「家はもう壊したから、控除の話は関係ないよね」 「そもそも、うちの土地は対象に入るのかな」
相続した土地で使える特別控除・特例は主に4つあり、家屋の有無・売却期限・相続税・価格帯の順に確かめれば決まります。取り壊した更地でも、条件を満たせば3,000万円を控除できます。税金はこの控除で変わります。外れる条件と、使えないときの出口もご案内します。
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相続した土地の売却で使える特別控除は4つ|上から確認する順番

4問を上から当てはめると、残る控除は1つに絞れます(出典: 国税庁 No.3306・No.3267・No.3226・No.3302を基に当社作成)
相続した土地で使える特別控除・特例は主に4つで、家屋の有無・売却期限・相続税の納付・価格帯の順に確かめると決まります。譲渡所得とは、売った金額から買ったときの費用と売るためにかかった費用を引いて残った利益のことで、特別控除はこの利益から直接差し引く仕組みです(国税庁 No.3223)。
土地を売ったときの税金は、この譲渡所得に税率を掛けて計算します。控除はその手前、利益そのものを削る位置で効くんです。税金全体のどこに控除がはまるのかを先に押さえたい方は、土地売却の税金のなかで控除がどこに効くかを確認するとこの先が読みやすくなります。相続した土地は取得費や所有期間の扱いが通常の売却と違うため、相続した土地の売却でかかる税金の全体もあわせてご覧ください。
相続した土地で候補になる控除・特例は4つ
まず候補を4つに絞ります。名前は似ていますが、対象になる土地も使える人も別物です。
- 相続空き家の3,000万円特別控除:親(被相続人)が住んでいた家屋とその敷地を相続して売るときに、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例(国税庁 No.3306)
- 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(取得費加算):相続税を納めた人が期限内に売ったとき、納めた相続税額のうち一定額を取得費に加算できる特例(国税庁 No.3267)
- 低未利用土地等の100万円特別控除:都市計画区域内にある使われていない土地を、500万円以下(一定の区域は800万円以下)で売ったときに100万円を控除できる特例(国税庁 No.3226)
- 居住用財産(マイホーム)の3,000万円特別控除:相続人自身がその家に住んでいた場合の特例(国税庁 No.3302)。自分が住んでいたケースの使い分けは実家を売ったときの税金の記事で扱っています
同じ「相続した土地」でも、入口で分かれます。親が住んでいた家が建っていた土地なら1つ目が主役に、もともと畑や駐車場だった土地なら1つ目は候補から外れ、3つ目が受け皿になります。
なお、売却で利益が出ていなければ控除は要りません。課税の有無は税金がかからないケースの見分け方にまとめています。
上から潰す4ステップ|どこで外れたかがわかる判定フロー
4つの制度は要件の軸がばらばらです。制度ごとに読むと迷子になりますので、当社では次の順番で上から潰していきます。
| 確かめる順番 | 分かれ目 | 次に見るもの |
|---|---|---|
| ①家屋 | その家屋に親が1人で住んでいたか | 1人で住んでいた ⇒ ②へ/相続人も一緒に住んでいた ⇒ 居住用財産の特例へ/家屋がなかった ⇒ ③④へ |
| ②期限 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れるか | 間に合う ⇒ 空き家特例が候補に残る/間に合わない ⇒ ③④へ |
| ③相続税 | その財産を取得した人に相続税が課税されたか | 課税された ⇒ 取得費加算が候補/課税されていない ⇒ 取得費加算は候補から外れる |
| ④価格 | 譲渡価額が500万円(一定の区域は800万円)以下か | 以下 ⇒ 低未利用土地の100万円控除が候補/超える ⇒ 手取りでの比べ直しへ |
データ出典: 国税庁 No.3306/No.3267/No.3226/No.3302(前掲)の適用要件を、当社が確認の順番へ並べ替えたもの
効いてくるのが①です。相続開始の直前に被相続人以外に居住していた人がいなかったこと——これが要件ですから、親と同居していた相続人は、この最初の分岐で空き家特例から外れます。ただし外れて終わりではなく、自分が住んでいた家なら居住用財産の特例が受け皿になります(前掲の実家を売ったときの税金の記事)。
⇒ どこで外れたかがわかれば、次に読むべき制度は1つに絞れます。
