「登記簿に『地上権設定』とあるけど、地上権って何の権利?」 「地上権が付いた土地って、そもそも売れるのかな」
登記簿や物件広告で地上権の文字を見た方は、こんな疑問をお持ちではありませんか。地上権は、他人の土地に建物や工作物を持つためにその土地を使う権利で、地主の承諾なしに売ったり貸したりできます。似た権利との違いから、権利が付いた土地を売る前に話す相手まで、手元の書類で確かめていきましょう。
地上権とは?他人の土地を建物などのために使い、地主の承諾なしで売れる権利

地上権は承諾なしで売る・貸す・担保にできる。登記簿では乙区の「地上権設定」で見分ける(出典: 民法265・369条、借地借家法2条、不動産登記規則4条4項、国税庁 質疑応答事例を基に当社作成)
地上権とは、他人の土地で建物やトンネルなどの工作物、木を持つために、その土地を使う権利です(民法265条)。「物権」(物を直接使える権利)の一つで、登記をしておけば、土地の持ち主が替わっても新しい持ち主に主張できます。
国税庁は、日本の土地の使用関係は「賃借(使用貸借)権契約に基づくものがほとんどで地上権の設定契約に基づくものはごくわずか」と説明しています(国税庁 質疑応答事例)。登記簿の乙区(所有権以外の権利を書く欄)に「地上権設定」の記載がなければ、まずほかの権利を疑ってみましょう。地代を払って借りる賃借権か、無償で借りる使用貸借です。売る段取りを組むのも、書類で地上権と確かめてからです。
地上権を持つ人は、地主の承諾なしで売る・貸す・担保に入れることができる
地上権を持つ人(地上権者)は、地主の承諾がなくても地上権を人に譲ったり、貸したりできます。地上権に抵当権を付けて、お金を借りる担保にもできます(民法369条2項)。抵当権とは、返済が滞ったときに担保の不動産を売って返済に充てられる権利です。
地上権は、他人の土地に自分の家を建てて住むときや、鉄道会社が他人の土地の地下にトンネルを通すときに使われます。家を建てるための地上権は、土地の賃借権とあわせて借地権と呼ばれます(借地借家法2条1号)。借地権の価値は、路線価図に地域ごとに示される借地権割合で見当を付けられます。
登記簿や物件広告で見た言葉は、どの権利に当たる?
| 書類や場面で見た言葉 | どの権利か | 次に確かめること |
|---|---|---|
| 土地の乙区「地上権設定」 | 地上権 | 目的・地代・期間の記載 |
| 乙区「地上権設定」と上下の範囲 | 区分地上権 | 範囲と特約の記載 |
| 乙区「賃借権設定」 | 賃借権 | 売る前に地主の承諾 |
| 乙区「地役権設定」 | 地役権 | 使わせる側か使う側か |
| 乙区は空で、建物は別人の名義 | 地上権・賃借権・使用貸借 | 契約書の権利の名前と地代 |
| 広告の「旧法地上権」「旧法賃借権」 | 1992年8月より前からの借地 | 契約書の最初の日付 |
| 部屋の登記の「敷地権」 | 部屋と一体で登記された土地の権利 | 権利の種類と割合 |
| 道路に出られない・電柱がある・他人名義のまま長年使ってきた | 通行の権利・電柱敷地料・時効取得 | 隣地・電柱の持ち主・使い始めた経緯 |
登記簿の権利部は甲区と乙区に分かれ、甲区には所有権、乙区にはそれ以外の権利が記録されます(不動産登記規則4条4項)。乙区を見れば、地上権・賃借権・地役権のどれが登記されているかが分かるんです。登記されていない権利もあるので、乙区が空なら建物の名義と契約書まで見て判断しましょう。
地上権と賃借権・地役権・使用貸借は何が違う?

3つの書類を順に見れば権利が分かる。地主の承諾なしで売れるのは地上権(出典: 民法265〜281・593〜612条、不動産登記法3条、借地借家法2・5・10条を基に当社作成)
土地を使う4つの権利は、登記簿に載るか、地主の承諾なしに売れるか、地代を払うかで分かれ、承諾なしで売れるのは地上権です。地代を払って借りれば賃借権、無償なら使用貸借、通路や配管のためだけに使うなら地役権に当たります。
| 権利 | どう使えるか | 登記簿に載るか | 売る・貸すとき地主の承諾 | 地代 | 終わるとき |
|---|---|---|---|---|---|
| 地上権 | 建物や工作物を持つために使う | 乙区に「地上権設定」 | 要らない | 契約で決める | 期間満了・放棄・地代2年以上の滞納で消滅請求 |
| 賃借権(借地) | 地代を払って借りる | 乙区に「賃借権設定」 | 要る | 払う | 期間満了(借地は更新を求められる) |
| 地役権 | 通路・配管など決めた目的で使う | 乙区に「地役権設定」 | 使う側の土地と一緒にだけ移る | 契約で決める | 設定契約の定めによる |
| 使用貸借 | 無償で借りる | 登記できない | 人に使わせるには貸主の承諾 | 払わない | 期間・目的の終了、借主の死亡 |
※ 表は横にスクロールできます。
データ出典: 民法265〜281・593〜612条、不動産登記法3条、借地借家法2・5・10条を基に当社作成
賃借権・地役権・使用貸借は、売るときに誰の承諾や確認が要る?
