古家が建ったままの土地は、現況のまま売るべきか、解体して更地にしてから売るべきか。建物が倒壊寸前という状態でなければ、まずは現況のままで査定を取るほうが安全です。解体費を先に払っても、その分だけ高く売れるとは限りません。判断に効くのは、建物の傷み具合と想定される買主層、そして売却の急ぎ度と手元資金の4点です。
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解体するかどうかを決める前に、建物を残したままの価格を確かめられます。
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古家付き土地とは?中古住宅とどう違うのか

古家付き土地とは、建物の価値をほぼゼロとみなして、土地の値段を中心に売り出す物件のことです。法令上の定義はなく、不動産の実務で使われている呼び方です。建物の評価で目安に使われる木造住宅(住宅用)の法定耐用年数は、税務上22年と定められています(減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一、2026年8月時点)。
同じ築年数の古い一戸建てでも、中古住宅として売り出す場合は建物に価格を付け、買主は「そこに住むかどうか」で判断します。古家付き土地として売り出す場合は価格の内訳がほぼ土地で、買主は「建て替えて使えるかどうか」で判断します。同じ物件でも、どちらの看板を掲げるかで買主の顔ぶれが変わります。
法定耐用年数の22年は税務上の減価償却の区切りであって、建物の寿命を示すものではありません。22年を過ぎた木造住宅がただちに住めなくなるわけではなく、手を入れて使い続けている家はいくらでもあります。それでも当社が査定で見ている限り、築20年を超えたあたりから建物に評価額が付きにくくなり、売主側も土地として売る前提に切り替える場面が増えていきます。
なお、売りにくい家の全体像はボロ家・売りにくい家の手放し方ガイドで整理しています。古家付き土地はその中の一類型にあたります。
現況のまま売るとどうなる?3つの売り方との違い

現況のまま売るとは、建物を解体せずに今ある状態のまま買主へ引き渡す売り方のことです。解体費を1円も出さずに済む代わりに、買主は解体を前提に検討するため、その費用を織り込んだ価格交渉が入るのが通例です。古家付き土地の売り方は、この現況渡しに更地渡しと解体後の売り出しを加えた3つに分かれます。
売り方は「現況渡し」「更地渡し」「解体後の売り出し」の3つ
3つの違いは、解体費を誰がいつ負担するかと、売れなかったときに損失が残るかどうかに集約されます。
| 売り方 | 解体費の扱い | 主な買主層 | 売れなかったときの損失 |
| 現況渡し | かからない | 解体前提の実需・投資家・隣地所有者 | 持ち出しなし |
| 更地渡し | 引き渡し前に売主が負担 | 一般の実需・建売事業者 | 解体費が戻らない |
| 解体後の売り出し | 売り出し前に売主が負担 | 一般の実需・建売事業者 | 解体費が戻らず税負担も増える |
3つの売り方の違い。当社が買取査定で使っている判断軸に基づいて整理しています
当社はこの3つを「価格の高さ」ではなく「損失が確定する順番」で見分けています。解体後の売り出しは売り出し前に費用が確定し、更地渡しは契約後・引き渡し前に確定し、現況渡しは最後まで確定しません。費用の確定が遅い売り方ほど、判断をやり直せる余地が残ります。だからこそ、まだ買主の見込みが立っていない段階では、現況の価格を先に把握しておくほうが選択肢を狭めずに済みます。
現況のまま売る利点は、解体費を先に出さずに済むこと
いちばん大きい利点は、手元から現金が出ていかないことです。解体は着工前に着手金、完了後に残金を払う契約が一般的で、売買代金が入る前に支払いが先行します。解体費を先に払っても、売れなければ戻ってきません。現況渡しなら、この先出しそのものが発生しません。
もうひとつ、建物が建っている間は土地の固定資産税が住宅用地として扱われる点も見逃せません。東京都の例では、住宅1戸につき200平方メートルまでの部分は課税標準が価格の6分の1に軽減されます(東京都主税局、2026年8月時点)。建物を壊すとこの扱いから外れるため、解体の時期によっては翌年度の税額が上がる点に注意が必要です。いつの時点で切り替わるかは空き家の固定資産税が上がる時期の解説をご覧ください。
解体費の先出しがないことと税の扱いが変わらないこと。この2点が、現況渡しを選ぶ実務上の理由です。
現況のまま売る弱点は、買主が限られて価格が下がりやすいこと
