北海道で空き家を差し上げたい方へ|無償譲渡5つの方法と手放すコツ

北海道で空き家を「差し上げます」と募っても、0円で引き取り手がつくとは限りません。譲り受ける側にも固定資産税と冬の管理責任が移るからです。道内の空き家は45万2千戸、空き家率15.6%で全国値を上回ります(北海道)。手放す手段は5つあり、費用の持ち出しと成立の見込みは大きく異なります。

この記事の要点

  • 北海道の空き家は45万2千戸、空き家率15.6%で全国値(13.8%)を上回る
  • 0円で譲っても税と冬の管理責任は受け取る側に移るため、無償譲渡は成立しにくい
  • 自治体が0円譲渡の窓口を設けた例はあるが、登録が集まっていないケースもある
  • 冬の雪下ろし・凍結修繕・落雪の責任は所有者に残り、費用は自己負担になる
  • 手放す手段は5つ。費用の持ち出し・成立の見込み・冬の進めやすさで向き不向きが分かれる

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北海道で「空き家を差し上げます」が成立しにくい理由

北斗市の0円空き家は登録0件、有償の空き家バンクは8件という受け皿の偏りを示した図解
無償の枠は空いたまま、有償の枠には登録が集まっている(出典: 北斗市「北斗市空き家バンク制度」、北海道「北海道の空き家対策」)

北海道で空き家を0円で譲っても、固定資産税と冬の管理責任は受け取る側に移るため、引き取り手は限られます。道内の空き家は2023年(令和5年)の調査で45万2千戸、空き家率15.6%と全国値の13.8%を上回っており、譲りたい側の数に対して受け手が足りていません。

譲る側の意思決定を全体像から確認したい場合は、空き家の全体像を整理したガイドもあわせてご覧ください。

道内の空き家は45万2千戸、空き家率は全国値を上回る

北海道が公表している2023年(令和5年)住宅・土地統計調査の集計では、全道の総住宅数は288万8千戸で、2018年(平成30年)と比べて8万1千戸(2.9%)増えました。同じ期間に空き家は45万2千戸まで増え、その増加幅は7万2千戸です(北海道「北海道の空き家対策」、2026年7月時点)。

項目 2018年(平成30年)比の変化 2023年(令和5年)の値
総住宅数 8万1千戸増(2.9%増) 288万8千戸
空き家数 7万2千戸増 45万2千戸
空き家率 全国値を上回る水準が継続 15.6%(全国値13.8%)

住宅全体が8万1千戸増えるあいだに、空き家が7万2千戸増えている計算になります。新しく建った分がそのまま空き家の増加に置き換わったような比率で、需給が緩む方向にしか動いていません。空き家率15.6%は全国値13.8%を1.8ポイント上回り、およそ6〜7戸に1戸が空き家という水準です。

数年待てば需要が戻る、という前提は取りにくい局面です。手放すかどうかを迷っている期間そのものが、譲渡先を探す条件を厳しくしていきます。なお全国の空き家率13.8%は総務省の同調査によるもので、全国的な背景は神奈川の無償譲渡ガイドで扱っています。

0円で譲っても、税と冬の管理は受け取る側に移る

価格を0円にすれば話が早い、という発想には抜けがあります。空き家を受け取った側には、その翌年から固定資産税と都市計画税の納税義務が生じ、修繕・除草・除雪といった管理の手間も一緒に移る点が見落とされがちです。再販や賃貸の見込みが立ちにくい物件であれば、受け取った側が負担だけを抱える形になります。

北海道の場合、ここに冬の管理が上乗せされます。屋根の雪下ろし、水道の凍結対策、敷地の除雪は、住んでいなくても発生する作業です。築年数が古い、再建築ができない、傾きがあるといった条件が重なると、受け手の側で見積もる負担はさらに大きくなります。

エリアによる差も無視できません。札幌都市圏や近郊の住宅地であれば一定の需要が見込める一方、人口が減っている地方圏や郡部では、無償でも受け手が現れにくくなります。価格ではなく「受け取る側の負担を誰が引き受けるか」が、譲渡が成立するかどうかを分けています。

自治体が用意した0円譲渡の枠も埋まっていない

無償譲渡の受け皿は、民間の掲示板だけではありません。北海道の北斗市は、空き家バンク制度のなかに「無償で譲りたい」区分を設け、0円空き家として令和7年4月から運用を始めています北斗市「北斗市空き家バンク制度」、2026年7月時点)。登録は無料で、登録期間は最長2年間、再登録もできます。

