空き家買取

実家を手放すのに罪悪感があるときは?迷いを止める3つの問い

手放せない理由7項目を割合順に並べ、上位5項目が自分で答えを出せる条件側だと示した図

図中の上位5項目は条件側で、気持ち側は21.6%の2項目にとどまる(出典: 国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」p.47、分類は当社)

「条件だけなら、実家は手放したほうがいいと分かっています」 「でも実家を手放すと決めた瞬間に、親を裏切る気がして進められません」

実家を手放すことを考えている方は、このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。実家を手放す迷いは、気持ちと条件に分けて考えると決まります。条件は、誰が使うか・いつまで払えるか・誰が管理するかの3点で判断できます。気持ちの整理から、家族への伝え方までをご案内します。決めたあとの手順と費用は、別の記事に渡します。

実家を手放すのがつらい理由|罪悪感と寂しさの正体

実家を手放すのがつらいのは、親への申し訳なさと、物やお金の困りごとが頭の中で1つになっているからです。この2つは性質が違い、物とお金のほうには今日から答えを出せます。

親の家を手放しても、親との時間は残る

胸が痛むのは、家と親の記憶が結びついているからです。玄関の段差、台所のにおい、建て付けの悪いふすま。思い出すのは家そのものより、そこで起きたことのほうですよね。

一方、売買の対象は登記に載っている建物と土地です。査定で見るのは面積・築年数・道路付け・傷みの程度で、家族と過ごした時間は含まれません。手放しても失われないものは、最初から売買の外側にあるということです。

親が家を残した理由が「子どもに困ってほしくない」だったなら、通えないまま税金だけを払い続ける状態は、その願いと逆を向きます。手放すことは、親を否定することとは別なんです。

手放せない理由の上位は、物とお金の話

国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査は、今後5年ほど空き家のまま持つつもりの世帯に理由をたずねています。いちばん多かったのは「物置として必要」55.8%、次が「解体費用をかけたくない」47.3%です。「さら地にしても使い道がない」34.8%も上位に並びます(国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」報告書 p.47)。

並んでいるのは、物の置き場と、お金と、土地の使い道の話です。「将来自分や親族が使うかもしれない」25.1%も、使う人と使い始める年を書けるかどうかで答えが出るので、条件側に入ります。気持ちに近いのは「仏壇など他に保管場所がないものがある」21.6%のほうで、順位としては下に来ます。

⇒ 手放せない理由の多くは、気持ちではなく条件の側にあります。皆様の迷いも、同じように分けられます。

手放せない理由を、気持ち側と条件側に分ける

手放せない理由割合どちら側か誰が答えを出せるか
物置として必要55.8%条件側自分(別の置き場代を数える)
解体費用をかけたくない47.3%条件側自分+専門家(解体の見積りを取る)
さら地にしても使い道がない34.8%条件側自分+専門家(売れるか査定で確かめる)
取り壊すと固定資産税が高くなる28.2%条件側自分(納税通知書で確かめる)
将来自分や親族が使うかもしれない25.1%条件側自分+家族(使う人と使い始める年を聞く)
仏壇など他に保管場所がないものがある21.6%気持ち側答えを出さなくてよい(持ち帰る物の話)
家財などの処理が困難21.6%気持ち側答えを出さなくてよい(持ち帰る物の話)

割合は複数回答。理由と割合は国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」報告書 p.47 図表3-45より。「どちら側か」「誰が答えを出せるか」は当社の分類

分け方の基準は1つです。今日、数字か日付で自分が答えを出せるものは条件側、置き場が決まらない物の話は気持ち側。気持ち側の2行は、答えを出さないまま持ち越して構いません。

迷いを止める3つの問い

使う人・払える年数・管理する人の3問を書けるかで、残す側と手放す側に振り分ける判定フロー

3つとも書ければ残して見直す期限を決め、空欄が残れば手放す側に進む(出典: 国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」、判定基準は当社)

使う人・払える年数・管理する人を書き出して、書けない項目が残るなら手放す側に答えが出ています。3つとも埋まったなら、今は残したうえで見直す期限だけを決めます。紙とペンと去年の納税通知書があれば、今日のうちに書けます。

3つの問いと、答えが書けないときに確かめる先

問い答えが書ける状態書けないときに確かめる先答えから決まること
① この家を、これから誰が使うか使う人の名前と、使い始める年が1行で書ける使う予定があるかを家族・親族に直接聞く名前と年が書けたら残して期限を決める/書けなければ手放す側
② いつまで費用を払い続けられるかあと何年払えるかを年数で書ける納税通知書と、管理の実費(交通費・草刈り・水道光熱費)を数える払える年数が①の年に届けば残す/届かない・書けないなら手放す側
③ この家を誰が管理するか片道の所要時間と、その頻度で通える人の名前が書ける管理を頼める親族・近隣がいるかを確かめる。引き受け手が書けないときは管理を代行できる先名前が書けたら残す/書けなければ手放す側

