路線価図に「300C」と記された土地は、1平方メートルあたり30万円・借地権割合70%という意味です(国税庁「路線価図の説明」、2026年8月時点)。借地権の売却価格は、この割合を更地としての土地の価額に掛けて概算します。ただし式が返すのは相続税を計算するための評価額であり、成約価格とはものさしが違う数字です。まず借地権の基本を借地権の基礎からの解説で押さえてください。
\ 無料査定は最短6時間 /
路線価から出した概算と、実際に付く価格の差を先に確かめられます。
受付時間 10:00〜19:00(水・日曜定休)
借地権の売却価格はどう計算する?基本の計算式

借地権の売却価格は、更地としての土地の価額に借地権割合を掛けて概算します。その割合を示すのが、路線価図に並ぶA〜Gの記号です。
借地権価格=更地としての土地の価額×借地権割合
国税庁は借地権の評価について、「借地権の価額は、借地権の目的となっている宅地の自用地としての価額に借地権割合を乗じて求めます」と定めています(国税庁 No.4611 借地権の評価、令和8年4月1日現在法令等)。ここでいう自用地としての価額とは、他人の権利が付いていない状態の土地、つまり更地としての価額を指します。
借地権割合は、路線価図や評価倍率表にA〜Gの記号で表示されます。記号と割合の対応は次のとおりです。
| 記号 | 借地権割合 | 「路線価200千円」の土地1㎡あたりの借地権価格 |
| A | 90% | 180,000円 |
| B | 80% | 160,000円 |
| C | 70% | 140,000円 |
| D | 60% | 120,000円 |
| E | 50% | 100,000円 |
| F | 40% | 80,000円 |
| G | 30% | 60,000円 |
記号と割合の対応は国税庁「路線価図の説明」に基づき、右列は路線価200千円を前提に当社が計算しました(2026年8月時点)。同ページには「215D」と記載されている場合は路線価215,000円・借地権割合60%を示す、という読み方の例も示されています。記号が1つ違うだけで、同じ広さの土地でも借地権価格は1割ずつ動く計算です。
路線価図の探し方や地区区分の見方といった読み取りの手順は、借地権割合と路線価図の読み方で詳しく扱っています。
国税庁の公式計算例で検算してみる
計算式を「路線価×面積×借地権割合」と単純化すると、国税庁が示す公式の計算例とは一致しません。公式の計算例には、もう1つ画地調整率という要素が入ります。土地の形状(奥行距離、不整形の度合い、角地など)に応じて価額を補正する率のことです(国税庁「令和8年分の路線価等について」、2026年7月)。
国税庁が公開している計算例をそのまま追うと、次のようになります。普通商業・併用住宅地区で表記が「300C」、奥行距離35メートル、地積700平方メートルの土地という条件です。
- 路線価300,000円 × 奥行価格補正率0.97 = 1平方メートルあたり291,000円
- 291,000円 × 700平方メートル = 自用地の価額 203,700,000円
- 203,700,000円 × 借地権割合70% = 借地権の価額 142,590,000円
ここで補正率を掛け忘れて「300,000円 × 700平方メートル × 70%」と計算すると147,000,000円になります。公式の計算例との差は4,410,000円、自己流で出した金額に対して約3.0%です(前掲の国税庁「路線価図の説明」の数値を基に当社が算出)。概算のつもりで出した数字が、数百万円単位でずれることがあります。
奥行が極端に長い土地、間口が狭い土地、旗竿状の土地では補正率がさらに小さくなります。自分で出した数字はあくまで入口の目安として扱い、実際の売却判断は査定と突き合わせて進めてください。
借地権の種類で計算方法はどう変わる?