弱点もはっきりしています。買主が「解体してから使う人」に絞られるぶん、検討者の母数は小さくなりがちです。住宅ローンを組んで住みたい一般の買主は、建物の状態が読めない物件を避けやすく、検討の土俵に上がりにくくなります。結果として、解体費を出さない代わりに、その分を価格から引かれるのが現況渡しです。
現況渡しでも、売主にまったく費用がかからないわけではありません。主な持ち出しは次のとおりです。
| 費目 | 目安 |
| 印紙税(契約金額1,000万円超5,000万円以下) | 1万円 |
| 抵当権抹消などの登記費用 | 登記の内容による |
| 境界確定のための測量費 | 土地の形状・隣地の数による |
売買契約書に貼る印紙税は軽減措置の対象です。データ出典: 国税庁 No.7108(令和7年4月1日現在法令等、2026年8月時点)
国税庁の軽減措置は、令和9年3月31日までに作成される契約書に適用されます。金額そのものは大きくありませんが、売買代金を下げるほど印紙税も下がる関係にあるため、解体費を売主負担にするか価格から引くかで契約金額が変わる点は覚えておくと役に立つはずです。売却益が出た場合の税金と申告については、空き家を売却したときの税金の解説で扱っています。
更地にして売るとどうなる?更地渡しの条件と段取り

更地渡しとは、引き渡しまでに売主が自費で建物を解体し、更地の状態で渡すという売買契約の条件です。買主にとっては解体の手間と費用がなくなるため検討しやすくなりますが、費用も工程上の期限もすべて売主側に乗ります。着工の届出と滅失登記という2つの期限があるため、引き渡し日から逆算した段取りが欠かせません。
更地渡しは、引き渡しまでに売主が自費で解体する契約
似た言葉が並ぶので整理します。現況渡しは建物を残したまま引き渡す条件、更地渡しは売買契約を結んだうえで引き渡しまでに解体する条件、解体後の売り出しは先に壊してから売り出す進め方です。更地渡しは「買主が決まってから壊す」点で、解体後の売り出しとは資金の出方が違います。
売買契約書には、いつまでに解体を完了するか、どこまでを撤去するか、費用は誰が負担するかを明記します。ここが曖昧なままだと、引き渡し直前にもめる原因になりかねません。解体費そのものの相場は家の解体料金の解説にまとめています。
解体には届出と登記の期限がある
見落とされやすいのが、解体には法律で決まった手続きの期限があることです。解体は費用に目が向きがちですが、実務では日程のほうが先に効いてきます。
| 手続き | 期限・タイミング | 根拠 |
| 解体工事の届出(床面積の合計80平方メートル以上) | 工事に着手する日の7日前まで | 建設リサイクル法第10条 |
| 建物の滅失登記の申請 | 建物が滅失した日から1か月以内 | 不動産登記法第57条 |
解体を伴う売却で発生する2つの期限。データ出典: 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律 第10条・同施行令 第2条・不動産登記法 第57条(いずれも2026年8月時点)
法律の条文で目を引くのは、届出の義務者が施工業者ではなく発注者とされている点です。解体を頼む側、つまり売主が届け出る立場になります。実務では解体業者が代行する例も多いものの、義務そのものは売主に残ります。滅失登記のほうは、建物が滅失した日から1か月以内に、表題部所有者または所有権の登記名義人が申請する決まりです。更地渡しでは解体時点の所有者が売主ですから、原則として売主が申請します。
つまり、更地渡しでは「業者選定と見積もり」「届出から7日」「解体工事」「滅失登記」という4工程を引き渡し日までに収める必要があります。引き渡し日から逆算しないと決済に間に合いません。契約時に解体完了の期日を決めるときは、天候による工期の延びも見込んで余裕を持たせてください。
更地にすると価格は上がりやすいが、資金回収のリスクを負う
更地にすれば買主の幅は広がります。住宅ローンを使う一般の実需も、建売事業者も検討できるようになるためです。ただし、その効果と引き換えに売主は費用を先に負担します。更地渡しは高く売る手段であると同時に、先に費用を負担する契約です。
とくに注意したいのは、契約後に買主側の住宅ローン審査が通らず白紙解除になった場合です。解体が済んだ後に契約が解除されると、手元には更地だけが残り、解体費は戻りません。そのうえ翌年度からは住宅用地の扱いも外れます。更地渡しを選ぶなら、ローン特約の内容と解体の着工時期をセットで詰めておくのが安全です。
