空き家買取

空き家活用の前に維持コストを試算|持ち続ける・貸す・売るの判断基準

田舎の風景と瓦屋根

「活用したほうがいいと言われても、うちの家で何ができるのかわからない」 「毎年の税金だけ払い続けるのは、そろそろ終わりにしたい」

空き家活用は、年間の維持費と初期費用の回収年数を比べて、持ち続ける・貸す・売るのどれかを選びます。活用の手段は12通りありますが、初期費用の出方も収益化までの時間もばらばらですので、いま払っている年額を先に出さないと比べようがないんです。

このガイドでわかること:

  • 空き家を持ち続けると年間いくらかかるか、5項目での出し方
  • 活用の選択肢12通りと、初期費用・収益化までの時間の違い
  • 補助金で埋まる費用と、埋まらずに残る費用
  • 管理を続けられなくなったときの税負担の変化と、遠方の管理の頼み先
  • 活用が成立しにくい4つの条件と、活用と売却の分かれ目になる回収年数

それぞれの細かい中身は、各章から個別の記事へ進めるようにしています。

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空き家活用とは?持ち続ける・貸す・売るの3つの出口

年間の維持費を中心に持ち続ける・貸す・売るの3つの出口と対応する公的制度、確かめる項目を並べた図解

3つの出口はそれぞれ受け皿の制度が異なり、比べる基準は年額です(出典: 国土交通省「空き家やその敷地を売る・貸す際に活用できる制度」/総務省「令和5年住宅・土地統計調査」)

空き家活用とは、持ち続ける・貸す・売るの3つから出口を選ぶことで、決め手は年間の維持費と回収年数です。「貸す」には人に貸して家賃を得る形だけでなく、自分や家族が住む形も入ります。「売る」は所有そのものを終わらせる出口で、「持ち続ける」は現状のまま維持費を払い続ける出口です。

どの出口を選ぶにしても、比べる相手は「持ち続けた場合の年額」になります。活用を考えはじめた方が手段の名前から調べてしまうのは自然なことですが、手段同士を並べても優劣は出てこないんですよね。年額という共通の基準を先に手に入れると、比較がようやく成立します。

出口公的に用意されている受け皿この記事で読むところ
持ち続ける費用を支える制度はなし(自治体や事業者の管理代行を自費で使う形。国土交通省が遠方の所有者に利用の検討を促しています)年間の維持費の出し方/遠方の管理/管理を続けられないときの税負担
貸す(自分や家族が使う場合を含む)空き家バンク/住宅セーフティネット制度/マイホーム借上げ制度/サブリース活用手段12通りの比較/使える補助金
売る相続空き家の3,000万円特別控除/インスペクション(建物の現況調査)/空き家バンク活用が成立しにくい4つの条件/回収年数の見方

国土交通省は、空き家やその敷地を売る・貸す際に使える制度として、空き家バンク・住宅セーフティネット制度・マイホーム借上げ制度・サブリース・相続空き家の3,000万円特別控除(相続した空き家を売ったときの利益から最大3,000万円を差し引ける制度)などを並べて案内しています(国土交通省 空き家やその敷地を売る・貸す際に活用できる制度)。当社はこの並びを、国が「貸す」と「売る」の両方に受け皿を用意した一方で、持ち続けることの費用を支える制度は置いていない、と読んでいます。⇒ 持ち続ける選択だけは費用を支える制度がなく、年額がまるごと自分の手元に残ります。

全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%です(総務省 令和5年住宅・土地統計調査)。当社が買い取ってきた空き家にも、売りにくい条件を抱えた家が多く含まれます。だからこそ、活用できるかどうかより先に、いくら払い続けているかを知るほうが判断は早く進みます。

空き家を持ち続けると年間いくら?固定資産税・保険・管理費の内訳

固定資産税・火災保険・管理費・水道光熱の基本料・往復交通費の5項目を足して年額を出す計算図

5項目を足すと年額、12で割れば月額が出ます(確認先: 納税通知書・保険証券・料金明細/当社作成)

