ゴミ屋敷は片付けずに売却できる?買取・仲介・解体で残る手取りの差

空き家買取

農機具小屋ビフォーアフター

「実家がゴミ屋敷で、まず片付けないと売れないですよね」
「でも撤去にお金をかけて、その分が戻ってくるのか分からなくて」

ゴミ屋敷は片付けないまま売却できます。選ぶのは現況で買取・片付けて仲介・解体して更地の3つ。分かれ道は、撤去費用を先に出せるかどうかです。当社も大阪府堺市で、生活用品が残ったままの相続実家を1,200万円で買い取りました。3ルートの手取りの差と進め方をご案内します。

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片付けないままのゴミ屋敷でも、当社の買取くんなら現況のまま査定できます。

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ゴミ屋敷は片付けずに売却できる|片付けが契約の条件にならない理由

買主が不動産会社か個人かで片付けの要否が分かれ、現況買取なら残置物ごと引き渡せることを示した図解
買主が不動産会社なら残置物ごと引き渡せ、個人なら内見が前提になります(当社の買取実務に基づく)

ゴミ屋敷は片付けないまま売買契約を結べます。片付けが必要かどうかは買主が誰かで変わります。買主が不動産会社なら物を残したまま引き渡せますし、買主が個人なら内見が前提になるので撤去が実質的に必要になります。片付けは売るための条件ではなく、どちらの買主を選ぶかで決まる作業なんです。

ここを取り違えたまま片付け業者を先に探すと、費用の見積もりばかりが増えて売却の話が一歩も進みません。残置物撤去の進め方と依頼先の選び方では、判断の順序と依頼先の決め方まで整理しています。片付けと売却のどちらを先にするかは、物の量ではなく売り先で決まります。

片付けは、売るための条件ではなく、買主を誰にするかで決まる作業です。

片付けないまま売買契約を結べるのはなぜか

売買契約は、引き渡すときの状態を当事者どうしで決められるからです。「残置物を残したまま引き渡す」と契約で決めれば、その状態で取引は成立します

残置物とは、前の所有者が残していった家具・家電・衣類・生活用品のことです。法律が「引渡しの前に室内を空にしなければならない」と定めているわけではなく、空にするかどうかは契約条件のひとつにすぎません。

そして、その状態のまま不動産会社が直接買い取る形を現況買取と言います。今ある状態を前提に価格を決めて、そのまま引き渡す売り方です。冒頭でお伝えした大阪府堺市の実家も、生活用品を残したまま引き渡す前提で契約しました。片付けが売却の前提ではなかった、という一例です。

先に片付けても、その分だけ売却価格が上がるとは限らない

撤去にかけた費用が、そのまま売却価格に上乗せされる保証はありません。ここが順番を間違えやすいところなんです。

撤去費用は物の量によっては数十万円単位になりますが、査定額はその金額に連動して動くわけではありません。ですから、片付けるかどうかを決める前に、まず片付けなしの状態で査定を受けて金額を見てから比べる、という順序が取れます。撤去費用の内訳や、そもそも片付けが要るかの判断基準は残置物とは空き家売却前の片付けの判断で詳しく扱っています。

片付けも売却もしないまま置いた場合は、話が別方向に進みます。窓の破損や雑草の繁茂などで管理が行き届かない空き家は、市区町村が改善を指導できる管理不全空家として扱われます。指導に従わず勧告を受けると、土地の固定資産税の軽減措置が受けられなくなります国土交通省「空家法とは」)。指導や勧告がどこまで進むかは空き家を放置するリスクで解説しています。

ゴミ屋敷の売り方は3つ|現況で買取・片付けて仲介・解体して更地

3ルートで先に出すお金と売却までの期間、成約時に差し引かれる手数料を時間軸で並べた比較図
先に出すお金と、成約時に差し引かれる手数料を時間軸で並べています(出典: 国土交通省告示「報酬の額」/期間は当社の買取条件)