もうひとつ、更地にしても建て替えができない土地では効果が出にくい点があります。接道の条件を満たさない土地や、市街化調整区域の物件を売却する方法で扱うような開発が制限された区域では、更地にしても買い手は増えません。建物があるうちは既存の建築物として使えたのに、壊した途端に何も建てられない土地になる例すらあります。解体を検討する前に、その土地で再建築ができるかを役所で確認してください。
要点: 更地渡しの判断は「いくら高く売れるか」ではなく「解体費を回収できる見込みが立っているか」で決めるほうが安全です。買主の目星が付く前に壊すと、損失だけが確定します。
\ 解体費を出さずに手放す /
更地にしないと買い手がつかない土地も、当社は現況のまま買い取ります。
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現況と更地はどう選ぶ?4つの判断基準

現況か更地かは、建物の傷み具合・想定される買主層・売却の急ぎ度・手元資金の4点で判断できます。1点だけを見て決めると、費用を先に出したのに買主が現れないという結果になりかねません。4つのうち2つ以上が更地寄りに振れたときが、解体を具体的に検討する段階です。
| 確認する点 | 現況のままが向く | 更地にするほうが向く |
| 建物の傷み | 雨漏りや傾きがなく使える状態 | 倒壊やがれきの飛散が心配 |
| 想定される買主層 | 投資家や隣地所有者が見込める | 一般の実需が中心の住宅地 |
| 売却の急ぎ度 | 早く現金化したい | 数か月かけられる |
| 手元資金 | 解体費を先に出したくない | 先に出しても支障がない |
現況か更地かを分ける4点。当社が買取査定で使っている判断軸に基づいて整理しています
建物の傷み具合を見る
まず建物そのものを見ます。雨漏り・柱の傾き・シロアリの被害がなく、屋根と外壁が保っているなら、買主が手を入れて使える余地があります。この状態なら、現況のまま売り出しても検討の土俵に乗せられるでしょう。
一方、屋根が抜けていたり外壁材が落ちていたりする状態では、買主が見つかる前に近隣とのトラブルが先に来ます。放置が長引いた建物は自治体からの助言・指導の対象になることもあり、国土交通省は管理不全空家等および特定空家等への措置に関する指針を公表しています(ガイドラインは令和5年12月13日最終改正、2026年8月時点)。当社は、この段階まで傷んだ建物については、解体の前に「そのまま買い取れるかどうか」を先に確かめる価値が大きいと見ています。壊してから売るより、傷んだ状態を織り込んで買える相手を探すほうが、売主の持ち出しが少なく済むためです。
その土地で想定される買主層を見る
次に、その土地を欲しがるのが誰かを考えます。駅から近く区画の整った住宅地なら、買主の中心は住宅を建てて住む一般の方です。この層は建物が残っていると検討しづらいため、更地にする効果が出やすくなります。
反対に、地方や郊外で価格の水準が低い土地では、買主の中心は収益を目的とする投資家や、土地を広げたい隣地の所有者に寄ります。この層は解体を自分で手配できるため、更地であることの価値が相対的に下がります。市街化調整区域や再建築ができない土地では、そもそも一般の実需が入ってきません。この場合は更地にしても効果が薄く、古家付き土地の売買で起きるトラブルで扱っているような、更地にしてから売れないという事態も起こり得ます。
売却の急ぎ度と手元資金を見る
最後に、いつまでに現金化したいかと、いま解体費を出せるかを見ます。相続税の納付期限や遠方からの管理負担など、期限が決まっている場合は、解体に数週間、そこから買主探しにさらに数か月という工程が現実的かどうかを先に確かめてください。
更地にすれば買い手の幅が広がるのは確かです。ただし当社の買取くんでは、解体費を先に出す判断は買主の見込みが立ってからで足りると考えています。購入意欲の高い投資家を常時300名以上抱えており、一般の買主が敬遠する状態の物件でも現況のまま出口を作れるためです。実際に、東京都北区で築50年を超えて傾きのある戸建てを4,400万円で、富山県富山市で空き家期間が長く状態の悪い物件を450万円で、いずれも解体せずに買い取りました。
だからこそ、解体業者に見積もりを頼む前に、現況のままの査定額をひとつ手にしておくことをおすすめします。2つの数字が並んで初めて、解体費をかける価値があるかどうかを金額で比べられます。買い取り価格の水準そのものは空き家買取の相場の解説もあわせてご覧ください。
要点: 4点のうち2つ以上が更地寄りなら、解体を具体的に検討する段階です。1点でも現況寄りに強く振れているなら、まず現況の価格を確かめるほうが損失は小さくなります。
古家付き土地の売却はどう進む?査定から引き渡しまでの流れ
