訳あり物件・再建築不可

私道のトラブル5つと対処の順番|承諾が取れないときの相談先

赤く塗装された境界杭

「前の道のことで、隣の家に頼みに行きづらくて」 「工事の承諾がもらえないまま、話が止まっています」

私道のトラブルは、通行・掘削・補修費用・駐車・通行料の5つに整理でき、いずれも所有者の承諾が起点です。承諾が取れなくても袋地の通行は民法で認められます。掘削と売却は売り出す前に書面で取り直し、まとまらないときの相談先と費用の目安までご案内します。

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私道の承諾が取れず話が止まっている物件も、権利関係はそのままの状態でご相談いただけます。

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私道でトラブルが起きる理由は、通行と工事に所有者の承諾が要るから

公道と私道の名義と修繕負担の違い、共同所有型と相互持合型で承諾の相手が変わることを整理した図

名義の形と道の持ち方が分かると、承諾を頼む相手が決まります(当社作成)

私道は個人や法人が所有する道路で、通るときも掘るときも所有者の承諾が要ります。公道は国や自治体が持ち主で、傷めば税金で直します。私道は持ち主の土地で、直すのも持ち主。同じ「道」に見えても、私道では一言が要る場面が出てくるんです。

承諾が要るのは人柄のせいではなく、道が誰かの所有地だから。道路の分類と接道のルールは接道義務の基本と建築基準法上の道路の種類をご覧ください。

私道と公道は「誰の土地か」と「誰が直すか」が違う

違いは、登記の名義と修繕の負担です。公道は舗装も側溝の掃除も管理者が行い、私道は傷んでも所有者が直します。

やっかいなのは、見た目で区別がつかないこと。どちらかは法務局の公図と登記事項証明書、市区町村の道路管理課で確かめられます。手順は前面道路が私道か公道かを確かめる手順で説明しています。

共同所有型と相互持合型で、承諾をもらう相手が変わる

承諾をもらう相手は、私道の持ち方で変わります:

  • 共同所有型——1本の道を沿道の全員で共有する形。登記簿に複数の名前が並びます
  • 相互持合型——道を区画ごとに分け、それぞれが単独で持つ形。自分の名義は家の前だけです

共有持分とは、1つの不動産を複数人で持つときの各自の取り分のこと。持分がない場合の影響と私道の固定資産税は私道持分の意味と持分なしの影響に整理しています。

自宅の前の道が隣の3軒と自分の4人の名義なら、共同所有型の相手は自分以外の3人全員、相互持合型では掘る場所の名義人です。⇒ まず登記事項証明書で名義の形を確かめる。相続のたびに名義人は増えます。同意の要件は共有私道の同意要件、持分を動かす方法は共有持分の買取が参考になります。

私道で実際に起きるトラブル5つ

トラブル5類型を日常・工事補修・売買相続の3つの時点に束ね、それぞれ最初に開く書面を示した振り分け図

表に出た時点をたどると、最初に開く書面が決まります(出典: e-Gov 民法/世田谷区の私道整備助成を基に当社作成)

私道で起きるトラブルは、通行・掘削・補修費用・駐車・通行料をめぐる5つに分かれます。共通しているのは、道が誰かの持ち物である以上、通るのも掘るのも直すのも、承諾か費用負担の話に行き着く点です。自分がどれに当たるかで、確認する書面も相談先も変わります。

5つの型と、確かめる場所・次の一手

トラブルの型いつ表面化するか最初に確認する書面・場所次に取る行動
通行を止められる日常公図・登記事項証明書袋地かを確かめ弁護士へ
掘削の承諾が出ない工事のとき過去の通行掘削承諾書所有者全員へ書面で依頼
補修費用の負担舗装が傷んだとき市区町村の助成の要件幅員と経過年数を照合
駐車・私物置き日常沿道の取り決め使い方を決め書面に残す
通行料・償金売買・相続のとき過去の支払いの記録根拠の条文を確かめる

データ出典: e-Gov 民法世田谷区 私道整備助成

表で効くのは「いつ表に出るか」と「どこで確かめるか」の2点です。

1. 隣の所有者に通行を止められる

私道で通行を止められても、袋地なら民法210条の通行権があり、話し合いが決裂しても通行そのものは認められます。民法210条は「他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる」と定めています。囲まれた土地(袋地)の所有者に法律が直接与える権利で、囲繞地通行権と呼ばれます。