撤去費用を先に出せず急ぐなら現況で買取、費用と時間を出せるなら片付けて仲介、建物が傷み土地に需要があるなら解体です。3つは、費用を誰がいつ払うか・売却までにかかる期間・室内を見せる範囲が違います。どれが正解というより、先にお金を出せるかどうかで道が分かれるんです。

まずは3つを同じ基準で並べてみます。手取りを決めるのは片付け費用だけではありません。仲介手数料には国が定めた上限がありますし、引き渡したあとに残る責任も売り先で変わります。そこまで入れて比べたのが次の表です。

比べる点 現況で買取 片付けて仲介 解体して更地
片付け費用 買主側が引き受ける 売主が先に払う 売主が先に払う
解体費用 かからない かからない 売主が先に払う
仲介手数料 かからない 代金に応じた上限あり 代金に応じた上限あり
売却までの期間 当社は最短3日 撤去と買主探しの分だけ長い 解体工事の期間が加わる
室内を見せる範囲 査定の現地確認のみ 買主候補が繰り返し内見 解体前に工事業者のみ
引渡し後の責任 状態を前提に価格を決める 個人へ説明する負担が残る 建物がなく土地の状態のみ

データ出典: 国土交通省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(仲介手数料の上限)。期間は当社の買取条件

表の上3行と下2行が効いてきます。片付け費用と解体費用と仲介手数料は「誰がいつ払うか」の話で、仲介と解体を選ぶと売れる前に自分の財布から出ていきます。室内を見せる範囲と引渡し後の責任は、売った後の負担に関わります。

3ルートの違いは、金額の大小より「先に払うか・後で受け取るか」の順番です。

①【現況で買取】片付けずに不動産会社へ直接売る

買主が不動産会社になるため、室内の状態を理由に断られにくい売り方です。個人の買主のように「自分が住む家として気に入るか」で判断されないので、物が残っていることは前提条件として扱われます。

仲介手数料もかかりません。仲介手数料は売主と買主の間に立つ会社への報酬なので、買主自身が直接買い取る形では発生しないんです。当社の買取くんも、残置物を残したままの現況で買い取っています。

ただ、いいことばかりではありません。買取の提示額は、仲介で想定する売出価格より低くなることが多いのが実際のところです。当社も相場を大きく下回る買い叩きはしませんが、それでも「片付けて時間をかけて売った場合の上限」と同額になるとは限りません。だからこそ、次にお伝えする手取りの比べ方が効いてきます。

②【片付けて仲介】ゴミを撤去してから一般の買主へ売る

買主が個人になるため、内見が前提になります。自分が住む家として室内を見て判断されるので、撤去と清掃が実質的に必要になる、というのがこのルートの前提です。

売却価格は3つの中で最も高くなる可能性があります。その代わり、撤去費用を先に自分で払い、成約したときに仲介手数料も払います。つまり受け取る金額は大きくても、出ていくお金も両側にあるという形です。

もうひとつ、期間が読めません。撤去が終わってから売り出し、買主が現れるまで待つことになります。固定資産税や光熱費の基本料金は、その間も払い続けます。

③【解体して更地】建物を壊して土地として売る

建物の状態を問われなくなる代わりに、撤去費用と解体費用の両方を先に払うルートです。室内の傷みが激しく、修繕しても住める形に戻らない建物では選択肢に入ります。

注意したいのが固定資産税です。住宅が建っている土地には住宅用地特例という軽減があり、土地の固定資産税が住宅のない土地より低く抑えられています。賦課期日である1月1日の時点で建物がなくなっていると、その年度からこの軽減が外れて税額が上がります。税額の変わり方は空き家の固定資産税で扱っています。解体費用の相場と内訳は家の解体料金をご覧ください。

