「家じまいって、親の家のことですよね?」 「うちはまだ自分たちが住んでいるし、家じまいは関係ないのかな」
家じまいを考えている方は、このような疑問をお持ちではないでしょうか。家じまいとは、自分や親が住む家を生前に整理し、住み替えや売却まで決めておく終活の取り組みを指します。子が親の家を整理する実家じまいとは、決める人が違います。墓じまいとの違い、始める時期、家族と何から決めるかをお伝えします。費用と手順は別の記事へ。
家じまいとは?実家じまい・墓じまいとの違い
家じまいとは、自分や親が住む家を生前に整理し、住み替えや売却まで決めておく終活の取り組みです。子が親の家を整理する実家じまいとは、決める人が本人か家族かという点で分かれます。読み方は「いえじまい」で、「家終い」と書かれることもあります。
| 誰が決めるか | 始まるきっかけ | 次にすること | |
|---|---|---|---|
| 家じまい(自分の家を自分で) | 持ち主本人 | 終活・住み替えを考えたとき | 住み替え先と売り時を自分で決める |
| 実家じまい(親の家を子が) | 子や相続人 | 親の施設入居・相続 | 誰が窓口になるかを先に決める |
| 墓じまい(お墓) | お墓を引き継いだ人 | 墓参りが難しくなったとき | 寺院・霊園に相談する |
データ出所: 当社の実務での整理
⇒ 親が親の家を決めるなら家じまい、子が親の家を引き継いで決めるなら実家じまいです。誰の家を誰が決める話なのかを先に決めると、順番がはっきりします。
家じまいと実家じまいは「誰が決めるか」で分かれる
家じまいは持ち主本人が生前に決め、実家じまいは子が親の家を整理します。同じように片付けて同じように売るとしても、誰が売主になるかが変わります。
自分が今住んでいる家をどうするか決める場合、契約書に署名するのも、売る時期を決めるのも自分です。一方、子が親の家を片づけるときは、親が生きているうちの売主は親、相続のあとは相続人です。きょうだいが3人いれば、3人の合意がそろわないと前に進みません。
最初に対象を1軒に絞ってから、時期の話へ進んでみてください。
墓じまいは寺院・霊園が相手で、決める人も手続きの相手も家じまいと別
墓じまいは、お墓を撤去して遺骨を別の場所へ移すこと(改葬)を指します。家じまいと同じ時期に検討されやすい一方、相手も手続きも別です。
家じまいの相手は不動産会社や自治体ですが、墓じまいの相手は寺院や霊園、そして改葬の届け出先になる市区町村です。決める人も、家の名義人ではなくお墓を引き継いだ方になります。
窓口が違いますので、家の段取りとお墓の段取りは別々に進めるほうが早く終わります。
家じまいという言葉が広まった背景
家じまいという言葉が広まった背景には、自分が住んでいない家を持つ世帯が一定数あることがあります。総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、いま住んでいる家のほかに住宅を持っている世帯が475万3千世帯(主世帯全体の8.5%)ありました。そのうち空き家を持っている世帯は141万6千世帯(同2.5%)でした。
よく挙がる空き家900万2千戸・空き家率13.8%は、住宅の側から数えた値です。世帯の側から数え直すと、現住居以外に家を持つ475万3千世帯のうち3割近くが、その家を空き家として抱えていることになります。つまり家じまいは、特別な誰かの問題ではありません。いま住んでいない家を持っている世帯に共通する、段取りの問題です。
家じまいですることは、片付け・権利の確認・家をどうするかの3つ
家じまいですることは、家の中の物を片付けること、名義や相続人といった権利を確かめること、家を売る・貸す・解体するのどれにするかを決めること、の3つです。このうちやること全体の並びは実家じまいとして整理した記事で、進める順番は実家じまいをどの順番で進めるかで確かめられます。
家じまいを始める3つのタイミング

売主が本人から相続人へ変わる時期と3年の期限を1本の時間軸で確認(出典: 法務省「成年後見制度・成年後見登記制度」「相続登記の申請義務化について」を基に当社作成)