条件面では、宅建業者と仲介契約を結ぶ必要がなく、当人同士が相対で契約する仕組みです。市は契約に関与しないと明記されており、所有者にとっては手数料がかからない反面、交渉と契約の責任は自分で負う設計になっています。

その北斗市の公表ページには、0円空き家として登録されている物件は現在ありませんと案内があります。同じページの通常の空き家バンクには420万円から1,380万円の物件が8件掲載されており、有償の枠にだけ登録が集まっている状態です。窓口を用意しても、無償譲渡が自動的に成立するわけではありません。

冬を越すたびに譲渡の条件は下がる

空き家の状態は、冬をはさむたびに変わります。雪の重みが屋根や外壁にかかり続け、春先に損傷が表面化しがちです。人の出入りがない家では、暖房も換気も止まったままなので、内部の傷みも進みます。

譲渡先を探している最中に状態が下がると、受け手が見積もる修繕費が増え、そのぶん引き受けの判断が難しくなります。片づけを翌春へ先送りするほど、次のシーズンには条件が一段下がった状態から交渉を始めることになります。

そこで次に確認したいのが、その冬のあいだに具体的に何が発生し、誰が費用を負担するのかという点です。

北海道で空き家を引き取ってもらう手段と、それぞれの成立条件

建物の有無と積雪期かどうかで使える手段が絞られる流れと、国庫帰属の審査手数料14,000円を示した分岐図
更地でなければ国庫帰属は申請できず、冬は現地確認が前提の手段が止まる(出典: 法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」、北海道「北海道の空き家対策」)

北海道で空き家を引き取ってもらう手段は5つあり、費用の持ち出しと成立までの確実性が大きく異なります。自治体の空き家バンク、民間のマッチングサイト、隣地への打診、相続土地国庫帰属制度、買取業者への売却です。それぞれに使える条件があり、建物が建ったままか、季節がいつかで選べる手段が変わります。

手放す方法を全国共通の観点から比べたい場合は、古民家を手放す方法を横断的にまとめた記事が総論を扱っています。北海道では積雪と移動距離という条件が加わるぶん、現実に動かせる手段はさらに絞られます。

空き家バンクに登録する

北海道は市町村と連携した北海道空き家情報バンクを平成28年4月から運用しており、道内の空き家・空き地の情報を公開しています(北海道の空き家対策ページに記載、2026年7月時点)。登録費用は基本的にかからず、移住希望者の目に触れる機会をつくれます。

一方で、バンクは情報を掲載する仕組みであり、買い手や借り手が現れることを保証するものではありません。掲載したまま年単位で動かない物件もあります。成約に至った場合も、価格交渉や契約手続きは当事者間で進めるのが原則で、引き渡し後のトラブル対応まで自治体が代行するわけではありません。

急いで手放したい場合や、遠方に住んでいて交渉の窓口を自分で持ちたくない場合には、スピードと手間の両面で合いにくい選択肢です。

マッチングサイトや掲示板に掲載する

民間の空き家マッチングサイトや掲示板を使えば、「0円譲渡」「差し上げます」といった条件で全国の希望者に向けて掲載できます。自分で条件を設定して直接やり取りできるため、自由度は高くなります。田舎暮らしやセカンドハウスを探している層から連絡が入ることもあります。

注意したいのは、個人間取引ならではのリスクです。引き渡し後に欠陥が見つかったときの責任、名義変更にかかる費用と手続きの負担者を、事前に文書で決めておく必要があります。相手の状況がわかりにくく、引き渡し後に連絡が取れなくなる可能性もあります。掲示板や個人間マッチングの仕組みそのものについては、千葉の古民家譲渡の記事で詳しく扱っています。

隣地の所有者や近隣住民に打診する

見落とされやすいのが、隣接する土地の所有者への打診です。隣の土地を持つ人にとって、空き家の敷地には次のような利点があります。

  • 自分の敷地を広げられる
  • 日当たりや風通しが改善する
  • 除雪した雪の置き場や駐車スペースを確保できる

北海道では、冬のあいだの雪置き場が確保できるかどうかが住まいの使い勝手を左右するため、この点が動機になることもあります。身近な範囲に、第三者よりも引き受けに前向きな相手がいるかもしれません。