同じ年に複数の控除を使うときの上限と順序
あわせて確認しておきたいのが、控除の合計額に上限があることです。特別控除額はそれぞれの特例ごとの譲渡益が限度で、さらにその年の譲渡益の全体を通じて合計5,000万円が限度とされています(国税庁 No.3223)。
しかも、5,000万円に達するまでの控除は、制度ごとに定められた順序で行います。公共事業のための譲渡(5,000万円)が先で、マイホーム・空き家の3,000万円、低未利用土地の100万円は後ろの順番です。
同じ年に土地と別の資産をまとめて売ると、この上限と順序が現実の問題になります。売る年をずらすだけで結果が変わることも覚えておいてください。
相続した空き家の3,000万円特別控除は、更地にして土地だけ売っても使えるのか
親が住んでいた家屋を全部取り壊してから敷地だけを売る場合も、相続空き家の3,000万円特別控除の対象になります。相続空き家の3,000万円特別控除とは、被相続人が住んでいた家屋やその敷地を相続した人が売ったときに、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける制度のことです(国税庁 No.3306)。
ただし、更地で売るルートには専用の要件が付きます。買主が古家を嫌がるので先に壊しておこう——という判断そのものは自然なのですが、壊した後の土地の扱いと時期を外すと、控除だけが消えてしまいます。ここから3つの条件を順に確認していきましょう。
条件1|昭和56年5月31日以前に建てられた、親が1人で住んでいた家だったか
対象になる家屋(被相続人居住用家屋)は、相続の開始の直前に被相続人が住んでいた家屋で、次の3つすべてに当てはまるものです。
- 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
- 区分所有建物登記がされている建物でないこと(分譲マンションは対象外)
- 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
建築時期は登記事項証明書や建築確認の書類で確認できます。昭和56年6月に建築基準法の新耐震基準が導入された経緯があり、この制度はそれ以前の古い建物を市場から減らすことを狙っているため、建築時期が線引きに使われているわけです。
つまり、平成に入ってから建て替えた実家は対象になりません。3つ目の要件も見落としが多く、親と同居していた相続人がいる場合は、家屋が古くてもここで外れます。要介護認定などを受けて老人ホームに入所していた場合は、一定の要件を満たせば「従前居住用家屋」として対象になる余地があります(国税庁のコード3307で扱われています)。
条件2|相続してから引渡しまで、貸したり住んだりせず、取り壊した後も更地のままか
更地で売るルートでは、期間の起点が「相続の時」です。家屋については相続の時から取壊し等の時まで、敷地については相続の時から譲渡の時まで、事業・貸付け・居住の用に供されていたことがないことが求められます。さらに、取壊し等の時から譲渡の時まで、建物または構築物の敷地の用に供されていたことがないことも条件です(前掲・国税庁 No.3306)。
わかりやすいのは駐車場です。たとえば家屋を取り壊した後、買主が決まるまでの半年間だけ月極駐車場として貸したとします。舗装して区画を引けば「構築物の敷地の用に供された」と判断され得ますし、貸している時点で貸付けの用にも当たります。数か月分の駐車場収入と引き換えに、3,000万円の控除枠を失う——これが実際に起きる形です。
売れるまでの維持費を回収したい気持ちはわかります。ただ、この条件があるかぎり、更地は更地のまま置いておくのが安全なんです。
条件3|相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れるか
期限は2段構えです。ひとつは個別の期限で、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。もうひとつは制度自体の期限で、この特例は平成28年4月1日から令和9年12月31日までの譲渡が対象とされています(前掲・国税庁 No.3306)。
たとえば相続の開始が2024年5月なら、3年を経過する日は2027年5月、その日が属する年の12月31日は2027年12月31日です。ここが引渡しの締め切りになります。
古家付きの土地は買主が見つかるまで時間がかかり、解体の手配にも数か月かかります。逆算すると、動き出しは早めでないと間に合いません。