家じまいを始める時期は、親(自分)が元気なうち・施設入居や入院が決まったとき・相続後の3つに分かれます。どの時期かで誰が売主になれるかが変わりますので、まず自分がどれに当てはまるかを確かめます。
| 時期 | 誰が売主になれるか | 先に確認すること | 止まりやすい点 |
|---|---|---|---|
| 親(自分)が元気なうち | 名義人本人 | 本人が契約の当事者として動けるか | 家族の話がまとまらない |
| 施設入居・入院が決まったとき | 名義人本人 | 住み替え先と、いつ家が空くか | 本人の意思確認ができる状態か |
| 相続後 | 相続人 | 相続登記の期限(3年以内) | 相続人が複数で窓口が決まらない |
データ出典: 法務省「成年後見制度」「相続登記の申請義務化について」を基に当社作成
1. 親(自分)が元気なうち|名義人本人が売主として動ける時期
名義人本人が元気なうちは、本人が売主として最後まで動けます。ここを逃すと、家の話そのものが止まりやすくなります。
法務省は成年後見制度の説明のなかで、判断能力が不十分な方は「不動産や預貯金などの財産を管理したり」「契約を結んだり」することを自分でするのが難しい場合がある、としています。成年後見制度とは、判断能力が十分でない方の財産管理や契約を支える仕組みのことです。つまり「親が元気なうち」は気持ちの問題ではなく、親自身が売買契約の当事者として動けるうち、という手続き上の条件を指しています。
たとえば親の物忘れが増え、通帳の場所を何度も聞かれるようになった場合。ここで家の話を切り出すかどうかで、売主が親本人のままでいられるかが変わります。判断能力に不安が出てきたら、提携する司法書士など専門家へ早めにご相談ください。
2. 施設入居・入院が決まったとき|住み替え先と家の扱いを同時に決められる時期
施設入居や入院が決まると、家が空く時期が読めるようになります。住み替え先と家の扱いを一度に決められる、実は動きやすい時期です。
入居日が決まっていれば、いつ家が空くか、荷物をいつまでに運び出すか、費用をいつ払うかを1本の線で並べられます。入居一時金の支払いと売却代金の入金のずれも、この時期なら見積もれます。
ただし、本人の意思確認ができる状態かどうかで進み方が変わります。施設の契約が済んだからといって、家の売買契約も本人でできるとは限りません。家の話は、入居の準備と並行して切り出しておくほうが安全です。
3. 相続後|相続人が売主になり、登記の期限から逆算する時期
相続後は、相続人が売主になります。ここからは期限が動き出しますので、逆算が必要になります。
相続で家や土地を受け継いだ人は、受け継いだことを知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があります(法務省 相続登記の申請義務化について)。相続登記の義務化とは、相続した不動産の名義を期限内に書き換えることが義務になった決まりのことです。起点は、相続が始まったことと、その不動産を自分が取得したことの両方を知った日です。いつが起点になるかで期限も変わりますので、個別の事情は提携する司法書士など専門家にご相談ください。
3年は、家族で話し合って結論を出すまでの持ち時間でもあります。すでに家が空き家になっている場合は、鍵や郵便、電気・水道の扱いを実家が空き家になったときの分岐で先に手当てしてください。
受付時間 10:00〜19:00(水・日曜定休)
親やきょうだいが反対するとき、先に決めるのは「誰がいつまで管理するか」
親やきょうだいが反対するときは、売るか売らないかより先に「誰がいつまで管理するか」を決めると話が動きます。売却の是非は立場で割れますが、管理の負担は誰が見ても数えられるためです。数えられるものから合意すると、話が条件の調整に変わります。
売るかどうかより先に「誰がいつまで管理するか」
管理の中身を、分担として紙に書き出します。草木の手入れ、ポストにたまった郵便物の片づけ、月に一度の風通し、火災保険の更新、固定資産税の支払い。この5つを「誰が」「どれくらいの頻度で」「いつまで」やるかを埋めると、話し合いの形が変わります。
売る・売らないの議論は、思い出や親への気持ちが混ざるので決着しません。ところが「毎月1回、片道2時間かけて誰が通うか」なら、全員が同じ基準で見られます。管理の負担を書き出すと、話は「いつまで続けるか」という期限の相談に移ります。