持ち続ける費用は、固定資産税・火災保険・管理費・水道光熱の基本料・往復交通費の5項目を足すと年額で出せます。どれも通帳や書類の上にすでに出ている金額ですので、新しく見積もりを取らなくても計算できます。まずは手元に納税通知書と保険証券を並べるところから始めてください。

項目どこで確かめるか詳しく読む
固定資産税・都市計画税毎年4〜5月に届く納税通知書の税額欄空き家の固定資産税の仕組みと軽減制度
火災保険料保険証券の年間保険料(空き家は住まい向けの商品から外れる場合があります)空き家に火災保険が必要かどうかの判断

空き家の火災保険料の相場と決まり方
管理の費用自分で通う回数、または管理代行の1回あたりの料金空き家管理に必要な頻度と費用の目安
水道・電気の基本料金料金明細(止める手続きをしない限り、使わなくてもかかります)空き家管理に必要な頻度と費用の目安(管理の費用の行と同じ記事)
往復の交通費片道の運賃・ガソリン代 × 年間の訪問回数空き家管理に必要な頻度と費用の目安(同上)

固定資産税の欄で目にする住宅用地特例は、土地の上に住宅があるときに、固定資産税の計算のもとになる額を下げる仕組みのことです。税額そのものの計算方法は空き家の固定資産税の仕組みと軽減制度にまとめていますので、ここでは通知書に書かれた額をそのまま使ってください。管理費のところは、自分で通うなら交通費と水道の基本料金、委託するなら自治体の管理代行の1回2,500〜3,000円が起点になります。

5項目の合計が年額で、12で割れば月額です。このあとの章で出てくる比較は、すべてこの年額を基準にします。

誰も住んでいない家にも、火災保険は要ります。建物が傷んで屋根や外壁が落ち、通行人や隣の家に損害を与えたとき、その賠償は保険がなければ所有者の自己負担で残るからです。ただ、空き家は人が住んでいる家を前提にした商品の対象から外れることが多く、申し込む先そのものが変わります。住まい向けで断られても、一般物件として扱う保険が受け皿になります。それから、住んでいた家が空き家になったときは、いま契約している保険会社への連絡も必要です。使われ方が変わった時点で契約の前提がずれますので、黙って掛け続けていると、いざというときに契約を解除されることがあります。掛けるかどうかの判断と、断られやすい家の条件は空き家に火災保険が必要かどうかの判断で確かめられます。

保険料そのものの決まり方は、また別の話になります。金額を動かしているのは、建物の構造・所在地・築年数・補償範囲・保険期間・免責金額という6つの条件です。土台に置かれるのは建て直しに要する金額で、そこへ建物ごとの料率が乗って年間の保険料になります。前の3つは建物側の事情ですから動かせませんが、後ろの3つは契約の組み方ですので、自分で調整できる余地が残ります。自分の家の金額を知りたいときは、この6つと保険金額をそろえたうえで2〜3社に見積もりを頼むのが早道です。年間の保険料は、掛けているあいだ毎年の維持費に乗ってくる項目です。条件ごとの差と下げ方は空き家の火災保険料の相場と決まり方で解説しています。

活用パターン別の初期費用と回収の目安(賃貸・民泊・駐車場・地域利用)

活用手段12通りを初期費用の出方と収益化までの時間の2軸に配置し、現況のまま貸せる手段の位置を示した図

左下に近い手段ほど初期費用が小さく、収益化までの時間も短くなります(出典: 国土交通省 空き家やその敷地を売る・貸す際に活用できる制度 ほか)

活用手段は12通りあり、現況のまま貸せるものは初期費用がほぼゼロ、建て替えや解体を伴うものは回収に年単位かかります。同じ「活用」でも、明日から募集できる手段と、工事が終わるまで1円も入らない手段が同居しているんです。下の表は、その差が出る場所を5つの列でそろえたものです。