借地権の種類で計算方法が変わります。普通借地権は割合方式、定期借地権等は残る経済的利益と存続期間から評価します。
国税庁は借地権を5つに区分し、評価の場面では旧借地法・借地借家法の一般的な借地権を「借地権」、定期借地権・事業用定期借地権等・建物譲渡特約付借地権・一時使用目的の借地権を「定期借地権等」としてまとめています(前掲の国税庁 No.4611)。種類ごとの計算方法は次のとおりです。
| 借地権の種類 | 計算の考え方 | 売却価格への効き方 |
| 借地権(旧法・普通借地権) | 自用地としての価額 × 借地権割合 | 更新が前提のため長く使える権利として評価されやすい |
| 定期借地権等 | 借地権者に帰属する経済的利益と存続期間を基に評定 | 残存期間が短いほど価値が目減りする |
| 一時使用目的の借地権 | 雑種地の賃借権の評価方法に準じる | 借地権割合をそのまま掛けることは適当でないとされる |
各種類の定義や成り立ちそのものは借地権の種類と基本で扱っています。
普通借地権・旧法借地権は割合方式で計算できる
自分で概算しやすいのはこの区分です。更地としての価額に借地権割合を掛けるだけで、相続税評価ベースの借地権価格が出ます。旧法(借地法)時代の借地権も、1992年8月以降の普通借地権も、評価の枠組みは同じ割合方式です。
売却の場面で効いてくるのは、更新が前提かどうかという点です。買主から見れば、更新できる借地権は長期にわたって使える権利であり、期間満了で返す前提の権利とは性質が違います。同じ借地権割合の地域でも、この違いが値付けに反映されます。
定期借地権等は「残る利益」と「残る期間」で決まる
定期借地権等は割合方式を使いません。国税庁は「課税時期において借地権者に帰属する経済的利益およびその存続期間を基として評定した価額によって評価します」と定めています(前掲の国税庁 No.4611)。設定時に権利金や保証金を払っているか、地代が相場より安く設定されているか、といった経済的な有利さの残りを金額に置き換える考え方です。設定時に支払った一時金の扱いは借地権の権利金の相場と性質で整理しています。
残存期間が価格に直結することは、底地側の評価規定からも読み取れます。定期借地権等の目的となっている宅地の評価では、残存期間に応じて次の割合が定められています(国税庁 No.4613 貸宅地の評価、令和8年4月1日現在法令等)。
| 定期借地権等の残存期間 | 底地評価で用いる割合 |
| 5年以下 | 5% |
| 5年超10年以下 | 10% |
| 10年超15年以下 | 15% |
| 15年超 | 20% |
底地側で控除される割合が残存期間とともに小さくなるということは、裏返せば借地権の側に残っている価値も期間とともにやせていくということです。定期借地権は、残り年数が少ないほど買い手が付きにくくなります。売却を考え始めた時点の残存期間を、まず契約書で確認してください。
一時使用目的の借地権は別の枠組みで評価する
工事現場の仮設事務所の敷地のように、一時的な使用のために設定された借地権は、借地権割合をそのまま掛ける方法が適当でないとされ、雑種地の賃借権の評価方法に準じて評価します(前掲の国税庁 No.4611)。賃借権の登記があるか、設定の対価として権利金を払っているか、堅固な構築物の所有が目的かによって扱いが分かれます。該当しそうな場合は、自分で計算せず税理士に確認してください。
計算した金額と実際の売却価格がずれるのはなぜ?

計算値がずれるのは、路線価が地価公示価格等の80%程度を目途に定められ、評価時点も1月1日に固定されているためです。
路線価は公示価格の80%程度・評価時点は毎年1月1日
国税庁は路線価の水準について、「路線価等は、1月1日を評価時点として、1年間の地価変動などを考慮し、地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途に定めています」と公表しています(前掲の国税庁「令和8年分の路線価等について」、2026年7月)。その地価公示は、地価公示法に基づき国土交通省土地鑑定委員会が毎年1月1日時点の標準地の正常な価格を3月に公示するもので、国土交通省は主な役割の1つに「土地の相続評価および固定資産税評価についての基準となること」を挙げています(国土交通省「地価公示」、2026年8月時点)。
つまり路線価と取引価格は無関係な数字ではなく、同じ地価公示から派生した別水準の数字です。この構造を使えば、相続税評価ベースの借地権価格から時価の水準感を逆算できます。
| 路線価ベースの借地権価格 | 0.8で割り戻した時価水準の目安 | 差額 |
| 1,000万円 | 1,250万円 | +250万円 |
| 2,000万円 | 2,500万円 | +500万円 |
| 3,000万円 | 3,750万円 | +750万円 |
| 5,000万円 | 6,250万円 | +1,250万円 |
| 1億円 | 1億2,500万円 | +2,500万円 |