ただし、相手にも取得後の費用負担と管理義務が生じます。価格や引き渡し条件で折り合わなければ話は進みませんし、断られたあとも近所付き合いは続きます。相手にとっての利点がはっきりしている場合に成立しやすい手段、という位置づけです。

相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらう

相続や遺贈で土地を取得した人は、法務大臣に承認を申請して土地を国庫に帰属させられます。令和5年4月27日に始まった制度で、開始前に相続した土地も対象です(法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」)。

ただし条件は厳しめです。建物がある土地は却下事由にあたり、申請そのものができません。利用するには先に解体して更地にする必要があります。担保権が設定されている土地、境界が明らかでない土地なども同じく却下の対象です。

費用面では、審査手数料が土地一筆あたり14,000円かかります。申請を取り下げた場合や、審査の結果が却下・不承認となった場合でも手数料は返還されません。承認された場合は、国有地の種目ごとに管理へ要する10年分の標準的な費用の額を考慮して算定された負担金を納めます。制度そのものの手続きの流れは、神奈川で空き家を譲る方法をまとめた記事で扱っています。

訳あり物件に対応する買取業者に売る

訳あり物件を専門に扱う買取業者へ直接売却する手段です。買い手を探す工程がないため、条件が合えば話がまとまった時点で取引が完結します。無償譲渡や空き家バンクと違い、手元に代金が残る点が構造的な差です。

再建築ができない土地、残置物が残ったままの家、老朽化が進んだ建物といった条件は、一般の仲介では扱いが難しくなります。訳あり物件を扱う業者であれば、リフォームや再販を前提に引き受け先を探せるぶん、対応できる範囲は広めです。

一方で、買取価格は仲介での成約価格より低くなるのが通例です。手元に残る金額そのものを優先するのか、確実性と早さを優先するのかで、向き不向きが分かれます。

5つの手段を同じ軸で比べる

5つの手段を、費用の持ち出し・手元に残るお金・成立の見込み・冬季の進めやすさ・引き渡し後の責任という5つの軸で並べたものが次の表です。

手段 費用の持ち出し 手元に残るお金 成立の見込み 冬季の進めやすさ 引き渡し後の責任
空き家バンクに登録 登録費用は基本無料 なし〜売買価格 掲載のみで成約の保証なし 内見が組みにくく動きにくい 当事者間で取り決め
マッチングサイト・掲示板 サイトにより異なる 0円譲渡なら残らない 相手次第で長期化しやすい 現地確認が前提だと止まりやすい 当事者間で取り決め
隣地所有者への打診 登記費用など 交渉次第 相手に利点がある場合に成立 相手の生活圏内なので相談は可能 当事者間で取り決め
相続土地国庫帰属制度 審査手数料14,000円+解体費+負担金 なし 建物付きは申請不可・要件も厳格 解体工事が春以降になりやすい 国庫帰属後は国が管理
訳あり物件の買取業者 原則なし 買取価格(仲介より低め) 条件が合えば合意時点で確定 書類ベースで先行できる 免責契約に対応する業者がある

使える手段は、建物が建ったままかどうかと、季節によって絞られます。更地でなければ国庫帰属は使えず、冬のあいだは内見や現地確認を前提とする手段が止まりやすくなります。データの出典は各手段の解説に記載した公的機関のページのとおりです。

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北海道の空き家は冬を越す前に動くほど条件がよくなる

木造100平方メートルの除却費360万円相当に対し補助上限は50万円、冬の屋根転落45人を並べた図
解体費の大半は自己負担で、屋根の作業リスクも所有者に残る(出典: 札幌市の危険空家等除却補助制度の公表単価を基に当社換算、北海道「雪による被害」)

北海道の空き家では、冬季の雪下ろし・凍結・落雪への対応が所有者に残り、費用も自己負担になります。屋根の雪処理は道の統計に表れるほど事故の多い作業で、遠方に住む所有者が自力でこなす前提は現実的ではありません。外注費を毎年支払い続けるのか、それとも冬が来る前に手放すのかという比較が、時期を決める判断材料になります。

屋根の雪下ろしは道の統計に表れるほど事故が多い

北海道がまとめた2025年11月から2026年3月までの集計では、雪による人的被害は死傷者175人(死亡10人・重傷34人・軽傷131人)でした(北海道「雪による被害」に掲載された同期間の集計資料、2026年3月末時点の速報値)。原因の内訳は次のとおりです。

