を売った場合と同じ枠組みで課税されます(2026年8月時点)。

税目ごとに、何に対して課され、いくらになり、誰が負担するのかを1つの表にまとめます。

税目 何に対してかかるか 税額の決まり方 主に負担する人
所得税・住民税・復興特別所得税 売却で出た利益(譲渡所得) 譲渡所得×20.315%または39.63% 売主
印紙税 売買契約書という文書 契約金額に応じた定額 契約書を作成した当事者
登録免許税 建物の登記や抵当権の抹消 不動産の価額や登記の件数に応じた額 契約で取り決める
消費税 借地権の譲渡代金には課されない 非課税取引

データ出典: 国税庁 No.3208No.7108No.7191No.6201を基に当社作成(2026年8月時点)

なお、旧法借地権か定期借地権かといった借地権の種類そのものの違いは税額の計算式を変えません。種類ごとの権利の中身は借地権の基礎(普通借地権・定期借地権の違い)で扱っています。

譲渡所得税は所有期間で20.315%と39.63%に分かれる

税率を決めるのは、売った日ではなく譲渡した年の1月1日時点の所有期間です。この時点で5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以下なら短期譲渡所得になります。

  • 長期譲渡所得(所有期間が5年超): 合計 20.315%
  • 短期譲渡所得(所有期間が5年以下): 合計 39.63%

長期の内訳は所得税15%・住民税5%・復興特別所得税(所得税額の2.1%)、短期は所得税30%・住民税9%・復興特別所得税です(国税庁 No.3208No.3211、2026年8月時点)。同じ利益でも短期に当たると税負担はおよそ2倍になるため、12月に売るか翌年1月に売るかで結論が変わる場面があります。

印紙税は契約書に何を書くかで税額が変わる

印紙税は契約金額に応じた定額ですが、借地権の場合は契約書の書き方で税率の適用が変わります。国税庁が印紙税の軽減措置の対象として挙げているのは「不動産の譲渡に関する契約書」(第1号の1文書)で、平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成されたものが対象です。一方、借地権は印紙税額の一覧表では「地上権または土地の賃借権の設定または譲渡に関する契約書」として別に区分されています。

そして同じ国税庁のページには、建物の譲渡と借地権の譲渡を併記した契約書の扱いが例示されています。

(例) 建物の譲渡(4,000万円)と定期借地権の譲渡(2,000万円)に関する事項が記載されている契約書の場合、その契約金額は6,000万円(建物4,000万円+定期借地権2,000万円)ですから、印紙税額は30,000円となります。

出典: 国税庁 No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置

借地権のみの契約書と建物併記でいくら違うか

建物の譲渡が併記されていれば、合算した契約金額に軽減後の税額が適用されます。契約金額3,000万円のケースで公表されている税額表を突き合わせると、次のようになります。

契約書の内容 契約金額 印紙税額
借地権のみの譲渡(本則) 3,000万円 2万円
建物の譲渡を併記(軽減後) 3,000万円 1万円

データ出典: 国税庁 No.7140と前掲のNo.7108の公式値を基に当社整理(2026年8月時点)

差額は1万円と大きくはありませんが、どちらの文書に該当するかは契約書の記載内容で決まります。建物ごと売却する場合の進め方は借地権付き建物を売却する手順で扱っているので、契約書の構成を決める前に確認しておくと印紙の貼り間違いを防げます。

登録免許税がかかる場面と、かからない税金

借地権そのものは登記されていないことも多く、売主側で必ず登録免許税がかかるわけではありません。建物ごと売る場合の所有権移転登記は不動産の価額の1,000分の20が原則で(国税庁 No.7191、2026年8月時点)、住宅ローンが残っていれば抵当権の抹消登記も加わります。誰がいくら負担するかは法律で決まっておらず、売買契約で取り決める事項です。

一方、借地権の譲渡代金そのものには消費税がかかりません。理由は記事後半のよくある質問で扱います。

借地権の譲渡所得はどう計算する?

