借地を返すときは、建物を取り壊して更地にしてから返すのが原則です。ただし借地権は相続税や贈与税がかかるほどの財産であり、無償で手放す義務まで負うわけではありません。結論を分けるのは、借地権の種類と、契約が終わる場面の2点です。借地権の判断基準の全体像は借地権の基礎からの解説で整理しています。
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借地権を地主に返すときの原則は?

借地を返すときは、土地の上に建てた建物を取り除いて更地の状態で返すのが原則です。この義務は民法の収去義務から生じるもので、費用は借地人が負担します。ただし更地にせずに手放せる場面もあり、どちらになるかは借地権の種類で変わります。
更地にして返す義務はどの条文から生まれるのか
更地返還の根拠は、賃借人が土地に附属させた物を取り除く収去義務です。民法622条は賃貸借について599条1項・2項を準用しており、その599条1項は「借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負う」と定めています(e-Gov 民法、2026年8月時点)。借地に建てた建物はこの「附属させた物」にあたるため、契約が終われば取り除いて返すことになります。
あわせて押さえておきたいのが、「原状回復」と「収去」は別の義務だという点です。599条3項は損傷を原状に復する義務を定めていますが、622条が準用しているのは1項と2項だけで、3項は準用の対象から外れています。賃貸借での原状回復は621条が独自に定めており、そこでは通常の使用によって生じた損耗と経年変化が明文で除外されています。地主から「原状回復だから庭木も土も元通りに」と求められても、建物の収去は義務である一方、長年の使用による自然な劣化まで回復する義務はありません。
解体費用を借地人が負担するのはなぜか
収去義務を負うのが借地人である以上、取り壊しの費用も借地人の負担になります。地主が費用を出す義務は法律のどこにも定められていません。
この解体費の持ち出しが、借地を返せない最大の理由になります。受け取るお金がないまま数十万円から数百万円の現金が出ていくためです。ただし負担の割合は地主との合意で変えられますし、そもそも解体しない出口もあります。費用の目安は家の解体料金をご覧ください。
借地権の種類によって返還ルールはどう変わるか
同じ借地権でも、更地で返す必要があるかどうかは種類で変わります。分岐を決めているのは、借地借家法13条の建物買取請求権が使えるかどうかです。
| 借地権の種類 | 更地返還が前提か | 建物買取請求権 | 特約で買取請求を外せるか |
| 旧法借地権・普通借地権 | 前提ではない | 使える(13条) | 外せない(16条で無効) |
| 一般定期借地権(22条) | 前提 | 特約で排除できる | 外せる(書面・公正証書等が必要) |
| 事業用定期借地権等(23条) | 前提 | 10年以上30年未満は適用しない | 外せる(公正証書が必要) |
| 建物譲渡特約付借地権(24条) | 前提ではない | 相当の対価で地主へ譲渡する定め | 制度上、対価付きで移る |
| 一時使用目的の借地権(25条) | 前提 | 13条を適用しない | 適用外 |
データ出典: e-Gov 借地借家法13条・16条・22条〜25条の条文を基に当社整理(2026年8月時点)
つまり更地返還が動かせない前提になるのは定期借地権や一時使用の借地権で、昔から続いている普通借地権や旧法借地権では前提が違います。どの種類にあたるかは、契約書の表題と存続期間から判断できるはずです。種類ごとの権利の中身は借地権の基礎をご覧ください。
要点: 更地返還の根拠は収去義務であり、原状回復とは別の義務です。更地返還が動かせない前提になるのは、買取請求権を特約で外せる種類に限られます。
借地権は無償で地主に返さないといけない?