古家付き土地の売却は、査定から始めて、売り方と売却手段を決め、契約を結び、引き渡し条件を確定し、決済へ進みます。現況か更地かを決めるのは査定の後で構いません。先に価格の見当を付けてから売り方を選ぶほうが、判断の材料がそろうはずです。
5つのステップで進む
| ステップ | やること | 目安 |
| 1 査定 | 現況のままの価格を把握する | 数日〜2週間 |
| 2 売り方の決定 | 現況か更地か、仲介か買取かを選ぶ | 数日 |
| 3 契約 | 媒介契約または売買契約を結ぶ | 1日〜 |
| 4 引き渡し条件の確定 | 境界・撤去範囲・残置物の扱いを決める | 数週間 |
| 5 決済・引き渡し | 代金の受領と登記の手続き | 1日 |
目安の期間は物件の状態や買主の資金調達によって変わります
仲介と買取では2の段階で分かれます。仲介は買主を探す期間が読みにくい代わりに価格が伸びやすく、買取は業者が直接買うため期間が短く済みます。古い建物が残っている物件ほど、仲介では検討期間が長引きます。
引き渡し条件は契約書で決める
4のステップが、後日のもめごとを防ぐ肝心なところです。境界がどこか、塀や樹木をどこまで撤去するか、家財を置いたまま引き渡してよいか。この3点は口頭で済ませず、契約書と重要事項説明書に書き込んでもらってください。
とくに古家付き土地では、引き渡し後に建物や土地の不具合が見つかったときの責任の範囲を、あらかじめ取り決めておく必要があります。この論点は空き家売却で注意したいことで詳しく扱っています。具体的にどんな行き違いが起きるかは古家付き土地の売買で起きるトラブルを参照してください。
売り方は査定の後でも変えられる
売り方を決めるのは査定の後で構いません。現況で売り出して数か月反応がなければ、そこから更地渡しに切り替える進め方もできます。順序を逆にして先に解体してしまうと、後戻りができません。
売却で利益が出た場合は、翌年に確定申告が必要になることがあります。控除や特例の適用条件は物件と所有期間によって変わるため、空き家を売却したときの税金の解説を確認したうえで、個別の事情は税理士にご相談ください。登記や契約の内容についても、判断に迷う場合は司法書士や不動産会社に確認しておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
Q. 現況渡しと現状渡しに違いはありますか?
A. どちらも「今ある状態のまま引き渡す」という同じ意味で使われており、実務上の区別はありません。読み方は「げんきょうわたし」「げんじょうわたし」です。ただし、どちらの言葉を使う場合でも、撤去するものと残すものを契約書で個別に列挙しておかないと、解釈の食い違いが起こります。
Q. 更地渡しでは、塀や樹木、地中の埋設物までどこまで撤去してもらえますか?
A. 撤去の範囲は法律で決まっておらず、売主と買主の取り決め次第です。建物の基礎までは撤去するのが一般的ですが、ブロック塀・擁壁・立木・浄化槽・古い井戸などは対象外になることがあります。地中に古い基礎やがれきが埋まっていた場合の費用負担もあわせて、契約前に文書で確定させてください。
Q. 古家付き土地でも、買主は住宅ローンを組めますか?
A. 組める場合があります。建物が登記されており、金融機関が担保として評価できる状態であれば、中古住宅として住宅ローンの対象になり得るためです。一方で更地にした後は建物がないため、住宅を建てる計画とセットにした土地先行融資などの形になり、手続きが変わります。ローンが使えるかどうかは金融機関ごとに判断が異なるため、買主側で事前審査を受けてもらうのが確実です。
Q. 建物を解体した場合、滅失登記は売主と買主のどちらが行いますか?
A. 原則として売主です。不動産登記法では、建物が滅失した日から1か月以内に、表題部所有者または所有権の登記名義人が滅失登記を申請すると定められています。更地渡しの場合、解体した時点の所有者は売主ですから、申請するのも売主になります。手続きは土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。
まとめ
古家付き土地は現況のままでも売却でき、建物が倒壊寸前という状態でなければ、まず現況の査定額を手にするほうが安全です。更地渡しは買主の幅が広がる一方で、解体費の先出しと工程の期限を売主が引き受ける契約になります。建物の傷み・買主層・急ぎ度・手元資金の4点を並べて、2つ以上が更地寄りに振れたときに解体を検討してください。順序を逆にして先に壊すと、判断をやり直せなくなります。
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