不動産買取の基礎知識

家を更地にして売るべき?解体費を誰が払うかで手取りが変わる

屋根修理 外装工事 工事現場の職人

「買主から『更地渡しでお願いしたい』と言われた」 「壊す費用は、こちら持ちということなんだろうか」

更地にするかどうかは、買主が決まっているかと、解体費を先に払うか価格から引くかで決まります。更地渡しとは、売買契約を結んだあとに売主の負担で解体・整地して引き渡す売り方のことです。買主が決まってから、更地渡しにするか値引きにするかを契約で選ぶのが基本なんです。更地にして売却した場合との手取りの差、解体費の負担、特約、着手前の確認まで順にご案内します。

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「更地渡し」とは?契約後に売主が解体して引き渡す売り方

更地渡しと現況渡しを契約・発注・支払い・引渡しの順に並べ、特約で決める撤去対象6つまで示した図解

解体費を払う人と払う時点で2つの引渡し条件を整理(当社作成)

更地渡しとは、売買契約を結んだあとに売主の費用で建物を解体し、土地の状態にして引き渡す売り方です。建物を残したまま引き渡す条件は現況渡しと呼びます。解体するかどうかではなく、誰がいつ解体費を払うかが、この2つの分かれ目になります。

更地渡しと現況渡しは、解体費を払う人と払う時点が違う

たとえば、内見に来た買主から「更地渡しでお願いします」と言われた場面。この一言は、契約したあとに売主のお金で建物を壊し、土地だけの状態にして引き渡してほしい、という依頼です。物件情報に「解体更地渡し」と書かれることもありますが、中身は同じです。

2つの条件の違いを並べると、こうなります。

  • 更地渡し:契約 ⇒ 売主が解体業者へ発注 ⇒ 工事の前後で売主が支払い ⇒ 更地で引渡し
  • 現況渡し:契約 ⇒ 建物が建ったまま引渡し ⇒ 買主が自分の判断で解体する(そのまま使うこともある)

同じ「壊す」でも、財布の出どころと出ていく時期が正反対ですよね。

なお、建物を壊したあとには、登記簿から建物を消す手続きが別に必要です。更地にしたあとに必要な滅失登記の手続きに段取りと期限をまとめています。

「更地渡し」の範囲は法律ではなく売買契約の特約で決まる

更地渡しは、法律で中身が決まっている言葉ではありません。売買契約の特約で範囲が決まる、取引実務上の呼び方です。つまり「更地にしてお渡しします」と口頭で合意しただけでは、どこまで壊してどんな状態にするのかは何も決まっていないことになります。

食い違いが起きるのは、建物本体ではなくその周りです。ブロック塀は。門扉は。庭の木や物置は。地面の下から古い基礎が出てきたら。契約書に書いていない部分が、そのまま追加請求と引渡し遅れの入口になります

だからこそ、更地渡しで合意する場面は「範囲を決める」作業が本体になります。

買主から求められた場合と、自分から更地にする場合で決めることが変わる

同じ「更地にして売る」でも、買主が決まっているかどうかで、考える中身が入れ替わります。

買主が決まっている場合、これは契約条件の交渉です。解体費を誰が持つか、どこまで撤去するか、いつ引き渡すか。決めるべきことは多いものの、費用をかけた先に買主がいることは確定しています。

買主が決まっていない場合、これは投資判断になります。売れるかどうか分からない段階で工事費を先に出す形ですし、更地にすれば買主が現れるという保証もありません。この判断は、着手前に確かめる3点として後半で扱います。

更地で売るか古家付きで売るかで、売主の手取りはどこが変わる?