無償で返さなければならないという法律上の決まりはありません。借地権は相続税や贈与税の課税対象になる財産として扱われており、国の税務の仕組みも「借地人に立ち退いてもらうには対価を払う」ことを前提に組まれています。
借地権は税務上「財産」として扱われている
国税庁は借地権を「建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権」と定義したうえで、借地権は相続税や贈与税の課税対象になると明記しています(国税庁 No.4611 借地権の評価、令和8年4月1日現在法令等)。譲渡所得の対象となる資産にも、土地や建物と並んで借地権が挙げられています(国税庁 No.3105、令和7年4月1日現在法令等)。
相続すれば課税され、売れば譲渡所得の対象になる資産です。これは借地権が金銭的な価値を持つ財産だと国が認めていることを意味します。地主から無償返還を求められている状態は、値のつく財産をただで渡してほしいと言われている状態にほかなりません。借地権割合の読み方そのものは借地権の基礎からの解説で扱っています。
立退料は「借地権の買い戻しの対価」と位置づけられている
さらに踏み込んだ裏づけは、地主側の税務処理の定めです。
4 敷地のみを賃貸し、建物の所有者が借地人である場合に、借地人に立ち退いてもらうための立退料は、通常、借地権の買い戻しの対価となりますので土地の取得費になります。
出典: 国税庁 No.1382 立退料を支払ったとき(令和7年4月1日現在法令等)
当社はこの一文を、国税庁が「借地人に出ていってもらうには買い戻しの対価が発生する」ことを標準の姿として扱っている証拠だと受け止めています。無償返還が制度の標準であれば、地主が払った立退料を土地の取得費に加える扱いをわざわざ定める必要はないはずです。含意は単純で、地主に対価の話を切り出すことは無理な要求ではありません。金額の水準は借地権売却の相場を目安にしてください。
そもそも返さなくてよい場合がある
地主から返還を求められても、応じる義務がすぐに生じるわけではありません。借地借家法5条は、存続期間が満了する場面で借地人が更新を請求したときは、建物がある場合に限り従前と同じ条件で更新したものとみなすと定めています。地主が更新を拒むには遅滞なく異議を述べる必要があり、その異議は6条により「正当の事由」がなければ述べられません。
そして6条は、正当事由の判断材料として双方が土地を使う必要性や従前の経過に加え、地主が明渡しの条件として財産上の給付を申し出た場合はその申出も考慮すると定めています(前掲の e-Gov 借地借家法5条・6条、2026年8月時点)。法律自体が、明渡しには金銭のやり取りが伴いうると想定しているわけです。更新時に求められる更新料については借地権の更新料をご覧ください。
無償で返しても課税関係が生じない場面
一方で、無償で返しても双方に課税が生じない場面も公表されています。国税庁の質疑応答事例では、権利金の授受がないまま20年続いた借地で、建物の老朽化により営業できなくなって契約を解除し、土地を無償で返還した事例が扱われています。回答は「立退料等の金銭の授受がない場合であっても、契約の解除条項に従って解除するものであることから、賃借人及び賃貸人のいずれも、課税関係は生じません」でした(国税庁 質疑応答事例 借地を無償で返還した場合、令和7年8月1日現在の法令・通達等)。
注意したいのは、課税関係が生じない理由が「無償だから」ではなく「契約の解除条項に従った解除だから」に置かれている点です。裏を返せば、契約書の定めと関係なく無償で返す場合には、贈与とみなされないかどうかの検討が必要になります。
| 場面 | 課税関係の考え方 |
| 契約の解除条項に従って解除し無償返還した | 金銭の授受がなくても双方に課税関係は生じない |
| 建物の老朽化により借地権が消滅する | 法人税の取扱いでは無償返還が認められている(法人税基本通達13-1-14(3)) |
| 契約に無償返還の定めがあり届出が出ている | 権利金の認定課税は行われない |
| 上記に当てはまらない無償返還 | 個別に贈与等の課税関係の検討が必要 |
データ出典: 前掲の国税庁 質疑応答事例と国税庁 C1-63 土地の無償返還に関する届出を基に当社整理(2026年8月時点)
対価を受け取って返す場合の税額の計算は借地権売却の税金で扱っています。課税の有無は契約書の文言や当事者が個人か法人かで変わるため、具体的な判定は税理士にご相談ください。
契約書に「更地にして返す」とあっても従うべき?