3,000万円モデルの課税譲渡所得1,700万円と、長期345万3,550円・短期673万7,100円という税額差328万円を示した棒グラフ
同じ利益でも1月1日時点の所有期間の判定だけで税額が328万円変わる(出典: 国税庁 No.3208・No.3211を基に当社試算)

譲渡所得は「譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−特別控除額」で計算し、この金額に長期20.315%または短期39.63%を掛けたものが税額です。土地や建物の譲渡所得は給与所得などと合算せず、分離課税として別に計算します(国税庁 No.3202、2026年8月時点)。

課税されるのは売却代金ではなく利益部分

課税対象になるのは売却代金の全額ではなく、そこから取得費と譲渡費用を引いた利益部分だけです。3,000万円で売れても、取得費と譲渡費用の合計が1,300万円あれば、課税されるのは1,700万円になります。

ここで押さえておきたいのは、税額を動かせる余地が取得費と譲渡費用の2か所にしかないという点です。譲渡価額は買主との交渉で決まり、税率は所有期間で自動的に決まります。したがって、資料を集めて取得費を積み上げ、差し引ける費用を漏らさないことが、そのまま手取りの差になります。

なお、借地権をいくらで売れるかという価格そのものの算定は借地権売却価格の計算方法、取引の水準感は借地権売却の相場で扱っています。

3,000万円で売ったモデルで税額を出す

具体的な金額で見ていきます。譲渡価額3,000万円、取得費900万円(当初の権利金600万円+更新料300万円)、譲渡費用400万円という前提だと、課税される譲渡所得は1,700万円です。

項目 長期譲渡(5年超) 短期譲渡(5年以下)
課税される譲渡所得 1,700万円 1,700万円
所得税 255万円 510万円
復興特別所得税 5万3,550円 10万7,100円
住民税 85万円 153万円
税額の合計 345万3,550円 673万7,100円

【調査方法】対象: 借地権のみを3,000万円で譲渡したモデル1件/前提: 取得費900万円(権利金600万円+更新料300万円・減価相当額の控除は考慮しない簡略計算)、譲渡費用400万円(譲渡承諾料300万円と仲介手数料など100万円を想定)、特別控除なし/集計方法: 譲渡所得に長期20.315%・短期39.63%を適用。申告上の端数処理は行っていない/税率出典: 前掲の国税庁 No.3208・No.3211を基に当社試算(2026年8月時点)

同じ条件でも、所有期間の区分だけで税額は328万円あまり変わります。

要点: 税率が確定した後に動かせるのは取得費と譲渡費用だけで、モデルケースでは所有期間の区分だけで税額に328万円の差が生まれます。

借地権の取得費はどう出す?

権利金600万円と更新料300万円を積み上げた取得費900万円と、記録の有無で手取りが約152万円変わることを示した比較図
取得費は4種類の書類から積み上げて作る。記録の有無だけで手取り差は約152万円(出典: 国税庁 No.3258・質疑応答事例を基に当社試算)

借地権の取得費は、借地契約時に支払った権利金と、その後の更新料などを積み上げて計算します。記録が残っていない場合は譲渡価額の5%を取得費とみなせますが、実額との差がそのまま税額の差になります(国税庁 No.3258、2026年8月時点)。

借地権の取得費は権利金と更新料を積み上げる

「買った価格」が存在しない借地権の取得費をどう出すかについて、国税庁は質疑応答事例で具体的な考え方を示しています。20年前に権利金500万円で借地し、老朽化に伴い更新料1,500万円を支払って契約を更新したうえで、その借地権を3,000万円で譲渡したケースへの回答です。

 借地権はあくまでも従前から保有している資産ですから、譲渡代価の3,000万円は、全部が長期譲渡所得の収入金額と認められます。
 取得費については、500万円から所得税法施行令第182条の規定により必要経費に算入される減価相当額を控除した部分の金額と1,500万円との合計額によります。

出典: 国税庁 質疑応答事例「借地権の譲渡所得の計算」

この回答が示しているのは、借地権の取得費は「探す」ものではなく「積み上げて作る」ものだという点です。権利金の領収書だけを探して見つからずに諦めるのではなく、更新のたびに支払った更新料も取得費に加わります。まず取りかかりたいのは、借地契約書・更新契約書・当時の領収書・過去の確定申告書の控えを、時系列で並べて手元にそろえる作業です。