  • 屋根からの転落 45人(25.7%)
  • はしごからの転落 35人(20.0%)
  • 落氷雪 23人(13.1%)
  • 除雪機による事故 12人(6.9%)

屋根とはしごからの転落を合わせると80人で、被害全体の45.7%を占めます。年齢別では65歳から74歳が44人、75歳以上が81人で、合わせて125人にのぼり、被害者の71.4%が65歳以上という構成です。前のシーズン(2024年11月〜2025年3月)は死傷者244人で、シーズンごとの降雪量によって数は動きますが、原因の上位が屋根と高所の作業である点は変わりません。

この統計は道内の雪害全体を対象としたもので、空き家に限った集計ではありません。それでも、屋根の雪処理が高齢者にとって危険を伴う作業だという事実は、遠方に住む所有者が自分で通って対応する計画の現実味を測る材料になります。業者へ委託するなら、その費用が毎年かかることになります。

水道の凍結修繕は所有者の自己負担になる

札幌市水道局は、12月から2月にかけて水道の凍結事故が多発すると案内しています。とくに注意が必要な条件として、外気温がマイナス4℃以下になるとき、旅行などで長時間水道を使用しないときを挙げています(札幌市水道局「水道の凍結について」、2026年7月時点)。

誰も住んでいない空き家は、この「長時間水道を使用しない」状態が冬のあいだ続きます。水抜き栓による水抜きをしていなければ、凍結の条件がそろいやすい環境です。

費用の負担者もはっきりしています。同水道局は凍結修繕は水道局では行わず、修繕費用はお客様の自己負担ですと明記しています。工事の契約は所有者と指定給水装置工事事業者のあいだで結ぶもので、水道局は関与しません。

札幌市が冬の暮らしとして案内している制度は、生活道路の排雪支援、除雪ボランティアの支援、除雪用具や小型除雪機の貸出、融雪施設設置資金の融資あっせん、福祉除雪事業などです(札幌市「冬の暮らし・除雪」、2026年7月時点)。案内されているのは道路の除排雪と、そこに住んでいる世帯への支援が中心です。

更地にすると土地の税負担が上がることがある

建物を解体して更地にすれば手放しやすくなる、という進め方には二つの逆風があります。解体費の自己負担と、解体後の税負担です。

札幌市の令和8年度危険空家等除却補助制度では、通常型の補助限度額は「除却工事費の3分の1」「国が定める標準除却費×延べ面積×10分の8」「50万円」のうち最も低い額です。地域連携型は上限150万円ですが、除却後の土地を5年間、地域の自治組織などに無償で貸与する条件が付きます。国が定める標準除却費は木造で36,000円、非木造で51,000円(延べ面積1平方メートルあたりの単価)と公表されています(札幌市、令和8年度)。

この単価をもとに当社で換算すると、延べ床100平方メートルの木造住宅は360万円相当です。これは補助額を算定するための公的な単価であって、実際の見積額や相場ではありません。それでも、通常型の補助上限が50万円である以上、費用の大半が自己負担になる構図は読み取れます。しかも同制度では、除却工事費に残置処分費や跡地の舗装費用を含めることができません。

さらに札幌市は、住宅の解体後は住宅用地の特例措置が適用されなくなり、土地の固定資産税などの税金が上がることがあると注意を促しています。更地にすると、支出が増えたうえに毎年の税負担も上がる可能性があります。建物が建ったまま引き受ける相手を先に探すほうが、費用と税の両面で不利を避けやすい進め方です。

制度上の期限も同時に進む

冬を越すあいだ、制度の期限も並行して進みます。管理が行き届かない空き家は、改正空家法にもとづき「管理不全空家等」や「特定空家等」として扱われる場合があり、勧告を受けると住宅用地の特例が外れます。改正法は令和5年12月13日に施行されました(国土交通省)。指定の基準や税負担の変化は、福岡の空き家譲渡の記事で詳しく扱っています。

相続登記も期限が決まっています。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が義務で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。施行前に相続した不動産は令和9年3月31日までが期限です(法務省)。手続きの詳細は神奈川で空き家を譲る方法をまとめた記事をご確認ください。

北海道固有の論点として、落雪と倒壊の責任があります。屋根から落ちた雪が隣家や通行人に被害を与えた場合、また老朽化した建物が崩れた場合、その責任は所有者に及びます。冬のあいだ現地に行けない状態が続くほど、この責任だけが手元に残り続けます。