ただし通る場所と方法は、通行する側に必要で、かつ相手の土地の損害が最も少ないものを選びます(同211条1項)。取り決めで作る通行地役権も、長年通った事実だけで権利になるわけではありません(同283条)。自分の土地が袋地に当たるかは個別の事情で変わりますので、判断は弁護士にご確認ください

2. 掘削の承諾がもらえず、水道・ガスの工事が進まない

掘削の承諾とは、水道管やガス管を引き込むために私道を掘る工事について、道の所有者からもらう同意のことです。書面にしたものが通行掘削承諾書で、売買や工事の場面で提示を求められます。

止まり方は急です。給湯器の交換で水道管を引き直すことになり、見積もりの段階で「承諾書はありますか」と聞かれる。手元に何もなく、前の工事は何十年も前で所有者も代替わり済み——ここで止まります。⇒ 掘る工事は、計画の段階で承諾を確かめる。

3. 舗装や側溝の補修費用を誰が出すかで揉める

私道の補修費用は原則として所有者の負担ですが、市区町村の助成が使える場合があります。5つの型でいちばん金額が動く場所で、中身は自治体ごとに違います:

⇒ 全国共通の助成率はなく、自分の市区町村の土木事務所で要件を確認するのが先。しかも神戸市も世田谷区も、申請に所有者の了解や承諾書を求めます。助成を使う場合でも、承諾の問題は避けて通れません

世田谷区で行き止まり私道の舗装をやり直すなら、工事費100万円で助成は80万円以内、残りを沿道の所有者で分ける形です。共有名義なら管理に関する事項は持分の価格に従い過半数で決めると定められています(前掲・民法252条)。誰の同意が要るかは共有私道の同意要件で確かめられます。

4. 私道を駐車場や私物置き場にされる

車を置かれる、植木鉢や資材が置かれる。この型は、所有者どうしの取り決めの問題として扱うのが出発点です。車の出し入れや緊急車両の通行が妨げられます。対処は、置かれた場所が誰の持分の上かを公図で確かめ、使い方を沿道で決めて書面に残すこと。⇒ 口頭の合意は、代替わりで消えます。

5. 私道の通行料や償金を求められる

通行料を求められたら、確かめるのは支払いの根拠です。民法は、210条の通行権を持つ人は通行する土地の損害に対して償金を支払うと定めています(前掲・民法212条)。押さえたいのは213条で、分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その所有者は他の分割者の所有地のみを通行でき、償金を支払うことを要しないとされています。⇒ 分譲や分筆でできた袋地なら、対価を払わずに通れる場合があるということ。

金額は法律に定めがなく、公的な相場も示されていません。言い値を飲む前に、どの条文の話かを確かめてください。

承諾が取れないと、売却と建て替えはどこで止まるのか

売り出す前・買主決定後・建て替え前の時間軸に、ローン審査と引き込み工事の2つの停止点と代替策を並べた図

上段が承諾を取れたとき、下段が取れないときの代替です(当社作成)

私道の掘削承諾が取れないと売却も建て替えも止まるため、売り出す前に所有者全員から書面で取るのが順番です。止まる場所は、買主の資金の話と、水道・ガスの引き込み工事の2か所。売却なら買主が現れてから、建て替えなら建物を壊してから表に出ます。⇒ 売り出す前と、解体を契約する前が、期限に追われずに頼めるタイミングなんです。

買主の住宅ローン審査と重要事項説明で止まる

前面道路が私道なら、その負担と通行・掘削の承諾の有無は、売買のときに買主へ説明する事項です。書面がなければ「承諾なし」のまま説明することになり、買主は迷います。住宅ローンを使う買主にとっては、担保の土地が将来建て替えできるかが問題です。再建築不可とは、建て替えのための建築確認が受けられない土地のこと。承諾のない土地は水道もガスも引き直せない前提で見られやすく、値引き交渉どころか契約そのものが白紙に戻る場面があります

水道・ガスの引き込みができず、建て替えの計画が止まる

解体して建て直すとき、水道管やガス管の引き直しはほぼ避けられず、配管は私道の下を通ります。建物を壊してからでは引き返せません。掘るには承諾が要る——1人分でも欠けると着工できません。相互持合型なら掘る区間ごとに相手が変わり、1人が断れば経路の変更か交渉かの二択です。⇒ 解体の契約より前に、承諾を取れるかどうかを確かめる。