このほか、購入時に納めた登録免許税・不動産取得税・印紙税や、土地の測量費なども取得費に含められます(国税庁 No.3252)。

更新しても取得の時期はリセットされない

上の回答でもう1つ見落とせないのが、更新しても借地権は「従前から保有している資産」として扱われ、譲渡代価の全額が長期譲渡所得の収入金額になると示されている点です。数年前に契約を更新したからといって、そこから所有期間を数え直すわけではありません。

つまり、更新料を支払ってからまだ日が浅くても、当初の借地開始から5年を超えていれば長期譲渡の税率が適用されます。前のセクションの試算では、この判定ひとつで税額が328万円あまり違いました。契約更新の履歴は、取得費を積み上げる資料であると同時に、税率の判定を裏づける資料でもあります。

記録がないときは譲渡価額の5%になる

資料がどうしても見つからない場合は、譲渡価額の5%を取得費として申告できます。3,000万円で売却したなら150万円です。実際の取得費が5%を下回るときも、この概算取得費を使えます。

前のセクションと同じ前提(譲渡費用400万円・長期譲渡)で、記録が残っている場合と残っていない場合を比べます。

項目 取得費の記録あり 取得費の記録なし
取得費 900万円 150万円
課税される譲渡所得 1,700万円 2,450万円
税額の合計 345万3,550円 497万7,175円
手取り 2,254万6,450円 2,102万2,825円

【調査方法】対象・前提・集計方法は前掲のモデルと同一。記録なしの取得費は概算取得費(譲渡価額の5%)を適用/当社試算(2026年8月時点)

資料が見つからないだけで、手取りは約152万円減る計算になります。短期譲渡だと差は約297万円に広がります。数日かけて古い書類を探す価値は十分にあり、当社が相続案件でお話を伺うときも、まず権利金と更新料の記録の有無を確認しています。取得費が確認できないケースの申告の考え方は空き家売却にかかる税金の計算で詳しく扱っています。

要点: 借地権の取得費は権利金と更新料の積み上げで作れます。記録の有無だけで手取りが150万円単位で動くため、資料探しは節税策のなかで最も費用対効果が高い作業です。

地主への承諾料や解体費は差し引ける?

地主に支払う譲渡承諾料(名義書換料)は、譲渡費用として売却益から差し引けます。国税庁は譲渡費用の例として「借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など」を明示しています(国税庁 No.3255、2026年8月時点)。

譲渡費用になるもの・ならないもの

譲渡費用は「売るために直接かかった費用」に限られます。借地権の売却で発生しやすい支出を3つに分類すると次のようになります。

分類 借地権売却での主な例
譲渡費用になる 地主への譲渡承諾料(名義書換料)、仲介手数料、売主が負担した印紙税、建物を取り壊して売る場合の取壊し費用と建物の損失額
取得費になる 借地時の権利金、更新料、購入時に納めた登録免許税・不動産取得税・印紙税、土地の測量費
どちらにもならない 固定資産税、建物の修繕費、売却代金の取立てにかかった費用

データ出典: 国税庁 No.3252No.3255を基に当社整理(2026年8月時点)

地主に払った承諾料は、持ち出しであると同時に税額を下げる費用でもあります。承諾料の金額を交渉するときは、支払額そのものだけでなく、その支払いで税額がいくら下がるかまで含めて手取りで比べたほうが、判断を誤りません。一方で毎年払ってきた固定資産税や修繕費は譲渡費用になりません。維持や管理のための費用は対象外だからです。

取得費に入るものとの違い

取得費と譲渡費用は、どちらに入れても譲渡所得の計算上は同じように差し引かれます。違うのは、資料の探し方と保管期間です。取得費は数十年前の資料をさかのぼる作業になるのに対し、譲渡費用は売却の前後1年ほどに集中して発生します。

そのため、売却が動き出した時点で承諾料の領収書・仲介手数料の請求書・解体工事の契約書をひとまとめにしておくと、申告時の手戻りがなくなります。承諾を得る手順そのものは借地権を売却する4つの方法と流れ、建物を取り壊してから売る場合の費用感は家の解体料金で扱っています。

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借地権の売却で使える控除・特例は?