「答えから決まること」の列は当社の判断基準です。3つとも埋まった方は、いつ見直すかの日付だけ決めておいてください。

1. この家を、これから誰が使うか

1つ目で書き出すのは、使う人の名前と、使い始める年の2つだけです。「いずれ誰かが」は答えになりません。

先ほどの調査では「将来自分や親族が使うかもしれない」を挙げた世帯が25.1%ありました。ところが、いちばん大きな理由としてこれを挙げた世帯に絞ると9.6%まで下がります。使う予定が日付になっていないから、ほかの理由に押されていくわけです。

⇒ 使う人の名前と、使い始める年。この2つを1行で書けないなら、①の答えはもう出ています。

2. いつまで費用を払い続けられるか

2つ目は、金額そのものより、あと何年払えるかという年数に直すと判断に使えます。

固定資産税の額は納税通知書に書いてあります。そこへ、実家へ行くたびの交通費、草刈り、水道光熱費と火災保険料を足せば、1年あたりの持ち出しが出ます。解体まで視野に入れるなら解体にかかる費用の内訳で単価を、親が亡くなったばかりで何にいくら出ていくのかが気になるなら親の死後にかかる家の処分費用で時系列を埋めてください。あとは、その額を何年続けられるかを書くだけです。年数を書き出せないなら、条件側の答えは手放す側に出ています。払える年数が①の使い始める年に届くなら、今は残して、見直す期限だけを決めます。

3. この家を誰が管理するか

3つ目の管理は、片道の所要時間でほとんど決まります。

同じ調査では、所有者本人か親族が管理している空き家が合わせて約9割でした。頻度は住まいからの距離で差が出ていて、徒歩圏内では月1回以上が約8割、車や電車で3時間を超えると約4割まで落ちます。課題として挙がったのも「管理の作業が大変」31.7%、「管理しても無駄になる」27.1%、「遠方で往訪が困難」21.6%です(国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」報告書 p.36・p.37・p.88)。

⇒ 通えるかどうかを決めているのは、やる気ではなく距離です。

たとえば片道2時間の実家へ月1回通うなら、往復だけで1日がかりになります。それを草が伸びる春から秋まで続けられる人の名前が書けるなら、残す側で構いません。

どの問いにも答えを出さないまま置いておくと、その間の維持費と管理の手間はそのまま続きます。決めないでいることにも、費用と時間はかかっています。

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きょうだいに反対されたら、反対の中身を気持ちと条件に分けて聞き返す

反対を思い出の話とお金の話に分けて返す内容と、切り出す3ステップを並べた図

「所有者が複数で合意が困難」を理由に挙げた世帯は2.2%(出典: 国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」p.47、返し方と切り出す順番は当社の整理)

反対されたら、思い出をなくしたくないという話なのか、いくらで売るのかという話なのかを先に聞き分けます。同じ「反対」でも、返す言葉がまったく違うからです。分けずに一括で受け止めると、話が感情のぶつかり合いだけで終わります。

反対されている中身を、思い出の話とお金の話に切り分ける

「まだ早い」「なんで勝手に決めるんだ」と言われると、合意そのものが無理に思えてきます。ところが先ほどの一覧では、「所有者が複数で合意が困難」を挙げた世帯は2.2%で、22項目のうち下から3番目でした。そこでまず、残したいのは家そのものなのか、仏壇や写真のように家の中にある物なのか、それとも売る値段や分け方の話なのかを聞き返します。返ってきたのが家や物の話なら思い出の側、値段や分け方の話ならお金の側です。思い出の話には、写真や記録で残す方法を一緒に決めて返します。お金の話には、今の維持費と、あと何年払えるかを共有して返します。

切り出す順番と言い方

うまくいきにくいのは、決定事項として伝える形です。「売ることにしたから」と結論から入ると、内容ではなく決め方へ反発が向かいます。

——切り出すときの順番:

  • 管理の実態を数字で共有する。年間の持ち出し額、去年通った回数、片道の所要時間
  • 期限だけを先に決める。「今年いっぱい様子を見て、年明けにもう一度話す」
  • 相手に決めてほしいことを1つ渡す。「使う予定があるなら、いつからか教えてほしい」

決定ではなく期限を提案する形にすると、相手は反対する対象を失います。

名義が親のままだったり相続人が3人以上いたりする場合は、誰の署名が要るのか、共有のまま持ち続けると何が起きるのかを相続人の合意の取り方で先に押さえておいてください。

親がまだ元気で一緒に段取りを組める方は、家じまいの始めどきから読むほうが早いです。

手放す前に決めるのは、持ち帰る物だけ

手放す前に決めるのは、持ち帰る物だけ

家の中を全部片付けなくても、持ち帰る物だけ決まっていれば手放す話は進められます。片付けを判断の前提にすると、片付けが終わらない限り判断も止まります。順番を逆にするだけで、止まっていた話が動きます。

