「敷地利用権と敷地権って、何が違うの?」 「敷地権の表示がない部屋でも、土地の権利はあるの?」
マンションの登記事項証明書を持って不動産会社や司法書士に相談する前に、こんな疑問をお持ちではないでしょうか。敷地利用権とは、マンションの部屋を持つためにその建物が建つ土地を使う権利で、所有権のほか地上権や賃借権の場合もあります。敷地権・所有権との違いと、登記簿で確かめる場所をお伝えしますね。
敷地利用権とは?マンションの部屋を持つために土地を使う権利

土地の持ち方(共有持分・準共有持分)と、土地を借りて建てたマンションの場合を1枚で整理(出典: 区分所有法2条6項を基に当社作成)
敷地利用権は、マンションの部屋の持ち主が、建物の建つ土地を使うために持っている権利です。建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)2条6項は、これを「専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利」と定めています(建物の区分所有等に関する法律)。専有部分とは、マンションの各部屋のことです。
部屋を持つと、部屋そのものの所有権、廊下や階段など共用部分(みんなで使う部分)の持分、土地の敷地利用権の3つがそろいます。敷地利用権は部屋の持ち主みんなで分け合い、土地の所有権なら「共有持分」、地上権や賃借権なら「準共有持分」で持ちます。準共有とは、所有権以外の権利を何人かで持ち合う形です。
当社は、この定義を「土地を持つ権利」ではなく「土地を使える権利」として読んでいます。土地を借りて建てたマンションでは、建物を持つために土地を借りる権利、つまり借地権がそのまま敷地利用権になるからです。たとえば相続した部屋の登記事項証明書に「敷地権の種類 所有権」とあれば、土地を所有権の持分で持っていると読めます。
敷地利用権の種類は?所有権・地上権・賃借権・使用借権

借地の2つは、税金を納める人も話を通す相手も地主の側に広がる(出典: 不動産登記法・地方税法・民法・区分所有法の各条文を基に当社作成)
敷地利用権になる権利は所有権・地上権・賃借権・使用借権の4つで、うち使用借権だけは登記できないため敷地権にはなりません。敷地権とは、登記されて部屋と一体になった敷地利用権のことです。登記できる権利は不動産登記法3条に並んでいて、無償で土地を借りる使用借権はそこに入っていないんです(不動産登記法)。
| 敷地利用権の種類 | 登記できるか | 敷地権になるか | 土地の固定資産税を納める人 | 部屋を売るときに確かめること |
|---|---|---|---|---|
| 所有権 | できる | なる(規約で別々の処分を認めた建物を除く) | 部屋の持ち主が持分に応じて負担(要件あり) | 敷地権の登記があれば、部屋の登記を移すだけで土地の持分も移る |
| 地上権 | できる | 登記されていればなる(同上) | 原則は土地の所有者(存続期間100年超なら地上権者) | 地代と残りの期間 |
| 賃借権 | できる | 登記されていればなる(同上) | 土地の所有者(地主) | 地主の承諾の扱い(民法612条)と、地代・残りの期間 |
| 使用借権 | できない | ならない | 土地の所有者 | 土地を使い続けられるかを土地の持ち主と確かめる |
※ 表は横にスクロールできます。
データ出典: 不動産登記法・地方税法・民法・区分所有法の各条文を基に当社作成
並べると、借地の2つ(地上権・賃借権)では、土地の税金を納める人も、売るときに話を通す相手も、地主の側に広がっていると分かります。自分の部屋がどの行か分かれば、売る前に誰へ何を確かめるかが決まります。
所有権:土地の持分を部屋ごとに持つ
土地の所有権を部屋の持ち主全員で共有し、一人ひとりが持分を持つ形です。持分の大きさは、分譲のときに部屋の床面積の割合で割り振られるのが基本で(区分所有法22条2項・3項)、地主への地代や承諾の取り決めはありません。
地上権・賃借権:土地を借りている借地のマンション
借地のマンションでは、土地は地主のもので、部屋の持ち主は地上権か賃借権を準共有しています。地上権は土地を直接使える物権(物に対する権利)、賃借権は地主との契約で土地を借りる債権(人に対する権利)です。地代や存続期間は、土地を借りたときの契約で決まるんです。
2つの権利は、譲るときに地主の承諾が要るかどうかなどで扱いが変わります。権利ごとの売りやすさまで比べたいなら、地上権と賃借権の違いの一覧で、自分の部屋がどちらに近いか判断しやすくなりますよ。
旧借地法(借地借家法より前の法律)で結ばれた賃借権は存続期間や更新の扱いが今と違い、旧法賃借権のマンションで期間の数え方と更新の流れを確かめられます。
使用借権:無償で借りている敷地は登記できない
使用借権とは、地代を払わずに土地を借りる使用貸借(無償の貸し借り)で得る権利です。親の土地に子が建物を建てたような、家族の間の貸し借りで生まれることがあります。
登記できる権利に入らないので敷地権にはならず、部屋の登記にも敷地権の表示は出ません。この形の部屋を売るときは、買った人が土地を使い続けられるかを、土地の持ち主と先に確かめます。
敷地利用権と敷地権・所有権は何が違う?