契約書に更地返還の条項があっても、その文言がそのまま効力を持つとは限りません。借地借家法は建物買取請求権を借地人に不利な特約で奪うことを禁じており、条項が無効になる場面があります。ただし買取請求権を使えるのは、条文で限定された場面だけです。
建物買取請求権に反する特約は無効になる
借地借家法13条1項は「借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる」と定めています。建物を壊さずに、地主に時価で買い取らせる権利です。
この権利には強い保護がかかっています。同法16条は「第十条、第十三条及び第十四条の規定に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは、無効とする」と定めています(e-Gov 借地借家法、2026年8月時点)。普通借地権や旧法借地権の契約書に「契約終了時は建物を収去して更地で返還する」と書かれていても、その条項は13条の場面では効力を持ちません。契約書の条項は当事者の合意ですが、法律が「これに反する不利な特約は無効」と宣言している領域では、合意より法律が優先します。
買取請求権が使えるのは「期間満了で更新がない」場面に限られる
一方で、13条の適用場面は条文で限定されています。要件は「存続期間が満了した場合において、契約の更新がないとき」です。
ここで確認しておきたいのが、この要件を満たさない終わり方です。「使わなくなったから返したい」という借地人側からの申し出は、存続期間の途中での解約や地主との合意解約にあたります。この場合は期間満了という前提を欠くため、条文どおりには買取請求権を行使できません。
| 契約が終わる場面 | 建物買取請求権の前提 |
| 存続期間が満了し、更新もされない | 満たす(13条の適用場面) |
| 借地人からの中途解約・地主との合意解約 | 満たさない(期間満了ではない) |
| 地代の不払いなど債務不履行による解除 | 満たさない |
| 定期借地権で特約により買取請求を排除している | 満たさない(22条・23条) |
データ出典: 前掲の e-Gov 借地借家法13条・22条・23条の条文を基に当社整理(2026年8月時点)
中途解約側にいるなら、買取請求権をあてにした交渉は途中で行き詰まります。その場合の現実的な出口は、地主に建物ごと買い取ってもらう交渉か、第三者への売却です。買取交渉の進め方は借地権を買い取ってもらう方法で扱っています。
契約書の条項別に効力を判定する
実務で目にする返還条項を4つの型に分け、条文に照らして効力を判定しました。
| 契約書の条項の型 | 借地権の種類 | 効力の判定 |
| 期間満了時は建物を収去し更地で返還する | 普通借地権・旧法借地権 | 13条の場面では借地人に不利な特約として無効になりうる(16条) |
| 借地を使わなくなったときは更地で返還する | 普通借地権・旧法借地権 | 中途解約の場面は13条の適用外のため、条項が効く余地が大きい |
| 建物買取請求をしない旨の定め | 一般定期借地権・事業用定期借地権 | 22条・23条が明文で認めており有効(書面・公正証書等の要件あり) |
| 建物買取請求をしない旨の定め | 普通借地権・旧法借地権 | 16条により無効 |
データ出典: 前掲の e-Gov 借地借家法13条・16条・22条・23条の条文を基に当社整理(2026年8月時点)
同じ「更地にして返す」という文言でも、借地権の種類と契約が終わる場面の組み合わせで結論が逆になります。契約書を読むときは、条項の文言より先に表題の借地権の種類と存続期間を確認するのが正しい順序です。条項の有効性が争いになった場合の最終的な判断は裁判所が行うため、金額の大きい案件では司法書士や弁護士に契約書を見てもらってください。
要点: 普通借地権や旧法借地権では、更地返還を求める条項が16条により無効になる場面があります。ただし条文が守るのは期間満了で更新がない場面に限られ、中途解約では条項がそのまま効きます。
借地を返還する流れと手続きは?
