不動産買取の基礎知識

家や土地の買取と仲介は何が違う?急ぎか高く売るかで決める基準

夏の菅平の風景

「買取と仲介、結局どっちを選べばいいんだろう」 「買取だと手数料がかからないって本当?」

買取は不動産会社が買主になる売買契約、仲介は買主を探してもらう媒介契約で、代金を払う相手が変わります。ここから手数料も期間も引渡し後の責任の差も出ます。期限が決まっているなら買取、価格を伸ばしたいなら仲介からです。扱うのは不動産の制度上の違いと選び分けです。

不動産の買取と仲介の違いは、結ぶ契約と代金を払う相手

買取は売買契約書1通で相手が不動産会社、仲介は媒介契約書と売買契約書の2通で代金は買主が払う流れを示した図解

契約書の通数と代金を払う相手が分かれ、媒介契約の有効期間3か月と報告頻度は契約時に決まる(出典: 宅地建物取引業法34条の2・46条/同施行規則15条の10)

買取では不動産会社が買主になって直接売り、仲介では会社に買主を探してもらってから、見つかった人と売買契約を結びます。署名する契約書が「媒介契約書+売買契約書」の2通になるか、「売買契約書」1通で済むかが、ここで分かれるんです。この1点の違いから、手数料も期間も引渡し後の責任も枝分かれします。

つい「どちらが高く売れるか」から比べたくなりますが、順番は契約の形が先です。買取そのものの仕組みと流れは不動産買取の基本へ。戸建て全体の売り方は、親記事にあたる戸建て売却の売り方を比べた記事で比べています。

買取=不動産会社が買主になる売買契約

不動産会社が自社の資金で買い取るため、買主を探す工程が発生しません。代金を払うのも不動産会社で、売主が向き合う相手は最初から最後まで1社です。

ここで効いてくるのが報酬の決まりです。宅地建物取引業法46条1項は、不動産会社が受け取れる報酬を「代理又は媒介に関して」受けられるものと定めています。会社が買主として取引する買取は、この規定が想定する場面の外側にあるんです。⇒ 手数料をサービスされたのではなく、請求が発生する余地がないんです。

仲介=買主を探してもらう媒介契約(一般・専任・専属専任)

媒介契約とは、売主と不動産会社のあいだで結ぶ「買主を探してもらう契約」のこと。同法34条の2第1項により、有効期間・解除・物件情報の登録・報酬を記載した書面が交付されます。類型は3つあり、違いは「他社にも同時に頼めるか」「自分で買主を見つけてよいか」の2点です。

  • 一般媒介契約:複数の会社に同時に頼めて、自分で見つけた買主とも直接契約できる
  • 専任媒介契約:頼めるのは1社だけ。ただし自分で見つけた買主とは直接契約できる
  • 専属専任媒介契約:頼めるのは1社だけで、自分で買主を見つけてもその会社を通す

媒介契約には期間と報告の決まりがある

仲介を選んだあとの時間の流れは、契約の時点で一部決まります。宅地建物取引業法34条の2は、専任媒介契約の有効期間を3か月までと定めています(第3項)。業務の処理状況の報告は2週間に1回以上、専属専任媒介契約なら1週間に1回以上です(第9項)。さらに専任媒介契約では、締結の日から7日以内(専属専任は5日以内・休業日を除く)に、不動産会社どうしが使う物件検索システムであるレインズへ登録されます(同法施行規則15条の10)。

仲介は「いつ売れるか」は決まっていませんが、「いつ区切りが来るか」は契約時点で決まります。⇒ この3か月を、判断の目安に使えます。

買取は手数料と期間が減り、仲介は売値が伸びる|契約・価格・期間・責任で比べる

売却価格の決まり方・期間・報酬の根拠・責任の特約の4軸で、仲介と買取が何を差し出して何を得るかを整理した比較図

買取は価格を差し出して期日と手間を得る側、仲介はその逆として読む(出典: 宅地建物取引業法34条の2・40条・46条/国土交通省を基に当社作成)

価格・手数料・期間・責任の4点で見ると、買取と仲介は得られるものと手放すものが入れ替わります。買取は手数料と待ち時間が減る代わりに売値が下がりやすく、仲介はその逆。次の表は「どちらが良いか」ではなく「何を差し出して何を得るか」で見てください。