敷地権は2つの条件を満たした敷地利用権の登記上の呼び名で、所有権はその中身の種類(出典: 不動産登記法44条1項9号・区分所有法22条1項・法務局の解説を基に当社作成)
敷地権は、敷地利用権のうち登記されて部屋と切り離せなくなったもので、所有権はその中身の権利の種類を指します。不動産登記法44条1項9号は、登記された敷地利用権のうち、部屋と分離して処分できないものを「敷地権」と呼んでいます(不動産登記法)。
| 言葉 | 何を指すか | 登記簿での出方 |
|---|---|---|
| 敷地利用権 | 部屋を持つために土地を使う権利そのもの | この名前では書かれず、中身の権利が書かれる |
| 敷地権 | 登記されて部屋と一体になった敷地利用権 | 部屋の表題部の「敷地権の表示」欄 |
| 所有権 | 権利の中身の種類の1つ | 「敷地権の種類」欄に「所有権」と書かれる |
3つは並び立つ別々の権利ではなく、重なり合っています。
敷地権は登記されて部屋と切り離せない敷地利用権
敷地利用権が敷地権になる条件は2つです。登記されていることと、区分所有法22条1項により部屋と分離して処分できないことです。
法務局は「売買などによって部屋の所有権が移転した場合は,マンションの敷地の共有持分も一緒に移転することになります」と説明しています(法務局「区分所有建物・敷地権とは」)。当社は、敷地権を新しい権利ではなく、2つの条件を満たした敷地利用権の登記上の呼び名だと整理しています。⇒敷地権の表示があれば、土地の権利は部屋と切り離せない形で登記されていると読めばOKです。
所有権は権利の中身、敷地権は登記での持ち方
敷地権と所有権は、どちらか一方を選んで持つ関係ではありません。「敷地権の種類」欄に「所有権」と書かれるのは、所有権という中身を、敷地権という形で登記しているからです。借地のマンションなら、同じ欄に「地上権」や「賃借権」と入ります。
なお、部屋そのものの所有権は区分所有権と呼び、土地の権利とは別の欄に登記されます。
部屋と土地の権利は別々に売れる?分離処分の禁止
部屋と敷地利用権は原則として別々に売ったり担保に入れたりできず、管理規約で別に定めたマンションだけが例外です。法務局も、敷地権は原則として部屋と分離して処分できず、規約を別に設ければ別々に処分できると説明しています(法務局の解説)。管理規約とは、マンションの持ち主たちで決めた建物のルールです。
部屋を売れば土地の持分も一緒に移る
分離処分とは、部屋と土地の権利を切り離して、片方だけを売ったり抵当権(借金の担保)を付けたりすることです。区分所有法22条1項は、敷地利用権を何人かで持つマンションでは、これを原則として認めていません。
敷地権の登記がある部屋では、部屋の所有権移転や抵当権の登記が、土地の敷地権にもそのまま効きます(不動産登記法73条1項)。反対に、土地の持分だけを移す登記は原則できません(同条2項)。部屋の登記を移すだけで、土地の持分も一緒に移ります。
規約で別々に処分できるマンションもある
区分所有法22条1項には「規約に別段の定めがあるときは、この限りでない」というただし書があります。管理規約で別々の処分を認めたマンションでは、敷地権の登記はされません。
この場合、土地の持分だけを先に手放すと、部屋が土地の権利を持たない状態になります。敷地利用権を持たない部屋には、時価で売り渡すよう請求できる仕組みがあるので注意が要ります(区分所有法10条)。
敷地権と敷地権割合は登記簿のどこで確かめる?