写真と記録で残す

持ち出せないものは、記録に変えれば持ち帰れます。部屋ごとに1枚ずつで十分です。

——引き渡し前に残しておくもの:

  • 各部屋を入口から1枚、家具を動かさない状態で
  • 柱の背比べの傷、建具の建て付けといった細かい部分
  • 手書きの間取り図に、誰がどの部屋を使っていたかを書き込んだもの

売却が決まると荷物が動くので、撮るならその前です。

持ち帰る物の線引き

片付けが止まる理由は、量ではなく判断の回数です。捨てるか残すかをひとつずつ決めると、判断が家財の点数だけ発生します。

先ほどの調査でも「仏壇など他に保管場所がないものがある」21.6%、「家財などの処理が困難」21.6%が挙がっていました。いちばん大きな理由としてこれらを挙げた世帯に絞っても、7.9%と2.6%が残ります(国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」報告書 p.47・p.48)。物の置き場が決まらないだけで話が止まっている世帯は、実際にあります。

そこで決め方を逆にします。残す物を選ぶのではなく、持ち帰る物だけを決めて、残りはそのままにする。基準は次のどれかです。

  • 自宅にすでに置き場所がある
  • 手放したあと、二度と手に入らない(写真・手紙・印鑑・証書類)
  • 仏壇や位牌のように、扱いを決めないまま処分できない

売主が置いていく家具・家電・衣類・生活用品を、不動産の取引では残置物と呼びます。処分の費用や業者の使い方は残置物の処分費用の相場にまとめています。片付けが終わっていなくても、残置物があるまま買い取ってもらう形なら話は進められます。

最後に家で過ごす時間をつくる

引き渡しまでの間にできることもあります。

  • 家族で1日、掃除も片付けもせずに過ごす
  • 近所へ挨拶に行く。家の様子を見てくれていた方には先に伝えておく
  • 庭木を一枝、鉢に移して持ち帰る

区切りは、引き渡しの日に自然には付きません。自分で日を決めておくほうが、あとの気持ちは楽になります。

気持ちが決まったあとは、手放すまでの流れが4段階に分かれています。順番と各段階の期限の決め方は手放すまでの4段階の進め方で確かめられます。

よくある質問

実家を手放すことを親戚に反対されそうなときはどうすればいいですか

結論ではなく、現状の共有から入るほうが進めやすくなります。年間でいくら払っているか、去年何回通えたか、片道に何時間かかるかを、数字のまま伝えてください。そのうえで、いつまでに決めるかの期限だけを相談します。

実家を手放して後悔しやすいのはどんなケースですか

後悔が残りやすいのは、使う人・払える年数・管理する人の3つに答えを出さないまま、期限だけで決めたときです。価格や売り方で後悔しやすい判断は実家売却で後悔しやすい判断で別に扱っています。3つを書き出してから手放せば、条件が変わっても何を根拠に決めたのか説明できます。

手放す前に思い出の品はどこまで残せばいいですか

持ち帰る物だけを決めて、残りはそのままで構いません。基準は「自宅に置き場所がある」「二度と手に入らない」「扱いを決めないまま処分できない」の3つです。

親が存命のうちに実家を手放してもいいのでしょうか

親の意思を確認できるうちのほうが決めやすくなります。使う予定や、仏壇・家に残したい物の扱いを本人に聞けます。ただし、生前に売るか相続してから売るかで税金の扱いと手続きが変わるため、金額に関わる部分は税理士へご確認ください。

家財が残ったままでも買取の査定はできますか

できます。当社の買取くんは、家財や生活用品が残った状態のままで買い取ります。これを現況買取と呼びます。当社の買取実績では、生活用品が残ったままの相続実家を大阪府堺市で1,200万円で買い取りました。片付けや修繕を先に済ませる必要はありません。まずは物件の場所と築年数、いまの状態をお聞かせください。

まとめ

実家を手放すかどうかは、これから誰が使うか・いつまで払えるか・誰が管理するかを書き出し、書けない項目が残るかどうかで決まります。罪悪感や寂しさは、消してから決める必要のない側の気持ちです。納税通知書と実家までの片道の所要時間を手元に置いて、3つの問いに1行ずつ書き込んでみてください。どの方法で手放すかを選ぶ段階まで来たら、実家を手放す方法の比較が次の入口です。

当社の買取くんは投資家を常時300名以上抱えているため、仲介で買い手を待たずに直接買い取ります。遠方で管理に通えず、片付けの手が回らない方に向いています。

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監修

株式会社リアテクス 執行役員 鶴野博之

鶴野 博之

株式会社リアテクス 執行役員

宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸経営管理士/FP2級

一棟投資物件専門の仲介会社で不動産業界に参入後、前職では「訳あり・瑕疵物件」に特化したコンサルティングプログラム責任者として600名以上の投資家の購入から売却までに携わる。自身も再建築不可物件を中心に訳あり物件へ投資し、転売売買から保有物件まで数々の実績を持つ。