【調査方法】対象: 借地権価格の相続税評価額/算出方法: 国税庁が公表する「地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途」という水準を用い、相続税評価ベースの借地権価格を0.8で割り戻して時価水準の目安を求めた(端数は10万円単位で処理)/データ出典: 前掲の国税庁「令和8年分の路線価等について」の公表内容を基に当社作成(2026年8月時点)
ただしこの割り戻しが示すのは土地の価格水準の差であって、借地権そのものの成約価格ではありません。承諾が取れる見込み、建物の状態、買い手の資金調達といった個別事情によって、実際の提示額はこの水準を下回ることもあります。
もう1つ見落とされやすいのが時点のずれです。令和8年分の路線価は2026年7月1日に公開されましたが、評価時点は2026年1月1日です。公開された瞬間にすでに半年分の地価変動が織り込まれておらず、年末に売却するなら約1年前の地価をものさしにしていることになります。計算値と査定額が違うのは、まず水準と時点が違うからです。
相続税評価額は税額計算のものさしであって売買価格ではない
路線価方式は、納税者が自分で時価を把握することは容易でないという前提のもと、申告の便宜と課税の公平を図る目的で用意された仕組みです(前掲の国税庁「令和8年分の路線価等について」)。目的が納税額の計算にある以上、全国どの土地にも同じ手順で適用できる画一性が優先されます。
一方で買い手の値付けは、その土地と建物を実際に使えるか、転売できるかという個別事情で動きます。承諾が取れる見込み、建物の残存価値、接道状況、近隣の売り出し状況といった要素は、割合方式の計算式のどこにも入っていません。実際の取引水準を知りたい場合は借地権の売却相場を確認してください。
計算値から手取りを削る費用がある
計算で出た金額が、そのまま手元に残るわけではありません。借地権の売却では、次の費用が計算値から差し引かれます。
| 差し引かれるもの | 内容 |
| 譲渡承諾料 | 第三者へ譲渡する際に地主へ支払う金銭。法定の料率はない |
| 建物の解体費用 | 更地で引き渡す場合や買主が建て替える場合に発生する |
| 仲介手数料 | 仲介で売却する場合。買取では発生しない |
| 譲渡所得税・住民税 | 売却益が出た場合に課税される |
譲渡所得は、売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用は譲渡費用に含められます(国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた、令和7年4月1日現在法令等)。税額の具体的な計算と申告の要否は借地権売却にかかる税金の計算、解体費用の水準は家の解体料金の相場で扱っています。個別の税額は条件によって変わるため、判断が必要な場面では税理士にご相談ください。
\ 他社で断られた借地権も /
承諾の見通しが立たない状態でも、現況のまま全国どこでも引き取れるか判断できます。
受付時間 10:00〜19:00(水・日曜定休)
売却先によって価格の前提はどう変わる?

売却先で価格が変わるのは、地主の承諾が要るかどうかと、買い手が引き受けるリスクの重さが違うためです。
同じ借地権でも、誰に売るかで価格を決める材料そのものが入れ替わります。当社が訳あり物件の買取で使っている判断軸を、承諾の要否・価格に効く要素・時間軸の3列で整理すると次のようになります。
| 売却先 | 譲渡承諾 | 価格に効く主な要素 | 時間軸の目安 |
| 地主 | 不要(相手が地主) | 底地と借地権が1つに戻る利益/地主の資金余力 | 短い |
| 買取業者 | 必要 | 承諾が取れる見込み/現況のまま引き取れるか/出口の有無 | 短い |
| 個人(仲介) | 必要 | 住宅ローンのための抵当権設定承諾/建物の状態 | 中〜長い |
| 底地と同時売却 | 実質必要(共同売却) | 制約のない所有権になる価値/配分割合の合意 | 長い |
【調査方法】対象: 借地権の売却先4類型/算出方法: 承諾の要否は国税庁が示す権利区分と借地借家法の枠組みに沿って整理し、価格に効く要素と時間軸は当社の買取実務における判断軸をそのまま列挙した(金額・割合の推計は行っていない)/データ出典: 前掲の国税庁 No.4611 の権利区分と、当社の買取実務に基づく(2026年8月時点)
地主に売る場合は承諾という関門が発生しない
交渉相手が地主本人であるため、譲渡の承諾を別途取る必要がありません。地主にとっても、底地に借地権が戻れば土地を完全な所有権として扱えるという利益があります。この利益をどこまで価格に反映してもらえるかが交渉の中心です。
ただし、地主に買う意思と資金が同時にそろっていることが前提です。相続で代替わりした直後や、複数の借地人を抱えている地主は、資金の都合で応じられないことがあります。地主や業者との交渉の進め方は地主や業者に買い取ってもらう交渉で扱っています。