部屋の証明書1通で種類と割合まで読める。表示がない部屋と借地の部屋は土地の登記記録まで確かめる(出典: 不動産登記規則118条・119条、法務局の解説、宅地建物取引業法35条1項6号を基に当社作成)
部屋の登記事項証明書の表題部にある「敷地権の表示」欄で、敷地利用権の種類と敷地権の割合を確かめられます。表題部とは、登記事項証明書の最初にある、物件の所在や広さを書く欄です。ここに種類と割合を記録することは、不動産登記規則118条で決まっています(不動産登記規則)。
登記事項証明書は、法務局の窓口やオンラインの請求で取り寄せられます。見る場所は次の4か所です。
| 見る場所 | 書かれていること | 持ち主が確かめること |
|---|---|---|
| 一棟の建物の表題部 | 「敷地権の目的である土地の表示」欄に、土地の所在・地番・地目・地積 | 敷地がどの土地か |
| 部屋の表題部 | 「敷地権の表示」欄に、敷地権の種類・割合・原因及びその日付 | 権利の種類と割合 |
| 土地の登記記録の権利部 | 敷地権がある部屋なら「敷地権である旨の登記」、ない部屋なら持ち主ごとの持分や地上権・賃借権の登記(所有権は甲区、地上権・賃借権は乙区) | 敷地権の表示がない部屋や借地の、土地側の権利 |
| 重要事項説明書 | 敷地に関する権利の種類及び内容 | 登記と食い違いがないか |
データ出典: 不動産登記規則118条・119条、法務局の解説、宅地建物取引業法35条1項6号を基に当社作成
当社は、部屋の登記事項証明書1通で、敷地の範囲と自分の権利の種類・割合までは読めると考えています。土地側まで取り寄せるのは、敷地権の表示がない部屋と、種類が地上権・賃借権の部屋です。
一棟の建物の表題部で敷地の範囲を見る
部屋の登記事項証明書は、マンション全体を表す「一棟の建物の表題部」、その部屋の表題部の順に並びます。敷地がどの土地かは、一棟の建物の表題部にある「敷地権の目的である土地の表示」欄を見れば分かりますよ。敷地がいくつかの土地(筆)にまたがるときは、土地ごとに「1」「2」といった符号(番号)が振られて並びます。
部屋の表題部「敷地権の表示」で種類と割合を読む
敷地権割合とは、敷地の権利のうち自分の部屋に割り当てられた取り分のことで、「○○分の○○」の分数で書かれます。割合は、分譲業者などが土地の権利を部屋ごとに割り振るときに、管理規約で別に決めていなければ専有部分の床面積の割合で決まります(区分所有法22条2項・3項・14条)。床面積は、壁の内側の線で囲まれた部分で測ります。
たとえば床面積の合計が2,000㎡で、自分の部屋が60㎡なら、割合は「2000分の60」の形になります(数値は説明のための仮定です)。実際の数字は、登記の記載のまま読みます。
土地の登記記録と重要事項説明書で裏を取る
土地の登記記録には、権利部の「相当区」に敷地権である旨が記録されます(不動産登記規則119条)。権利部とは誰がどんな権利を持つかを書く欄で、所有権は甲区、それ以外の権利は乙区です。敷地が所有権なら甲区、地上権・賃借権なら乙区に入ります。
買ったときの重要事項説明書にも、「敷地に関する権利の種類及び内容」が書かれています(宅地建物取引業法35条1項6号)。手元に残っていれば、登記事項証明書と並べて食い違いがないかを見比べてください。
敷地権の登記がないマンションはどう確かめる?
敷地権の表示がない部屋は、まず土地の登記事項証明書で自分の権利を探し、なければ重要事項説明書と契約書を確かめます。表示が付かないのは、古い建物、規約で別々の処分を認めた建物、無償で借りた土地の建物などです(建物の区分所有等に関する法律の改正附則ほか)。
敷地権の表示がないことは、土地の権利がないことを意味しません。
1984年より前からある建物は別々に処分できる扱いのことがある
部屋と土地を一体にする今のルールは、1984年1月1日スタートです(改正附則1条)。そのとき既にあった建物は、法務大臣の指定を受けたものだけが、指定の日から今のルールの対象になりました(同5条・6条)。法務大臣の指定とは、国が建物ごとに新しいルールを先に当てはめる手続きです。指定を受けなかった建物は、政令で決めた日に「規約で分離処分を認めた」ものとみなされました(同5条・8条)。
古いマンションに敷地権の登記がないことがあるのは、このためなんです。逆に、1984年以降の建物でも規約で別々の処分を認めていれば、敷地権は付かないんですよね。当社は、敷地権の有無は築年ではなく登記の中身で見るべきだと考えています。
敷地権がないときは土地の登記と契約書で自分の権利を探す
敷地権の表示がない部屋では、土地の登記事項証明書の甲区と乙区で、自分の名義の持分や、地上権・賃借権の登記を探します。
土地の登記に載らない敷地利用権もあります。使用借権と、登記していない賃借権がそれにあたります。この場合は、重要事項説明書の「敷地に関する権利の種類及び内容」欄と、借地や使用貸借の契約書で確かめます。