賃借権は、地代を払って借りる約束から生まれる「債権」(契約の相手に何かを求める権利)です(民法601条)。売るにも又貸しするにも、地主の承諾が欠かせません(民法612条)。対抗要件とは、権利を第三者に主張するための条件です。賃借権で新しい地主に主張する方法は、土地の登記と建物の登記の2通りです。
地役権は、自分の土地を便利に使うため、隣などの土地を通路や配管のための地役権として決めた目的で使う権利です(民法280条)。使う側の土地を要役地、使わせる側を承役地と呼び、要役地を売れば、地役権も一緒に買主へ移る仕組みです(民法281条)。送電線の下の地役権や、敷地内の電柱に払われる電柱や送電線がある土地の敷地料も、他人に土地を使わせる例です。
使用貸借は、土地や家を無償で借り、終わったら返す約束です(民法593条)。登記できる権利に入っておらず(不動産登記法3条)、借主が亡くなると終わります(民法597条)。親の土地に子が地代なしで家を建てた場合は、地上権の契約がなければ無償で土地を貸し借りする使用貸借に当たります。
自分の土地の権利はどれ?土地の乙区、建物の名義、契約書の順に見る
- 土地の登記事項証明書の乙区を見る。権利の名前が書かれていれば、その権利が登記されています
- 乙区に何もなければ、建物の登記名義を見る。土地の持ち主と別の人なら、その人は地上権・賃借権・使用貸借のどれかで土地を使っています
- 契約書に「地上権」「賃借権」のどちらが書かれているかを見る。どちらもなければ、地代を払っていれば賃借権、払っていなければ使用貸借と考えます
契約書の言葉があいまいなときは、地上権と借地権の違いと見分け方で絞り込めます。
要点: 乙区が空でも、建物の名義と、契約書に書かれた権利の名前・地代の有無で、地上権・賃借権・使用貸借のどれかを分けられます。
地上権にはどんな種類がある?旧法・普通・定期・区分・法定地上権の違い

契約書の最初の日付と「更新しない」特約で種類が分かれる。1990年設定の木造なら最初の30年は2020年に満了(出典: 借地法1・2条、借地借家法3・22条・附則6条、民法269条の2・388条を基に当社作成)
家を建てるための地上権は、1992年8月1日より前に設定した旧法地上権と、それ以降の普通の地上権に分かれます。更新しない特約を付けたものは定期地上権、地下や空中の範囲に絞ったものは区分地上権と呼びます。競売で土地と建物の持ち主が分かれたときは、契約がなくても法定地上権が付きます。
旧法地上権は更新が続き、定期地上権は期間が終われば土地が戻る
旧借地法(旧法)は、借地借家法(新法)ができる前の借地のルールで、地上権にも賃借権にも同じ期間の決まりが当てはまります(借地法1条・2条)。期間を決めていないと、最初の期間は鉄筋コンクリート造などの堅固な建物で60年、木造などで30年です。1990年に木造の家のために期間を決めずに設定した地上権なら、最初の30年が2020年に満了します。満了後の更新は旧法の決まりに従い(借地借家法附則6条)、旧法の借地の更新後の期間も、木造か堅固かで年数が違うんです。
新法の普通の地上権は30年以上で(借地借家法3条)、期間が終わっても建物があれば更新を求められます。定期地上権は、期間を50年以上とし、更新しないことなどを書面で決めた地上権です(借地借家法22条)。国土交通省は、定期借地権の特約として「契約の更新がない」「建替による借地期間の延長がない」「建物買取請求権がない」の3つを挙げています(国土交通省「定期借地権の解説」)。期間が終われば土地は地主に戻り、建て替えても期間は延びません。定期地上権の家は、満了の年から住める年数を数えておきましょう。
建物以外のための地上権で期間を決めていないものは、地上権者がいつでも放棄でき、放棄しないときは当事者の請求で裁判所が20年以上50年以下の期間を決めます(民法268条)。地代を2年以上続けて払わないと、地主は地上権の消滅を請求できます(民法266条が準用する276条)。