なお、解体せずに古家付き土地として売り出す形もあります。買主が自分の費用で解体する前提の、中間案です。

更地にしてから買主が決まるまで時間がかかると、今度は土地の管理が課題になります。空き地の雑草を放置したときのリスクと対策もあわせて確認しておくと安心です。

3つのうち自分の物件はどれに向くのか

条件で決められます。どれが向くのか、線を引いておきます。

こういう状況 向く売り方
撤去費用を先に出せない/急いで現金化したい/室内を人に見せたくない 現況で買取
時間をかけられて撤去費用を先に出せる/立地がよく買主が付きやすい 片付けて仲介
建物の傷みが大きく土地としての需要がある/建物なしの方が買主を探しやすい 解体して更地

時間はあるけれど費用は出したくない、というときが一番迷います。ここでは片付けなしの査定額をまず確定させ、その金額を基準に「撤去費用を払ってでも仲介で売る価値があるか」を判断する、という順序が取れます。

ゴミ屋敷の売却で手元に残る金額の出し方

売買代金700万円と仮定した3ルートの手取り比較で、差が仲介手数料の約30万円から動くことを示した図
同じ売買代金なら、仲介の手取りは仲介手数料の約30万円と撤去費用Xの分だけ買取より少なくなります(出典: 国土交通省告示「報酬の額」/国税庁 印紙税の軽減措置)

ゴミ屋敷の売り方は提示額ではなく、片付け費用と仲介手数料を引いたあとの手残りで比べます。提示された金額が高いルートが、最後に残る金額でも高いとは限らないんです。ここを計算しないまま「高く売れる方」を選ぶと、撤去費用と手数料で差が消えることがあります。

必要なのは相場の知識ではなく、引き算の順番です。差し引かれるお金の種類は決まっているので、自分の見積額を入れれば計算できます。

受け取るお金から差し引かれる4つのお金

手取りは、次の引き算で出せます。

手取り = 売買代金 −(片付け費用 + 解体費用 + 仲介手数料 + 印紙税)

このうち片付け費用と解体費用は、お手元の見積書の金額をそのまま入れてください。残る2つは制度で決まっています。

  • 仲介手数料:買取では0円、仲介では代金に応じた上限が決まっています(次の見出しで詳しく扱います)
  • 印紙税:売買契約書に貼る印紙の代金です。令和9年3月31日までに作成される不動産の譲渡に関する契約書は軽減措置の対象で、契約金額が500万円超1,000万円以下なら5千円、1,000万円超5,000万円以下なら1万円です(国税庁「不動産の譲渡に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」

印紙税は数千円から数万円ですので、手取りを大きく動かすのは前の3つです。とくに片付け費用と仲介手数料は、売り方によって0円にも数十万円にもなります。

売買代金800万円以下の空き家は仲介手数料の上限が変わる

売買代金800万円以下の空き家を仲介で売ると、仲介手数料の上限は最大33万円(税込)になります。通常の計算とは別のルールが用意されているんです。この価格帯に入る物件では、ここを知らないと手取りの見込みがずれます。

まず通常の上限です。国土交通省の告示は、売買の媒介で依頼者から受け取れる報酬を、代金を区分して次の割合で計算した合計額以内と定めています(消費税等相当額を含む額)。

  • 200万円以下の部分:5.5%
  • 200万円を超え400万円以下の部分:4.4%
  • 400万円を超える部分:3.3%

売買代金700万円なら、11万円+8.8万円+9.9万円で29.7万円(税込)です。ところが、代金が800万円以下の空き家等にはこれとは別の定めがあります。

第七 低廉な空家等の売買又は交換の媒介における特例
低廉な空家等(売買に係る代金の額……が八百万円以下の金額の宅地又は建物をいう。以下同じ。)の売買又は交換の媒介に関して依頼者から受ける報酬の額……については、宅地建物取引業者は、第二の規定にかかわらず、当該媒介に要する費用を勘案して、第二の計算方法により算出した金額を超えて報酬を受けることができる。この場合において、当該依頼者から受ける報酬の額は三十万円の一・一倍に相当する金額を超えてはならない。