比べる点仲介買取
結ぶ契約媒介契約書と売買契約書の2通売買契約書の1通
代金を払う相手見つかった買主(自分で住む個人など)不動産会社
売却価格の決まり方市場で買主を探し、交渉で成約価格が決まる会社が再販の費用とリスクを負い、その分を見込んだ価格
会社の報酬の根拠代理・媒介への報酬(46条1項)媒介がないため報酬の規定の対象外
広告とレインズ登録専任媒介なら7日以内に登録・広告も出る1対1のため発生しない
期間を縛るもの有効期間3か月・2週間に1回以上の報告会社との日程調整
引渡し後の責任の特約買主は個人。内容は契約ごとに決まる買主はプロ。現況で引き取る前提の特約もある

データ出典: 宅地建物取引業法34条の2・40条・46条/同施行規則15条の10/国土交通省の消費者向け解説(条文リンクは各H2の本文内・当社作成)

見ていただきたいのは3行目です。仲介は交渉で決まるぶん上振れの余地がありますが、買主が現れるまで金額は確定しません。買取は会社が再販の費用とリスクを引き受けるぶん、一般に仲介より低くなります。買取は価格を差し出して時間と手間を買い、仲介は時間と手間をかけて価格を取りにいく取引です。

価格の差はどこから出るのか

不動産会社は買い取った後、自社のリスクで売り直します。その間の維持費や修繕費、売れ残る可能性まで引き受けるため、その分が価格に反映されます。差額の行き先は買取業者が転売で利益を出す仕組み、市場価格の何割かという相場の根拠は不動産買取の相場で扱っています。

期間の差が生まれる場所

仲介には「広告を出して買主を探す」「内見の日程を合わせる」「条件を交渉する」という3工程があり(全体の流れは不動産売却の流れで追えます)、いずれも相手がいて初めて動くので長さを決められません。買取ではこの3工程が消えるため、引き渡しの日程を先に固定しやすくなります。

買取で仲介手数料がかからない理由|報酬は媒介への対価

物件価格300万円から3,000万円までの仲介手数料の上限額と、売却代金に占める割合11.0%から3.5%を示した棒グラフ

安い物件ほど手数料の比率が上がり、800万円で原則と特例の上限が一致する(出典: 国土交通省の公表料率を基に当社作成)

仲介手数料は買主を探してくれた会社への報酬なので、会社自身が買い取る買取では発生しません。宅地建物取引業法が、報酬を受け取れるのは代理または媒介に関するものと定めているから。⇒ 値引きではなく、媒介がない取引だから請求の根拠がないんです。

仲介手数料の上限は物件価格で決まる

上限は法律に基づいて決まり、依頼者の一方から受け取れる額は物件価格に応じた料率の合計以内です。料率は200万円以下の部分が5.5%、200万円超400万円以下が4.4%、400万円超が3.3%(いずれも税込)の3段階。国土交通省は物件価格1,000万円(税別)の計算例として「上限39.6万円(税込)」を公表しています。

800万円以下の空き家は上限が33万円まで引き上げられている

安い物件には例外があります。令和6年7月1日以降、物件価格800万円以下の「低廉な空家等」の仲介では、依頼者の一方から受け取れる上限が「30万円×1.1倍」=33万円(税込)まで引き上げられました(国土交通省)。使用の状態は問われず、住んでいた家でも空き家でも対象です。これは上限の引き上げであって、33万円が一律にかかるという意味ではありません

この料率を価格帯ごとに当てはめると、次のようになります。

物件価格(税別)原則の上限(税込)特例の上限(税込)実際に適用される上限売却代金に占める割合
300万円15.4万円33万円33万円11.0%
500万円23.1万円33万円33万円6.6%
800万円33.0万円33万円33万円4.1%
1,000万円39.6万円対象外39.6万円4.0%
3,000万円105.6万円対象外105.6万円3.5%

対象=物件価格5区分/集計方法=公表料率を各価格に当てはめ、依頼者の一方が負担する上限額を算出(1,000万円の行は国土交通省の計算例と一致)/データ出典=国土交通省(当社作成)