手段初期費用の出方収益化までの時間向く物件・立地制度上の注意
<基準>そのまま持ち続ける(貸さない)発生しない収入は生まれず、前章で出した年額が続く数年内に自分や家族が使う予定がある相続空き家の3,000万円特別控除は貸すと要件から外れるため、控除を使って売る予定があるうちは貸さずに置く選択が残る
戸建て賃貸片付けと最低限の修繕借主が決まれば家賃が入る周辺に賃貸の募集が出ている住宅地契約の種類で終わり方が変わる(更新のある普通借家/期間満了で終わる定期借家)
DIY型賃貸借借主が改修するため貸主の負担は小さい募集から入居まで直さないと貸せないが、改修費を出せない家国が契約書式例とガイドブックを公表。契約の種類で終わり方が変わる
シェアハウス水回りと共用部の整備入居が埋まるまで段階的駅・学校・勤務先が近い複数人へ個別に貸す運用。普通借家と定期借家で終わり方が変わる
民泊(住宅宿泊事業)寝具・設備・清掃体制の準備届出のあと予約が入れば観光地や駅の近く都道府県知事等への届出が必要。年間提供日数の上限は180日。条例で実施が制限される地域がある
店舗・事務所へ用途変更して貸す内装と設備の工事借主が決まるまで通り沿い・商業地用途変更にあたり建築確認等の手続きが必要になる場合がある
貸倉庫・資材置き場・トランクルーム現況のまま貸せることが多い借主が決まれば早い幹線道路沿い・事業者が多い地域トランクルーム事業として運営する場合は建築基準法・用途地域の確認が必要になる場合がある
駐車場(解体後)建物の解体費が先に出る解体と整地が終わってから駅前や商業施設の近く建物を残さないため管理は軽い。解体費用の相場は別記事へ
セーフティネット専用住宅として貸す改修費に補助制度がある改修と登録の手続きを終えてから単身高齢者などの需要がある地域改修費補助を受けると10年間、入居者を住宅確保要配慮者に限定して管理する義務が残る。普通借家と定期借家で終わり方が変わる
自治体・地域団体へ貸す(空き家バンク経由)登録そのものに費用はかからない借りたい人が現れるまで移住や地域活動の需要がある地域自治体が情報を掲載し、全国版空き家・空き地バンクに集約される。掲載後の交渉は当事者や媒介する業者が行う
マイホーム借上げ制度(非営利法人へ貸す)貸せる状態にするための手直し借上げの手続きを終えてから居住用として使える状態の家居住用の住宅を専門機関に賃貸する方法として国が案内している
サブリース事業者へ貸す事業者が求める水準に合わせた手直し契約後、事業者が転貸賃貸需要が続く地域空室のときの扱いが契約で決まる
建て替えて貸す解体費と建築費完成して入居するまで年単位敷地条件がよく賃貸需要が続く地域敷地が道路に2メートル以上接していないと建て替えができない(建築基準法43条)
<基準>自分や家族が住む・セカンドハウスとして使う住める状態にするための片付けと修繕収入は生まれないが、いまの家賃や維持費の置き換えになる通える距離で、建物が使える状態居住の用に供すると相続空き家の3,000万円特別控除の要件から外れる

上下の<基準>2行は、活用手段を同じ条件で比べるために置いた比較の基準です。活用手段の数には入れていません(活用手段は12通り)。出典: 国土交通省 空き家やその敷地を売る・貸す際に活用できる制度国土交通省 DIY型賃貸借に関する契約書式例とガイドブックについて国土交通省 住宅セーフティネット制度観光庁 住宅宿泊事業法(民泊新法)とは?国土交通省 空き家・空き地バンク総合情報ページe-Gov法令検索 建築基準法