解体費が口座から出る時点で4つの売り方を時間軸に並べ、更地のまま抱える期間と持ち出しゼロの形を示した図

支払い時点と更地を抱える期間で4つの売り方を並べ替え(出典: 総務省 固定資産税〔住宅用地特例〕/当社の買取条件)

更地にしても古家付きでも、手取りの差は解体費の額ではなく、その費用を払う時点と売れるまでの期間で決まります。更地渡しなら売主が契約後に立て替え、現況渡しに解体費相当の値引きを付けるなら売る価格から差し引かれます。出ていく順番が違うだけで、手元に残る金額と時期は変わってくるんです。

解体費を「先に払う」か「価格から引かれる」かで手取りが変わる

たとえば、同じ業者の同じ見積書で工事をするとします。

更地渡しなら、契約を結んだあとに売主が業者へ発注し、工事の前後で自分の口座から支払います。売却代金が入ってくるのは引渡しの日ですから、その間は立て替えている状態です。現況渡しに解体費相当の値引きを付ける形なら、売主の口座からは1円も出ていきません。その代わり、受け取る売却代金が値引き分だけ少なくなります。

解体費をいつ払うかで売り方を分けると、選択肢は次の4つに整理できます。

売り方解体費を払う人と時点引渡しまでの期間翌年度の土地の固定資産税
①更地にしてから売り出す売主が売り出し前に払う買主探しが解体後に始まる売れ残れば売主に影響する
②更地渡し売主が契約後に払う契約から解体日数ぶん延びる年内に引き渡せば影響しない
③現況渡し+解体費相当の値引き買主が引渡し後に払う解体を挟まないぶん短い建物が残るので影響しない
④現況のまま買取売主は払わない(引渡し後は買主側の判断)買主が決まっているので短い建物が残るので影響しない

データ出典: 当社の買取条件。翌年度の固定資産税の欄は、次の項で解説する住宅用地特例にもとづきます。

①だけが「買主が決まる前に払う」形で、ほかの3つは買主が決まったあとに動きます。なお解体費の総額は構造と広さで変わりますので、金額の目安は家の解体料金の相場をご覧ください。

更地のまま1月1日を越えると、翌年度の土地の税が上がる

更地のまま1月1日を越えると、翌年度の土地の固定資産税が上がります。住宅が建つ土地には住宅用地特例という軽減の仕組みがあり、建物を壊すとこれが外れるからです(総務省 固定資産税)。当社はこれを、税そのものの話というより「解体した年のうちに売り切れるか」という時間の問題だと見ています。⇒ 上がり方と金額の目安は空き家の固定資産税の仕組みへ。

売れるまでの期間が延びるほど、更地の負担は積み上がる

更地には、買主にとって分かりやすいという強みがあります。建物の傷み具合を確かめる手間がなく、どんな家が建つか図面で考えやすい。だから検討者の幅は広がります。

一方で、売れなかったときに残るのが厄介です。建物は戻せませんから、軽減の外れた土地の税と、草刈りや不法投棄への対応だけが続きます。しかも更地の放置は、近隣から見てすぐに分かります。

更地にする判断は、費用の判断であると同時に「いつまでに売るか」の判断です。売り切る時期の見込みが立たないうちは、先に壊す理由が弱くなります。

要点: 手取りの差を作るのは解体費の金額そのものではなく、その費用が口座から出ていく時点と、更地のまま抱える期間です。

解体費は誰が負担する?更地渡しなら売主、現況渡し+値引きなら買主

解体費に法律上の負担者はなく、売却の条件として売主と買主のどちらが持つかを決めます。更地渡しなら売主が契約後に払い、現況渡しに解体費相当の値引きを付けるなら買主が引渡し後に払います。この2つが基本形で、前の章の表でいえば②と③にあたります。

2つの形売主の持ち出し売却価格への反映向いている場面
更地渡し契約後に解体費を立て替える更地を前提にした価格で売れる買主が土地として使う予定のとき
現況渡し+解体費相当の値引きなし解体費相当を引いた価格になる解体費を先に出せないとき

更地渡しは、売主が契約後に解体費を負担する形

更地渡しの順番は、契約 ⇒ 解体 ⇒ 引渡しです。契約を結んだ時点ではまだ売却代金が入っていませんので、着手までに工事代金を用意しておく必要があります。工事の途中で着手金、完了後に残金という支払い方であれば、資金の準備は引渡しより前倒しになります。

この形では、工事を発注するのは売主です。業者を選ぶのも、見積の中身を確かめるのも、近隣へのあいさつを段取りするのも売主側になります。買主から「うちが手配します」と言われた場合は、それは更地渡しではなく現況渡しに近い形ですので、契約書の文言を確かめてください。見積は契約に入る前に取っておくと、負担額を知らないまま条件を飲む事態を避けられます。