第三者に売る場合は承諾リスクが価格に反映される
第三者への売却で価格を左右するのは、地主の承諾が得られるかどうかです。買主が個人で住宅ローンを使う場合、土地への抵当権設定について別途承諾が求められ、これが下りなければ契約は成立しません。この不確実性を買主が引き受ける以上、その分は価格から差し引かれます。
買取業者が買う場合は自己資金で購入するため抵当権設定の承諾が不要で、老朽化した建物や残置物も現況のまま引き取れる点が違いです。承諾の取得手順そのものは借地権を売却する手順と地主の承諾にまとめています。
底地と同時に売る場合は配分の合意が前提になる
借地人と地主が足並みをそろえ、借地権と底地を1つの所有権として同時に売る方法です。買主から見れば制約のない土地になるため、借地権単独より高い価格が付きやすくなります。一方で、売却の時期・価格・代金の配分割合という3点を地主と決める必要があり、どれか1つでも折り合わなければ進みません。地主側の事情は底地の仕組みと地主側の事情で整理しています。
計算式は1つでも、その式に入る前提は売却先ごとに別物です。概算を出したあと実際に何を見られるのかは、借地権の査定で見られるポイントで確認してください。
計算だけで判断が付かない借地権を当社はどう値付けするか
当社は計算値ではなく、投資家への出口があるかと現況のまま引き取れるかの2点から価格を出しています。
割合方式で出る数字は、土地の広さと地域の借地権割合しか見ていません。実際に売れるかどうかを分けるのは、建物が古い、残置物が残っている、名義が親のまま、承諾が取れるか分からないといった個別の事情です。割合方式の計算式には、その土地が実際に使えるかどうかの情報が入っていません。仲介で取り扱いを断られるのは、こうした条件が積み重なった物件です。
当社の買取くん(株式会社リアテクス)は、購入意欲の高い不動産投資家と常時300名以上つながっており、この出口があるからこそ、買い叩かずに価格を提示できます。東京都北区の築50年超で傾きのある物件を4,400万円で買い取った実績もあります。
- 残置物・生活用品はそのままで構いません。片付けの費用と時間を計算から差し引く必要がなくなります
- 名義が未整理でも段取りを組めます。提携する司法書士が所有権移転登記を担当します
- 承諾の見通しが立たない段階でも価格を出せます。承諾交渉と並行して出口を用意できるためです
計算値より低い提示を受けたときこそ、その差がどの要素から来ているのかを確認してください。差の内訳を説明できない価格は、根拠のない価格です。当社は、なぜその金額になるのかを条件ごとに分解してお伝えしています。
借地権の売却価格の計算に関するよくある質問
路線価が定められていない地域の借地権はどう計算しますか?
倍率方式で計算します。その土地の固定資産税評価額に、地域ごとに定められた評価倍率を掛けて自用地としての価額を求め、そこに借地権割合を掛けます(国税庁 No.4602 土地家屋の評価、令和8年4月1日現在法令等)。評価倍率と借地権割合はいずれも評価倍率表に掲載されています。
借地権の取引慣行がない地域でも借地権価格は出ますか?
出ます。国税庁は、借地権の取引慣行がないと認められる地域の貸宅地を評価する場合、借地権割合を20%として計算すると定めています(前掲の国税庁 No.4613)。ただし取引慣行がないということは買い手を探しにくい地域でもあるため、評価額が出ることと売れることは別に考えてください。
建物の価格は借地権価格の計算に含まれますか?
含まれません。借地権割合を掛けて求めるのは土地を借りる権利の価額であり、建物は別に評価します。売却では借地権と建物をあわせて引き渡すため、実際の売買価格は両方を足した金額です。建物ごと売る場合の進め方は借地権付き建物を売却する手順で扱っています。
自分で計算した金額と査定額が違うときは、どちらを信じればいいですか?
売却の判断材料としては査定額です。自分で出した計算値は相続税を計算するためのものさしで、路線価が地価公示価格等の80%程度を目途に定められている以上、実勢の水準とは前提が違います。ただし査定額をそのまま受け入れる必要はなく、差がどの要素から生じているのかを説明してもらったうえで判断してください。
まとめ
借地権の売却価格は、更地としての土地の価額に借地権割合を掛けて概算できます。ただし式が返すのは相続税を計算するための評価額です。路線価が地価公示価格等の80%程度を目途に定められ、評価時点も1月1日に固定されている以上、実勢価格とは水準も時点も違います。借地権の種類、承諾が取れる見込み、売却先という3つの前提が、そこから先の金額を動かします。計算値は出発点として持っておき、査定額との差を説明してもらう材料に使ってください。借地権のガイド記事で他の論点も確認することで、承諾や税金といった周辺の論点もあわせて整理できます。
\ 仲介手数料0円・最短3日入金 /
面積と所在地が分かれば、買取価格の目安をお伝えできます。
受付時間 10:00〜19:00(水・日曜定休)