聞き慣れない名前が並びましたので、4つだけ補足しますね。DIY型賃貸借は、借主の意向を反映して住宅の改修ができる賃貸借契約のことです。セーフティネット専用住宅は、高齢者や低額所得者など住まい探しに困っている人の入居を拒まない住宅として貸す仕組みを指します。マイホーム借上げ制度は専門機関が借り上げて転貸する形、サブリースは民間の事業者が借り上げて転貸する形です。セーフティネット専用住宅として改修費の補助を受けると、10年間は入居者を住宅確保要配慮者に限定して管理する義務が残りますので、途中で普通の賃貸へ戻す前提では選べません。解体を挟む駐車場と建て替えは、先に解体費が出る点が他と違います。金額の幅は家の解体料金の内訳と相場で確かめてください。

初期費用をかけずに始められるのは、現況のまま貸せる手段です。貸倉庫・資材置き場やDIY型賃貸借がこれに当たります。⇒ 改修や解体を挟むほど、最初の持ち出しが増えて回収年数も伸びていきます。

表のなかで手続きが最も具体的なのが民泊です。人を泊めて対価を受け取るには、住宅宿泊事業法に基づく届出から入るのが基本の道筋になります。泊められる日数は年間180日が上限です。届出の対象になるのは、台所・浴室・便所・洗面設備がそろい、現に生活の本拠として使われているなどの居住要件を満たす住宅です。手続きは立地の確認から始まる5つの段取りで進みます。採算を見るときは180日という上限ではなく、自分の地域の稼働実績を年換算した日数から逆算するのが実際的です。制度の選び分けから届出書類、採算ラインまでは空き家を民泊にする手順と採算ラインにまとめました。

活用に使える補助金と、補助金では埋まらない費用

補助金が効くのは改修や解体の工事費の一部で、維持費・残置物(家に残ったままの家具や家電のこと)の処分費・自分の交通費は自己負担のまま残ります。前章で出した年額は、どの制度を使っても減りません。ここを取り違えると、補助金を待っているあいだに年額だけが積み上がります。

だからこそ、待つかどうかは2つの金額を並べて決めてください。⇒ 「補助で減る自己負担額」と「受付を待つ1年分の維持費」を比べて、前者が大きいときだけ待つ価値があります。

空き家の補助金を出しているのは、そのほとんどが市区町村です。枠は使いみちで分かれていて、壊す・直す・買う・家財を片付けるの4つが基本の区分になります。国は市区町村の事業へ費用を出す立場ですので、探す先は空き家がある自治体です。交付額は、対象経費に補助率をかけた額と上限額のうち低いほうで決まる形が一般的です。注意したいのは申請の順番で、交付決定より前に契約や着工をしてしまうと対象から外れます。受付期間が残っていても、予算枠に達した時点で締め切られることもあります。用途の決め方から自分の市区町村の制度の調べ方までは空き家に使える補助金の種類と探し方で解説しています。

管理を続けられないとどうなる?特定空家・管理不全空家と税負担の変化

管理が行き届かない状態が続くと市町村から指導や勧告を受け、勧告まで進んだ敷地は住宅用地特例から外れます。つまり、税負担が動くのは認定された瞬間ではなく、勧告の段階です。放置したときに起きること全般は空き家を放置したときに起きることに、勧告の後に固定資産税がいつから何倍になるかは空き家の固定資産税が6倍になる時期にまとめています。

特定空家は、このまま放っておけば危ないと市町村が判断した空き家に付く呼び名です。判断の目安になるのは、倒れそう・不衛生・景観を損ねている・近所の暮らしに差し支えている、の4つの状態です。国が示すガイドラインの例を参考に、市町村が総合的に判断します。ここで大事なのは、この4つが外から見て確かめられる状態だという点なんです。屋根や外壁、塀、庭木、郵便受けといった場所を帰省のついでに見ておけば、自分の家がどのあたりにいるのかは見当がつきます。認定するかどうかを決めるのは市町村ですが、認定された後も直す・壊す・売るの3つの道は残ります。4つの状態の中身と、自分の家での確かめ方は特定空家に認定される4つの基準をご覧ください。