売り出す前に承諾を取る順番

承諾を取る順番は、売り出す前・買主が決まった後・建て替えの前・助成の申請時で、相手も書面も変わります。

時期誰の承諾が要るか書面の名前取れないときの代替
売り出す前所有者全員通行掘削承諾書承諾なしを前提に買主を探す
買主が決まった後同じ所有者通行掘削承諾書契約に交渉の期間を入れる
建て替えの前掘る区間の所有者通行掘削承諾書引き込み経路の変更を検討
助成の申請時沿道の所有者土地使用承諾書助成を使わず自費で施工

データ出典: 土地使用承諾書の様式は世田谷区の私道整備助成/その他の行は当社作成

見ていただきたいのは右端の列で、承諾が取れなくても道は残っています。通行掘削承諾書に法定の様式はなく、当事者どうしで作る私文書。一方で世田谷区は、助成の申請に独自様式の土地使用承諾書を用意しています。⇒ 「国が決めた雛形」が見つからないのは、そもそも存在しないから。書面の中身は個別の事情で変わりますので、作成は司法書士や弁護士にご相談ください。越境物があるなら承諾とは別に書面が要ります。項目は越境の覚書に書く項目と作成手順にまとめました。

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承諾書がそろっていない土地でも、残置物(家具や家電など残った荷物)があっても、当社が直接の買主として買い取れるかを確認します。

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トラブルが解決しないときの相談先と、費用の目安・進める順番

6つの解決手段を費用と相手が応じなくても進むかの2軸に配置し、民事調停の申立手数料5,000円を示した図

右上ほど相手の返事を待たずに進みます。手数料は目的の価額100万円・書面申立ての場合(出典: 裁判所 手数料額早見表)

舗装や補修の相談は市区町村の土木事務所、通行や掘削の争いは弁護士や民事調停が持ち込み先です。同じ「相談先」でも扱える中身が違い、費用は当事者間の話し合い・自治体の窓口・民事調停・訴えの提起の順で上がります。決裂したら裁判しかない、ということはありません。

まず当事者間で、日付と内容を記録しながら話す

最初にやることは、記録を残しながら話すことです。いつ、誰に、何を頼んで、どう返ってきたか。手帳の1行で構いません。代替わりしていれば、いまの名義人を登記事項証明書で確認してから頼み、断られた理由も書き留めます。費用の話なら助成の要件を調べて出直せますし、安全の話なら期間と時間帯を決めて頼み直せます。⇒ 記録は、弁護士や調停へ進むときの材料になります。

市区町村の土木事務所で確認できるのは、補修助成の要件と申請の書面

市区町村の窓口ではっきり答えてもらえるのは、私道の補修に助成が使えるかどうかです。窓口は横浜市なら各区の土木事務所、神戸市なら区の建設事務所。確認できるのは次の3点:

  • 自分の道が助成の対象になる幅員・経過年数を満たしているか
  • 申請に必要な承諾書の様式と、誰の署名が要るか
  • 市が代わりに施工する制度があるか(横浜市の私道整備制度)

一方、通行や掘削をめぐる争いを窓口がどこまで扱えるかは自治体で違います。⇒ 出向く前に電話で「この内容は相談できますか」と聞くと、往復が一度で済みます。

弁護士・民事調停・訴訟にかかる費用と、相手が応じなくても進むか

費用がはっきり分かるのは、裁判所に納める申立手数料です。裁判所の手数料額早見表によれば、訴訟の目的の価額が100万円のとき、民事調停の申立ては5,000円です。訴えの提起(民事訴訟・書面での申立て)は12,500円になります(裁判所 手数料)。民事調停は、裁判所で調停委員を交えて話し合う手続きのこと。「目的の価額」は争いの対象の金額で、100万円相当の揉めごとなら調停は訴えの提起の半分以下で申し立てられます。⇒ 決裂したら裁判、と考えて止まる必要はありません。

手段費用の目安相手が応じなくても進むか向く場面
当事者間の話し合いかからない進まない関係を保ちたいとき
市区町村の土木事務所相談は無料助成の要件確認まで舗装・側溝の補修
弁護士に相談事務所ごとに異なる交渉は相手次第権利を整理したいとき
民事調停申立手数料5,000円合意できなければ終了話し合いで決めたいとき
訴えの提起申立手数料12,500円判決で決まる通行権を確定したいとき
現況のまま手放す査定は無料承諾を待たずに進む売却が止まっているとき

