「調べるサイトごとに金額が違って、うちがどれに当たるのか分からない」 「この見積もり額、うちの家だと妥当なの?」
空き家の火災保険料に一律の相場はなく、建て直しにかかる金額(保険金額)に料率を掛けて決まります。自分の家の金額は、6つの条件をそろえて2〜3社に見積もりを頼めば分かります。決まり方・住まい向けとの差・下げ方・地震保険を整理します。
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空き家の火災保険料はいくら?金額の決まり方と概算の出し方

式・手順・住まい向けの平均を並べ、見積もり額が高いか低いかを読む土台にします(出典: 損害保険料率算出機構「火災保険・地震保険の概況」2025年度版を基に当社集計)
空き家の火災保険料に、一律の相場はありません。建て直しにかかる金額(保険金額)に建物ごとの料率を掛けて計算するからです。目安になるのは人が住んでいる家の平均で、1年契約なら年約2万2,000円(保険金額 約1,197万円)。空き家はこの区分の外に出るため、ここより上に動くと見ておきます。
保険料率とは保険料の保険金額に対する割合のことで、法律にそう定められています(e-Gov法令検索 損害保険料率算出団体に関する法律 2条1号)。自分の家の金額は、保険金額と6つの条件をそろえた見積もりを2〜3社から取れば確かめられます。
なお、そもそも掛けるべきかどうかで迷っている段階でしたら、空き家に火災保険が必要かどうかの判断を先にご覧ください。この記事は「掛けるとしていくらになるか」だけを扱います。
保険料は「保険金額 × 料率」の掛け算
保険金額とは、その建物を建て直すのにいくらかかるかを基準に決める金額です。ここが売買価格とまぎらわしいのですが、別物なんです。売りに出せば200万円にしかならない家でも、同じものを建て直すのに1,500万円かかるなら、保険金額は建て直し側の金額で考えます。
料率は、その建物がどれくらい事故に遭いやすいかを表した割合です。損害保険料率算出機構は火災保険について「建物の構造や所在地などによるリスクの差異に応じた区分」を設けていて、同じ保険金額でも建物と地域によって料率が変わります(損害保険料率算出機構 火災保険参考純率)。
⇒ 見積書が高いと感じたら、保険金額が過大なのか、料率が高い建物なのか、どちらの話かをまず切り分けてください。
住まい向けの火災保険は1年契約で平均いくらか
金額の感覚をつかむ足場として、人が住んでいる住まいの実績値を見ましょう。損害保険料率算出機構の統計から、当社で1年契約に絞って集計しました。
住まい向けの火災保険(住宅物件)を1年契約で結んだ場合の平均
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 集計対象の件数 | 2,977,714件 |
| 1件あたりの平均保険金額 | 約1,197万円 |
| 1件あたりの平均保険料(1年) | 約22,454円 |
| 保険金額1,000万円あたりの保険料(1年) | 約18,756円 |
対象=2024年度に新しく結ばれた住宅物件の火災保険契約のうち保険期間1年のもの/計算方法=保険料の合計を件数および保険金額の合計で割った当社の集計/保険期間1年に絞った理由=長期一括の契約は全期間分の保険料が計上され1年分に直せないため/データ出典=損害保険料率算出機構「火災保険・地震保険の概況」2025年度版(第5表・2024年度統計)
ここで大事なのは、この約2万2,000円は「人が住んでいる家」の平均であって、空き家の保険料ではないということです。誰も住まなくなった家は住宅物件という区分から外れるため、この統計の外側に出ます。実家の保険証券が手元にあるなら、保険金額と保険料を上の表と見比べてみてください。平均より上か下かが分かれば、空き家になったあとの見積もりが跳ねているのかも読めます。
自分の家の概算を出す3ステップ
自分の家の金額へ近づく手順です。次の3つを順番に埋めていきます。
