不動産買取の基礎知識

換価分割とは?売って分ける手順と贈与税を招かない協議書の書き方

必要書類の準備と申請(相続・登記に関する記事のイメージ)

「換価分割で分けることになったけれど、この家、本当に売れるのかな」 「税金は、代表になった自分が全部かぶるんじゃないの」

換価分割とは、相続した不動産などを売って現金に換え、その代金を相続人で分ける遺産分割の方法です。公平に分けやすい一方、売れなければ分配が始まらない弱点もあります。進め方と税金、協議書の文言、売れないときの出口までご案内します。

\ 査定最短6時間・仲介手数料0円 /

売れるかどうか分からない相続物件でも、全国どこでも当社が直接の買主として査定します。

フォームで無料査定を依頼する

電話で無料相談する 0120-985-623

受付時間 10:00〜19:00(水・日曜定休)

換価分割とは?売って現金にしてから分ける遺産分割の方法

分けにくい財産を売って現金に換え持分どおりに分ける3段階と、対象財産・選ばれる条件を示した図

分けにくい財産が現金になるまでの3段階と、換価分割が選ばれる条件を整理(当社作成)

換価分割は「かんかぶんかつ」と読み、現物のままでは分けにくい不動産を公平に分けたいときに選ばれます。分けるお金は売却代金から生まれますので、買い手がついてはじめて分配が始まる、売れることが前提の分け方でもあります。

⇒ 協議の成立と、現金が手に入ることは別物です。

売れない土地を国に引き取ってもらう道にも、入口の制限があります。相続土地国庫帰属制度とは、相続や遺贈で取得した土地を、審査を経て国のものにできる制度のことです。ただし建物がある土地は申請できないケースに挙げられていますので、家屋が建ったままの実家なら、まず現況で売れるかを確かめる順です。要件は売れない土地を国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度の条件でご確認ください。

不動産や自社株など、そのままでは分けにくい財産が対象

換価分割は、切り分けると価値が落ちる財産で使われます。土地・建物のほか、非上場の自社株や美術品が当てはまります。預貯金なら残高を割れば済みますが、家は3等分に切れませんよね。売って作った現金を相続税や登記費用に回せるのも利点です。

誰も住まない実家をきょうだいで相続したときに選ばれる

たとえば、誰も住む予定のない実家を、離れて暮らすきょうだい3人で相続した場面です。次の条件がそろうと候補になります。

  • 不動産の割合が大きく、預貯金だけでは相続人の差を埋められない
  • 相続人が遠方で、誰も現地に通えない
  • 誰も住む予定がなく、貸す当てもない

現物分割・代償分割・共有分割と何が違う?どれを選ぶ?

どの分け方を選ぶかは、その不動産を今売るのか持ち続けるのか、代償金を払える現金が手元にあるのかの2点で決まります。換価分割は売って現金にしてから分ける方法で、ほかの3つは不動産そのものを誰かが引き継いだり、共有のまま持ち続けたりする形です。

4つの分け方の違いを1枚で見比べる

分け方中身自己資金揉めやすい点
現物分割財産ごとに分ける不要価値に差が出る
代償分割1人が取得し現金を払う必要代償額の決め方
換価分割売って代金を分ける不要売れないと止まる
共有分割全員の共有名義にする不要処分に全員の同意

表の一番下の共有分割は、相続人それぞれが共有持分(1つの不動産を複数人で持つときの取り分の割合)を持つ形です。売るのも貸すのも全員の同意が要りますので、判断が先送りされるだけなんです。詳しくは共有名義のままにしておくとどうなるかにまとめています。

換価分割が向くケース・向かないケース

売ることに全員が納得していて、買い手がつく見込みのある物件なら、換価分割で進められます。逆に、次の3つに当てはまる場面では別の分け方を検討してください。

  • 相続人の誰かがその家に住み続けたい、または現に住んでいる
  • 先祖代々の土地で、手放すこと自体に反対がある
  • 買い手がつきにくい条件で、売却期間が読めない

3つ目は特に注意が要ります。売却期間が読めない物件では、分配の始まる時期も読めません。

すぐ売るなら換価分割、持ち続けるなら代償分割

代償分割は、家を取得する人がほかの相続人へ現金を渡す形ですので、預貯金がなければ成立しません。⇒ 今売るなら換価分割、誰かが持ち続けるなら代償分割です。

換価分割はどう進める?相続登記から代金の分配までの5ステップ

協議から分配までの5ステップに、名義の選び方の違いと相続登記3年・相続税10か月の期限を重ねた図

登記は売却より先という順序と、2つの申請期限を1枚に整理(出典: 法務省 相続登記の申請義務化・国税庁 No.4205を基に当社作成)