出典: 国土交通省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(最終改正 令和6年6月21日 国土交通省告示第949号)

読み解くと、これは「安い空き家は現地調査などに手間がかかるので、通常の計算額を超えて報酬を受け取ってよい。ただし30万円の1.1倍=33万円までとする」という趣旨の定めです。上限が上がるだけの規定であって、必ず33万円かかるという意味ではありません。実際の額は、媒介に要する費用を勘案して決まります。

ここから分かることはひとつです。「3%+6万円」で手数料を見込んでいると、低価格帯では見込みより高くなることがあります。媒介契約を結ぶ前に報酬額を見積書で確認しておけば、手取りの計算がずれません。

同じ売買代金でも3ルートで手残りが変わる例

数字を入れて並べてみます。同じ売買代金700万円で売れたと仮定した場合の比較です。ただし実際には、買取の提示額は仲介で想定する売出価格より低くなることが多い点を先にお伝えしておきます。この表は「手数料と費用がどう効くか」を見るためのものとお考えください。

片付け費用は見積額X、解体費用は見積額Yとして、お手元の数字を入れられるようにしています。

項目 現況で買取 片付けて仲介 解体して更地
売買代金(仮定) 700万円 700万円 700万円
仲介手数料(税込) 0円 29.7万〜33万円 29.7万〜33万円
印紙税(軽減後) 5千円 5千円 5千円
片付け費用 0円 見積額X 見積額X
解体費用 0円 0円 見積額Y
手取り 699.5万円 666.5〜669.8万円 −X 666.5〜669.8万円 −X−Y

データ出典: 前掲の国土交通省告示(仲介手数料の上限)/国税庁「不動産の譲渡に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」。仲介手数料の33万円は上限であり、必ずこの額になるわけではありません

同じ売買代金なら、仲介の手取りは仲介手数料の約30万円と撤去費用Xの分だけ買取より少なくなります。仲介で残すには、その合計より高く売買代金を決められるかが分かれ目です。撤去見積が30万円なら、買取の提示額より60万円以上高く売れないと届きません。逆に立地がよく、片付け後の売出価格を買取提示額より100万円単位で高く設定できるなら、仲介の方が残ります。

ですから比べる順序は、査定額を並べる前に「自分の撤去見積はいくらか」を確かめることです。その1枚があれば、この表は自分の物件の表に変わります。

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ゴミ屋敷を買取に出したときの進み方と、室内を見せる範囲

買取は問い合わせ・現地確認・査定・契約・引渡しの順に進み、室内は査定に必要な範囲を見ます。不特定多数の人が繰り返し家に上がる、ということは起きません。見られるのが怖くて問い合わせに進めない、というところで止まっていませんか。見せる範囲と順序は調整できます。

順番に見ていきましょう。

室内を見せる前に、問い合わせの時点でできること

「見せる」か「見せない」かの二択で考えると、身動きが取れなくなります。実際は順序の問題なんです。

当社の場合、メールでのお問い合わせで質問項目にお答えいただけると、その後の査定がスムーズに進み、最短6時間以内に無料査定が完了します。先に揃えていただけると助かるのは、次のような情報です。

  • 所在地と最寄り駅、周辺の道路の状況
  • 土地と建物のおおよその面積、間取り
  • 築年数、登記の状況(名義が誰か、相続が済んでいるか)
  • 建物の傷み方(雨漏り・傾き・設備の不具合など、分かる範囲で)

こうした情報が先に揃うほど、現地では「書面では分からない部分」だけを確かめれば済みます。

ただし、室内を一切見ずに買い取る、ということはできません。価格を決める根拠がなくなり、引渡し後のトラブルにもつながるためです。

現地確認で見るところと、立ち会いの有無

当社は現地で、価格を決めるために必要な範囲を確認します。建物と敷地の状態、室内の広さと傷み方、水回りや給湯設備の損傷、隣地との境界や接道の状況を見ます。物の量そのものを評価しているわけではありません。