- 保険金額を置く:建て直しにいくらかかるかで考えます。おおよその目安が分からなければ、いまの保険証券に書かれた保険金額をそのまま出発点にして構いません。
- 6つの条件を書き出す:建物の構造・所在地・築年数・補償範囲・保険期間・免責金額です。中身は次の章で1つずつ説明します。登記事項証明書と保険証券があれば、ほとんど埋まります。
- 同じ条件で2〜3社に頼む:ここを揃えないと比較になりません。1社だけの提示額では、高いのか安いのかを判断できません。
補償範囲が違えば、違う商品を比べていることになります。⇒ まずは紙に6項目を書き出してから連絡してください。
保険料は、固定資産税や庭木の手入れと並ぶ維持費の一つでもあります。1年あたりいくら出ていくのかを全体で見たい場合は、空き家活用にかかる年間コストの整理にまとめています。
要点: 保険料は保険金額と料率の掛け算で、空き家は住まい向けの統計の外側に出ます。6条件を揃えた2〜3社の見積もりで自分の金額を確かめます。
保険料を決める6つの条件
保険料は、建物の構造・所在地・築年数・補償範囲・保険期間・免責金額の6つで動きます。前の3つは建物側の事情、後ろの3つは契約の組み方です(損害保険料率算出機構 火災保険参考純率)。見積書の金額が高いと感じたら、この6つのどれが効いているかを確認します。
| 条件 | 保険料への効き方 | 自分の家で確かめる場所 |
|---|---|---|
| 建物の構造 | 燃えにくい建物ほど安い | 登記事項証明書・建築確認の書類にある構造の欄 |
| 建物の所在地 | 自然災害が起きやすい地域ほど高い | 住所(市区町村まで) |
| 築年数 | 古いほど上がりやすい | 登記事項証明書の新築年月 |
| 補償範囲 | 守る事故を増やすほど高い | 保険証券の補償内容の欄 |
| 保険期間 | 長期の一括払いにすると1年あたりは軽い | 保険証券の保険期間 |
| 免責金額 | 自己負担を増やすほど安い | 保険証券の免責金額・自己負担額の欄 |
1. 建物の構造
火災保険では建物を3つの構造に分けていて、燃えにくいものほど料率が低くなります。区分はM構造・T構造・H構造の3つです。M構造は鉄筋コンクリート造などの耐火構造の共同住宅、T構造はM構造以外の耐火構造の建物と鉄骨造などの準耐火構造の建物、H構造は木造などそれ以外の建物を指します(損害保険料率算出機構 火災保険参考純率改定のご案内)。
昭和に建てられた木造の一戸建てなら、ほぼH構造です。ここは後から変えようがないので、下げる余地は別の条件で探します。
2. 建物の所在地
同じ家でも、建っている場所によって料率が変わります。台風や大雪、水害の起きやすさが地域で違うからです。
とくに水災は市区町村の単位で5段階に分かれていて、リスクが最も低い1等地から最も高い5等地まであります。この区分を水災等地といい、自分の家がどこに当たるかは損害保険料率算出機構の水災等地検索で住所から調べられます。ただし検索結果は参考純率の上での住宅物件の等地であり、各保険会社の取り扱いは異なる場合があります。等地の評価には内水氾濫や土砂災害も含まれるため、市町村が出している洪水ハザードマップとも必ずしも一致しません。
実際の浸水の想定は国土交通省のハザードマップポータルサイトで住所から確認できます。両方を見ておくと、補償を外すかどうか決めるときの材料になります。
3. 築年数
古い家ほど保険料は上がりやすい方向にあります。保険料のもとになる数値のうち、業界共通で算出されている部分を参考純率といいます。その改定資料が、築5年未満と築10年以上で改定率を分けて示しているためです(損害保険料率算出機構 火災保険参考純率改定のご案内)。
当社はこれを、相続した実家にとっては逃げにくい条件だと見ています。築年数は毎年進み、傷んだ配管や屋根は修理費の見積もりを押し上げるからです。
4. 補償範囲
どの事故まで守るかで金額は変わります。火災・落雷・破裂や爆発を中心にするのか、風災・雪災・水災まで持つのか、ここが最も大きく動く部分です。