返還の順序は、契約内容の確認 → 地主との条件合意 → 建物の解体 → 滅失登記と引き渡し、の4段階です。契約書の確認と条件の合意を先に済ませ、解体は後半に置きます。解体を先に動かすと選択肢を自分で狭めるため、順序が結果を左右します。
返還までの4ステップ
| ステップ | 行うこと | つまずきやすい点 |
| 1. 契約内容の確認 | 借地権の種類・存続期間・返還条項を確認する | 契約書がない場合は登記事項証明書や地代の領収書から契約をたどる |
| 2. 地主との条件合意 | 返還時期・解体費の負担・建物の買い取りの有無を書面にする | 口頭の合意で解体に進むと負担割合の食い違いが後から出る |
| 3. 建物の解体 | 解体業者へ依頼し、完了後に取毀証明書を受け取る | 合意前に着手すると交渉材料を失う |
| 4. 滅失登記と引き渡し | 滅失登記を申請し、更地の状態で引き渡す | 登記を放置すると建物が登記簿に残り続ける |
データ出典: 前掲の各条文と当社の実務対応を基に当社整理(2026年8月時点)
順序で最も大切なのはステップ1です。建物を解体すると、登記された建物を所有していることで保たれていた借地権の対抗力を失います。借地借家法10条は、借地権は登記がなくても土地の上に登記された建物を所有していれば第三者に対抗できると定めており、滅失後は掲示による例外的な扱いがあるものの、原則として建物の存在が権利の裏づけです。売却という選択肢を残したいなら、解体は最後から2番目の工程になります。
建物滅失登記には1か月以内という期限がある
建物を取り壊したら滅失登記を申請します。不動産登記法57条は「建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人…は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない」と定めています(e-Gov 不動産登記法、2026年8月時点)。
解体という大きな工程を終えた後だけに、後回しにしやすい手続きです。放置すると存在しない建物が登記簿に残り、固定資産税の課税台帳とのずれや、地主が土地を活用しようとした段階での問題につながります。申請には解体業者が発行する取毀証明書が要るので、工事の完了時に受け取っておいてください。登記の名義に関する手続きは土地の名義変更で扱っています。
返すのと売るのでは手取りがどれだけ違う?

更地にして返す方法は、解体費を払って何も受け取らない出口です。一方で建物買取請求権の行使や第三者への売却では、対価を受け取れる可能性があります。金額の大小より前に、手取りの符号が変わる点が判断の中心です。
3つの出口を同じ前提で比べる
同じ借地権でも、選ぶ出口によってお金の流れる向きが変わります。
| 出口 | 受け取る金額 | 支払う金額 | 手取りの向き |
| 建物を解体して更地で返す | なし | 建物の解体費(全額) | マイナスに固定される |
| 建物買取請求権を行使する | 建物の時価 | なし(解体が不要) | プラスまたはゼロ |
| 借地権付き建物として第三者へ売る | 借地権と建物の対価 | 地主への譲渡承諾料 | プラス(承諾が得られる場合) |
【調査方法】対象: 木造2階建てが建つ普通借地権付きの土地1件のモデル/前提: ①更地返還は解体費を借地人が全額負担し対価の受け取りなし ②建物買取請求権は存続期間満了かつ更新がない場面で建物を時価で買い取ってもらう ③第三者売却は借地権付き建物として売り地主へ譲渡承諾料を支払う/集計方法: 「受け取る金額−支払う金額」で手取りの向きを判定。譲渡所得税・住民税・印紙税は取得費や所有期間で変動するため含めていない/当社整理(2026年8月時点)
この表が示すのは、3つのうち更地返還だけが、手取りの符号がマイナスに固定される唯一の選択肢だという構造です。他の2つは金額が小さくなることはあっても、持ち出しにはなりません。返還を検討し始めた段階で解体の見積を取るより先に、対価を受け取れる出口が残っているかを確かめたほうが、判断の順序として合理的でしょう。
売却を選ぶなら地主の承諾が必要になる
第三者へ売る場合、借地権の譲渡には地主の承諾が要ります。承諾の得方と承諾料の考え方は借地権譲渡の承諾と承諾料で、建物ごと売る場合の基礎は借地権付き建物とは・購入と売却の基礎で扱っています。