⇒ 3つの条件の起点は、いずれも「相続してから」です。相続の時から引渡しの時まで貸さず住まず、取り壊した後も更地のまま、そして3年の期限内に引き渡す。この3点がそろって初めて、更地でも控除が使えます。
控除を実際に受けるには、市区町村長が交付する被相続人居住用家屋等確認書などを添えて申告します。申告の流れは控除を使うための確定申告で、必要書類の細かい一覧は3,000万円特別控除をまとめた記事で扱っています。
土地だけの売却で空き家の特別控除が外れる・減る、見落としやすい4つのケース
もともと家屋がなかった土地や、売却代金の合計が1億円を超えた土地では、相続空き家の特別控除を使えません。条件を1つ外すだけで3,000万円の枠がまるごと消えますので、売買契約に進む前に4つの分かれ目を確認しておくと安全です(前掲・国税庁 No.3306)。
前の章の3条件をクリアしていても、ここで外れることがあります。しかも外れる理由が、自分の土地だけを見ていてもわからないものばかりなんです。
ケース1|もともと家屋がなかった土地(畑・駐車場・親が住んでいなかった土地)
この特例の対象は、あくまで「被相続人が住んでいた家屋とその敷地」です。相続した土地が畑や山林、月極駐車場、親が住んでいなかった空き地であれば、家屋という起点がないため最初の分岐で外れます。
意外に思われるかもしれませんが、ここが最初のふるいです。「相続した土地には3,000万円の控除がある」という説明だけでは、田んぼを相続した場合まで対象に見えてしまいます。
⇒ 家屋がなかった土地の受け皿は、この後の低未利用土地等の100万円特別控除と、相続税を納めた方向けの取得費加算です。
ケース2|売却代金1億円の判定は、他の相続人の売却分も合算される
適用の要件には「売却代金が1億円以下であること」があります。ここで注意したいのが、判定の範囲です。一体として利用していた部分を別途分割して売却している場合や、他の相続人が売却している場合も、判定に含まれます。このときは、分割して売却した部分や他の相続人が売却した部分も含めた売却代金で1億円を判定します。対象となる期間は、相続の時から、この特例の適用を受けて売却した日から3年を経過する日の属する年の12月31日までです(前掲・国税庁 No.3306)。
つまり、兄弟3人がそれぞれ別の買主へ持分や区画を売った場合、自分の受取額が3,000万円でも、3人の合計が1億円を超えれば全員が対象外になります。しかも後から超えたときは、その売却の日から4か月以内に修正申告書の提出と納税が必要です。
自分の売買契約書だけでは気づけない条件ですので、相続人が複数いる場合は、誰がいつ・いくらで売るのかを事前に共有しておいてください。
ケース3|相続人が3人以上だと、1人あたりの控除額が2,000万円に下がる
控除額そのものが変わる場合もあります。令和6年1月1日以後に行う譲渡で、家屋および敷地等を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上であるときは、控除額は1人あたり2,000万円までとされています(前掲・国税庁 No.3306)。
ゼロになるわけではありませんが、3人で試算していた税額とは1,000万円分ずれます。遺産分割の段階で人数と取得者を確定させておくと、この差を織り込んで判断できます。
ケース4|親族や同族会社へ売った場合
売った相手も条件です。親子や夫婦など「特別の関係がある人」への売却は対象になりません。ここには生計を一にする親族、家屋を売った後にその家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます(前掲・国税庁 No.3306)。
身内に引き取ってもらう形は、片付けも交渉も手間が少なくて済みます。ただ税制上は、この特例の対象から外れることを承知のうえで選ぶ必要があります。
⇒ 4つのうち3つは、自分の土地の状態ではなく「他人の動き」や「相手」で決まります。なお、個別の適用可否や税額の判断は、税務署または税理士へご確認ください。
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空き家の3,000万円特別控除と取得費加算の特例|どちらを選ぶかの考え方

相続税を納めた方だけが、額と期限の長さでこの2つを比べます(出典: 国税庁 No.3306・No.3267・No.3226を基に当社作成)
取得費加算の特例と空き家の3,000万円特別控除は併用できず、どちらか一方を選んで使います。取得費加算とは、相続や遺贈で取得した財産を一定期間内に売ったとき、納めた相続税額のうち一定金額をその財産の取得費に加算できる特例のことです(国税庁 No.3267)。