空き家で問題になりやすいのは、台風で屋根材が飛ぶ、大雪で雨どいが壊れる、豪雨で床上まで浸かる、といった自然災害です。何を残して何を外すかは、先ほどの所在地の条件と合わせて決めます。
5. 保険期間
火災保険は長期の一括払いにすると、1年あたりの負担が軽くなる方向です。ただし長く固定できる期間には上限があります。参考純率が適用できる期間は、2021年5月の届出で最長10年から最長5年へ短縮されました(損害保険料率算出機構 火災保険参考純率改定のご案内)。
6. 免責金額
免責金額とは、損害が出たときに自分で負担する金額のことで、自己負担額とも呼ばれます。ここを大きくするほど保険料は下がります。
たとえば免責金額を5万円に設定した契約で、台風による屋根の修理費が7万円かかったとします。受け取れるのは差額の2万円です。修理費が4万円で済んだ場合は、免責金額の範囲内なので受け取りはありません。免責金額を上げるとは、小さな損害を自分で引き受ける代わりに毎年の保険料を下げる取引です。
要点: 構造・所在地・築年数は建物側の事情で動かしにくく、下げる余地があるのは補償範囲・保険期間・免責金額の3つです。見積書を見るときは、この後ろ3つが自分の意向どおりになっているかを先に確かめます。
住宅物件と一般物件で保険料が変わる理由
同じ家でも、人が住まなくなると使える商品と条件が変わります。火災保険は建物の使われ方で区分が分かれていて、それぞれ別の統計と料率で運用されているからです(損害保険料率算出機構「火災保険・地震保険の概況」)。差の幅は保険会社ごとに違い、決まった倍率では表せません。
火災保険は4つの物件区分で動いている
火災保険の統計と料率は、住宅物件・一般物件・工場物件・倉庫物件の4つに分かれています。住宅物件は住まいとして使われている建物、一般物件は店舗や事務所のように住まい以外に使われている建物の区分です。木造2階建ての一戸建てでも、住まいとして使われていない建物は住宅物件には入りません。
自分の家がどちらの扱いになりそうかは、次の3点で見当がつきます。
- 人が住んでいるか:季節ごとでも寝泊まりしているかどうか
- 家財が置かれているか:布団・食器・家電が残っているかどうか
- 使っている実態があるか:電気や水道が生きていて、年に何度か使っているかどうか
3つとも「いいえ」に近いほど、住まい向けの商品からは遠ざかります。最終的な取り扱いは商品ごとに違うため、申し込みの前に保険会社か代理店へ確認してください。住まい向けの保険で引き受けてもらえるかどうかは、別の記事で整理しています。
住まい向けの前提が外れると何が変わるか
住まい向けの火災保険は、人が住んでいることを前提に作られた商品です。空き家になると割安な料率は使えず、住まい以外の建物向けの商品と料率で組み直すことになります。前の章で見た年約2万2,000円の平均も、そのまま比べる相手ではなくなります。
もう1つ変わるのが、比べ方です。同じ家でも会社ごとに前提が違うため、1社の金額だけでは高いか安いか判断できません。
差の幅が会社ごとに違うのはなぜか
保険会社が使う参考純率は、損害保険料率算出機構が算出して金融庁へ届け出た数値です。法律ではこれを、会員である保険会社が「保険料率の算出の基礎とし得るもの」と定めています(e-Gov法令検索 損害保険料率算出団体に関する法律 2条5号)。参考純率は純保険料率の一種で、純保険料率とは保険料率のうち将来の保険金の支払いに充てられると見込まれる部分のことです(同 2条2号)。
読みどころは「し得る」という書き方です。使うことができる、というだけで、使う義務はありません。機構自身も、参考純率をそのまま使うか修正して使うか使わずに独自に算出するかは各社の判断であり、実際の商品の改定率とは異なると明記しています(損害保険料率算出機構 火災保険参考純率改定のご案内)。
当社はここに、空き家の保険料が一つの相場に収まらない理由があると考えています。土台の使い方が各社に委ねられていて、そのうえ空き家は割安な区分の外側にあるからです。⇒ 1社の提示額だけで決めないでください。