現況渡し+解体費相当の値引きは、買主が負担する形

もう一つが、建物を残したまま引き渡し、その代わり価格から解体費相当を引く形です。売主の持ち出しはありません。工事の段取りも、業者とのやり取りも買主側に移ります。

注意したいのは、値引き額が見積額とぴったり同じになるとは限らない点です。買主は工事中に想定外の費用が出る可能性まで織り込みますので、見積より大きめの値引きを求めてくることがあります。見積書を先に取っておくと、この交渉で基準が持てます。

どちらの形が有利かは、持ち出しの有無と受け取る金額の差を前の章の表で比べてください。

更地渡しの条件は交渉で変えられる(値引き・解体費の上限)

買主から更地渡しを求められても、その条件をそのまま受ける必要はありません。更地渡しは合意事項であって、売主の義務ではないからです。持ち出しが難しい場合は、現況渡しに解体費相当の値引きを付ける案、解体費の上限を決めて超過分は買主負担とする案、撤去範囲を建物本体に限る案などを出せます。

税の扱いも判断材料になります。土地を売るためにその上の建物を取り壊した場合、その取壊し費用は譲渡費用として認められます(国税庁 No.3255 譲渡費用となるもの)。譲渡所得とは不動産を売って出た利益のことで、売った金額から取得費と譲渡費用を引いて計算します。当社はこの扱いを、更地渡しの持ち出しをいくらか和らげる材料だと見ています。だから値引き案と更地渡し案を比べるときは、支払う工事代金だけでなく、最終的に手元に残る金額まで並べて確かめてください。計算や申告の手順は空き家を売ったときの税金へ。

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更地渡しでもめやすい5つの場面

更地渡しでもめるのは、解体の範囲・整地の水準・地中の状態・引渡し日・契約が白紙になったときの5つです。どれも工事の腕前ではなく、契約書に書いていなかったことが原因で起きます。裏を返せば、この5つは着工前に文章で決めておける項目でもあります。

①どこまで壊すのかで認識がずれる

建物本体以外に何が敷地にあるかを、思い浮かべてみてください。ブロック塀、門扉、カーポート、庭木、物置、井戸、それから雑草。売主は「家を壊す」と考え、買主は「建てられる状態にする」と考えていると、このひとつひとつで食い違います。

特に塀は要注意です。ブロック塀の撤去は、隣地との境界の確認とセットになります。塀が境界線のどちら側に建っているのか、隣地と共有していないか。壊してからでは元に戻せませんので、着手前に隣地の所有者と現地で確かめておくのが安全です。

②整地をどこまでやるかが決まっていない

建物を壊したあとの地面をどの状態にするかも、認識がずれやすいところです。基礎のがらを撤去して地面を締め固めるところまでやるのか、表面をならすだけで終えるのか。作業の量が違えば、当然かかる費用も日数も変わります。

引渡しの当日に買主が現地を見て「これでは駐車もできない」となると、追加工事の話が始まります。

③解体中に地中から基礎やガラが出てくる

建物を壊すと、それまで見えなかった地面の下が見えます。古い建物の基礎、コンクリートのがら、以前の建物の浄化槽。これらが出てくると、撤去費用を誰が持つかという話になります。

ここで関わってくるのが契約不適合責任です。契約不適合責任とは、引き渡した物が契約の内容に合っていなかったときに売主が負う責任のことをいいます。買主は補修や代金の減額、損害賠償や契約解除を求めることができ、その通知は不適合を知った時から1年以内と定められています(e-Gov法令検索 民法)。

責任を負わない特約を付けることもできますが、万能ではありません。民法572条は、担保責任を負わない特約をしていても、知りながら告げなかった事実については責任を免れられないと定めています。たとえば古い建物の基礎が地下に残っていることを売主が知っていた場合、免責の特約があっても、伝えていなければ責任は残る形になります。地中の状態に心当たりがあるなら、隠すより先に伝えて、費用の分担を決めておくほうが安全です。個別の契約の解釈については、提携する司法書士や宅地建物取引業者にご相談ください。