⇒ 最初の合意は「売る」ではなく「来年の春まで、長男が月1回見に行く」で構いません。
国が用意した「住まいのエンディングノート」を話の入口にする
国土交通省は日本司法書士会連合会および全国空き家対策推進協議会と共同で「住まいのエンディングノート」を作成し、「元気なうちから住まいの将来をご家族で話し合うきっかけとしていただくこと」を狙いに挙げています(国土交通省 住まいのエンディングノートを作成しました)。将来この家をどうしてほしいかを書き残せるノートです。
話し合いましょうと言われても、何から話せばよいかは分かりません。ところが書き込む項目のほうは、すでに用意されています。作成に司法書士会が入っているため、登記や相続につながる項目も並んでいます。
親に切り出すときは「家を売ろう」ではなく「このノート、一緒に埋めてみない?」という入り方ができます。
きょうだい間で先に決めておくと後で揉めにくいこと
きょうだいが複数いる場合、先に決めておくと後で揉めにくい項目が3つあります。誰が窓口になるか、費用を立て替えるのは誰か、連絡はどれくらいの頻度で回すか、の3つです。
窓口が決まっていないと、不動産会社や司法書士からの連絡がばらばらに届き、聞いた話が食い違います。立て替えの取り決めがないと、動いた人だけが持ち出しを続けます。なお、相続人が複数いるときにどう合意をとるかは、売る・貸す・解体のどれにするかを決めるときに改めて考えます。
気持ちの面で踏み切れないのが本当の理由であることもあります。段取りは分かっていても決心がつかないときは、実家を手放す気持ちの整理のほうが役に立ちます。
家じまいの後はどこに住む?資金が売却代金頼みなら売り先行

資金の出どころ→売る順番→住み替え先の順に決めると手戻りが減る(当社の実務での整理に基づく)
家じまいの後の住まいは、家を売ってから次を決める「売り先行」か、次を決めてから売る「買い先行」かで選び方が変わります。手元の資金が売却代金頼みなら、売り先行が基本になります。入る金額が確定しないと、次の住まいの予算を決められないためです。
売り先行と買い先行のどちらを選ぶか
売り先行とは、家を売って代金が確定してから次の住まいを決める進め方です。買い先行はその逆で、次の住まいを決めてから今の家を売ります。
売り先行なら、手元に入る金額を確かめてから予算を組めます。ただし引き渡しから入居までの間に、仮住まいが必要になることもあります。買い先行なら住まいは途切れませんが、売れるまでの間は住宅ローンや家賃と、空いた家の維持費が二重に出ます。
たとえば住み替え先を先に契約し、今の家が半年売れなかった場合。その半年分の固定資産税と光熱の基本料が上乗せになります。売却代金を頭金や入居一時金に充てる予定なら、売り先行のほうが計算は狂いません。
住み替え先の候補と、資金の出どころ
住み替え先の候補は、大きく3つに分かれます。子の近くの賃貸、サービス付き高齢者向け住宅などの高齢者向け住宅、そして親族の家です。通院先との距離や、家賃・利用料がいつまで続くかで向き不向きが変わります。
先に決めておきたいのは、資金をどこから出すかです。売却代金・預貯金・年金のどれで賄うかによって、売り先行と買い先行のどちらを選ぶかも決まってきます。売却代金を当てにするなら、家がいくらで売れそうかを先に確かめないと、住み替え先の候補すら絞れません。
家じまいが止まる3つの場面|先に確かめるのは「今のまま売れるか」

3場面とも「今のまま売れるか」を先に確かめる手順に整理(当社の買取実績を基に当社作成)
家じまいが進まなくなるのは、物が減らない・売り先が決まらない・費用の出どころが決まらないの3場面です。いずれも「この家は今の状態のまま売れるのか」を先に確かめると動き出します。売れるかどうかで、片付けの範囲も費用の出し方も変わるためです。
1. 物が減らない|片付けを終えてから売ると決めると止まる
片付けを終わらせてから売る、と決めた家じまいは、着手する日が決まらないまま止まりがちです。物の量が多いほど、片付けを始める日を先送りしやすくなるためです。