火災保険料は上がってきている——直近の改定で変わったこと

上がり幅は地域と構造で違い、料率を固定できる期間は最長5年です(出典: 損害保険料率算出機構 火災保険参考純率改定のご案内)
火災保険のもとになる参考純率は、2021年と2023年の届出で連続して引き上げられました。あわせて水災の料率が市区町村単位の5区分に分かれ、長期契約で価格を固定できる期間も短くなっています。更新のたびに上がる前提で維持費を見ておく場面です。
この参考純率は火災保険(住宅総合保険)、つまり住まい向けを対象に算出・改定されているものです。空き家が該当することの多い一般物件の保険料が、そのまま同じ率で動くわけではありません。ここで見るのは金額そのものではなく、料率をとりまく環境が上向きだという流れのほうです。
2023年6月届出は平均13.0%の引き上げ
2023年6月の届出では、住宅総合保険の参考純率が平均で13.0%引き上げられました。改定率は地域と構造で開きがあります。例の前提は、保険金額が建物2,000万円・家財1,000万円、築10年以上です。東京都のM構造で+10.4%、大阪府のT構造で+16.9%、香川県のH構造で+10.5%です(損害保険料率算出機構 火災保険参考純率改定のご案内)。2021年5月の届出でも全国平均で10.9%引き上げられていました。
背景にあるのは、自然災害による保険金の支払いが増えたことと、建物の老朽化や修理費の高騰です。当社が空き家の所有者にとって重いと見ているのは、この2つがどちらも時間とともに強まる要素だという点です。⇒ いまの保険料を「毎年これくらい」と固定して考えないほうが安全です。
水災の料率が5区分に分かれた
同じ2023年6月の届出で、水災の料率が建物所在の市区町村ごとに1等地から5等地までの5区分へ細分化されました。同じ改定のご案内では、保険料が最も高い地域と最も低い地域の較差は約1.2倍と示されています。
この細分化は保険会社が独自に決めたものではなく、行政の検討を経た制度変更です。金融庁は令和3年6月に「火災保険水災料率に関する有識者懇談会」を設置し、令和4年3月31日に報告書を公表しています(金融庁 火災保険水災料率に関する有識者懇談会)。水害のリスクが地域で大きく違うのに一律の料率でよいのか、が出発点でした。
リスクの低い地域に建つ家は水災の負担が軽くなり、高い地域は重くなります。自分の家がどちらかを知っていれば、補償を残すか外すかの判断が具体的になります。
長期契約で固定できるのは最長5年
かつては10年の長期契約で保険料を固定できましたが、いまは最長5年です。参考純率が適用できる期間が、2021年5月の届出で最長10年から最長5年へ短縮されたためです(損害保険料率算出機構 火災保険参考純率改定のご案内)。理由として挙げられているのは、自然災害リスクの将来変化によって長期的なリスク評価が難しくなっていることです。
つまり、長期契約で値上げから逃げ切る構えは取りにくくなり、5年経てばそのときの料率で組み直すことになります。
保険料を下げる4つの手と、下げたときに失うもの

条件から手を選ぶ順に読み、補償を外す前に水災等地とハザードマップを確認します(出典: 損害保険料率算出機構「火災保険・地震保険の概況」2025年度版を基に当社集計)
保険料を下げる手は、補償を絞る・免責金額を上げる・保険期間を長くして一括で払う・保険金額を実態に合わせるの4つです。どれも下げた分だけ受け取れる補償が減るので、失うものとセットで選びます。
| 下げる手 | 下がる理由 | 失うもの | この判断が効きやすい条件 |
|---|---|---|---|
| 補償を絞る | 守る事故の数が減る | 外した事故の修理費が全額自己負担になる | 水災等地が低く、ハザードマップの浸水想定にも入っていない |
| 免責金額を上げる | 少額の支払いが減る | 免責金額までの修理費は受け取れない | 数万円の修理費を自分で出せる |
