「使っていない家の税金を、今年も払ってしまった」 「いらない家を持ち続けるのと手放すのと、結局どっちがいいんだろう」
いらない家の処分を考えている方は、このような疑問やお悩みをお持ちではないでしょうか。いらない家は、使わなくても毎年お金が出ていきます。今売った場合の手取りと、何年か持ってから売った場合の手取りから維持費の累計を引いた額を並べると、手放すかどうかが決まります。すでに持っている家について、毎年の費用と比べ方をお伝えします。
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いらない家を持ち続けると1年でいくら?使う予定のない空き家の約4軒に1軒は年10万円以上

年10万円でも10年で100万円になり、傷みが大きい家ほど維持費が低く出る傾向もあります(出典: 国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」報告書を基に当社作成)
誰も住んでいない家でも、固定資産税や保険料、電気・水道の基本料金は毎年かかり続けます。国の調査では、住む・貸す・売るといった予定のない空き家の約4分の1(26.8%)が、維持に年10万円以上をかけています。使っていないから安く済んでいる、とは限らないんです。
使わなくても止まらない費用の内訳
いらない家にかかるお金は、次の5つに分けると自分の家の分を拾いやすくなります。
- 固定資産税・都市計画税:毎年届く納税通知書に書かれた年額
- 火災保険:保険証券に書かれた年間の保険料
- 電気・水道・ガス・電話の基本料金:使っていなくても、契約を残している限りかかる料金
- 草木の手入れ・修繕:庭木の剪定、雨どいや屋根の補修など、年によって出たり出なかったりする費用
- 管理の委託料と往復の交通費:管理を頼んでいれば委託料、自分で通うなら1回分の交通費×年間の回数
国の調査も、維持管理の費用を広くとらえています。含まれるのは「管理を委託している場合の管理委託料のほか、電話・ガス・水道等を契約している場合の費用、空き家までの交通費、税金など」です(国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」報告書)。契約と持ち主の名前が残っている限り、住んでいなくても止まらないお金ということですよね。
なかでも止められないのが固定資産税で、毎年1月1日に家を持っている人に、その年の1年分がかかります(総務省「固定資産税の概要」)。住宅が建っている土地には、固定資産税を軽くする仕組みがあります。これを住宅用地特例といい、家を建てたまま持っている間は土地の税額が抑えられています。自分の家の税額がどう決まるかは、空き家の固定資産税の仕組みを読むと納税通知書の数字と照らし合わせられます。
保険は空き家になると加入の条件が変わることがあるので、空き家に入れる火災保険の条件と今の契約を見比べておきましょう。通うか委託するかで変わる手入れの費用は、空き家管理の頻度と委託でかかる費用が目安になります。
使う予定のない空き家はいくら払っている?半数強は年5万円未満
同じ調査から、空き家1軒あたりの年間の維持費を当社で3つの帯にまとめ直しました。左の列は、住む・貸す・売る・別荘に使うといった予定のない空き家です(調査の区分では「使用目的のない空き家」)。いらない家の多くはここに当てはまります。
| 年間の維持費の帯 | 使う予定のない空き家 | 空き家全体(参考) | 10年続けた場合の累計の目安 |
|---|---|---|---|
| 5万円未満(費用なしを含む) | 55.0% | 47.8% | 50万円未満 |
| 5〜10万円未満 | 15.2% | 15.6% | 50〜100万円 |
| 10万円以上 | 26.8% | 33.7% | 100万円以上(10〜20万円未満なら100〜200万円、30万円以上なら300万円以上) |
| 不明 | 3.0% | 2.9% | 年額が分からないため出せない |
出典: 国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」報告書 p.89(図表4-74・4-75、空き家全体N=1,381千戸)の区分を当社が3つの帯に足し合わせ、10年分を掛けて作成。累計は区分の上下限を10倍しただけの目安で、固定資産税の評価替えや修繕は含みません
使う予定のない空き家の半数強(55.0%)は年5万円未満で、「費用はかかっていない」も14.4%あります。一方で、約4軒に1軒(26.8%)は年10万円を超えています。空き家全体では、同じ図表で費用が高めに出ている別荘用などの空き家も含まれるため、10万円以上が33.7%に増えます。
