「相続した土地が袋地だと言われた。何が困るの?」 「袋地って、隣の人に通行を断られたら終わり?」
袋地を持つ方は、このような疑問をお持ちではないでしょうか。袋地とは、他人の土地に囲まれて道路に出られない土地で、囲む側の土地を囲繞地(いにょうち)と呼びます。袋地の持ち主は、隣地の承諾がなくても損害が最も少ない方法で隣地を通れ、代わりに通行料を払います。断られたときの手順と3つの売り方もお伝えします。
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袋地とは?囲繞地との違いと、袋地に当たるかの見分け方

道路まで自分の土地だけでたどれるかで袋地と旗竿地を見分け、建て替えの条件も整理(出典: 民法210条・建築基準法43条を基に当社作成)
袋地(ふくろち)とは、周りを他人の土地に囲まれて公道に出られない土地のことで、袋地を囲んでいる土地を囲繞地(いにょうち)と呼びます。民法210条は、袋地の持ち主が囲繞地を通って公道に出られると定めています。
どちらに当たるかは、敷地から道路まで自分の土地だけでたどれるかで見分けます。たどれずに隣の土地を通っているなら袋地、逆に隣の袋地の人が通っている側なら囲繞地です。
準袋地・無道路地は袋地とどう関係する?
池や川、水路、海を通らないと公道に出られない土地や、崖で道路との高低差が大きい土地を準袋地(じゅんふくろち)と呼びます。準袋地も、民法210条2項で袋地と同じ扱いです。
無道路地(むどうろち)とは、道路に接していない宅地を指す呼び名で、相続税などで土地を評価するときに使われます(国税庁 No.4620)。税金の書類でこの言葉を見たら、道路まで出る通路の権利を確かめる合図です。
旗竿地や私道の奥の土地も袋地に当たる?
細い通路で道路までつながっている旗竿地は、自分の土地だけで道路に出られるため袋地には当たりません。たとえば、道路から奥へ細い通路が延びる土地は旗竿地で、隣家の庭先を通らないと道路に出られない土地が袋地です。
最高裁も、路地状の部分で公道に通じている土地について判断しています。通路の幅が条例の基準に足りず、増築できない土地だったとします。今の建物を使うのに支障がなければ、それだけでは隣地を通る権利は成り立ちません(最判昭和37年3月15日)。通路が細くて困っているなら、旗竿地を売るときの進め方から考えるほうが早いですよね。
私道の奥にある土地も、私道を通って道路に出られれば袋地ではありません。ただ、その私道を通る権利は私道の持分を持っているかや、私道の扱いによって変わります。
袋地に家は建てられる?建て替えを左右する接道の条件
建築基準法43条は、建物の敷地が道路に2m以上接することを求めています。袋地はこの条件を満たさないため、原則として建て替えができない再建築不可物件に当たります。この決まりを接道義務といい、敷地が道路に一定の長さ接していないと建物を建てられないという意味です。
隣地を通る権利があっても、2mの通路を求められるとは限りません。最高裁は、公道に1.45m接する土地の事案で、接道の条件を満たすための幅の通行権を認めませんでした(最判平成11年7月13日)。
囲繞地通行権で通れる範囲と通行料はどう決まる?