| 保険期間を長くして一括で払う | 1年あたりの負担が下がる | 途中の条件変更・解約がしにくい | 5年以内に売却・解体の予定がない |
| 保険金額を実態に合わせる | 計算の土台が小さくなる | 下げすぎると建て直せない | 保険金額が建て直し費用より明らかに大きい |
当社は、この4つのうち最初に触るべきは補償範囲と免責金額だと考えています。構造や築年数は動かせず、保険期間は売却予定と衝突しやすいからです。
1. 補償を絞る
守る事故を減らせば保険料は下がります。問題は、外した事故が起きたときにいくら自分で払うかです。金額の規模感を、実際に支払われた保険金から見てみましょう。
住まい向けの火災保険で支払われた保険金(1件あたりの平均・2024年度)
| 事故の種類 | 支払件数 | 1件あたりの平均保険金 |
|---|---|---|
| 火災、破裂・爆発 | 7,756件 | 約499万円 |
| 水災 | 1,837件 | 約367万円 |
| 水濡れ | 53,947件 | 約73万円 |
| 風災・ひょう災 | 157,054件 | 約58万円 |
| 雪災 | 34,554件 | 約51万円 |
| 落雷 | 53,241件 | 約36万円 |
| その他(水濡れ以外) | 282,258件 | 約18万円 |
| 全体 | 590,647件 | 約44万円 |
対象=2024年度に住宅物件の火災保険で支払われた保険金(590,647件)/計算方法=事故の種類ごとに保険金の合計を件数で割った当社の集計/データ出典=損害保険料率算出機構「火災保険・地震保険の概況」2025年度版(第6表・2024年度統計)。住まいの支払実績であり、空き家の事故の起きやすさを示すものではありません
件数では風災・ひょう災が突出して多く、金額では火災と水災が飛び抜けています。風災は当たりやすいけれど傷は浅く、水災はめったに当たらないけれど当たると重い、という違いです。しかも水災の件数は年によって大きく振れます。同じ統計の2019年度は21,330件・1件あたり約580万円で、2024年度の11.6倍の件数でした。
⇒ 水災を外すかどうかは、単年の件数の少なさではなく、前の章で調べた水災等地とハザードマップの結果で決めてください。
2. 免責金額を上げる
小さな損害を自分で持つ代わりに、毎年の保険料を軽くする手です。上の表で見たとおり、風災・ひょう災の平均は約58万円、その他の事故は約18万円でした。免責金額を数万円に設定しても、大きな損害への備えそのものは残ります。
逆に言えば、外壁の一部が飛んだ、雨どいが割れたといった数万円規模の修理では受け取りがなくなります。誰も住んでいない家は小さな損傷が見つかりにくく、気づいたときには複数箇所という場合もあります。修理費を自分で出せる蓄えがない状態で免責金額だけ上げると、直せないまま傷みが進みます。
3. 保険期間を長くして一括で払う
長期の一括払いにすると1年あたりの負担は軽くなります。ただし固定できるのは最長5年で、途中で条件を変えたり解約したりはしにくくなります。
ここでは、その家をこの先どうするつもりかが効いてきます。数年のうちに売る・解体する見込みがあるなら長期一括は使いにくく、当面は持ち続けると決めているなら1年ごとの更新より負担は軽くなります。
4. 保険金額を建物の実態に合わせる
保険金額が実態より大きいと、その分だけ保険料も増えます。相続した実家では、親が契約した当時の金額がそのまま引き継がれている場合があります。証券の金額がいまの建て直し費用とかけ離れていないか確認してみてください。
ただし下げすぎると、いざというときに建て直せません。ここは「安くする」ではなく「合わせる」と考えるところです。維持費そのものを軽くしたい場合は、保険以外にも使える制度があります。改修や解体の費用を自治体が一部負担する制度については、空き家に使える補助金の種類と探し方にまとめています。