「両方使えば税金がほぼ消えるのでは」と考えたくなるところですが、制度側でふさがれています。
併用できない理由と、取得費加算を使える人の条件
根拠は空き家特例の側にあります。適用要件のひとつに、売った家屋や敷地等について他の特例の適用を受けていないこと、と定められているためです。ここでいう他の特例には、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除が含まれます(前掲・国税庁 No.3306)。片方を使った時点で、もう片方の要件を満たさなくなる仕組みなんです。
そして取得費加算には、そもそも入口の条件があります。
- その財産を取得した人に相続税が課税されていること
- 相続や遺贈により財産を取得した者であること
- 相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること
1つ目が実質的なふるいです。相続税には基礎控除があり、課税されない場合もあります。相続税を1円も納めていないのであれば、取得費加算はそもそも選択肢に入りません。
どちらを選ぶかの考え方|3制度を同じ基準で並べる
相続税を納めていなければ、比較は起きません。空き家特例か低未利用土地の控除の一択です。
| 比べる点 | 空き家の3,000万円控除 | 取得費加算 | 低未利用土地の100万円控除 |
|---|---|---|---|
| 差し引ける額 | 最高3,000万円(相続人3人以上は2,000万円) | 納めた相続税額のうち一定額 | 100万円 |
| 主な対象 | 親が1人で住んでいた家屋とその敷地 | 相続税が課税された人が取得した財産 | 都市計画区域内の使われていない土地 |
| 売却の期限 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日 | 相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日 | 令和10年12月31日までの譲渡 |
| ほかの特例との併用 | 取得費加算とは併用不可 | 空き家特例とは併用不可 | 他の譲渡所得の特例とは併用不可 |
| 確認先 | 市区町村(被相続人居住用家屋等確認書) | 税務署(相続税の申告書の控え) | 市区町村(低未利用土地等の確認書) |
データ出典: 国税庁 No.3306/No.3267/No.3226(前掲)。「併用」「確認先」は当社が確認項目として追加したもの
比べる基準は差し引ける額と期限の長さです。額では3,000万円の枠が大きく見えます。ただ、取得費加算は期限の起点が相続税の申告期限なので、相続開始の時期によっては空き家特例より期限が後ろになることもあります。上の表にある2つの期限を、ご自身の相続開始日で計算して比べてみてください。納めた相続税が大きい方ほど加算額も増えます。
どちらが有利かは税額の試算で決まります。計算式と税率は控除後の税額の出し方で扱います。
売りにくい土地の受け皿|低未利用土地等の100万円特別控除が使える条件

売却予定価格を500万円の線に当てると、区域による対象・対象外が読めます(出典: 国税庁 No.3226・No.3270を基に当社作成)
都市計画区域内にあり、500万円以下(一定の区域は800万円以下)で売る土地なら、譲渡所得から100万円を控除できます。低未利用土地等とは、居住や事業などに利用されていない土地、または周辺地域の同じような土地と比べて利用の程度が著しく劣っている土地のことです(国税庁 No.3226)。
控除額は100万円ですから、3,000万円と比べれば小さく見えます。ただ、この制度は売値そのものが数百万円の土地を想定しています。100万円の控除で譲渡所得の大半が消えることもある大きさなんです。
使える土地の条件|区域と価格
主な条件は3つです。都市計画区域内の低未利用土地等であること、売った金額が建物等の対価を含めて500万円以下であること、売った年の1月1日において所有期間が5年を超えることです(前掲・国税庁 No.3226)。価格の線引きは、区域によって変わります。
| 譲渡価額 | 市街化区域・用途地域が定められている区域など | 上記以外の都市計画区域内 |
|---|---|---|
| 480万円 | 対象になる | 対象になる |
| 520万円 | 対象になる(800万円の枠) | 対象外(500万円超) |
データ出典: 国税庁 No.3226(前掲)の価格要件に、当社が具体的な譲渡価額を当てはめたもの
次の3つの区域にある土地であれば、800万円の枠を使えます。
- 市街化区域