通路は隣地の損害が最も少ない場所に限られ、通行料は袋地のでき方で無償か損害に見合う額かに分かれる(出典: 民法210〜213条・最高裁判例を基に当社作成)
袋地の持ち主は、隣地の持ち主が承諾しなくても、通るのに必要で隣地の損害が最も少ない場所と方法で通行でき、代わりに通行料(償金)を払います。この権利を囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)と呼びます。通行料は、通路に使われて隣地が受ける損害に見合う額を当事者で決めます(民法210〜212条)。
通路の場所と幅は隣地の損害が最も少ない範囲に限られる
通る場所と方法は、袋地の持ち主にとって必要で、隣地にとって損害が最も少ないものを選ぶと民法211条1項が定めています。必要なら通路を造ることもできます(同条2項)。
たとえば公道へのルートが、隣家の庭先を横切る道と、空き地の端を通る道の2通りあるとします。この場合、自分が通りやすいかより、隣地の損害が少ない空き地の端のほうが選ばれやすくなります。
車で通れるかについて、最高裁は判断の材料を示しています。車で通る必要性や周りの土地の状況、隣地の持ち主が受ける不利益などを合わせて決めます(最判平成18年3月16日)。車で出入りしたいなら、車が必要な理由を説明できるようにしておきましょう。
通行料(償金)は隣地が受ける損害に見合う額で、1年ごとに払える
償金(しょうきん)とは、通路として使われることで隣地が受ける損害に対して払うお金で、通行料の法律上の呼び名です。民法212条は償金を1年ごとに払えるとしていますが、通路を造るときの損害の分は除かれます。
法律に金額の定めはなく、隣地の持ち主との話し合いで決め、まとまらなければ調停や裁判で決まります。
土地を分けたり一部を売ったりして袋地ができた場合、袋地の持ち主は分けた相手の土地だけを無償で通れます(民法213条)。たとえば1筆の土地を2つに分けて道路側を売り、奥が袋地になったなら、奥の持ち主は道路側の土地を通行料なしで通ります。この無償の通行権は、道路側の土地がさらに売られても消えません(最判平成2年11月20日)。
登記がなくても通れる?名義変更の前でも主張できる
囲繞地通行権は、袋地であれば法律で当然に生じる権利で、登記をしなくても成り立ちます。最高裁は、袋地を取得した人は所有権の登記をしていなくても、囲繞地の持ち主に通行権を主張できるとしています(最判昭和47年4月14日)。相続で名義変更が済んでいない場合の当てはめは、個別の事情によるため司法書士や弁護士に確認してください。
通行地役権とは何が違う?契約で作るか法律で決まるか
通行地役権とは、隣地の持ち主と契約して、自分の土地のために隣地を通る権利を設定するものです(民法280条)。
| 項目 | 囲繞地通行権 | 通行地役権 |
|---|---|---|
| 生じ方 | 袋地なら法律で当然に生じる | 隣地の持ち主との契約で設定する |
| 通れる範囲 | 必要で隣地の損害が最も少ない範囲 | 契約で決めた範囲 |
| 通行料 | 償金を払う。分割でできた袋地は無償 | 契約で有償か無償かを決める |
| 登記 | 要らない。取得した人は名義変更前でも主張できる(最高裁の判例) | 登記しておけば持ち主が替わっても通路を主張できる |
自分の通路がどちらによるものかは、2つの書類で確かめます。隣地の持ち主と交わした通行の契約書と、通っている隣地の登記事項証明書で、権利部(乙区)に「地役権設定」の記載があるかを見ます。権利部(乙区)とは、登記事項証明書のうち、抵当権や地役権など所有権以外の権利が書かれる欄です。どちらも見つからず自分の土地が袋地なら、囲繞地通行権で通っていると考えられます。
通路を契約で確保し直したいなら、通行地役権の設定と登記を押さえておくと、隣地の持ち主に頼む中身がわかります。
通行を断られた・もめたときは何から手を打つ?