もう一段手前に、管理不全空家という区分があります。まだ危険とまではいえないものの、このままでは特定空家に近づいていく家を指す言葉です。ここで知っておきたいのは、いま自分がどの段階にいるかの見分け方です。市町村から届く書面には、助言・指導なのか勧告なのか、そして改善の猶予期限が書かれています。まずはその書面の表題と日付を確かめてください。指導や勧告に沿った措置をとったことが確認されれば認定は外れ、勧告も撤回されます。段階ごとに何が変わるのかは管理不全空家と特定空家の違いで整理しました。

遠方で通えない空き家をどう管理するか

通えないときは自治体が紹介する事業者や管理代行サービスに委託でき、費用は訪問1回あたりの単価で決まります。年に何回行くかを決めれば、年額はすぐ出せます。前章の税負担の話も、元をたどれば管理を続けられるかどうかの問題です。

国土交通省も、遠隔地に住んでいて自分での管理が難しい場合は、空き家管理業者などの利用を検討するよう示しています(国土交通省 空き家の管理のやり方)。当社はこれを、通えないこと自体は仕方がないが、代わりの手を打たないままにすると所有者の責任が残る、という線引きだと考えています。⇒ 通えないなら、委託の年額を維持費に足したうえで払い続けられるかを見てください。

やることは5つあります。風を通す、水を流す、郵便受けを確かめる、外から建物を見る、草を刈る——この5つが土台です。どのくらいの間隔で行くかは庭の有無と建物の状態で決めるもので、庭木がなく郵便物も転送済みの家なら3か月に1回でも異常には気づけます。委託する場合は、1回分の単価に年間の訪問回数を掛けた額を、前章で出した年額に足してください。水道は休止の届け出を出せば止められますが、止水栓を閉めただけでは届け出になりません。通えないときの頼み先も、自治体の紹介制度から民間サービスまで選択肢が分かれます。作業と頻度の決め方、自分で通う場合と委託した場合の費用の比べ方は空き家管理に必要な頻度と費用の目安で確かめられます。

活用が成立しにくい4つの条件と、回収年数の見方

立地・築年・接道・残置物の確認から回収年数を計算し、活用と売却の分かれ目を判定する流れ図

4条件を確かめてから回収年数を出すと、活用と売却の分かれ目が決まります(出典: 総務省「令和5年住宅・土地統計調査」/建築基準法第43条〔e-Gov法令検索〕)

立地・築年・接道・残置物のどれかに引っかかる空き家は、貸す活用が成立しにくく、売却が現実的です。4つとも、書類か現地で自分で確かめられる条件です。逆にいえば、ここを確かめないまま手段選びに入ると、成り立たない前提で費用だけ検討することになります。

活用が成立しにくい4つの条件

確かめる順番は、外から見えるものから書類の順です。

  1. 立地:周辺に賃貸の募集が出ているか。近くの募集件数と家賃を見て、自分の家がその中に並んだときに選ばれるかを考えます
  2. 築年:昭和56年5月31日以前に建てられた家か。登記事項証明書や課税明細書の建築時期の欄でわかります。この時期より前の家は改修費が膨らみやすくなります。一方で、相続空き家の3,000万円特別控除はこの日付以前に建てられた家が対象ですので、貸す活用には向きにくくても、売る出口では条件に合う家なんです(要件はこのあとの「初期費用を何年で回収できるかの見方」で触れます)
  3. 接道:敷地が道路に2メートル以上接しているか。接していない家は建て替えができず、改修を前提にした活用でも資金が組みにくくなります(建築基準法第43条
  4. 残置物:家財が残ったままか。貸すにしても売るにしても、先に片付けが要ります

再建築不可物件とはでは、建て替えができない土地(再建築不可)の調べ方を手順から説明しています。残置物の処分費用の目安は残置物とはに載せています。

立地の条件は、数字で見るともう少しはっきりします。全国の空き家900万2千戸のうち、賃貸用の空き家は443万6千戸あります(総務省 令和5年住宅・土地統計調査)。当社はこれを、貸す市場にはすでに400万戸を超える供給が並んでいる状態だと見ています。⇒ 自分の家を貸したいときは、この列の後ろに並んで選ばれるかどうかを、近くの募集件数と家賃で確かめてから決めてください。