換価分割は、協議で分け方を決め、相続登記をしてから売却し、代金を持分に応じて分配する順で進めます。順番を入れ替えられないのは登記のところで、名義が亡くなった方のままでは売買契約に進めません。

協議から分配までの5ステップ

相続人3人のうち長男が売却の窓口になる場面で並べます。

  1. 遺産分割協議で換価分割を決める:売って分けること、割合、窓口役を協議書にする
  2. 相続登記で名義を移す:代表者1人の名義か、全員の共有名義かを選ぶ
  3. 売却活動:査定を取り、仲介か買取かを決める
  4. 売買契約・決済:買主から代金を受け取り、所有権を移す
  5. 代金の分配:譲渡費用を精算し、残りを協議書の割合どおりに分ける

名義変更を後回しにする選択肢は、もう残っていません。相続登記の義務化とは、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しなければならなくなった決まりです。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。遺産分割が成立した場合は、成立日から3年以内という期限も乗ります。協議がまとまったら、売却より先に登記の段取りを決めてください。書類と費用は相続登記(名義変更)の必要書類と費用で詳しく解説しています。

売却の予定は、相続税の申告期限(知った日の翌日から10か月以内)から逆算します。換価分割は協議で決めた時点で分割が成立しますので、売却が間に合わなくても未分割の扱いにはなりません。税金の全体像は相続不動産を売ったときの税金の全体像にまとめています。

代表者の単独名義で売るか、相続人全員の共有名義で売るか

名義をどちらにするかというこの選択が、その後の手間と権限を左右します。贈与税のリスクだけで語られがちですが、登記の手間・売買実務・申告の負担も同時に動きます。

比べる点代表者の単独名義で売る相続人全員の共有名義で売る
契約・決済への出席代表者1人原則全員(委任状で代理も可)
登記の手間1回で済む全員分の書類が要る
売却判断の権限代表者に集まる全員の合意が要る
譲渡所得(売って出たもうけ)の申告各相続人が持分に応じて各相続人が持分に応じて

データ出典: 法務省 相続登記の申請義務化、国税庁の質疑応答事例、および当社の買取実務

一番下の行だけはどちらでも変わりません。名義をまとめても、税負担は代表者に寄らないんです。

代表者に権限を集めるときに詰まる2つのこと

単独名義は契約も決済も速いのですが、当社が現場で見てきた限り、詰まり方は2つです。1つ目は、入金口座と分配の時期を協議書に書いていないケース。売れてから振込時期を相談し始めると、空気が悪くなります。2つ目は、代表者が単独で値下げを判断してしまうケース。ほかの相続人が事後報告で知り、不信につながります。

⇒ いくらまでなら下げてよいかを、協議の段階で決めておくと防げます。

\ 他社で断られた物件も買取可能 /

下げてよい価格の下限を決める前に、現況でいくらになるかを当社が直接の買主として査定します。一般の市場で動かない物件も、常時300名以上の投資家とつながっているため金額をお出しできます。

フォームで無料査定を依頼する

電話で無料相談する 0120-985-623

受付時間 10:00〜19:00(水・日曜定休)

売却代金と譲渡所得税は誰がいくら負担する?

売却代金3,000万円のとき1人あたり約828万円が残るまでの控除内訳を示したウォーターフォール図

代金から譲渡費用と税を引いた1人あたりの手取りを試算(出典: 国税庁 No.3208・No.3211の税率を基に当社試算)

換価分割では売却代金を持分に応じて分け、譲渡所得の申告も各相続人がそれぞれ行うのが原則です。代表者の名義になっていても、協議書で換価分割と決めて実際にそのとおり分ければ、その登記は売るための便宜として扱われます。名義がどうであれ、代金を受け取るのは各相続人だからです。この扱いになる条件は、国税庁 質疑応答事例が示しています。

譲渡所得の計算と、長期・短期で変わる税率

売った金額の全部に税金がかかるわけではありません。譲渡所得とは、売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いたもうけの部分のことです。取得費は買ったときの代金、譲渡費用は仲介手数料などを指します。

所有期間所得税住民税
5年超(長期譲渡)15%5%
5年以下(短期譲渡)30%9%

データ出典: 国税庁 No.3208・国税庁 No.3211。ほかに所得税額の2.1%が復興特別所得税として上乗せされます

ここで効いてくるのが相続した不動産の扱いです。相続で取得したものは、原則として亡くなった方が取得した日から所有期間を数えます。親が20年前に買った実家なら、相続した翌月に売っても長期譲渡の税率で計算できるんです。