手数料は目的の価額100万円・書面申立ての場合、表は先に試す順です。データ出典: 裁判所 手数料額早見表横浜市 私道整備助成制度

注目は3列目です。話し合いも弁護士の交渉も、相手が応じなければ止まります。返事を待たずに動かせるのは、判決で決める道と、承諾が無いまま手放す道だけ。弁護士費用は事務所ごとに違い公的な相場もありませんので、依頼の前に見積もりを取ってください

承諾が取れないまま手放す選択肢

承諾が取れないままでも、土地を手放す道はあります。現況買取とは、いまある状態のまま引き渡す売り方のこと。権利関係を整理してから売るのではなく、整理されていない状態を前提に買い取る会社があります。一般の仲介では買主が住宅ローンを使う前提で進むため、承諾書がない土地は候補から外れやすくなります。当社の買取くんも、権利関係が整理できていない物件を直接買い取っています。同じ理由で止まりやすい旗竿地の売り方は旗竿地が売れない原因と売り方で解説しています。

私道のトラブルでよくある質問

私道の通行を隣人に止められたらどうすればよいですか

まず自分の土地が袋地に当たるかを確かめてください。他の土地に囲まれて公道に通じない土地なら、前掲・民法210条の通行権があり、承諾の有無とは別に通行が認められます。通る場所と方法は相手の土地の損害が最も少ないものを選びます(同211条1項)。袋地に当たるかの判断は弁護士にご確認ください。

私道の舗装が傷んだとき、費用は誰が出すのですか

原則は所有者の負担です。ただし市区町村に私道整備の助成があれば、工事費の一部が助成される場合があります。申請するのは沿道の所有者側で、横浜市のように市が代わりに施工する制度を持つ自治体もあります。要件も助成率も自治体ごとに違いますので、まず土木事務所へお問い合わせください。

私道の掘削承諾は書面でもらう必要がありますか

法律で様式が決まった書面ではありませんが、売買や工事の実務では書面を求められます。書面は当事者どうしの証拠として残るもので、所有者が代わったあとも通用するかは別の問題です。売り出す前に、いまの所有者から取り直す必要があるかを確認してください。効力の判断は弁護士にご相談ください。

私道のトラブルはどこに相談すればいいですか

内容で分かれます。舗装や側溝の補修、助成の要件は市区町村の土木事務所へ。通行や掘削の承諾をめぐる争いは弁護士、話し合いで決着させたいなら簡易裁判所の民事調停です。登記や書面の作成は司法書士が窓口になります。

買取くんでは、私道の承諾が取れていない土地でも買取は可能ですか

可能です。当社の買取くんは、共有持分や再建築不可、底地(貸している土地)や借地権(借りている土地)など権利関係が整理できていない物件を直接買い取っています。残置物を残したままの現況買取に対応し、他社で断られた物件も全国で扱います。承諾がどこで止まっているかも含めてお聞かせください。

前面道路が私道であること自体が建て替えの可否に関わる場合もあります。道路と敷地の関係は接道義務を満たさない土地に何が起きるかをご覧ください。

まとめ

私道のトラブルは所有者の承諾が起点で、売り出す前に書面で承諾を取れるかが分かれ目になります。袋地の通行そのものは民法で認められていますが、掘削と売却は承諾がないところで止まります。自分のケースを5つの型から特定して、舗装なら市区町村の土木事務所、権利の争いなら弁護士へ持ち込んでください。個別の判断は弁護士や司法書士にご確認ください。

当社の買取くんは権利関係が整理できていない物件を直接買い取り、所有権移転登記まで提携する司法書士・土地家屋調査士が担当します。承諾を待つ間も固定資産税を払い続けている方に向いています。

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私道の承諾が取れずに売却が止まっているなら、まず現況の物件情報をお寄せください。

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監修

株式会社リアテクス 執行役員 鶴野博之

鶴野 博之

株式会社リアテクス 執行役員

宅地建物取引士(東京)第257503号賃貸経営管理士FP2級

一棟投資物件専門の仲介会社で不動産業界に参入後、前職では「訳あり・瑕疵物件」に特化したコンサルティングプログラム責任者として600名以上の投資家の購入から売却までに携わる。自身も再建築不可物件を中心に訳あり物件へ投資し、転売売買から保有物件まで数々の実績を持つ。