初期費用を何年で回収できるかの見方

売るという出口だけは、回収を待つ年数がありません。現況のまま買い手を探すなら先に出る費用はほとんどかかりませんが、片付けや改修を先に済ませてから売り出すなら、その分は先に出ていきます。どちらを選ぶかで、手元を離れるまでの期間も変わってきます。

貸す側は、次の3つの手順で回収年数を出せます。

  1. 前章で出した維持費の年額を書き出す
  2. 選んだ手段で先に出る費用(片付け・修繕・解体などの見積額)を置く。金額の幅は上で紹介した「残置物とは」「家の解体料金の内訳と相場」で確かめられます。実際に置く額は、ご自身で取った見積もりの金額を使ってください
  3. 初期費用 ÷(年間の手取り+活用で浮く維持費)= 回収年数 を計算する

出した年数は、契約と合わせて見てください。回収年数のあいだ、その貸し方を続けられる契約かどうかを、普通借家と定期借家の別で確かめます。更新のある普通借家では貸主から更新を断るのに正当の事由が必要ですので、5年で回収する計画なのに、5年で確実に戻せるとは限らないからです。

判断基準は1つだけです。回収年数が自分の持ち続けられる年数の中に収まるなら活用を進め、超えるなら売却も並べて比べます。持ち続けられる年数は、相続からの経過・自分の年齢・次の世代に渡すかどうかで、ご自身で決められます。

もう1つ、貸す前に確かめておきたい要件があります。相続空き家の3,000万円特別控除は、相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないことが要件です(国税庁 No.3306)。いったん貸すと、この要件から外れます。適用条件の細かいところは相続空き家の3,000万円特別控除で確かめてください。

一般には「まずは活用を考えましょう」と言われます。当社の見解は少し違って、年間の維持費と回収年数を先に出すべきだと考えています。賃貸用の空き家が443万6千戸ある市場で借り手を待つ時間も、待っているあいだの年額も、どちらも所有者が負担しているからです。⇒ 売却額と並べたいときは、回収年数のあいだに家賃で埋めきれず自己負担として残る額を出すと、二重に数えずに比べられます。

4条件のどれかに当たる物件は、回収年数が伸びやすくなります。年額を払い続ける期間もその分だけ長くなります。

活用に踏み切れない空き家を確実に手放すなら買取くんへ

活用の回収年数が見合わない空き家は、片付けや改修をしないまま買い取る方法で手放せます。現況買取とは、家財や傷みを今ある状態のまま引き取ってもらうことです。当社の買取くんは、残置物を残したままの査定に対応しています。

手放し方を選ぶ軸は3つです。現況のまま引き受けてもらえるか、価格が決まるまでにどれくらいかかるか、手数料を含めた手取りがいくら残るか。この3つで比べると、自分に合う方法は絞り込めます。

不動産会社に買い手を探してもらう方法(仲介)は、改修や片付けを終えてから募集するのが前提になりやすく、募集しているあいだも年額の維持費は出ていきます。貸す活用も、回収年数の分だけ判断を先送りすることになります。どちらが悪いという話ではなく、時間をかけられるかどうかの違いです。時間をかけて高い価格を狙うなら仲介、価格よりも早さと確実さを取るなら買取、という分かれ方になります。

当社の買取くんの買取実績には、次のような例があります。大阪府堺市の相続した実家が1,200万円、富山県富山市の8年空き家が450万円、東京都北区の築50年超で傾きのある家が4,400万円です。価格は物件の条件ごとに異なります。堺市の例は生活用品が残ったままで、家具だけ回収して残りはそのまま引き取りました。富山市の例は老朽化で他社では買い手がつかなかった物件です。