立ち会いが必要かどうかや当日の日程は、物件の状況によって変わります。遠方で実家に足を運びにくい場合も、お問い合わせの際にご相談ください。現地で撮影する写真をどう扱うかも、あわせてお尋ねいただけます。

契約から引渡しまでに決めること

現地確認と査定が終わったら、金額と引渡しの条件を決めていきます。ゴミ屋敷の場合、決めることは主に3つです。

  1. 残置物をどこまで残したまま引き渡すか:全部残すのか、一部だけ持ち出すのか
  2. 先に持ち出したい物があるか:写真・位牌・仏具・思い入れのある家具など
  3. 引渡し日をいつにするか:現金化を急ぐか、片付けの時間を取るか

冒頭でお伝えした大阪府堺市の実家でも、思い入れのある家具だけ先に回収していただき、残りの生活用品を含めてそのままお引き受けしました。全部を残すか全部を出すかの二択ではなく、この2番目を丁寧に決めておくと、後悔が残りにくくなります。

臭気・害虫・汚損はどこまで買主に伝えるのか

臭気・害虫・汚損・設備の4項目に分けて伝える整理と、免責特約でも残る民法572条の責任を示した図解
4項目に分けて書き出すと、伝えた状態が契約の内容になります(出典: 民法562条・572条/当社の買取実務)

知っている不具合は、免責の特約を結んでいても告げなかった責任が残ります(民法572条)。伝えるかどうかで迷ったら、伝える側に倒すのが結果的に安全です。ゴミ屋敷だったと言うと売れなくなる、と心配になるかもしれませんが、買主が判断するのは呼び名ではなく建物の状態なんです。

なお、告知事項として扱われる範囲や、告知が必要とされる期間の一般的な考え方は告知事項ありとはで扱っていますので、そちらもご覧ください。ここではゴミ屋敷特有の説明事項に絞ります。

伝えるのは「ゴミ屋敷だった」ではなく確認できた状態

「ゴミ屋敷でした」という一言は、買主にとって情報量がほとんどありません。必要なのは、確認できた事実を分けて書き出すことです。

伝える項目 確認しておくこと
臭気 どの部屋に残るか、換気で消えるか
害虫 発生の有無、駆除をしたか
汚損 床・壁・天井のどこに、どの範囲で
設備 水回り・給湯・電気が使えるか

なぜ分けて書くかというと、引き渡した物が契約の内容に合っていなかったときに売主が負う責任があるためです。これを契約不適合責任と言います。民法562条は、引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しないとき、買主は修補や代替物の引渡しといった履行の追完を請求できると定めています(e-Gov法令検索 民法)。

裏を返せば、契約書に書いて買主が了解した状態は「契約の内容」になります。臭気が残ることを伝えたうえで契約すれば、それは不適合ではなくなる、ということです。伝えることは減点ではなく、後の紛争を止める作業なんです。

免責の特約を結んでも残る責任

売買契約では、売主が契約不適合責任を負わない旨の特約を結ぶことがあります。ただし、この特約には効かない範囲があります。

(担保責任を負わない旨の特約)
第五百七十二条 売主は、第五百六十二条第一項本文又は第五百六十五条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。

出典: 前掲のe-Gov法令検索 民法

ポイントは「知りながら告げなかった事実」です。知らなかったことまで責任を負うわけではありませんが、知っていて黙っていた不具合は、免責特約があっても責任から外れません

たとえば床下の水漏れに気づいていた場合を考えてみます。伝えずに引き渡し、後から買主が発見したときは、免責特約があっても追完や損害賠償の対象になり得ます。反対に、水漏れがあることを伝えたうえで、その分を価格に織り込んで契約すれば、それは合意された状態です。