代表者がまとめて払うわけではない理由

代表者の単独名義で売ると、登記簿の上での売主は1人になります。それでも譲渡所得は代表者に集中せず、各相続人が持分に応じて申告します。登記簿の名義と、代金を受け取る人が一致しないためです。

なお相続した実家の売却では、条件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例が使える場合があります(国税庁 No.3306)。適用条件は相続空き家の3,000万円特別控除の適用条件をご覧ください。取得費の書類がない場合も含め、申告方法は税理士にご確認ください。

売却代金3,000万円で試算した1人あたりの手取り

数字を1つ置いてみましょう。前提は、売却代金3,000万円、譲渡費用150万円、取得費1,050万円、5年超の所有、相続人3人が3分の1ずつ、特例なし。仮に置いた条件での試算です。

項目全体1人あたり
売却代金3,000万円1,000万円
譲渡費用150万円50万円
分けられる現金2,850万円950万円
譲渡所得1,800万円600万円
所得税+復興特別所得税約275.7万円約91.9万円
住民税90万円30万円
税引き後に残る額約2,484万円約828万円

上記の出典の税率(所得税15%・住民税5%・復興特別所得税2.1%)を当てはめました。3,000万円で売れても、1人に残るのは約828万円。ここまで並べておけば、「いくら入るはずだったのか」の食い違いが起きません。

贈与税を招かない遺産分割協議書はどう書く?

代表者名義の登記が換価のための便宜であり、代金を取り決めどおりに分配していれば、贈与税は問題になりません。逆に言えば、書面を整えるだけでは足りず、実際に分けたという事実まで条件に入っています。協議書には、換価分割であることと分配の割合をはっきり書き残してください。

国税庁が示す2つの条件

国税庁の質疑応答事例は、この論点にこう答えています。

共同相続人のうちの1人の名義で相続登記をしたことが、単に換価のための便宜のものであり、その代金が、分割に関する調停の内容に従って実際に分配される場合には、贈与税の課税が問題になることはありません。

出典: 国税庁 質疑応答事例「遺産の換価分割のための相続登記と贈与税」

当社はこの回答を、条件が2つに分かれているものとして読んでいます。1つは登記が「単に換価のための便宜」であること、もう1つは代金が「実際に分配される」こと。⇒ 協議書を作ったあと、分配を先送りにしないことが税務上の安全につながります。なお同じページには、照会の事実関係を前提とした一般的な回答である旨の注記もあります。個別の事情は税理士にご確認ください。

協議書に欠かせない4項目

上の2条件を書面に落とすと、書くべきことは次の4つです。

  • 換価分割である旨:この不動産を売却し、その代金を分割すること
  • 登記名義人と、それが便宜であること:誰の名義で登記するかと、それが換価のための便宜である旨
  • 分配の割合:誰が何分の何を受け取るかを数字で書く
  • 費用と税の負担:譲渡費用や登記費用を誰がどう負担するか

ひな形を写すだけでは、便宜であることの記載が抜けることがあります。上の4項目で照合してみてください。

書き方を誤ると、分配が贈与とみなされることがある

換価分割である旨が書かれていないと、代表者からほかの相続人への分配が贈与と受け取られる余地が残ります。登記簿の上では代表者が単独で取得し、その人が現金を渡した形に見えるためです。文言に不安があるときは、作る段階で専門家に見てもらってください。当社では提携する司法書士と連携して登記の手続きを進めています。税の扱いは税理士にご確認ください。

買い手がつかず売れないとき、換価分割はどうなる?

売れないときの3つの出口を現金が生まれるかで分け、それぞれの次に取る行動を示した分岐図

現金が生まれる出口は1つで、残る2つは分け方の決め直しになる(出典: 法務省 相続土地国庫帰属制度の要件と当社の買取実務を基に作成)

売れない間は分配が始まらず、代表者名義のまま固定資産税と管理の負担だけが続きます。協議そのものは成立しているため、話し合いの再開を言い出しにくくなります。出口は3つありますが、換価分割をそのまま続けられるのは1つだけです。

協議は成立しているのに現金が生まれない、という詰まり方

当社への相談で目にするのは、協議書まで作ったのに買い手が現れず止まっている状態。全員が納得して決めた話であるほど蒸し返しにくく、代表者だけが固定資産税と草刈りを続けることになります。⇒ 止まっていることに気づいた時点で、出口を選び直すのが早いです。