当社は全国に対応し、仲介手数料は0円、残置物を残したままの現況買取に対応しています。所有権移転登記は提携する司法書士や土地家屋調査士と連携して進めます。無料査定は最短6時間、売却は最短3日です。価格を出せる理由は、購入意欲の高い不動産投資家300名以上のネットワークへつなぐ形で買い取っているからです。回収年数が持ち続けられる年数を超えている家では、手放すまでの期間が短いほど、支払う維持費は少なくなります。

相続した実家が空いたままで、回収年数が自分の持ち続けられる年数を超えている——その状態を今年中に終わらせたい方に向いています。逆に、まだ住むかもしれない場合や、時間をかけてでも高く売りたい場合は、仲介のほうが向きます。何度か売りに出しても決まらない状態が続いているなら、売れない空き家の対処法も合わせて読んでみてください。

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空き家活用についてよくある質問

空き家を貸したあと、自分の都合でやめることはできますか?

契約の種類で決まります。更新のある普通の借家契約では、貸主から更新を断るのに正当の事由が必要です(e-Gov法令検索 借地借家法 第28条)。書面で契約する定期建物賃貸借なら、期間の満了で終わります(同38条)。民泊は廃止の届出で終えられますので、手順は空き家を民泊にする手順と採算ラインをご覧ください。

自分の空き家に借り手がつくかどうかは、どこで確かめられますか?

周辺の賃貸募集の件数と家賃を見るのが先です。全国の賃貸用の空き家は443万6千戸あり(総務省 令和5年住宅・土地統計調査)、供給の多い地域では募集を出しても決まりにくくなります。自治体の空き家バンクに載っている物件数も、その地域で動きがあるかどうかの目安になります。

空き家バンクに登録すれば、自治体が借り手を探してくれますか?

空き家バンクは、自治体が物件情報を掲載し、借りたい人や買いたい人が探せる仕組みです。国土交通省が全国版空き家・空き地バンクの構築と運営を支援しています(国土交通省 空き家・空き地バンク総合情報ページ)。掲載したあとの交渉は、当事者どうしか、媒介する業者が行います。

相続した実家をいったん貸すと、売るときの特例に影響しますか?

影響します。相続空き家の3,000万円特別控除は、相続の時から譲渡の時まで事業の用・貸付けの用・居住の用に供されていないことが要件です(国税庁 No.3306)。貸すとこの要件から外れますので、控除を使って売る可能性が残っているうちは、貸す前に相続空き家の3,000万円特別控除で条件を確かめてください。

買取くんでは、貸すことを検討したあとの空き家でも買い取ってもらえますか?

買取の対象になります。当社の買取くんは、貸す準備を途中でやめた家でも、片付けや改修をしていない現況のまま査定します。全国に対応し、仲介手数料は0円、無料査定は最短6時間です。家財が残ったままの状態でも、そのまま無料査定を依頼していただけます。

まとめ

空き家活用は、年間の維持費と初期費用の回収年数を並べて、持ち続ける・貸す・売るのどれかを選ぶことで決まります。現況のまま貸せる手段なら初期費用をかけずに始められますが、立地・築年・接道・残置物のどれかに引っかかる物件では、貸す活用そのものが成立しにくくなります。まずは納税通知書と保険証券を手元に置いて、5項目で年額を出してみてください。

当社の買取くんは、所有権移転登記まで提携する司法書士や土地家屋調査士と連携して進めますので、手続きに時間を割けないまま回収年数だけが伸びている方に向いています。

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監修

株式会社リアテクス 執行役員 鶴野博之

鶴野 博之

株式会社リアテクス 執行役員

宅地建物取引士(東京)第257503号賃貸経営管理士FP2級

一棟投資物件専門の仲介会社で不動産業界に参入後、前職では「訳あり・瑕疵物件」に特化したコンサルティングプログラム責任者として600名以上の投資家の購入から売却までに携わる。自身も再建築不可物件を中心に訳あり物件へ投資し、転売売買から保有物件まで数々の実績を持つ。