ここで面白いのが、右端の累計の列です。年10万円なら大きな額には見えませんが、10年続けると100万円になります。
⇒まずは自分の家がどの帯に入るかを決めてください。その帯の累計が、あとで手取りと並べる数字の元になります。
年額が安い家なら持ち続けても平気?傷んでいる家ほど維持費は安く出る
年5万円未満の帯でも、安心するのはまだ早いんです。同じ調査によると、「構造上の不具合が生じていた」空き家では、維持費が年5万円未満の割合が約7割でした。不具合や傷みがなかった空き家では約4割です(国土交通省 同報告書 p.90)。建てた時期でも差があり、1950年以前の家では5万円未満が約6割、2011年以降の家では約3割でした。
調査が示しているのは「傷みが大きい家ほど費用が低い傾向」までで、理由までは書かれていません。当社としては、費用が安いのは手をかけていない結果である場合もある、と見ています。年額の安さだけで持ち続けると決めず、次のお金以外の負担と合わせて考えてみてください。
お金以外にも続く負担——近所・行政・相続のこと
家が傷んで近所に被害が出たときは、住んでいなくても持ち主が損害を償う立場になります。行政からの指導や、相続のたびに持ち主が増える負担も、持っている限り続きます。
近所に被害が出たら、償うのは持ち主
民法717条は、建物などの設置や保存に問題があって他人に損害が出たときの責任を定めています。まず建物を使っている人が償い、その人が必要な注意をしていた場合は持ち主が償う決まりです(e-Gov法令検索「民法」)。同じ条文の2項で、庭木にも同じ考え方が当てはめられています。
たとえば、台風で屋根材が飛んで隣の家の車を傷つけた場合です。誰も住んでいない家には使っている人がいないことが多く、責任は持ち主に向かいます。管理の手間や費用は、近所への責任を果たすためのお金でもあるわけですね。責任の範囲は個別の事情で変わるため、実際に被害が出たときは弁護士などの専門家に相談してください。
行政から指導や勧告を受けると、固定資産税の軽減が外れる
2023年12月に施行された改正空家等対策特別措置法で、放置すると危険な状態になるおそれのある空き家も、市区町村の指導・勧告の対象になりました。これを管理不全空家といいます。倒壊の危険や衛生上の問題があって、行政が命令や解体などの措置をとれる状態の空き家は特定空家と呼ばれます。
勧告を受けた管理不全空家の扱いは、国土交通省の概要資料に載っています。そこには「固定資産税の住宅用地特例(1/6等に減額)を解除」とあります(国土交通省 改正空家法の概要)。先ほど触れた土地の税の軽減が、勧告1つで外れるということです。勧告のあと税額がどれだけ上がるかは勧告から課税までの流れに、放置を続けた場合の過料や行政代執行のリスクとあわせて整理されています。
相続のたびに持ち主が増え、分けにくくなる
民法898条は、相続人が数人あるときは「相続財産は、その共有に属する」と定めています。家は現金のように分けられないので、決めないまま次の相続が来ると、持ち主が子や孫へと広がっていきます。
すでに兄弟などと共有になっているなら、共有を解消する方法を先に知っておくと話し合いを進めやすくなります。いらないと思った今が、話し合う人数が最も少ないときです。
「いらない」と思ったら先に確かめる3つ——名義・ローン・共有者

それぞれ見る書類が決まっていて、止まったときの相談相手まで分かれます(出典: 総務省「固定資産税の概要」・e-Gov法令検索「民法」を基に当社作成)
手放すかを比べる前に、名義・住宅ローンの残り・ほかの持ち主の3つを確かめます。誰が決められるのか、手取りから何が引かれるのかが、この3つで分かるからです。どれも納税通知書や登記の記録など、書類を見れば確かめられます。
1. 名義は誰になっているか
固定資産税を払うのは、登記簿に持ち主として載っている人です(総務省「固定資産税の概要」)。納税通知書の宛名と登記の名義を見れば、家をどうするかを決められる人が分かります。
亡くなった親の名義のままなら、手放す前に、名義を相続した人へ移す相続登記と家の名義変更が要ります。登記の期限もあるので、名義が親のままだと分かった時点で進め方を確かめておきましょう。
2. 住宅ローンは残っていないか
ローンが残っている家には、お金を貸した金融機関の抵当権が付いています。売るときは、残りを返して抵当権を外すのが前提です。査定額がローンの残りを下回るなら、その差額を自分で用意できるかどうかが先に決まります。ローンの返済と売却をどの順で進めるかは、不動産売却の流れと費用で全体の順番をつかめます。