右端のとおり、安い物件ほど売却代金に対する手数料の比率は高くなります。買取と仲介は、手数料の有無だけでなく、手数料を引いたあとに手元へ残る金額で比べてください。

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売った後の責任や内見はどう変わる?金額に出ない3つの差

買取では、引渡しの後に不具合が見つかっても売主が責任を負わない特約を結べる場合があります。内見のために家を片付けたり、立ち会ったりする必要もありません。売りに出していること自体が外に出ない、という違いもあります。

どれも金額の表には出ませんが、手間と気持ちの負担を大きく左右します。

1. 引渡し後の責任|特約の制限は「業者が売主」のときの決まり

引渡し後にどこまで責任を負うかは、買主が誰かと契約書の特約で決まります。契約不適合責任とは、引き渡した物件が契約の内容と違っていたときに売主が負う責任のこと。契約書にない雨漏りが引渡しの半年後に見つかった場面で問われます。

宅地建物取引業法40条は、宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約について、引渡しの日から2年以上とする特約を除き、買主に不利な特約を禁じています。見落とされやすいのは、この条文が縛るのは業者が売主になるときだけ、という点。売主が個人なら、買取でも仲介でもこの条文は及びません。⇒ 「仲介なら法律上責任が残り、買取なら免責になる」という線引きではないんです。

では実際の差はどこから出るのか。買主の立場です。買取の買主はプロで、修繕や再販を前提に現況のまま引き取ります。仲介では、自分で住むために買う個人が買主なら、住んだ後の不具合を避けたいので、全面的な免責の特約には応じにくくなります。

免責の特約を置くかは契約ごとに決まります。ただし売主が知りながら告げなかった不具合については、特約があっても責任を免れません(民法572条)。責任の内容と期間は契約不適合責任とはで詳しく扱っています。契約書の該当条項を確認し、迷う場合は提携する司法書士など専門家へご相談ください。

2. 内見と片付け|現況のまま引き取れるかどうか

仲介は買主に家の中を見てもらう前提なので、内見のたびに片付けと立ち会い、または鍵の預け入れが必要です。遠方の実家なら、この工程が移動の負担になります。

残置物とは家に残されたままの家具・家電・生活用品、現況買取とはそれらを片付けず今ある状態のまま買い取ることをいいます。当社の買取は残置物があるままの現況買取に対応しているので(買取くん)、片付けを終えてから売り出す順番を踏まずに済みます。

3. 近所や親族への露出|広告とレインズ登録で変わる

仲介では、専任媒介契約なら法律上レインズへ登録され、物件情報を全国の不動産会社が閲覧できる状態になります。ポータルサイトやチラシへの広告も出ます。買取は会社と売主の1対1なので、この売り出しの告知が発生しません。

近所に知られたくないという点は、気の持ちようではなく仕組みの違いから来る実際の差です。相続や離婚などで事情を伏せたい場合、ここが価格差より優先されることもあります。買取側の弱点を含む注意点は不動産買取のデメリットで整理しています。

自分はどちらを選ぶ?急ぎ・訳あり・築古で変わる決め方

期限・訳あり・価格優先・反応なしの4条件ごとに、先に当たる方と次に取る行動の順番を示した判断フロー図

条件ごとに先に当たる方を決め、買取査定で下限を知ってから仲介を検討する順番で読む(出典: 宅地建物取引業法34条の2を基に当社作成)

現金が必要な期限が決まっているなら買取、期限がなく価格を伸ばしたいなら仲介から当たります。ただし、どちらか一方だけを選ぶ必要はありません。買取の査定を先に取って価格の下限を知ってから、仲介を検討するという順番も取れます。

今の条件先に当たる方次に取る行動
引き渡しの期限が決まっている買取期限から逆算し、買取の査定で価格の下限を確認する
仲介で扱いを断られた・訳あり仲介での可否を確認してから買取扱えるかを先に確認し、断られた時点で買取へ切り替える
価格を優先したい仲介切り替えを検討する時期を売り出す前に決める。媒介契約の類型と報告頻度も契約時に確認
仲介に出したが反応がない今の売り方の見直し媒介契約の有効期間である3か月の区切りを判断の目安に使う

データ出典: 宅地建物取引業法34条の2(当社作成)