- 区域区分に関する都市計画が定められていない都市計画区域のうち、用途地域が定められている区域
- 所有者不明土地対策計画を作成した市町村の区域
同じ500万円台の土地でも、区域が違えば結論がひっくり返ります。
所有期間の5年超は、親が持っていた期間から数える
所有期間の5年超という条件で諦めてしまいそうになりますが、ここには相続ならではの救いがあります。相続によって取得したときは被相続人の取得の時期がそのまま引き継がれ、被相続人が取得した時から譲渡した年の1月1日までの所有期間で判定します(国税庁 No.3270)。相続してまだ1年でも、親が30年持っていた土地なら所有期間は30年超です。引き継ぎの詳しい仕組みは相続した土地の売却でかかる税金の全体で扱っています。
見落としやすい2つの条件|売却後の利用と分筆
条件はまだあります。とくに次の2つは、売買契約の組み立てそのものに関わります。
- 売った後に、その低未利用土地等の利用がされること:買主が使わずに寝かせる前提だと要件を満たしません。市区町村が「利用されている、または利用される見込み」を確認した書類が必要になります
- 前年または前々年に、一筆であった土地から分筆した土地でこの特例の適用を受けていないこと:広い土地を毎年少しずつ切って売り、そのたびに100万円を控除するという使い方はできません
加えて、売手と買手が親子や夫婦など特別な関係でないこと、他の譲渡所得の課税の特例の適用を受けないことも条件です。
分筆の制限は、売り方を決めた後では取り返しがつきません。土地を分けて売る計画があるなら、どの年にどこを売るかを最初に組んでおいてください。
どの控除も使えないときは、税金込みの手取りで売却先を選び直す

引き算の順番を変えると、解体費を先に出す危うさが見えます(当社作成)
控除が使えない土地は、売却価格ではなく、税金と解体費を引いた後の手取りで売却先を比べます。控除を取りにいくために先に解体すると、更地の条件を外して控除も解体費も戻ってこない、という結果になり得るためです。
要件が細かく、家屋の有無ひとつで候補が消えるため、4つのどれにも当てはまらない土地もあります。
控除の有無より先に、手取りの引き算で比べる
比べる対象は「売却価格」ではなく「最後に手元に残る額」です。控除は残る額を増やす手段のひとつであって、目的ではありません。
| 差し引くもの | 中身 |
|---|---|
| 税金 | 譲渡所得にかかる税。控除が使えれば減り、使えなければそのまま残る |
| 解体費・処分費 | 家屋の取壊し費用と、家の中に残った家具・家電などの処分費用 |
| 持ち続けた場合の負担 | 売れるまでの毎年の固定資産税、草刈りや管理の実費 |
データ出典: 当社作成(差し引く項目の整理)
この引き算をすると、順番の危うさが見えてきます。3,000万円の控除を狙って、先に家屋を壊したとします。ところが買主が決まらないまま年が変わり、期限を過ぎて控除は使えません。手元に残るのは解体費だけです。この順番でつまずくと、控除も解体費も戻りません。解体費の相場は家の解体料金の記事にまとめていますが、金額より「戻らない支出を先に出すかどうか」が分かれ目です。
売れないまま持ち続ける選択肢についても、売れない土地の対処法で整理しています。
解体せずに現況のまま売る選択肢
もうひとつの道が、家屋も残置物もそのままで買主に渡す方法です。残置物とは、家具や家電、生活用品など、退去や相続の後に建物内へ残されたままの物のこと。現況買取とは、片付けや修繕をせず、今の状態のまま買い取ることをいいます。
当社の買取くんは、この現況買取に対応しています。実際の買取実績は次のとおりです。
| エリア | 物件の状態 | 買取価格 |
|---|---|---|
| 大阪府堺市 | 相続した実家・生活用品が残ったまま | 1,200万円 |
| 富山県富山市 | 8年空き家のままの投資用物件 | 450万円 |
| 東京都北区 | 築50年超・傾きあり | 4,400万円 |
データ出典: 当社買取実績
堺市の事例では、家具だけを回収していただき、残りの生活用品はそのまま引き取りました。解体費も処分費も売主の負担にはなっていません。控除が使えるかどうかとは別に、手取りが変わる余地はあります。
もちろん、立地が良く買い手が付きやすい土地なら、仲介で時間をかけて売ったほうが高くなることもあります。そこは正直にお伝えしています。判断の前に、土地売却の税金の全体像に戻ると、控除・税額・手取りの関係を通しで確認できます。
相続した土地の特別控除についてよくある質問
家屋を取り壊す前に売買契約を結んでも、空き家の特別控除は使えますか?