3. ほかに持ち主(共有者)はいないか
1つの家を何人かで持っているとき、それぞれの持ち分の割合を共有持分といいます。民法251条は、共有者は他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えられないと定めています(e-Gov法令検索「民法」)。解体のように形を変えるには他の共有者の同意が要り、家全体を売るときも全員の合意で進めます。
共有者がいるなら、比べる前に「誰が窓口になるか」を決めておくとスムーズです。窓口役の人が共有名義の不動産を全員の同意で売る手順を先に読んでおくと、説明が短く済みます。
3つのどれかで止まったときの相談先は、名義や共有なら司法書士などの専門家、ローンなら借入先の金融機関です。
持ち続けるのと手放すのはどちらが得?値上がりが維持費の累計に届かないなら今手放すほう

右が左を上回るのは手取りが維持費の累計分以上に増えるときで、年10万円なら10年で100万円が目安です(出典: 総務省「固定資産税の概要」・国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」報告書を基に当社作成)
今売った場合の手取りと、何年か持ってから売った場合の手取りから維持費の累計を引いた額を、同じ「円」で並べて比べます。持ち続けて得になるのは、その間に手取りが維持費の累計分以上に増える見込みがあるときです。
持ち続ける側は「年額×あと何年」で出す
持ち続ける側の費用は、先ほどの年額に持ち続ける年数を掛けて出します。年数は使う予定の年まで、決められなければひとまず10年で置いてみてください。屋根や外壁の修繕が見込まれるなら、別の行に足します。
先ほどの帯を使うと、年10〜20万円の家を10年持つ場合の累計は100〜200万円です。
区切りの目安になるのが1月1日です。固定資産税はその日の持ち主に1年分がかかるため、年内に手放して名義の移転まで済ませれば、翌年分は払わずに済みます。
手放す側は「査定額−手放す費用」で出す
手取りは、査定額から手放す費用を引いた額です。手放す費用には家財の処分・解体・登記などが入り、一軒家の処分費用の内訳を見ると段階ごとの目安がつかめます。金額は家によって大きく違うので、見積もりを取ってから書き入れてください。
査定額は売り方でも変わります。家財や傷みを直さず、今の状態のまま買い取ってもらう方法もあり、これを現況買取といいます。現況買取なら、家財の処分や修繕の費用を手取りから引かずに済む場合があります。
似た言葉の有料引き取りは、売主が費用を払って家を引き取ってもらう方法です。買取は売主が代金を受け取るので、お金の向きが逆になり、有料引き取りでは手取りの欄がマイナスになります。
今手放すのと何年か持つのを並べると?比較シートで円に直す
ここまでの数字を、1枚の表に書き入れます。金額はすべて皆様の書類から入れる欄で、何年か先の査定額は今は分からない欄として空けておきます。
| 欄 | 今手放す | 何年か持ってから手放す | 数字が分かる書類 | まだ埋まらないときにやること |
|---|---|---|---|---|
| ①査定額 | 今の査定額 | その年の査定額(今は分からない) | 査定書 | 査定を1社以上に頼む |
| ②手放す費用(家財の処分・解体・登記など) | 今かかる額 | その年にかかる額 | 見積書 | 片付けや解体の見積もりを取る |
| ③手取り | ①−② | ①−② | ①と②から計算 | 左は①と②から出す。右は今は出せない欄 |
| ④維持費の累計 | 今年分の固定資産税を除けばかからない | 年額×年数+修繕 | 納税通知書・保険証券・検針票 | 5つの費目を足して年額を出す |
| ⑤比べる金額 | ③ | ③−④ | ③と④から計算 | 左は③を書き写す。右は出せないので、今より④の累計分以上に手取りが増えるかで決める |
作成: 当社(持ち続ける側の費目は国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」報告書 p.8の維持管理費の定義、1月1日の区切りは総務省「固定資産税の概要」に基づく)
⑤を左右で見比べれば、どちらが得かが円で出ます。右が左を上回るのは、何年か先の手取りが、今の手取りより④の累計分以上に増えるときだけなんです。
年10万円の家を10年持つなら、10年後に今より100万円以上多く手取りが残る見込みが要ります。その見込みを示せる材料が手元になければ、今手放すほうが手元に多く残ります。誰も住まない家は傷みが進みやすいので、何年か先の査定額を今より高く置ける場面は多くないと当社は考えています。