要点: 下げる余地が大きいのは補償範囲と免責金額の2つで、どちらも外した分は自己負担になります。水災を外すかどうかは水災等地とハザードマップで、免責金額は数万円の修理費を自分で出せるかどうかで決めます。
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地震保険は付けられる?付けたときの上乗せ額

判定を左、上乗せ額を右に置き、控除が使えない前提で見合うかを判断します(出典: 財務省 地震保険の基本料率・地震保険制度の概要を基に当社試算)
地震保険は人が住んでいる建物と家財のための保険なので、住まいとして扱われない空き家には付けられません。住まい向けの契約を続けられる場合は、公表されている料率から上乗せ額を自分で計算できます(財務省 地震保険制度の概要)。付けるかどうかは、この金額と控除の扱いを見て決めます。
対象は「居住の用に供する建物または生活用動産」
地震保険を結ぶには法律上の要件があります。地震保険に関する法律は「居住の用に供する建物又は生活用動産のみを保険の目的とすること」「特定の損害保険契約に附帯して締結されること」などを定めています(e-Gov法令検索 地震保険に関する法律 2条2項)。財務省も、対象は居住用の建物と家財で、工場や事務所専用など住居として使用されない建物は対象外だと説明しています。
読みどころは「居住の用に供する」という条件です。建物の見た目ではなく、住まいとして使われているかどうかで線が引かれます。誰も住まなくなり家財も片付けた家は、この条件から外れます。
保険金額にも上限があり、附帯する火災保険の保険金額の30%から50%の範囲で決めます。建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度です。
付けられる場合の上乗せは公表料率で計算できる
地震保険の料率は財務省が公表しているため、自分で計算できます。季節的に住まいとして使っていて住まい向けの契約を続けられる場合の、上乗せ額の目安を当社で計算しました。
住まい向けの契約を続けられる場合の上乗せ額の目安(保険金額500万円)
| 所在地の例 | 構造 | 1年あたり | 5年一括 | 5年一括の1年あたり |
|---|---|---|---|---|
| 東京都・千葉県・神奈川県・静岡県 | ロ構造(木造) | 20,550円 | 96,585円 | 19,317円 |
| 東京都・千葉県・神奈川県・静岡県 | イ構造 | 13,750円 | 64,625円 | 12,925円 |
| 大阪府・愛知県・宮城県 など | ロ構造(木造) | 9,750円 | 45,825円 | 9,165円 |
| 大阪府・愛知県・宮城県 など | イ構造 | 5,800円 | 27,260円 | 5,452円 |
| 富山県・北海道・福岡県 など | ロ構造(木造) | 5,600円 | 26,320円 | 5,264円 |
| 富山県・北海道・福岡県 など | イ構造 | 3,650円 | 17,155円 | 3,431円 |
対象=地震保険を付帯できる状態の建物/計算方法=基本料率(保険金額1,000万円あたり・保険期間1年)に0.5を掛け、5年一括は年額に長期係数4.70を掛けた当社の試算/前提=保険金額500万円・割引の適用なし・令和4年10月1日以降を保険始期とする契約/データ出典=財務省 地震保険の基本料率・財務省 地震保険制度の概要
長期係数とは、複数年分をまとめて払うときに使う掛け算の数字で、5年なら4.70です。5年分を1年ずつ払えば5.00ぶんですから、まとめて払うと1年あたりは約6%軽くなります。木造の家を東京都で保険金額500万円に設定した場合なら、1年契約で年20,550円、5年一括なら1年あたり19,317円です。
これは公表されている料率をそのまま当てはめた計算で、実際の契約では割引や保険会社の商品条件で変わります。割引は重複して使えませんが、昭和56年6月1日以降に新築された建物なら建築年割引で10%下がります。
地震保険料控除は「常時居住している家屋」が対象