④引渡し日までに更地が間に合わない

更地渡しでは、解体工事を発注するのは売主です。建物の解体で床面積80平方メートル以上の工事は、着手の7日前までに発注者から都道府県知事へ届け出ることが義務づけられています(環境省 建設リサイクル法の概要)。さらに解体部分の延べ床面積が80平方メートル以上なら、石綿の事前調査の結果を労働基準監督署へ報告する必要があります(2022年4月から。厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト)。

当社はこの2つを、引渡し日の設定で最も見落とされやすい部分だと考えています。どちらも工事そのものではなく、工事に入る前に時間を使う手続きだからです。だから引渡し日は、解体にかかる日数だけでなく、届出と事前調査にかかる日数まで足して逆算してください。

⑤契約が白紙に戻り、更地だけが残る

売買契約は、決済まで進むとは限りません。手付解除で買主が抜けることもありますし、住宅ローンが通らなかった場合に契約が白紙に戻る特約(ローン特約)が付いていることもあります。

このとき、すでに解体が終わっていたらどうなるか。建物は消え、更地になった土地と支払い済みの工事代金が売主に残ります。契約書に定めがなければ、工事代金は売主に残ります。更地渡しで金額が大きくなりやすい事故が、この「解体だけ終わって契約が消える」形です

要点: 5つに共通しているのは、工事の失敗ではなく契約書に書いていなかったことが原因という点です。次の章で、そのまま特約に書ける形にします。

更地渡しの特約で決めておく5項目

特約5項目を契約時・着手前・工事中・解除時に振り分け、未記載なら解体費が売主100%負担になる点を示した図

5項目が効く場面と、書かなかったときの負担者を整理(出典: e-Gov法令検索 民法/環境省 建設リサイクル法の概要)

更地渡しは、解体の範囲・整地の水準・地中埋設物の負担・引渡し期日・白紙解除時の解体費の5つを特約で決めます。口約束や見積書のやり取りだけでは、あとから範囲を動かされたときに戻せません。契約書に文章として残っているかどうかが、そのまま負担の分かれ目になります。

特約で決める項目決めていないと起きること契約書での決め方
①解体の範囲塀や庭木の撤去でもめる撤去する物を列挙し、残す物も書く
②整地の水準引渡し時の地面の状態で食い違うがら撤去と転圧までか、表面をならすまでかを書く
③地中埋設物の負担追加費用の請求先が決まらない負担する側と上限額、超えたときの扱いを書く
④引渡し期日と着手条件引渡しが遅れる着手は契約成立後とし、届出の日数を見込んだ期日にする
⑤白紙解除時の解体費解体費だけが残る解除された場合の解体費の負担者を書く

データ出典: e-Gov法令検索 民法(③の契約不適合責任)、環境省 建設リサイクル法の概要(④の届出)

①解体の範囲——建物本体のほかに何を撤去するか

書き方はシンプルで、撤去する物を名前で並べるだけです。「建物本体、ブロック塀、門扉、カーポート、庭木および立木、物置」というように、敷地にある物をひとつずつ挙げます。

同時に「残す物」も書いてください。庭石や記念樹を残したい場合、書いていなければ一緒に撤去されます。家財や生活用品が家の中に残っている場合は、残置物の扱いも決めておきます。残置物とは、家具や家電、衣類など、引渡しの時点で建物の中に残っている物のことです。処分費が別に発生しますので、誰が費用を持つかまで書いておくと安心です。

雑草は日数が経つと状態が変わりますので、「引渡し日の時点で」と時点まで添えておくと食い違いが起きません。

②整地の水準——どの状態で引き渡すか

整地は、どこまでやるかで作業量が変わります。地中のがらを撤去して地面を締め固めるところまでか、表面をならして終わりか。契約書には、この到達点を書きます。

判断の目安は、買主がその土地で何をするかです。すぐに家を建てる予定なら建築工事の中で地盤の工事が入りますので、過剰な仕上げは費用の無駄になります。しばらく更地のまま持つ予定なら、雑草対策を兼ねた仕上げを決めておくとよいでしょう。