冬に発生する費目と負担する人を一覧で確認する

冬季に発生する費目は、雪下ろし・凍結修繕・落雪の賠償・解体・税金の5つに整理できます。いずれも所有権が移るまでは所有者の負担で、時期も決まっているため、手放す時期を決める前に一覧で押さえておくと判断が早くなります。

費目 発生する時期 負担する人 留意点
屋根の雪下ろし・除雪 12月〜3月ごろ 所有者(自力または委託) 転落は道の雪害集計で原因の最多
水道の凍結修繕 12月〜2月に多発 所有者(指定事業者と直接契約) 水道局は修繕を行わず費用は自己負担
落雪・倒壊による損害 積雪期〜融雪期 所有者(損害賠償の責任) 管理責任は所有者に帰属
解体(更地化) 春〜秋の工事期 所有者(補助は上限あり) 残置処分費は補助の対象外
固定資産税・都市計画税 毎年 所有者(1月1日時点) 解体後は住宅用地の特例が外れる場合あり

費目ごとの根拠は、北海道「雪による被害」札幌市の危険空家等除却補助制度、および本文で引用した札幌市水道局の案内にもとづきます(2026年7月時点)。

要点: 冬を越すたびに、費用と作業リスクだけが所有者側に積み上がります。雪が降る前に譲渡先や売却先の目処を立てられるかどうかが、その年の負担額を決めます。

無償で譲るより買取を選んだほうがよいケース

0円譲渡と買取の手取り・持ち出し・引き渡し後の責任の違いと、贈与税の基礎控除110万円を並べた比較図
無償でも名義変更費用と責任は譲る側に残り、相手には贈与税が生じうる(出典: 国税庁、令和7年4月1日現在法令等。買取側の条件は当社の対応内容に基づく)

無償譲渡は手元にお金が残らず、贈与税や引き渡し後の責任が関係者に残る点が買取との違いです。名義変更の費用や、場合によっては解体費を自分で払ったうえで手放すことになります。片づけや解体を自分で手配できるか、引き渡し後の責任をどこまで切りたいかによって、選ぶべき手段が変わります。

0円譲渡では手元にお金が残らず、税が相手に生じることがある

無償で譲る場合、手元に入る金額はゼロです。それどころか、登記の名義変更費用は自分の負担になり、相手が更地を希望すれば解体費も加わります。

加えて、個人間で無償譲渡すると受け取った側に贈与税がかかることがあります。贈与税は、その年に贈与で取得した財産の合計から基礎控除額110万円を差し引いた残りに税率を乗じて計算します(国税庁、令和7年4月1日現在法令等)。無償のつもりが相手に納税義務を生じさせることになり、これが受け手をためらわせる要因にもなります。税額の計算や不動産取得税の扱いは、徳島市の空き家譲渡の記事で扱っています。実際の税額や登記の進め方は物件の評価額や相続の状況で変わるため、個別の判断は税理士・司法書士や宅地建物取引士にご確認ください。

一方、買取であれば代金が手元に残ります。当社の買取くんでは、他社で希望額に届かなかった相続物件や、長く空き家だった物件を買い取った実績を公式ページで公開しています。物件の立地と状態で金額は変わるため、まず査定額を確認してから無償譲渡と比べる順序が現実的です。

引き渡し後の契約不適合責任をどう扱うか

無償譲渡や個人間売買で見落とされやすいのが、契約不適合責任です。引き渡したあとに雨漏りや構造上の欠陥が見つかると、譲った側が補修費用や損害賠償を求められる可能性があります。

北海道の築古物件では、雪の重みや凍害による不具合が外から見えにくい場所に潜んでいることがあります。融雪期に屋根や外壁の損傷が表面化する例もあり、引き渡し時点では気づけない不具合が後から出てくる余地が残る点に注意が必要です。

買取業者との取引では、この責任を免責とする契約形態を取れる場合があります。当社では契約不適合責任の免責に対応しており、引き渡し後に不具合が判明した場合の負担を売主側に残さない形の契約が可能です。免責条項の考え方と注意点は、宮崎の空き家譲渡の記事が詳しく扱っています。

残置物や解体を自分で片づけられない場合

家財道具が残ったままの空き家では、譲渡や仲介の前提として片づけを求められることがあります。本州から北海道の物件へ何度も通うとなると、移動時間と交通費がそのまま負担です。