調停は相手方の住所地の簡易裁判所に申し立て、通常2、3回の期日でおおむね3か月以内に終わる(出典: 裁判所「民事調停」・法務省の民法改正資料を基に当社作成)
通行を断られたら、まず通路の場所・幅・通行料を話し合って書面にし、まとまらなければ簡易裁判所に民事調停を申し立てます。調停でも合意できなければ、訴訟で通行権の確認を求めます(裁判所「民事調停」)。
| 順番 | やること | 目安・ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 隣地の持ち主と話し合う | 通路の場所・幅・通行料を決める |
| 2 | 決めた内容を書面にする | 売却や相続の場面で見せられる |
| 3 | 簡易裁判所に民事調停を申し立てる | 通常2、3回の期日・おおむね3か月以内 |
| 4 | 訴訟で通行権の確認を求める | 調停で合意できなかったとき |
データ出典: 裁判所「民事調停」・民法210〜212条を基に当社作成
話し合いで通路の位置・幅・通行料を決めて書面に残す
法律は通路の位置や幅、通行料の額までは決めていません。
たとえば隣地の持ち主が替わり、これまで通っていた通路にフェンスを立てられたとします。前の持ち主との合意書があれば、新しい持ち主にも話の出発点を示せます。話し合いがまとまったら、通路の場所を図で示し、幅と通行料、支払い方を書面に残しておきましょう。
まとまらなければ簡易裁判所に民事調停を申し立てる
民事調停とは、裁判官と一般市民から選ばれた調停委員が間に入り、話し合いでお互いの合意を目指す手続きです。勝ち負けを決める裁判とは違い、手数料も訴訟より安く設定されています(裁判所「民事調停」)。
- 申立先:原則として、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所
- 必要書類:申立書のほか、不動産の事件では登記事項証明書
- 成立したとき:調停調書は確定した判決と同じ効力を持つ
通常は2、3回の期日でおおむね3か月以内に終わるため、10月に申し立てれば翌年1月ごろが目安です。袋地は隣地の持ち主と今後も顔を合わせるので、合意で決着できる調停から始める意味は大きいんです。訴訟に進むなら、弁護士に相談してください。
水道管やガス管を隣地に通したいときは?
設備設置権とは、電気・ガス・水道を引き込むために他人の土地に管などを設置する権利です。2023年4月1日に施行された民法改正で、民法213条の2として条文に書き込まれました(法務省の民法改正資料)。
場所と方法は、隣地の損害が最も少ないものに限られます。工事の前には、目的・場所・方法を隣地の持ち主と、その土地を使っている人に通知します。拒まれても自分で工事を強行せず、裁判の手続きで求めます(同資料)。
袋地・囲繞地は売れる?売るときの3つの選択肢

通路の問題を片付ける人が「不要・売主・買取業者」のどれになるかで売り方を選ぶ(出典: 民法210〜213条・当社の買取の取り扱いを基に当社作成)
袋地は、隣地の持ち主に売る・通路を整えてから仲介で売る・今の状態で買取に出す、の3つから選んで売れます。建て替えが原則できないぶん買い手は限られるため、通路の問題を誰が片付けるかを見て選びます。
通路のほかに、地上権(建物を持つために他人の土地を使う権利)や賃借権(賃料を払って土地を借りる権利)が付いている土地もあります。その場合は、権利が付いた土地の売り方で権利ごとの影響を確かめてから選ぶと見落としを防げます。
| 選択肢 | 主な買い手 | 通路の問題を片付ける人 | 売主が先にやること | 代わりに引き受けること | 向く状況 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1. 隣地の持ち主に売る | 囲繞地の持ち主 | 不要(土地が一体になり問題が消える) | 買う意思があるか確かめる | 相手が買う気にならなければ進まない | 隣地の持ち主と話ができる |
| 2. 通路を確保してから仲介 | 一般の買い手 | 売主(隣地との交渉・測量・登記) | 通路部分の購入や通行地役権の設定 | 交渉・測量・登記の時間と費用。隣地が同意しなければ進まない | 時間と費用をかけてでも高く売りたい |
| 3. 現況のまま買取 | 買取業者 | 買取業者 | 査定を依頼する | 価格は仲介で売れた場合より低くなりやすい | 通路の話し合いが止まっている・早く手放したい |
※ 表は横にスクロールできます。
データ出典: 民法210〜213条・当社の買取の取り扱いを基に当社作成
1. 隣地(囲繞地)の所有者に買ってもらう
隣地の持ち主にとっては、土地が広がるうえに、自分の土地を通られる負担もなくなります。
通行の条件を決める場で、土地ごと買ってもらえないかを聞くのがいちばん手間の少ない始め方ですよ。
2. 通路を確保してから仲介で売り出す
通路部分を買い取って道路に2m以上接する形に整えれば、建て替えを検討できる土地として一般の買い手にも売り出せます。
ただし、隣地との交渉や測量、登記に時間と費用がかかり、隣地の持ち主が同意しなければ進みません。
3. 通路の問題を抱えたまま買取業者に売る
買取業者が買主になり、通路の問題ごと引き受けるため、売主は交渉や測量を自分で進めなくて済みます。
その代わり、価格は仲介で売れた場合より低くなりやすいです。買取業者は、買った後に自分で通路を整える手間と費用を見込んで価格を出すためです。
囲繞地(袋地を囲む側)を売るときは?