③地中埋設物が出たときの費用負担と上限

ここは3つをセットで書きます。誰が負担するか、上限額をいくらにするか、上限を超えたときにどうするかです。

上限を決めておくのが要点になります。「地中埋設物の撤去費用は売主の負担とする」とだけ書くと、想定外の物が出てきたときに青天井になります。上限額を定めたうえで、超えた場合は買主と協議する、あるいは契約を解除できるといった逃げ道まで書いておくと、双方が計算できる状態になります。

心当たりのある埋設物は契約前に伝えたうえで、負担を決めるのが安全な順番です。

④引渡し期日と、解体に着手する条件

期日と着手条件は、対で書いてください。「解体工事への着手は、本契約の成立後とする」という一文があるだけで、契約が固まる前に工事へ入ってしまう事故を防げます。

期日のほうは、工事日数に手続きの日数を足して決めます。届出は着手の7日前まで、石綿の事前調査はさらにその前です。近隣へのあいさつやライフラインの停止手続きも入りますので、業者の言う「工期」だけで逆算すると間に合いません。余裕を持たせた日付にして、早く終わったぶんは引渡しを前倒しできるよう書いておくとよいでしょう。

⑤契約が白紙になったときの解体費の扱い

最後の1項目が、抜けやすく、そして金額が大きいところです。手付解除やローン特約による解除で契約が白紙に戻ったとき、すでに支出した解体費を誰が持つのかを書きます。

書き方は2通りあります。着手条件を「ローン特約の期限を過ぎたあと」と後ろにずらして、そもそも解体前に解除が確定する形にする方法。もうひとつが、解除の場合に解体費の一部または全部を買主が負担する、と明記する方法です。買主が受け入れるかは交渉次第ですが、提案しなければ、解体費は全額、売主の負担で確定します

要点: この5つは、売買契約書に自動では載りません。当社は、買主から更地渡しを求められた時点で、5項目をまとめて特約案として先に出す進め方が売主にとって安全だと考えています。

解体に着手する前に確かめる3点

買主の確定・1月1日の税・売れ残りの持ち出しの3点と、更地の見込み額から工事代金を引いて査定額と比べる式の図

着手前の3点確認と、更地と現況を同じ時期に比べる計算式(出典: 総務省 固定資産税の概要)

解体に着手する前に、買主が決まっているか、税負担がいつ変わるか、売れ残ったときにいくら持ち出すかの3つを確かめます。ここを飛ばして先に壊すと、やり直しがききません。建物は戻せず、更地のまま税と管理だけが続く形になります。

買主が確定しているか

1つめが、買う人が決まっているかどうかです。買主が決まる前の先行解体は、工事代金を回収できないまま売れ残る可能性を抱えたまま進めることになります。

もう一つ確かめてほしいのが、その土地に建物を建て直せるかどうかです。再建築不可とは、現在の建築基準法の道路の条件を満たさないために、建物を壊すと新しい家を建てられなくなる土地のことをいいます。この条件に当たる土地を更地にすると、建てられない土地だけが残ります。判定の方法は再建築不可物件とはをご確認ください。

そもそも解体すべきかどうかで迷っている段階であれば、解体するかどうかを決める前の確認事項から読み進めるほうが順番として自然です。

税負担がいつ変わるか

2つめが、着手日と税の関係です。固定資産税は毎年1月1日時点の状態で決まります(総務省 固定資産税の概要)。

つまり見るべきなのは税率ではなく、カレンダーです。年内に工事を終えるのか、年明けに着手するのか。同じ工事でも、この線をまたぐかどうかで軽減が外れる年度が1年ずれます。買主が決まっていて年内に引き渡せるなら気にする必要はありませんが、引渡しが年をまたぐ見込みなら、着手日を後ろへずらす相談ができないか確かめてみてください。

売れ残ったときの持ち出し

3つめが、売れなかった場合にいくら出ていくかです。工事代金に加えて、軽減の外れた土地の固定資産税、草刈りなどの管理費用が続きます。期間が読めないぶん、総額も読めません。

比べる相手を用意しておくと、この判断が具体的になります。解体業者の見積書と、建物が建ったままの状態での査定額。この2つを同じ時期に手元へ置き、更地の売却見込み額から工事代金を引いた金額と比べてみてください。差が小さいなら、先に壊す理由は弱いことになります。現況のまま売る選び方は古家付き土地の売却、相続した実家の場合は相続した家の売却が詳しいです。登記が済んでいない建物が敷地に残っているなら、未登記の建物が残っている土地を売る場合も先に確かめておくと安心です。