しかも作業できる期間が限られます。積雪期は屋内の片づけも搬出も進めにくく、実質的に動けるのは雪解けから初雪までのあいだです。1年のうち使える時期が半分程度に絞られるため、片づけを起点にすると計画が翌年へずれ込みやすくなります。

訳あり物件を扱う買取業者であれば、生活用品が残った状態や未清掃のままでも引き受けられる場合があります。当社は残置物の処理や解体を必要としない現状買取に対応しており、仲介手数料もかかりません。遠方の所有者とはSMSでのやり取りや土曜日の対応で決済まで進めた事例もあります。残置物や解体費の負担区分については、愛知の無償譲渡の記事にまとめています。

「0円にすれば手放せる」という前提は、ここまで見てきた公的機関の公表データと照らすと成り立ちません。北斗市が制度として設けた0円空き家の枠には登録が集まらず、冬の管理費と作業リスクは所有者に残ります。無償譲渡でも、手放したあとの責任まではゼロになりません。判断の軸は価格をどこまで下げるかではなく、受け取る側の負担を誰が引き受けるかに置くほうが、結果として早く決着します。買取が候補になるのは、その負担を業者側が引き受ける形が取れるためです。

北海道で空き家買取に対応する会社の顔ぶれと対応エリア

北海道で空き家買取に対応する会社は札幌中心と道内全域・全国対応に分かれ、物件の所在地で候補が絞られます。査定スピードを具体的な時間で公表している会社と、要問い合わせとしている会社があり、急いでいるかどうかでも候補が変わります。以下は各社が公表している情報を、同じ4項目と道内エリア区分で並べています。

# 業者名 特徴 対応エリア 道内エリア区分 査定スピード
1 買取くん 訳あり物件専門・現状買取OK 全国(北海道含む) 全域 最短6時間査定・最短3日現金化
2 アルバリンク札幌支店 訳あり物件・事故物件に強い 北海道全域/全国 全域 最短12時間以内に連絡
3 リ・セール 空き家を賃貸再利用するノウハウ 札幌市中心 道央 無料査定(要問い合わせ)
4 S plus home 住み替え・セカンドライフに強み 札幌市中心 道央 無料査定(要問い合わせ)
5 北欧開発 専門家連携で複雑な権利関係に対応 札幌市・近郊 道央 無料相談(要問い合わせ)
6 HGCエステート 任意売却20年超・即時買取対応 札幌・近郊7市 道央 即買取対応あり
7 OneDraft 再建築不可・狭小地の売却に対応 札幌市西区中心 道央 無料査定(要問い合わせ)
8 かいとりっす 道内8拠点・不用品無料処分あり 北海道全域 道央・道南・道東・道北 無料査定(要問い合わせ)
9 A'zエステート 女性スタッフ・オンライン相談可 札幌市・近郊4区 道央 無料査定(要問い合わせ)
10 イエツグ 買取→リノベ→販売ワンストップ 札幌・近郊8市 道央 無料査定(要問い合わせ)
11 エリアネット 個人情報不要のAI査定・5店舗 札幌・千歳・苫小牧 道央 AI査定で即時概算

道内エリア区分は、各社が公表している対応エリアの地名を道央・道南・道東・道北・全域に当てはめて分類しました。データの出典は各社の公式サイトで、表の社名からたどれます。積雪地への対応可否は各社の公表情報からは確認できなかったため、列を設けていません。

要点: 候補はまず物件の所在地で絞れます。11社のうち9社は道央(札幌市とその近郊)が中心で、道南・道東・道北の物件では選択肢が全域対応の会社に限られます。

買取くん(株式会社リアテクス)

エリア・査定スピード・費用負担の3点で見ると、当社は全国対応で北海道の地方圏も範囲に含み、最短6時間査定・最短3日現金化に対応する体制です。空き家・古民家に加えて再建築不可、共有持分、事故物件にも対応します。残置物が残ったままの現状買取、仲介手数料0円、契約不適合責任の免責もあわせて提供中です。提携する弁護士・司法書士とも連携できるため、権利関係が複雑な物件も相談できます。宅地建物取引業免許は東京都知事免許(1)第107888号で、国土交通省の宅地建物取引業者検索システムから照合できます。