売却全体の進め方は借地権を売却する方法と流れ、いくらになるかは借地権売却価格の計算方法と借地権の査定基準をご覧ください。
要点: 更地返還は3つの出口のうち唯一、手取りがマイナスに固定されます。解体の見積より先に、建物買取請求権が使える場面か、第三者に売れる状態かを確認してください。
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当社の買取くん(株式会社リアテクス)が借地権の査定でまず確認するのは、価格ではなく契約の種類と地主との関係です。この2点で使える出口が変わり、出口が変われば提示できる金額も変わります。解体の見積を取る前に契約書の表題と存続期間を確かめれば、選択肢を残したまま話を進められるはずです。
相場に近い価格で直接買い取れる理由は、購入意欲の高い不動産投資家が常時300名以上いて、買い取った借地権の出口が確保できている点にあります。買い手を探す期間が要らないため、他社で取り扱いを断られた物件や、残置物が残ったままの家屋もそのまま買い取り可能です。実際に、大阪府堺市の相続した実家は家具を残したまま1,200万円、東京都北区の築50年超で傾きのある建物は4,400万円で買い取った実績があります。
一方で買取は直接の買主になる方法のため、時間をかけて買い手を探す仲介と比べると価格が下がる場合もあります。急いでいない場合や、地主が建物ごと買い取る意向を示している場合は、そちらのほうが手取りは大きくなるでしょう。査定の段階でその見通しも含めてお伝えします。
借地権を地主に返すことでよくある質問
解体費用が用意できない場合、借金をしてでも更地にしなければならないのですか
借入で解体費を作る前に、確認する順序があります。まず借地権の種類と契約が終わる場面を確認し、建物買取請求権が使える場面であれば、解体せずに建物を時価で買い取ってもらう請求が可能です。使えない場面でも、地主との合意で解体費の負担割合を変える、建物ごと第三者に売却するといった道が残ります。解体費が払えないことは、更地返還以外の出口を探す十分な理由です。
祖父の代からの借地で契約書が手元にありません。それでも返還や売却はできますか
できます。借地借家法10条により、借地権は登記がなくても土地の上に登記された建物を所有していれば第三者に対抗できるため、契約書がないことが権利の不存在を意味するわけではありません。当社の実務でも、建物の登記事項証明書、地代の領収書や振込記録、固定資産税の課税明細から契約の存在と開始時期をたどります。契約書がなければ返還条項も存在しないため、更地返還を義務づける根拠自体がないという見方もできるでしょう。
地主が行方不明、または判断能力が低下していて話し合いができません
当事者どうしの交渉ができない場合は、家庭裁判所の手続きを使う道があります。判断能力が低下している場合は成年後見人の選任を、行方が分からない場合は不在者財産管理人の選任を申し立て、選ばれた人と交渉します。いずれも申立てから選任までに時間がかかるため、返還や売却の予定があるなら早めに司法書士や弁護士へ相談してください。
借地権を放棄すれば、地主に返したことになりますか
放棄と返還は同じではありません。借地権を放棄しても建物の収去義務が自動的に消えるわけではなく、建物が残ったままでは土地を返した状態になりません。また対価を受け取らずに権利を手放す形になるため、贈与とみなされないかどうかの検討も要ります。放棄という言葉で処理せず、契約の終了原因と建物の扱いを地主と書面で確認してください。
権利の仕組みや地主との関係から整理し直したい場合は、借地権の総合解説で理解を深めると判断の材料がそろいます。
まとめ
借地を返すときは建物を収去して更地で返すのが原則ですが、その根拠は原状回復ではなく収去義務であり、無償で手放す義務までは生じません。普通借地権や旧法借地権では、更地返還を求める契約書の条項が借地借家法16条により無効になる場面があります。ただし建物買取請求権が使えるのは存続期間が満了して更新がない場面に限られ、中途解約では条項がそのまま効きます。まず契約書で借地権の種類と存続期間を確かめ、解体の見積を取る前に、対価を受け取れる出口が残っているかを確認してください。
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