令和6年1月1日以後に行う譲渡であれば、家屋とともに敷地等を売る契約をした後、譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に家屋の全部の取壊し等を行った場合も対象になります(前掲・国税庁 No.3306)。買主が決まってから壊す段取りが取れるため、更地にしてから買主を探すより期限の管理は楽になります。ただし取壊しの時期が2月15日を過ぎると要件を外しますので、引渡し日と解体工事の日程は契約時に押さえておいてください。
相続税がかからなかった場合でも、取得費加算の特例は使えますか?
使えません。取得費加算は「その財産を取得した人に相続税が課税されていること」が要件のため、基礎控除の範囲内で相続税が発生しなかった場合は対象外です(前掲・国税庁 No.3267)。この場合は空き家の3,000万円特別控除か、低未利用土地等の100万円特別控除に該当しないかを確認する流れになります。相続税を納めていないこと自体は、判定を早く終わらせてくれる材料でもあります。
相続人が複数いるとき、控除は各自が使えますか?
家屋と敷地等を相続または遺贈により取得した相続人が、それぞれ要件を満たせば、自分の譲渡所得から控除できます。ただし令和6年1月1日以後の譲渡で、取得した相続人の数が3人以上である場合は、1人あたり2,000万円までです(前掲・国税庁 No.3306)。あわせて売却代金1億円の判定は他の相続人が売った部分も合算しますので、人数と売却額は相続人どうしで共有しておく必要があります。
売買価格が500万円を超える土地でも、低未利用土地の100万円控除は使えますか?
次の3つの区域にある土地であれば、800万円以下まで対象になります(前掲・国税庁 No.3226)。具体的には、市街化区域、用途地域が定められている区域、所有者不明土地対策計画を作成した市町村の区域です。それ以外の都市計画区域内では500万円以下が上限です。自分の土地がどの区域にあるかは市区町村の都市計画課で確認できますので、価格を決める前に問い合わせておくと判断が早くなります。
相続した土地に古家や残置物が残ったままでも、買取くんに査定を依頼できますか?
依頼できます。当社の買取くんは、残置物や生活用品を残したままの現況買取に対応しており、無料査定は最短6時間、仲介手数料は0円で、全国のご相談を受けています。解体するかどうかを決める前でも査定は可能です。土地と建物の状態、相続の時期、相続人の人数をそのままお伝えいただければ、買取価格の目安をご案内します。
まとめ:相続した土地の特別控除は、4つの分かれ目で決まる
相続した土地で使える特別控除は、家屋の有無・売却期限・相続税の納付・価格帯という4つの分かれ目で決まります。親が1人で住んでいた家を取り壊した更地でも空き家の3,000万円特別控除は使えますが、取り壊した後に貸したり、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日を過ぎたりすると外れます。取得費加算とは併用できず、どちらか一方を選ぶことになります。解体や売買契約に進む前に、家屋の建築時期と相続開始日を手元の書類で確かめてください。
当社の買取くんは、古家や残置物が残ったままの現況買取に対応しています。解体費を先に払わずに手取りで比べたい方、控除の期限が近づいている方に向いています。
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