「旧法地上権」はマンションの広告にも見られます。敷地権とは、部屋を持つために敷地を使う権利(敷地利用権)のうち、部屋と一体で登記されたものです。中身は、マンションの敷地利用権と敷地権の違いを知ると見分けられます。
区分地上権は地下や空中だけ、法定地上権は競売で契約なしに付く
区分地上権は、地下や空中の上下の範囲だけを決めて設定する地上権です(民法269条の2)。地下鉄のトンネルや高架の道路に使われ、登記簿にはその範囲が記録されます(不動産登記法78条5号)。地表で何ができるかは、範囲と特約の記載で確かめます。
法定地上権は、同じ人が持つ土地と建物が抵当権の競売で別々の持ち主になったとき、建物のために法律で付く地上権です(民法388条)。土地と建物の持ち主が違う物件なら、競売で法定地上権が付く場面に当たるかを、登記簿の抵当権の日付から確かめます。
⇒ 契約書の最初の日付、期間の定め、「更新しない」特約の有無を見れば、自分の地上権がどの種類かが分かります。
地上権は登記しないとどうなる?設定登記の流れと費用

設定登記は地主と共同申請し、税は価額の1%。家のための地上権は自分名義の建物登記でも主張できる(出典: 民法177条、不動産登記法60・78条、借地借家法10条、登録免許税法別表第一を基に当社作成)
地上権は登記しないと、地主から土地を買った人に自分の地上権を主張できません(民法177条)。設定登記は地主と一緒に申請し、登録免許税は土地の価額の1%です。家を建てるための地上権なら、自分名義で登記した家があれば地上権の登記がなくても主張できます。
設定登記は地主と一緒に申請し、登録免許税は土地の価額の1%
権利の登記は、権利を得る人と渡す人が一緒に申請するのが基本です(不動産登記法60条)。地上権なら地上権者と地主の共同申請で、地上権者だけでは登記できません。乙区には、設定の目的や地代の決まり、続く期間(存続期間)、区分地上権ならその範囲が書かれます(不動産登記法78条)。
地上権を設定する登記にかかる登録免許税は、不動産の価額の1,000分の10です(登録免許税法別表第一)。この価額は固定資産課税台帳の価格をもとに決まり(同法附則7条)、土地の固定資産税評価額が1,000万円なら10万円です。売買などで地上権を移すときも1,000分の10で、司法書士に頼めば報酬が別にかかります。
家を建てるための地上権は、建物の登記でも新しい地主に主張できる
借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者の名義で登記された建物があれば第三者に対抗できます(借地借家法10条1項)。家を建てるための地上権も借地権なので、地主が登記に協力してくれなくても、自分名義の家の登記で地上権を守れるんです。
条件は「借地権者の名義」の登記ですよね。家の名義が亡くなった親のままなら、地主が土地を売る話が出る前に、相続登記で名義を移せるかを確かめておきましょう。相続人が複数いるなど事情が込み入っているときは、司法書士にご相談ください。
地上権や他人の権利が付いた土地は売れる?
権利が付いた土地も売れ、地上権の家は承諾なしでそのまま売り出せますが、賃借権の家は先に地主へ売る承諾を相談します。袋地(道路に出られない土地)なら、隣地の所有者から話を始めます。土地の持ち主の側は、地上権や賃借権が付いたままだと買い手が限られる前提で売り方を選ぶことになります。
当社は、権利を全部整理してから売る必要はないと考えています。整理に関わる相手と時間は権利ごとに違い、整理前にいくらになるかを先に知れば、整理に時間をかける価値があるかを比べられるからです。当社の査定では、担当者が登記・図面・現地を確かめて、買い取れるかと金額の目安を出しています。
地上権が付いた土地を地主が売るときは、何が変わる?