当社は、買主が確定しないままの先行解体をおすすめしていません。当社の買取くんでは、建物を残したままの現況買取に対応しています。現況買取とは、片付けも修繕もしない今の状態のまま買い取ることをいいます。家財や生活用品が残っていても、他社で取り扱いを断られた物件でも、当社自身が買主となって検討します。だからこそ、壊す前に「古家付きのままの査定額」と「更地にした場合の想定額から工事代金を引いた金額」を並べて決めていただきたいのです。

解体を選んだあとの登記と税、売却までの流れは滅失登記と解体後の税・売却の流れにまとめています。

更地渡しでよくある質問

更地渡しはどこまでが対象になりますか(ブロック塀や庭木、雑草は含まれますか)

法律で決まった範囲はなく、契約書の特約に書いた物だけが対象です。塀も庭木も雑草も、書いていなければ含まれません。特に雑草は引渡しの直前に伸びますので、「解体完了時の状態」で判定するのか「引渡し日の状態」で判定するのかまで決めておくと食い違いを防げます。撤去した物については、工事の前後の写真を業者から受け取っておくと確認が早く済みます。

解体中に地中から基礎やガラが出てきた場合、費用は誰が負担しますか

契約書に定めがあれば、その定めどおりです。定めがない場合は売主の契約不適合責任の問題になり、責任を負わない特約を付けていても、知りながら告げなかった事実については責任を免れられません(民法572条)。地中の状態に心当たりがある場合は、契約前に伝えたうえで負担の上限を決めておくのが現実的な進め方です。

更地渡しの解体は、いつまでに終わらせる必要がありますか

法律上の期限はなく、契約書で定めた引渡し日までに終えることになります。ただし工事の日数だけで逆算すると間に合いません。着手の7日前までの届出と、石綿の事前調査・報告に日数がかかるためです。業者から工期を聞いたら、その前に手続きの期間を足したうえで引渡し日を決めてください。

解体したのに売れなかった場合、税金や維持費はどうなりますか

1月1日の時点で更地になっていれば、翌年度は住宅用地特例が適用されず、土地の固定資産税は上がった状態が続きます。加えて草刈りや不法投棄への対応など、管理の手間と費用も残ります。建物は元に戻せませんので、解体を決める前に現況のままの査定額を取っておくと、比べる材料が手元に残ります。

買取くんでは、更地にしていない古家付きの土地でも買取は可能ですか?

可能です。当社は建物が建ったままの現況で買い取っており、家財や生活用品が残っている状態でも査定します。他社で取り扱いを断られた物件や少額の物件も対象で、全国に対応しています。更地にするかどうかを決める前の段階でかまいませんので、今の状態をそのままお聞かせください。

まとめ:壊す前に、誰がいつ解体費を払うかを決める

家を更地にして売るかどうかは、買主が決まってから、更地渡しにするか解体費相当の値引きにするかを契約で選ぶ形が基本です。解体の範囲も費用の負担も引渡しの期日も、特約に書けば決められます。ただし、壊してから売れ残ったときの工事代金と税負担だけは、あとから取り消せません。着手前に、買主が決まっているか、着手日が1月1日をまたがないか、売れ残ったときにいくら持ち出すかを確かめてください。

当社の買取くんは、建物が建ったまま、家財が残った状態の家と土地を買い取っています。解体費を先に出せない方や、工事の段取りに時間を取れない方に向いた出口です。

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監修

株式会社リアテクス 執行役員 鶴野博之

鶴野 博之

株式会社リアテクス 執行役員

宅地建物取引士(東京)第257503号賃貸経営管理士FP2級

一棟投資物件専門の仲介会社で不動産業界に参入後、前職では「訳あり・瑕疵物件」に特化したコンサルティングプログラム責任者として600名以上の投資家の購入から売却までに携わる。自身も再建築不可物件を中心に訳あり物件へ投資し、転売売買から保有物件まで数々の実績を持つ。