税金で取り戻せるかどうかも、付帯を決める材料です。空き家の建物に掛けた地震保険料は、この控除に使えません。
地震保険料控除の対象となる資産は「自己や自己と生計を一にする配偶者その他の親族の所有する家屋で常時その居住の用に供するもの」または生活に通常必要な家具・じゅう器・衣服などの生活用動産です(国税庁 タックスアンサー No.1146)。控除額は所得税で、年間の支払保険料が50,000円以下なら全額、50,000円を超える場合は一律50,000円です(国税庁 タックスアンサー No.1145)。
ポイントは「常時その居住の用に供する」という条件です。ふだん住んでいない家は、ここに当てはまりません。つまり空き家の地震保険料は、払った分が丸ごと負担として残ります。控除で戻らない前提で、上乗せ額に見合うかどうかを判断してください。なお個別の事情での取り扱いは、保険会社や税理士にご確認ください。
火災保険と地震保険を足した金額に固定資産税と管理の費用を重ねると、持ち続ける前提そのものを考え直す場面も出てきます。保有と売却のどちらが軽いのかは、維持コストから見る空き家活用の損益分岐で費用を並べて比べています。
空き家の火災保険料に関するよくある質問
空き家の火災保険料は住んでいたときより高くなりますか?
上がる方向に働きます。住まい向けの割安な区分から外れると、料率も商品も前提から変わるためです。ただし上がり幅は保険会社ごとに違い、何倍になるといった決まった率では表せません。証券に書かれた保険金額と補償範囲をそのままにして複数社へ出してもらうと、差の大きさが具体的に見えます。
保険期間を長くすると保険料は安くなりますか?
長期の一括払いにすると、1年あたりの負担は軽くなる方向です。ただし価格を固定できる期間は最長5年です(損害保険料率算出機構 火災保険参考純率改定のご案内)。途中で条件を変えにくくなるため、数年内に売却や解体を考えているなら短めにする判断もあります。
補償を火災だけに絞ると保険料はどのくらい下がりますか?
下がり幅は建物の条件と保険会社で変わるため、一律の数字では示せません。判断の順序としては、金額より先に外してよいかどうかを決めます。水災を外すなら水災等地検索で自分の家の等地を調べ、ハザードマップポータルサイトで浸水想定も確認してください。どちらも低ければ、外す判断の材料がそろいます。
築年数が古いと保険料は上がりますか?
古いほど上がりやすい傾向です。参考純率の改定資料が築5年未満と築10年以上で改定率を分けて示しており、古い建物ほど引き上げ幅が大きくなっています(損害保険料率算出機構 火災保険参考純率改定のご案内)。築年数は変えられないため、下げる余地を探すなら補償範囲・免責金額・保険金額の3つに当たることになります。
買取くん(株式会社リアテクス)では、保険料の負担が重い空き家でも買い取ってもらえますか?
買い取れます。当社は全国に対応していて、残置物(家具や家電など、家の中に残されたままの物のこと)や生活用品を残したままの現況買取にも応じています。現況買取とは、片付けや修繕をせず今の状態のまま買い取ることです。他社で断られた物件も対象です。保険料を含む維持費を払い続けるかどうかを判断する材料として、まずは無料査定で金額を確かめてみてください。
まとめ
空き家の火災保険料は、保険金額と6つの条件の組み合わせで決まるため、条件をそろえた見積もりを2〜3社で比べるところから始めます。
補償の絞り込みや免責金額の設定で下げることはできますが、下げた分は自己負担になります。地震保険は住まいとして扱われない空き家には付けられず、付けられる場合も保険料は地震保険料控除の対象になりません。見積もりを取るときは、建物の構造・所在地・築年数に加えて、保険金額・補償範囲・保険期間・免責金額をそろえて依頼してください。
当社の買取くんは、残置物を残したまま現況のまま買い取れて、他社で断られた物件も対象にしています。保険料や固定資産税を毎年払い続ける前提そのものを見直したい方に向いています。
受付時間 10:00〜19:00(水・日曜定休)