地主は、地上権がある間は自分で土地を使えず、地上権者が誰に地上権を譲るかも選べません。底地とは、地上権や借地権が付いた土地のことです。底地だけを買っても自分では使えないため、買い手は限られます。地主の立場なら、収支や売却の選択肢を底地の持ち方と売り方と照らし合わせてください。
売る前に最初に話す相手は誰?家や権利を持つ側と土地の持ち主の側で変わる
相続した土地の乙区に他人の地上権があり、他人の家が建っているなら、あなたは土地の持ち主の側です。自分の家が他人の土地に建っているなら、家や権利を持つ側になります。
家や権利を持つ側:
- 地上権の家:承諾は要らず、そのまま買い手や買取業者に相談できる
- 賃借権(借地)の家:まず地主に、売ることの承諾を相談する
- 使用貸借の家:土地の名義人と、その相続人(借主が亡くなると使用貸借は終わる)
- 地上権や家の登記を直す必要がある:司法書士
- 名義が他人のまま長年使ってきた土地:長年使ってきた土地の時効取得(自分の物として決まった年数使い続けた人が、持ち主になれる仕組み)の要件を先に確かめる
土地の持ち主の側:
- 地上権や賃借権が付いた土地(底地):買い手が限られるため、地上権者・借地人への売却も候補にする
- 地役権の負担がある土地(承役地):買主に負担の中身を伝えて売る
- 道路に出られない袋地:まわりの土地(囲繞地)を通る囲繞地通行権(損害が最も少ない方法で通れる権利)があるので、まず隣地の所有者と通路を話し合う
道路に出られない袋地の売り方は、隣地との話し合いの進み具合で変わります。話し合いがまとまらないときは弁護士、整理に時間をかけられないときは権利が付いたまま買い取る買取業者が相手になります。
地上権や賃借権が付いた土地を、権利を整理する前に査定するなら買取くんへ
権利の整理にかかる時間が読めないなら、整理前の今の状態で無料査定を受ければ、整理してから売る場合と金額を比べられます。地主の承諾や相続人どうしの合意は、相手がいるぶん終わる時期が読めません。
整理してから売るか、今の状態で手放すかは、話し合いと登記にかかる時間と手間で比べるのが基本です。仲介で売り出すと、買い手が権利の中身を理解し、融資や地主の承諾の見通しを立てるまで話が進みません。整理にかかる時間が、そのまま売れるまでの時間に上乗せされるんです。
当社の買取くん(株式会社リアテクス)は、無料査定を最短6時間以内に完了します。水曜・日曜は翌営業日の対応です。相談は物件の所在地と今の状況だけで始められ、書類は後からでかまいません。地方の物件も含めて全国に対応し、自ら買主となって、投資家への紹介と自社での買取の両方で引き受けます。
相続した土地や家に地上権・賃借権・使用貸借などが付いていて、地主や相続人との話し合いにどれくらいかかるか見通せない方に向いています。地主や相続人との話し合いに時間をかけられるなら、権利を整理してから仲介で売る方法が合っています。借地権付きの家なら、借地権付き建物を売る手順に沿って進められます。
受付時間 10:00〜19:00(水・日曜定休)
地上権についてよくある質問
地上権と所有権は何が違う?
所有権は、土地そのものを法令の範囲で自由に使い、貸し、売れる権利です(民法206条)。地上権は他人の土地を建物などのために使う権利で、土地の持ち主は地主のままです。
地上権は相続できる?
相続できます。相続人は亡くなった人の権利と義務をまとめて引き継ぐため(民法896条)、地上権も地主の承諾なしで相続人に移ります。相続で地上権を移す登記にかかる登録免許税は、不動産の価額の1,000分の2です(登録免許税法別表第一)。土地の評価額が1,000万円なら2万円で、相続税での地上権の評価は税理士に確認しましょう。
地上権が設定された土地の固定資産税は誰が払う?
原則として、土地の持ち主である地主が払います。ただし、存続期間が100年より長い地上権が付いた土地は、地上権者に課税されます(地方税法343条)。上に建つ建物の固定資産税は、建物の持ち主が払います。
地上権の地代はいくら?
地上権の地代に法律で決まった相場はなく、地主と地上権者が契約で決めます。定めがなければ無償の地上権もあり、地代の定めがあるときは登記簿の乙区に記録されます(不動産登記法78条2号)。金額と払う時期は、設定契約書と乙区の両方で確かめておくと安心です。
買取くんでは、地上権や賃借権が付いた土地も査定してもらえますか?
可能です。当社の買取くんは、地上権や賃借権が付いた底地も、借地の上に建つ古い建物も査定しています。権利関係が複雑なままでも引き受け、買い取れないと判断した場合もその理由をお伝えします。まずはフォームから、物件の所在地と分かる範囲の権利の状況をお送りください。
まとめ
地上権は、他人の土地に建物などを持つために使う権利で、賃借権と違って地主の承諾なしに売れます。乙区に記載がなくても、契約書に書かれた権利の名前と地代を見れば、どの権利かを見分けられます。まずは土地の登記事項証明書を取り寄せ、乙区の記載と建物の名義を確かめてから、権利に合った相手に相談しましょう。
当社の買取くんは、底地や借地の上に建つ古い建物を得意な物件として買い取っています。地主や相続人との話し合いに何か月かかるか見通せないまま、固定資産税を払い続けている方に向くサービスです。
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