  • 特徴: 訳あり物件専門・現状買取に対応
  • 対応エリア: 全国(北海道の地方圏を含む)
  • 査定スピード: 最短6時間査定・最短3日現金化

アルバリンク札幌支店

アルバリンク札幌支店は、訳あり物件・空き家・事故物件の買取に対応する全国チェーンの北海道拠点です。北海道全域を対象としているため、地元業者が扱いにくい地方圏の物件でも相談先の候補になります。

  • 特徴: 訳あり物件・事故物件の買取に強く、買い取った物件の再生も手がける
  • 対応エリア: 北海道全域(札幌支店)/全国
  • 査定スピード: 査定依頼後、最短12時間以内に連絡

リ・セール

リ・セールは札幌市を拠点に、買い取った空き家を賃貸として再利用するノウハウを持つ会社です。建物を壊さずに活用してほしいという希望があり、賃貸需要が見込める札幌エリアの物件であれば相談しやすい相手です。

  • 特徴: 空き家を賃貸再利用するノウハウが豊富
  • 対応エリア: 札幌市中心(豊平区)
  • 査定スピード: 無料査定(要問い合わせ)

S plus home

S plus homeは札幌の不動産会社で、住み替えやセカンドライフの相談に対応し、リフォーム・リノベーションも手がけています。実家の売却を自分の住まいの計画とあわせて考えたい場合に向く相手です。

  • 特徴: 住み替え・セカンドライフの相談に強み
  • 対応エリア: 札幌市中心(中央区)
  • 査定スピード: 無料査定(要問い合わせ)

北欧開発

北欧開発は札幌市と近郊で不動産の買取・現金化を扱い、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーと連携する体制を取っています。共有名義や相続が絡んで手続きの進め方が定まらない物件を、専門家の関与を前提に相談できる相手です。

  • 特徴: 専門家連携で複雑な権利関係に対応
  • 対応エリア: 札幌市・近郊
  • 査定スピード: 無料相談(要問い合わせ)

HGCエステート

HGCエステートは任意売却を専門に20年以上の実績を持ち、即時買取や相続物件・空き家の現金化に対応しています。住宅ローンが残っている物件など、権利や債務の事情が絡む場合の相談先です。

  • 特徴: 任意売却20年超・即時買取対応
  • 対応エリア: 札幌市・石狩・小樽・江別・北広島・恵庭・千歳
  • 査定スピード: 即買取対応あり

OneDraft

OneDraftは札幌市西区を拠点に、相続物件・空き家・再建築不可・狭小地の売却へ対応しています。仲介と直接買取の両方を扱うため、価格を優先するか早さを優先するかで進め方を選べます。

  • 特徴: 再建築不可・狭小地の売却に対応
  • 対応エリア: 札幌市西区中心(琴似駅近く)
  • 査定スピード: 無料査定(要問い合わせ)

かいとりっす

かいとりっすは北海道全域をカバーする買取・売却の専門ネットワークです。道内各地に拠点があるため、道東や道北など札幌から離れた物件でも相談経路を確保しやすい会社です。不用品の無料処分サービスもあります。

  • 特徴: 道内8拠点・不用品無料処分サービスあり
  • 対応エリア: 北海道全域(札幌・旭川・函館・帯広・釧路・北見・苫小牧など)
  • 査定スピード: 無料査定(要問い合わせ)

A'zエステート

A'zエステートは札幌と近郊で売買仲介・買取に対応し、無料相談・無料査定・秘密厳守を掲げています。オンライン相談に対応しているため、遠方に住んでいて来店が難しい場合の入口です。

  • 特徴: 女性スタッフ・オンライン相談・秘密厳守
  • 対応エリア: 札幌市豊平区・中央区・白石区・清田区中心
  • 査定スピード: 無料査定(要問い合わせ)

イエツグ

イエツグは札幌の買取専門店で、買取からリノベーション、販売までを自社で手がけています。金額と引き渡し時期を先に合意してから進めるため、売却後の予定を立てやすい進め方です。

  • 特徴: 買取→リノベ→販売のワンストップ・仲介手数料0円
  • 対応エリア: 札幌市・千歳・北広島・恵庭・石狩・小樽・岩見沢・江別
  • 査定スピード: 無料査定(要問い合わせ)