なお民法566条は、種類・品質の不適合について、買主が不適合を知った時から1年以内に通知しないと請求できなくなると定めています。ただし売主が引渡しの時にその不適合を知っていた場合などは、この期間制限は適用されません。ここでも「知っていたかどうか」が効いてきます。

買取と仲介で、伝えたあとの扱いがどう変わるか

伝えた後の展開は、買主が誰かで変わります。

買主が不動産会社の場合、その状態を前提にして価格を決めます。臭気や設備の不具合は「直す費用がいくらか」として計算に入るだけで、断る理由にはなりにくいんです。むしろ正確に伝えていただいた方が、後から金額を変更する必要がなくなります。

買主が個人の場合は、説明の負担が売主側に残り続けます。買主は自分が住む前提で判断しますから、臭気や害虫の話は購入意欲に直結しますし、引き渡した後に「聞いていない」と言われるリスクも高くなります。仲介を選ぶなら、書面での説明をどこまで残すかを仲介会社と詰めておくことが欠かせません。

親名義のゴミ屋敷を子が代わりに売れるのか

売れるのは名義人本人です。判断が難しいときは家庭裁判所の許可、亡くなっていれば相続登記が要ります。家族だから自分が処分できる、とはならないのが不動産なんです。ここを飛ばして片付けや売却を進めると、後から契約自体がひっくり返ることもあります。

実家がゴミ屋敷になっているなら、名義の確認が最初の一歩です。

名義人が元気なうちは、本人の意思で売る

親が存命で判断能力にも問題がない場合、売買契約を結べるのは親本人です。子であっても、本人の同意なく室内の物を処分したり、代わりに契約書へ署名したりはできません。

実務では、本人から委任状を受けて子が手続きを代理する形を取ります。ただしこれも、本人が売る意思を持っていることが前提です。

本人が片付けにも売却にも同意しない場合が、いちばん難しいところです。この段階は不動産の話というより、生活と健康の話になっていることが多く、自治体の福祉部門や地域包括支援センターが相談先になります。どこに何を相談すればよいかはゴミ屋敷の状況別の相談窓口の選び方が参考になります。

判断能力に不安があるときは家庭裁判所の許可が要る

親の判断能力が低下し、成年後見人が選任されている場合は、後見人が代わりに手続きをします。ただし住まいだった不動産には、追加の要件があります。

民法859条の3は、成年被後見人が居住の用に供する建物またはその敷地を対象にしています。成年後見人がこれを売却などで処分するには、家庭裁判所の許可を得なければならないと定められています(e-Gov法令検索 民法)。

具体的な場面で考えてみます。親が施設に入り、実家がゴミ屋敷のまま残っている、という状況です。今は住んでいなくても、それが本人の生活の本拠だった建物であれば、後見人が独断で売ることはできません。売却の話を進める前に、後見が開始しているかどうかと、居住用不動産にあたるかどうかを確かめるのが順序です。

名義人が亡くなっているときは相続登記を済ませてから売る

名義人が亡くなっている場合、まず相続人へ名義を移してからでないと売却できません。そしてこの登記には期限があります。

相続登記の義務化とは、相続で不動産を取得した相続人に、登記の申請を義務づける制度のことです。法務省によれば、相続の開始とその不動産の所有権の取得を知った日から3年以内の申請が義務づけられています。正当な理由なく怠ったときは、10万円以下の過料の適用対象になります。施行日は令和6年4月1日ですが、施行前に開始した相続で未登記のものも対象となり、令和9年3月31日までに申請する必要があります法務省「相続登記の申請義務化について」)。

親の代・祖父母の代の名義のままになっている実家であれば、売却の相談と並行して登記を進めることになります。当社では提携する司法書士と連携して所有権移転登記まで対応していますので、登記が済んでいない段階でもご相談いただけます。

相続放棄を検討している場合も、家が消えるわけではない点にご注意ください。民法940条は、相続の放棄をした者が放棄の時にその財産を現に占有していた場合を定めています。相続人または相続財産の清算人へ引き渡すまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存しなければなりません。放棄したから明日から何もしなくてよい、とはならないんです。詳しくは空き家の相続放棄をご覧ください。