残置物とは、家に残ったままの家財や生活用品のことです。現況買取は、その残置物を片付けずに、今の状態のまま不動産会社が直接買い取る方法を指します。片付けずに引き渡せる相手なら、最初の壁そのものを外せます。
片付け費用の目安は残置物の処分費用と、そのまま売る方法で確かめられます。当社の買取くんでは、大阪府堺市の相続した実家を、生活用品が残ったままの状態で1,200万円で買い取りました。金額は立地や建物の状態で変わります。
2. 売り先が決まらない|仲介で待つか、買取で先に金額を決めるか
売り先が決まらないときは、仲介と買取のどちらで動くかを先に選びます。待ち方が違うためです。
仲介は、不動産会社に買い手を探してもらう方法です。相場に近い価格を狙える一方、買い手が現れるまでの期間は読めません。買取は不動産会社が直接買い主になる方法で、金額が先に確定します。売主が費用を払って手放す有料の引き取りサービスとは違い、買取では売主が代金を受け取ります。
需要のある立地なら仲介のほうが高く売れることもあります。売却・買取・解体・譲渡・放棄のどれを選ぶかを見比べる段階まで来た方は、実家の処分方法を比べるへ進んでください。
3. 費用の出どころが決まらない|先に自腹で出るものと代金から引かれるもの
費用の出どころが決まらないときは、自腹で先に出るものと、売買代金から引かれるものに分けて並べます。混ぜたまま考えると、総額が怖くなって手が止まります。
先に自腹で出るのは、片付けや解体を自分で手配した場合の費用と、登記に関する費用です。売買代金から引かれるのは、仲介手数料や売却に伴う精算金にあたります。現況のまま買い取ってもらう場合は、先に自腹で出る分そのものが減ります。
解体費の目安は家の解体料金の内訳に、費用の全体像は実家じまいの費用と内訳にまとめています。どちらも金額は物件ごとに変わります。
家じまいのよくある質問
家じまいの費用は誰が払うのですか
誰が売主になるかで決まります。親が存命で親名義のまま進めるなら親本人、相続後なら相続人です。金額の内訳そのものは実家じまいの費用と内訳にまとまっています。子が立て替えて動く場合は、立て替えた分をあとで精算するか、売却代金から差し引くかを着手前に決めておくと、後で揉めません。
仏壇や神棚、位牌はどうすればいいですか
扱いが決まらないと、片付けはそこで止まります。家をどうするかを決める前に、誰がどこへ相談するかだけ先に決めておいてください。家じまいの段取りとしては、家族で窓口役を1人決めるところまでで十分です。
お金がなくても家じまいはできますか
進められます。先に自腹で出す前提を外せる場合があるためです。現況のまま売る、売買代金から精算する、という順番にすると、手元の現金がないまま動けることがあります。解体費の目安は家の解体料金の内訳にあります。先に大きな支出が出る道を選ぶかどうかは、そこを見てから決めてください。
家じまいにはどれくらいの期間がかかりますか
決める段階と、動かす段階で長さが違います。家族の合意には数か月かかることもあれば、1回の帰省で決まることもあります。片付けと売却は、売り先の選び方で数週間から半年以上まで幅があります。相続後であれば、相続登記は取得を知った日から3年以内という期限が逆算の目安になります。
買取くんでは、家財が残ったままの家でも家じまいの相談はできますか
できます。当社の買取くんは、家財や生活用品を残したままの現況買取に対応しています。査定は無料で査定完了は最短6時間、購入意欲の高い不動産投資家が常時300名以上いるため、一般の買い手がつきにくい家でも値段が付く道が残ります。片付けや解体にお金をかける前に、家の状態をそのままお聞かせください。
まとめ
家じまいは、誰の家の話かをはっきりさせてから、いつ・誰と・何から決めるかの順番をつくる取り組みです。この記事で決められるのは、始める時期と、家族との話の入口までになります。売却・買取・解体・譲渡・放棄のどれを選ぶかと、名義や相続人の合意をどう進めるかは次の段階です。どれにするかを比べる段階まで来たら、実家の処分方法を比べるをご覧ください。
当社の買取くんは、大阪府堺市の相続実家を生活用品が残ったまま1,200万円で買い取った実績があります。片付けが止まって家じまいが前に進まない方に向いています。
受付時間 10:00〜19:00(水・日曜定休)