引き渡しの期限が決まっている場合

転居の日程、納税の期限、遺産分割の期限。動かせない日付があるなら、そこから逆算します。先に受け取った買取の査定額は、仲介で値下げを検討するときの下限になります。下限を知らないまま待つと、期限が近づいてから慌てて値下げすることになります。

仲介で扱いを断られた・訳ありの場合

再建築不可(今の法律では建て替えの許可が下りない土地)や共有持分(1つの不動産を複数人で持つときの自分の持ち分)が付くと、買主が住宅ローンを組みにくくなり、一般の買主を探す前提の仲介とは相性が良くありません。当社は他社で断られた物件や少額の物件も買取の対象です。

価格を優先したい場合

急いでいないなら、仲介から始めるのが基本です。大切なのは、値下げや切り替えを検討する時期を売り出す前に決めておくこと。売り出してからでは、判断が「もう少し待とう」に傾きます。

そのまま仲介で進めてよいのは、次の4つが当てはまる場合です。

  • 引渡しの期限が決まっていない
  • 買主が住宅ローンを組める一般的な物件
  • 内見の立ち会いや鍵の預け入れに対応できる
  • 売り出しが周囲に伝わっても支障がない

4つとも当てはまるなら、買取へ切り替える理由はありません。戸建ての金額の目安だけ先に知りたい方は戸建てを買取に出したときの価格の目安をご覧ください。

仲介に出したが反応がない場合

見切りの目安は契約側にあります。専任媒介契約なら3か月ごとに、続けるか・会社を替えるか・売り方を変えるかを決め直せます。問い合わせ件数や内見件数を担当者に確認してから判断してください。高く売りたいが期限もある方には、仲介と買取を組み合わせた買取保証という選択肢もあります。

買取と仲介の違いでよくある質問

仲介に出してから買取に切り替えることはできますか?

できます。切り替えは不動産会社への申し出から始まり、媒介契約の有効期間の満了や更新が区切りになります。途中で解除するなら、媒介契約書の解除の条件を確認してください。

買取なら近所に売却を知られずに済みますか?

売り出しの広告とレインズへの登録が発生しないため、売却活動を通じて知られることはありません。ただし引き渡し後の登記の名義変更や改修工事で外形的に伝わる場面はあります。売却の過程を見せずに済む、という理解が正確です。

買取と仲介で用意する書類は変わりますか?

本人確認、登記関係、物件関係という大枠は変わりません。買取では内見や広告がないぶん、販売用の写真や図面が不要になる程度です。どの段階で何が必要かは売却に必要な書類の一覧にまとめています。

買取くん(株式会社リアテクス)は、家財が残ったままの家でも買い取ってもらえますか?

はい、家具や生活用品を残したままの現況買取に対応しています。片付けや処分を終えてからご相談いただく必要はありません。相続した実家で家財の整理が進んでいなくても、そのまま査定できます。

一戸建てをお持ちの方は、一戸建ての売却を基礎から整理した記事もあわせてご覧ください。

まとめ:買取と仲介の違いは、結ぶ契約の形から出ている

不動産の買取と仲介の違いは、結ぶ契約と代金を払う相手にあり、手数料・期間・引渡し後の責任の差はすべてそこから出ています。手数料の有無、広告とレインズ登録の有無、免責の特約の余地は契約の形から決まるので、売り出す前に分かります。逆に、買主がいつ現れるかと最終的な成約価格は、仲介では事前に決められません。期限がある方は、買取の査定を先に取って下限を知り、そのうえで仲介を検討してください。

当社の買取は会社が買主になるため仲介手数料が発生せず、家財が残ったままの現況買取にも対応しています。期限が決まっている方、内見の対応が難しい方、他社で断られた方に向いています。

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監修

株式会社リアテクス 執行役員 鶴野博之

鶴野 博之

株式会社リアテクス 執行役員

宅地建物取引士(東京)第257503号賃貸経営管理士FP2級

一棟投資物件専門の仲介会社で不動産業界に参入後、前職では「訳あり・瑕疵物件」に特化したコンサルティングプログラム責任者として600名以上の投資家の購入から売却までに携わる。自身も再建築不可物件を中心に訳あり物件へ投資し、転売売買から保有物件まで数々の実績を持つ。