土地の持分を別に登記している部屋を売るときは、部屋と土地の持分の両方で名義を移します。どこにも自分の権利が見当たらないときは、売り渡しを求められうる状態(区分所有法10条)かどうかも含め、個別の事情は司法書士にご相談ください。
敷地が借地のマンションを売るなら?買取くんに相談できること
地代・期間・地主の承諾が書類で揃い、時間をかけられるなら仲介を、買い手が見つかるまで待てない・仲介で断られたなら買取を選びます。当社の買取くん(株式会社リアテクス)では、借地権が付いた物件も買取の対象です。
借地のマンションは、仲介で所有権のマンションと並べて買い手を探すか、敷地の権利を理由に断られる前に買取へ相談するかを選ぶことになります。比べるときに見るのは、地代・残りの期間・地主の承諾の扱いが書類で揃っているかと、手放すまでにどれだけ待てるかの2点です。
仲介では、重要事項説明のときに、敷地の権利の種類と中身が買い手へ伝えられます(宅地建物取引業法35条1項6号)。そのため、借地のマンションは所有権のマンションと並べて比べられます。賃借権なら部屋と一緒に賃借権も移るので、地主の承諾が要ります(民法612条)。地主が承諾しないときは、裁判所に承諾の代わりの許可を求める手続きもあります(借地借家法19条)。承諾の扱いが契約で決まっていないと、買い手が見つかっても手続きが止まりかねません。
対抗要件とは、賃借権を地主以外の人にも主張するための条件のことです。中身は、賃借権の対抗要件で普通・定期の違いと一緒に確かめられます。定期借地権のマンションで残りの期間が短いなら、定期借地権マンションの売り方が期間に応じた進め方の参考になります。
買取くんには、年間500件以上の問い合わせが届いています(成約ではなく、問い合わせの件数です)。他社で断られた物件も、もちろん相談OKです。買取では当社が買主になるので、買い手が見つかるのを待たずに手放せて、仲介手数料もかかりません。ただ、敷地が賃借権なら、買取でも賃借権を部屋と一緒に移すので、地主の承諾が要ります(民法612条)。当社は、借地のマンションの相談は、敷地権の種類・地代・残りの期間・承諾の扱いを書類で確かめるところから進むと考えています。
買取が向くのは、敷地が賃借権か地上権の部屋で、仲介の不動産会社から敷地の権利を理由に難しいと言われた方や、買い手が見つかるまで待てない方です。登記事項証明書と土地の契約書が手元にあれば、あわせてご相談ください。
受付時間 10:00〜19:00(水・日曜定休)
敷地利用権・敷地権についてよくある質問
敷地権はいつから登記されている?
敷地権の仕組みは、1984年1月1日施行の改正区分所有法から始まりました(改正附則1条)。それより前からある建物は、法務大臣の指定を受けた建物や、あとで規約を変えた建物から順に敷地権の登記が付きました。そのため、築年が同じでも敷地権の日付は同じとは限らず、表示がないままの建物もあります。自分の部屋の分は、「敷地権の表示」欄の「原因及びその日付」に書かれています。
敷地権の固定資産税は誰が払う?
敷地が所有権なら、土地の固定資産税も部屋の持ち主が負担します。全員の共有で、持分が共用部分の持分と同じ割合といった要件を満たせば持分に応じて各自が納め、満たさなければ共有者が連帯して納めます(地方税法352条の2・10条の2)。敷地が借地なら、土地の固定資産税は原則として地主に課され、部屋の持ち主は地代を払う立場です(同343条1項)。
敷地権割合と共有持分は同じ?
敷地権割合と共有持分は、敷地については同じものです。敷地権割合は、敷地の共有持分(借地なら準共有持分)を部屋の登記に書いたもの。法務局の解説でも「敷地権の割合(共有持分)」と並べて書かれています。共有者それぞれができることや共有を解消する手順は、共有持分の権利と解消の方法を読むと分かります。
敷地が借地のマンションでも買取の相談はできる?
はい、相談できますよ。当社の買取くんは、借地権や底地(借地権が付いた、地主側の土地)などの訳あり物件を買取の対象にしているので、敷地が地上権・賃借権のマンションもご相談いただけます。全国の物件に対応していて、所在地は問いません。登記事項証明書の「敷地権の種類」とあわせてお知らせください。
まとめ
敷地利用権はマンションの部屋を持つための土地の権利で、敷地権はそれが登記されて部屋と一体になった形、所有権はその中身の種類の1つです。部屋の登記事項証明書で権利の種類と割合までは分かりますが、敷地権の表示がない部屋は、土地の登記や契約書まで見て判断します。まずは部屋の登記事項証明書の「敷地権の表示」欄から見てみましょう!
当社(宅地建物取引業 東京都知事免許(1)第107888号)が運営する買取くんでは、提携する弁護士・司法書士・土地家屋調査士がサポートします。所有権移転登記は、提携する司法書士が受け持ちます。敷地が地上権・賃借権の部屋や、敷地権のない部屋を、名義を移す手続きまで任せて売りたい方に合う体制です。
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