囲繞地は、袋地の持ち主に通路部分や土地を買ってもらう・袋地と一緒に売り出す・通られる負担付きで買取に出す、の3つから売り方を選びます。袋地の持ち主が通る権利は、囲繞地の買主にそのまま引き継がれるためです。
買主は通路部分を自由に使えないことを価格の検討に含めるため、その負担を消せる袋地の持ち主への売却がまず候補です。袋地と一緒に売り出せば、買主は道路に接する一続きの土地として検討できます。
通路の問題が片付かない袋地を手放すなら買取くんへ
通路の問題が残った袋地を売るときは、2つの点で方法を選びます。1つは、隣地との話し合い・測量・登記を、売る前に自分で進められるか。もう1つは、売れるまでの固定資産税や管理の負担を続けられるかです。
仲介で一般の買い手を探す方法は、建て替えできない土地だと、家を建てたい買い手の候補から外れやすくなります。通路が片付くまでは売り出しにくく、その間も税金と管理は続きます。
当社の買取くん(株式会社リアテクス)は、再建築不可を含む訳あり物件を、今の状態のまま買い取っています。権利関係の問題が残っていても、必要に応じて提携する弁護士・司法書士・土地家屋調査士がサポートします。当社の買取事例に、約8年空き家のままだった富山市の投資用空き家があります。建物の状態とエリアの条件で買い手が見つからなかったこの物件を、450万円で買い取りました(買取くん)。この売主さまからは「やりとりなどもスムーズでこちらが動くことも多くなくよかったです」という声をいただきました。
当社は、通路の話し合いが止まっているなら、再開を待つ間の税金や管理の負担と、今の状態で売る価格を並べて決めるのがよいと考えています。隣地と通路の話がつかないまま、使う予定のない袋地の固定資産税だけを払い続けていて、その状態を早く終わらせたい人に向いています。隣地の持ち主が買ってくれそうなときや、時間をかけても高く売りたいときは、選択肢1・2が先です。
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袋地についてよくある質問
袋地の読み方と意味は?
「袋地」は「ふくろち」と読み、周りを他人の土地に囲まれて道路に出られない土地を指します。袋地を囲む側の土地は「囲繞地(いにょうち)」と呼ばれます。
囲繞地通行権の通路の幅はどこまで認められる?
条文に通路の幅の数字はなく、通るのに必要で隣地の損害が最も少ない幅に限られます(民法211条)。建て替えに必要な2mの幅が当然に認められるわけではありません。
袋地の固定資産税は安くなる?
袋地にも固定資産税はかかりますが、評価では道路に接していないことが考慮されます。東京23区の画地補正率表には、無道路地補正率0.60が載っています(東京都主税局「令和6基準年度 画地補正率表」)。相続税の評価でも、通路に当たる金額を価額の40%の範囲内で差し引きます(国税庁 No.4620)。実際の税額は、土地のある市区町村の評価で決まります。
買取くんでは道路に面していない袋地も査定してもらえる?
査定の依頼は可能です。当社は再建築不可を含む訳あり物件を買い取っており、道路に出るのに隣地を通っている袋地も相談の対象です。売買のときの所有権移転登記は、提携する司法書士が担当します。通路の状況を添えて、査定をご依頼ください。
まとめ
袋地は、他人の土地に囲まれて道路に出られない土地ですが、持ち主は隣地の損害が最も少ない範囲で囲繞地を通れ、その代わりに通行料を払います。通行を断られても、話し合いと書面、民事調停、訴訟の順で通れる条件を確かめられます。まずは通路の場所と通行料を書面にし、売るなら通路の問題を誰が片付けるかで3つの方法から選んでください。
買取くんは、再建築不可を含む訳あり物件を対象として当社が買主となって直接買い取るため、仲介のように買い手が現れるのを待たずに売却を進められます。隣地との話し合いの行方を待たずに、袋地を手放す日を自分で決めたい人に向いています。
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