借地権の売却で使える特例は、居住用財産の3,000万円特別控除・軽減税率の特例・相続財産の取得費加算の3つが中心です。ただしいずれも適用条件があり、借地権だけを売る場合は対象から外れることがあります(国税庁 No.3302、2026年8月時点)。

3,000万円特別控除が使える借地権・使えない借地権

3,000万円特別控除は、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける制度です。国税庁が挙げている対象資産のうち借地権が明示されているのは、「現に自分が住んでいる家屋」または「以前に住んでいた家屋」とともに売ったその敷地や借地権という項目です。

ケース 適用の可否
住んでいた家屋とともに借地権を売る 対象になる
家屋を取り壊してから借地権を売る 取壊しから1年以内の契約など要件を満たせば対象になる
住んでいた家屋を伴わず借地権だけを売る 原則として対象外

データ出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例の対象資産の定めを基に当社整理(2026年8月時点)

家屋とともに売った借地権かどうかで結論が変わります。投資用に持っていた借地権や、住まいとして使っていなかった借地権を単独で譲渡する場合、3,000万円特別控除は原則として使えません。取り壊してから売る場合も、譲渡契約が取壊しの日から1年以内に締結されていること、取壊し後に貸駐車場などに使っていないことといった条件が付きます。控除の条件全体は3,000万円特別控除の適用条件で扱っています。適用の可否は住んでいた期間や用途で変わるため、個別の判定は税理士にご相談ください。

所有期間10年超なら軽減税率の特例も重ねられる

3,000万円特別控除の対象になる場合で、売った年の1月1日時点の所有期間が10年を超えていれば、軽減税率の特例も併せて受けられます。国税庁は「3,000万円の特別控除の特例と軽減税率の特例は、重ねて受けることができます」と明記しています。

所得税は課税長期譲渡所得金額6,000万円以下の部分が10%、6,000万円を超える部分が(金額−6,000万円)×15%+600万円という計算で、住民税は6,000万円以下の部分が4%、超える部分が5%です(国税庁 No.3305、2026年8月時点)。3,000万円を控除したうえで残った利益にさらに低い税率が適用されるため、条件を満たすなら効果は大きくなります。

相続した借地権は取得費加算の特例が使える場合がある

相続や遺贈で取得した借地権を売る場合、支払った相続税の一部を取得費に加算できる特例があります。要件は、相続や遺贈で財産を取得した人であること、その人に相続税が課税されていること、そして相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していることの3つです(国税庁 No.3267)。

期限があるため、相続税を納めた借地権をいずれ売るつもりなら、この3年という区切りを売却計画に入れておくと選択肢が広がります。適用には確定申告書に「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」を添えて提出します。

要点: 借地権単独の譲渡では3,000万円特別控除が使えないことが多く、代わりに相続税の取得費加算が現実的な選択肢になります。相続税を納めた場合は申告期限の翌日から3年という期限を先に確認してください。

確定申告はいつ・何を提出する?

借地権を売って利益が出た場合の確定申告は、売却した年の翌年2月16日から3月15日までに所轄の税務署へ行います。土地や建物の譲渡所得があるときは、通常の申告書に加えて申告書第三表(分離課税用)を使います(国税庁 No.2020、2026年8月時点)。

申告の期間は売った翌年の2月16日から3月15日

申告の対象になるのは、1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得です。3月に売っても12月に売っても、申告は翌年の同じ期間に行います。期限は翌年3月15日で、特例の適用を受けたい場合は期限内の申告が条件になります。

住民税は確定申告の内容が市区町村に引き継がれるため、別途申告する必要はありません。納付は所得税とは別のスケジュールで、翌年度の住民税として通知されます。

提出する書類と、事前に集めておく資料

申告時に提出する主な書類は次の2点です。

  • 申告書第三表(分離課税用)
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]

3,000万円特別控除や軽減税率の特例を使う場合は、登記事項証明書や住民票の写しなどの追加書類が要ります。取得費加算の特例では「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」を添付します。

事前に集めておくと計算が速く進むのは、売買契約書の写し、地主に支払った譲渡承諾料の領収書、仲介手数料の請求書、そして借地契約書と更新契約書です。取得費の資料は取り寄せに時間がかかることがあるので、売買契約を結んだ段階から並行して探し始めると、年明けに慌てずに済みます。

税金と費用を引いた手取りはいくら残る?