売れないときの3つの出口と、次に取る行動

当社は買主側に立つ事業者として、3つの出口を同じ土俵で並べます。

出口換価分割のまま進められるか次に取る行動
現況のまま買取に切り替える進められる(そのまま分配へ)現況で査定を依頼する
解体して国へ引き渡す進められない(分け方を決め直す)解体費と要件を調べる
共有のまま持ち続ける進められない(分け方を決め直す)持分と管理費の分担を決める

データ出典: 法務省が示す相続土地国庫帰属制度の要件と、当社の買取実務を突き合わせて作成

2つ目と3つ目は代金を分ける前提が変わりますので、相続人でもう一度分け方を話し合う段取りになります。ここでいう現況買取とは、家財が残ったまま修繕もしない状態で不動産会社が直接買い取る方法のことです。

2つ目は、建物を解体して土地だけにする必要があります。前掲のとおり、建物が残っている土地は却下事由に挙げられているためです。解体費のほかに国へ納めるお金もかかりますので、金額は国庫帰属にかかる負担金と審査手数料の目安にまとめました。

売れなかったときの取り決めを、協議書に先に入れておく

止まってから慌てないために、協議の段階で決めておけることがあります。

  • 売却活動をいつまで続けるか(たとえば媒介契約2回分まで)
  • 売れなかったとき、買取に切り替えるか分け方を決め直すか
  • 価格をどこまで下げてよいか、その判断を誰がするか

書いておけば、売れなかった場合も「決め直し」ではなく「決めた手順の実行」になります。土地だけが残って売り先が見つからないときの進み方は、相続土地国庫帰属制度の要件と申請の流れで確認できます。

換価分割でよくある質問

換価分割の読み方は何ですか

「かんかぶんかつ」と読みます。「換価」は財産をお金に換えることを指す言葉です。話し合いの席では「売って現金にしてから分ける方法」と言い換えると、認識がそろいます。

遺産分割協議書に換価分割と明記しないと贈与税がかかりますか

明記がないと、代表者からほかの相続人への分配が贈与と受け取られる余地が残ります。国税庁の質疑応答事例が示すのは、登記が換価のための便宜であることと、代金が取り決めどおりに分配されることの2つ。書面と実際の行動の両方でそろっていれば、贈与税は問題になりません。

譲渡所得税は代表者がまとめて払うのですか

原則として、各相続人が自分の持分に応じて申告します。代表者の単独名義で売った場合も同じです。協議書で換価分割と決めてあれば、その登記は換価のための便宜として扱われ、代金は各相続人が取得するものになるためです。長期譲渡なら、持分ごとの譲渡所得に所得税15%・住民税5%。売買契約書と領収書は人数分コピーしておくと後が楽です。

換価分割はいつまでに売却しなければいけませんか

換価分割そのものに一律の期限はありません。目安は相続税の申告期限で、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内。納税資金を売却代金で用意するなら、ここから逆算して動くことになります。売却全体の段取りは相続不動産を売却するときの手順と期限もあわせてどうぞ。

買取くん(株式会社リアテクス)は、売れずに止まっている相続物件でも査定してもらえますか

査定できます。当社は空き家や共有持分、再建築不可(今の建物を壊すと新しく建て直せない土地)、古家付き土地といった訳あり条件の物件を、買主として直接買い取っています。家財が残ったままの現況でも査定の対象で、対応エリアは全国です。他社で断られた物件も買取の対象にしていますので、換価分割が止まっている段階のままご相談いただけます。

まとめ

換価分割は、買い手がつけば分けた金額が数字で見えるので、きょうだいで納得しやすい分け方です。現金にできれば持分どおりに分けられますが、売れない物件では分配が始まりません。協議書を作る前に、その物件がいくらで現金化できるかを確かめておくと、話し合いが数字で進みます。土地だけが残って売り先が見つからないときは、国に引き取ってもらう制度が次の選択肢です。

当社の買取くんは、残置物(家具や家電など、置いたままの荷物)がある現況でも、他社で断られた物件でも、直接の買主として全国で検討します。仲介で買い手を待てない相続人に向いています。

\ 残置物そのままOK /

売って分ける前に、その物件がいくらで現金化できるか無料査定で聞いてみてください。

フォームで無料査定を依頼する

電話で無料相談する 0120-985-623

受付時間 10:00〜19:00(水・日曜定休)

監修

株式会社リアテクス 執行役員 鶴野博之

鶴野 博之

株式会社リアテクス 執行役員

宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸経営管理士/FP2級

一棟投資物件専門の仲介会社で不動産業界に参入後、前職では「訳あり・瑕疵物件」に特化したコンサルティングプログラム責任者として600名以上の投資家の購入から売却までに携わる。自身も再建築不可物件を中心に訳あり物件へ投資し、転売売買から保有物件まで数々の実績を持つ。