エリアネット

エリアネットは札幌・千歳・苫小牧で5店舗を展開し、個人情報の入力が不要なAI査定を提供しています。まず概算だけ知りたい段階で使いやすい入口です。

  • 特徴: 個人情報不要のAI査定・5店舗展開
  • 対応エリア: 札幌市内・千歳市・苫小牧市
  • 査定スピード: AI査定で即時概算

北海道の物件で依頼前に確認したい点

業者を比べるときの一般的な評価軸は空き家買取業者のランキング記事で整理しています。北海道の物件では、これに次の3点が加わります。

1つ目は、物件の所在地が対応エリアに含まれるかどうかです。上の表のとおり道央中心の会社が多いため、道南・道東・道北の物件は全域対応の会社から当たるほうが早く進みます。

2つ目は、積雪期の現地確認をどう扱うかです。屋根や外構が雪に覆われている時期は目視で確認できる範囲が限られます。書類と写真で概算を先に出せるか、確定条件を雪解け後に詰める運用にするかを、依頼前に聞いておくと予定が立てやすくなります。

3つ目は費用の負担区分です。仲介手数料の有無に加えて、残置物の処理費と解体費をどちらが負担するのかを見積もりの段階で確認します。札幌市の除却補助制度でも残置処分費は補助の対象外とされており、この費目は見落とすと後から効いてきます。

評価軸 チェックすべきポイント 買取くんの実績
査定スピード 査定・現金化までの具体的な日数が明記されているか 最短6時間査定・最短3日現金化
訳あり物件の買取実績 似た条件の物件の買取事例があるか 再建築不可・共有持分・事故物件など訳あり専門
費用負担 手数料・残置物処理・解体費の扱いが明確か 仲介手数料0円・残置物そのまま現状買取

会社の体制や実績まで確認しておきたい場合は、株式会社リアテクスの選び方を整理した記事もあわせてご覧ください。

北海道の空き家譲渡でよくある質問

冬の間でも、北海道の空き家の査定や売却の手続きは進められますか

相談と査定の受付は季節を問いません。当社では最短6時間で価格を回答しています。ただし積雪期は屋根や敷地の状態を目視で確認しにくいため、確定条件の詰めが雪解け後になることがあります。書類と写真をもとに概算を先に出しておけば、春を待たずに比較検討を進められます。査定から現金化までの流れと必要書類は、長野の古民家譲渡の記事が詳しいです。

除雪や凍結対策の費用は、誰が負担することになりますか

所有権が移るまでは所有者の負担です。水道の凍結修繕について、札幌市水道局は水道局では行わず修繕費用は所有者の自己負担になると明記しています(札幌市水道局、2026年7月時点)。また同市が案内している冬の制度は生活道路の排雪支援や在宅世帯向けの福祉除雪が中心で、空き家の屋根雪を代行する制度としては掲載されていません(札幌市)。買取であれば、引き渡し以降の除雪や凍結対策は買主側の負担に移ります。

北海道の空き家は、本当に引き取り手がいないのですか

エリアと条件によって差があります。北海道は市町村と連携した空き家情報バンクを平成28年4月から運用しており、移住希望者とのマッチングの場は用意されています。一方で、北斗市が令和7年4月に設けた0円空き家の枠には、2026年7月時点で登録物件がありません(北斗市)。同じページの有償の空き家バンクには8件が掲載されており、無償かどうかよりも受け取る側の負担が引き受けられるかどうかが成立を左右しています。

まとめ

北海道の空き家は45万2千戸、空き家率15.6%で全国値を上回り、0円で募っても引き取り手がつかない状況が生まれています。自治体が用意した無償譲渡の枠にも登録が集まらない一方、冬の雪下ろし・凍結修繕・落雪の責任と費用は所有者に残り続けます。空き家バンク、マッチングサイト、隣地への打診、相続土地国庫帰属制度、買取業者という5つの手段は、費用の持ち出しと成立の見込みが大きく違います。雪が降る前に価格の目安を把握しておけば、次の冬は屋根の雪と修繕費を気にせずに過ごせるはずです。

\ まずは価格を知るだけでも /

北海道の空き家は冬を越すごとに傷むため、当社の買取くんが最短6時間で価格を回答します。

受付時間 10:00〜19:00(水・日曜日定休)

この記事の監修者

株式会社リアテクス 執行役員 鶴野博之

鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)

宅地建物取引士/賃貸経営管理士/FP2級

一棟投資物件専門の仲介会社で不動産業界に参入後、前職では「訳あり・瑕疵物件」に特化したコンサルティングプログラム責任者として600名以上の投資家の購入から売却までに携わる。自身も再建築不可物件を中心に訳あり物件へ投資し、転売売買から保有物件まで数々の実績を持つ。

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