なお、相続人が複数いる場合の分け方や税金の扱いは事情によって変わります。個別の判断が必要な場面では、司法書士や税理士にご相談ください。

ゴミ屋敷の売却でよくある質問

室内の写真を撮られたり、中を人に見られたりするのが不安です。どこまで見られますか

査定に必要な範囲です。買取の場合、家に上がるのは査定を担当する会社の担当者だけで、仲介のように買主候補が繰り返し内見に来ることはありません。所在地・面積・築年数・登記の状況といった書面で分かる情報を先にお伝えいただければ、現地で確認する範囲はさらに絞れます。撮影した写真をどう扱うかが気になる場合は、査定を依頼するときにお尋ねいただけます。

マンションがゴミ屋敷になっている場合も同じように売れますか

売り方の考え方は戸建てと同じです。現況で買取に出す、片付けてから仲介で売る、という選択肢が取れます。ただし戸建てのように解体して更地にする道はなく、マンション特有の確認事項もあります。管理規約で禁止されている行為に該当していないか、管理費や修繕積立金の滞納がないかは先に確かめておいてください。滞納があれば、その負担を売主と買主のどちらが引き受けるかも契約で決めます。

近隣から苦情が来ている状態でも買い取ってもらえますか

苦情や自治体からの連絡があっても、買取の対象になります。当社は他社で断られた物件も買取の対象にしていますので、まずは無料査定でご相談ください。査定のときに、いつ・どこから・どんな内容の連絡が来ているかをお伝えいただけると、引渡しまでの段取りを検討しやすくなります。伏せておくより、先にお話しいただいた方が話が早く進みます。

家族に知られずに売却を進めることはできますか

名義が単独であれば、手続き自体は名義人お一人で進められます。ただし共有名義の場合は他の共有者の関与が必要ですし、相続が発生していれば相続人全員での協議が前提になります。また、売却によって譲渡所得が生じた場合の確定申告など、後から把握される場面もあります。まず登記事項証明書で名義がどうなっているかを確かめるところから始めてください。

買取くんでは、ゴミ屋敷の状態のままでの売却も依頼できますか

ご依頼いただけます。当社の買取くんは残置物を残したままの現況買取に対応しており、他社で断られた物件や少額の物件のご相談もお受けしています。無料査定では、片付けをしていない状態のまま、室内の様子と困っている点をそのままお伝えください。片付けの段取りを決めてからでなくても大丈夫です。

同じ建物でも、雨漏りや傾きなど室内以外の理由で売れずに止まっている場合があります。状態ごとの出口の選び方は状態別に見る残置物撤去と売却の出口にまとめました。

まとめ

ゴミ屋敷は、片付けないまま売却できます。片付けずに売れるのは買主が不動産会社になる買取の場合で、一般の個人へ仲介で売るなら内見が前提になるため撤去が実質的に必要です。解体して更地にする道もありますが、撤去費用と解体費用の両方を先に払うことになります。片付け業者を呼ぶ前に、まず現況のまま査定を受けて、3ルートの手残りを並べて比べてみてください。

当社の買取くんは、残置物を残したままの現況買取に対応し、仲介手数料0円で直接買い取っています。撤去費用を先に出せない方、室内を人に見せたくない方、遠方でなかなか実家に通えない方に向いています。

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この記事の監修者

株式会社リアテクス 執行役員 鶴野博之

鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)

宅地建物取引士/賃貸経営管理士/FP2級

一棟投資物件専門の仲介会社で不動産業界に参入後、前職では「訳あり・瑕疵物件」に特化したコンサルティングプログラム責任者として600名以上の投資家の購入から売却までに携わる。自身も再建築不可物件を中心に訳あり物件へ投資し、転売売買から保有物件まで数々の実績を持つ。

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