3,000万円の売却代金を譲渡費用13%・税額12%・手取り75%に分解し、自分で動かせる項目と動かせない項目を示した帯グラフ
削る側は税額と譲渡費用がほぼ同じ規模で、動かせるのは譲渡費用側だけ(出典: 国税庁 No.3208の税率を基に当社試算)

手取りは「譲渡価額−譲渡費用−税額」で決まります。モデルケースでは3,000万円の売却で譲渡費用400万円・税額345万円となり、手取りは約2,255万円でした。税額より譲渡費用のほうが手取りへの影響が大きい場面もあります。

手取りの分解と、税額より先に効いてくる項目

前提を同じにしたモデルで、3,000万円がどう分かれるかを並べます。

内訳 金額 譲渡価額に占める割合
譲渡費用(承諾料・仲介手数料など) 400万円 約13%
税額(長期譲渡・取得費の記録あり) 345万3,550円 約12%
手取り 2,254万6,450円 約75%

データ出典: 前掲の当社試算(税率は国税庁 No.3208、2026年8月時点)

この分解から見えるのは、税額と譲渡費用がほぼ同じ規模で手取りを削っているという点です。税率は自分では動かせませんが、承諾料の水準や解体の要否は売り方の設計で変えられます。定期借地権のマンションで買い手が付かず条件を詰められない場合は、定期借地権マンションが売れないときの選択肢も併せて確認してください。

当社は税額より先に「承諾の見通し」を確認しています

借地権の売却では、地主の承諾が得られるかどうかで売却の可否が決まります。承諾が得られない場合は、借地借家法第19条に基づいて裁判所に承諾に代わる許可(借地非訟)を申し立てる方法もありますが、時間と費用がかかります。どれだけ精密に税額を試算しても、譲渡の道筋が立たなければ手取りは確定しません。そこで当社の買取くん(株式会社リアテクス)では、査定の段階で借地契約の内容と地主との関係を先に確認し、承諾の見通しと価格を同時にお伝えする運用にしています。

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借地権売却の税金でよくある質問

借地権の売却代金に消費税はかかりますか?

かかりません。消費税では土地の譲渡が非課税取引とされており、この「土地」には借地権などの土地の上に存する権利が含まれます(国税庁 No.6201、2026年8月時点)。ただし非課税なのは借地権の譲渡代金そのもので、仲介手数料や司法書士報酬といったサービスの対価には消費税がかかります。

相続した借地権をすぐに売ると短期譲渡の高い税率になりますか?

なりません。相続や贈与で取得した場合は、被相続人や贈与者の取得の時期がそのまま引き継がれます(国税庁 No.3270、2026年8月時点)。被相続人が30年前から借りていた土地であれば、相続の翌年に売っても長期譲渡として20.315%で計算します。

地主に買い取ってもらう場合も、税金の計算は第三者に売る場合と同じですか?

計算式と税率は同じです。譲渡所得は譲渡価額から取得費と譲渡費用を引いて求めるもので、売却先によって式が変わることはありません。違いが出るのは譲渡費用の中身で、地主に売る場合は譲渡承諾料が発生しないことがあり、その分だけ差し引ける費用が減ります。

借地権を売って赤字になった場合でも確定申告は必要ですか?

譲渡益が出ていなければ、その売却を理由とする申告義務は生じないのが原則です。ただし3,000万円特別控除などの特例を適用して税額をゼロにする場合は、確定申告をしなければ特例そのものが受けられません。判断に迷う場合は、譲渡所得の内訳書を作って利益の有無を確認してから決めてください。

税金の話を離れて、借地権という権利の仕組みや地主との関係から整理し直したい場合は、借地権の全体像を見直すと、売却の判断材料がそろいます。

まとめ

借地権の売却でかかる税金は譲渡所得税と印紙税が基本で、税率は譲渡した年の1月1日時点の所有期間により20.315%と39.63%に分かれます。税額を動かせるのは取得費と譲渡費用の2か所だけで、権利金と更新料の記録が残っているかどうかでモデルケースでは手取りが約152万円変わりました。地主への譲渡承諾料は譲渡費用として差し引ける一方、固定資産税や修繕費は対象外です。売却を具体的に考える段階では、税額の試算と地主の承諾の見通しを同じタイミングで確かめてください。特例が使えるかどうかなど個別の判定は、税理士にご確認ください。

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