手取りがマイナスになる家、つまり手放す費用が査定額を上回る家でも、同じ式で比べられます。持ち続けた年数分の累計がそのマイナス分を超えるなら、今手放すほうが出ていくお金は少なくなります。
⇒使う予定のない年の維持費は、今手放せば払わずに済むお金です。
一方で、子どもが住む、自分が戻るといった予定の年があり、その年までの累計を払ってでも使いたいなら、その年まで残して「いつ手放すか」の期限を決めます。使う価値は⑤の式に入らないので、累計を「使うために払う金額」として見て決めてください。
家だけでなく土地やマンションも含めて、持っているだけで損になる不動産かどうかを見分けたいときは、負動産の見分け方と手放し方が役に立ちます。
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手放すと決めたら次はどこへ?お金にしたいなら売り方、値が付きにくいなら売る以外を見る

お金にしたいか、値が付きにくいか、費用が不安かで最初に読むものが分かれます(当社作成)
売ってお金にしたいなら売り方を、売れそうにないなら売る以外の方法を、先にお金が気になるなら費用の総額を見ます。比較シートで手放す側に出たら、いまの状況で次に読むものを選んでください。
| いまの状況 | 次に見るもの | そこで決まること |
|---|---|---|
| 手放す側に出て、お金にしたい | 売り方 | 今の状態で売るか、解体して売るか、買取に出すか |
| 値が付きそうにない、売りたくない | 売る以外の方法 | 解体して土地だけ残す、無償で譲る、相続放棄のどれにするか |
| 手放す側にもお金がかかると知って不安 | 費用の総額 | 家財の処分・解体・売却で、いつ何にいくら払うか |
売り方は、古い家を売る方法の選び方にあるとおり、今の状態のまま売る・解体して売る・買取に出すの3つに分かれます。築年数や傷み具合で向くものが変わるので、先に売り方の見当をつけてから査定を頼むと、比較シートの①に入れる数字が出しやすくなります。
値が付きそうにないときは、解体して土地だけにする、近所の人などに無償で譲る、相続したばかりなら相続放棄する、という道があります。それぞれの進め方は売る以外で家を処分する方法で確かめられます。費用の総額が気になる方は、処分にかかる費用の段階別の目安で手放す費用の欄を先に埋めてしまうのも手です。
よくある質問
いらない家を持ち続けると1年でいくらかかりますか?
家ごとに違いますが、国の調査では、使う予定のない空き家の55.0%(半数強)が年5万円未満、26.8%(約4分の1)が年10万円以上でした。自分の家の年額は、固定資産税・保険・基本料金・手入れ・交通費の5つを足すと出せます。
いらない家は売らずに手放せますか?
手放せます。解体して土地だけ残す、無償で譲る、相続したばかりなら相続放棄する、といった方法があります。解体と無償譲渡は、値が付きにくい家や売りたくない家に向く方法です。相続放棄は、相続したばかりの人が選べる方法です。手続きや費用の違いは家を売らずに手放す進め方にまとまっています。
住宅ローンが残っている家でも手放せますか?
残りを売った代金などで返して抵当権を外せれば、手放せます。査定額が残りに届かないときは、差額をどう用意するかを先に決める必要があるため、借入先の金融機関へ早めに相談してください。
家を手放したあと後悔しないための判断の目安はありますか?
目安は、今の手取りと、何年か持ってから売った手取りから維持費の累計を引いた額を、円で並べて決めたかどうかです。使う予定の年がある場合は、その年までの累計を払ってでも使いたいかも確かめます。
何年も空き家のまま傷んでいる家でも、買取の査定はできますか?
できます。当社は家財が残ったままの今の状態でも査定しています。富山県富山市では、古くなって約8年空き家だった家を450万円で買い取りました(当社買取実績)。
まとめ
いらない家は毎年お金が出ていくので、今の手取りと、何年か持ってから売った手取りから維持費の累計を引いた額を並べて、手放すかどうかを決めます。比較シートで決まるのは持つか手放すかまでで、手放す費用の金額や売り方は別に確かめます。手放す側に出たら、古い家をどう売るかを決めるところから始めてください。
当社の買取くんなら、最短3日で相場価格での買取に進められ、仲介手数料はかかりません。比較シートの今の査定額の欄がまだ空いている方に向いています。
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