「施設に入った親の家を売るとき、住民票や税金の扱いはどうなるの?」 「親の代わりに、子どもの私が親の家を売ってもいいのかな…」
施設に入った親の家の売却を考えている方は、このような疑問をお持ちではないでしょうか。住民票を施設に移したら税金の特例は使えないのでは、と心配になりますよね。実際は、国税庁の通達が住まいかどうかを暮らしの拠点で判定します。親が生前に売るなら、3,000万円特別控除は親が実家で暮らさなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売れば使えます。売主は名義人の親で、判断能力があれば子は委任状で手続きを代われ、判断能力がなければ家庭裁判所が選ぶ成年後見人が売ります。
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施設に入った親の家は売れる?判断能力があれば売主は親、子は委任状で代わりに動ける

判断能力があれば親が売主で子は委任状で代理し、契約と決済では親本人の確認が入る(出典: e-Gov法令検索「民法」「犯罪収益移転防止法」・裁判所を基に当社作成)
施設に入った親の家は、名義人の親に判断能力があれば売れ、子は委任状を受けて手続きを代わりに進められます。判断能力がなければ、家庭裁判所が選ぶ成年後見人が売ります。成年後見人は、親に代わって財産を管理し、契約をする人です。親が施設に入っても家の名義は親のままなので、売るかどうかを決めるのも親なんです。
親に判断能力があれば、施設にいても親本人が売主になる
施設で暮らしていても、売るときに親が契約の意味を分かって決められれば、親本人が売主として契約できます。民法3条の2は、意思能力がない状態でした契約を「無効とする」と定めています。意思能力とは、売ることの意味を理解して自分で決められる力のことです。
条文が問うのは契約するときの本人の力で、施設に入ったかどうかではありません。まずは親と売るかどうかを話し合うところから始められます。
子が代わりに動くときは何が要る?委任状と本人の意思確認
親が施設から外出しにくいときは、子が親から委任状を受けて、代理人として動けます。代理人とは、本人に代わって契約などをする人のこと。委任状は、任せる内容を書いて本人が署名する書面です。
民法99条により、代理人が任された範囲で結んだ契約の効果は親に直接生じるので、売主は親のままなんです。委任状には任せる範囲(売る家、価格の下限、代金の受け取りなど)を具体的に書き、様式は依頼先に先に確かめてください。
もう一つ押さえたいのが本人確認です。不動産会社と登記を受け持つ司法書士は、犯罪収益移転防止法で、売り買いのときに本人確認(取引時確認)をするよう決められています。売主は親なので、子が代わりに動いても、契約と決済の場面では親本人の確認が入ります。
たとえば親が施設から外出できないなら、打ち合わせや査定は委任状を受けた子が進め、契約と決済では施設での面談などで親本人の確認を受けます。
⇒ 確認の方法は、最初の相談で依頼先と決めておきましょう。
親の判断能力が心配なときは?先に必要になる手続き
親の物忘れが進んでいるなら、委任状で進める前にいったん立ち止まりましょう。判断能力が十分でないまま結んだ契約は、無効になることがあります。
認知症と診断されていても、意思能力の程度によっては親本人が売れることがあります。
判断能力がなければ、成年後見人が家庭裁判所の許可を得て売ります。成年後見人とは、判断能力が不十分な人に代わって財産を管理し契約をする人で、家庭裁判所が選びます。本人の住まいを売るには「居住用不動産の処分の許可」が要ります。居住用不動産の処分の許可とは、成年後見人が本人の住まいを売る前に、家庭裁判所から受ける許可のことです。裁判所の案内には「家庭裁判所の許可を得ないで処分をした場合、その処分は無効となります。」とあります。
売ったお金は誰のもの?親の口座で受け取る
売ったお金は、売主である親のお金です。民法555条の売買では、家を渡す売主に代金が支払われるため、受け取る口座も親名義になります。
施設の費用は、この親のお金から払います。一方で、代金を子の口座へ移して子が自分のために使うと、親から子への贈与として贈与税の対象になりえます。贈与税とは、人から財産をもらったときにかかる税金のことです。
売って一度に施設の費用へ充てるか、貸して家賃で充てるかは、施設の費用に実家を充てる考え方の早見で並べて比べられます。
親が生前に売るなら、3,000万円特別控除はいつまで?住民票を移した場合は?

期限は住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日で、住民票の場所ではなく暮らしの拠点で判定される(出典: 国税庁 No.3302・措置法通達31の3-2を基に当社作成)
親が生前に自分で売る場合、3,000万円特別控除は、親が住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば使えます。住民票を施設に移しても移さなくても、この期限は変わりません。親が亡くなったあとに子が売る場合の期限は、相続の開始から数えます。
3,000万円特別控除(マイホームを売ったときの特例)は、住んでいた家を売った利益(譲渡所得)から最高3,000万円まで差し引ける特例です。正式な名前は「居住用財産の譲渡所得の特別控除」です。
国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」の規定では期限が年末にそろうため、「3年以内」と覚えるより最大でほぼ1年長くなります。入所した年から自分の期限の日付を確かめておけば、急がずに売り方を比べられますね。
施設に入って実家で暮らさなくなった年ごとの売却の期限
| 実家で暮らさなくなった年 | 3年を経過する年 | 売却の期限 |
|---|---|---|
| 2024年 | 2027年 | 2027年12月31日 |
| 2025年 | 2028年 | 2028年12月31日 |
| 2026年 | 2029年 | 2029年12月31日 |
| 2027年 | 2030年 | 2030年12月31日 |
データ出典: 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」の期限の規定を年に当てはめて当社作成
期限は「住まなくなった日」から数える
たとえば2025年6月に施設に入り、それ以後は実家で暮らしていない場合です。3年を経過する日は2028年6月なので、売却の期限は2028年12月31日です。年の途中で入所しても、期限は同じ年の年末にそろいます。
特例を受けるのは売主の親で、一定の書類を添えた確定申告が要ります。添える書類を含む3,000万円特別控除の適用条件と手続きは、項目ごとに一覧できます。親が自分で申告するのが難しいときは、税理士に進め方を相談しましょう。
住民票を施設に移すと使えなくなる?判断されるのは暮らしの拠点
住民票を施設に移しても移さなくても、特例の期限は親が実家で暮らさなくなった日から数えます。
国税庁の措置法通達31の3-2は、住んでいる家を「生活の拠点として利用している家屋」としています。そのうえで、ふだんの暮らしの様子や入居の目的、家の構造・設備などを「総合勘案して判定する」と定めています。この考え方は、措置法通達35-6で3,000万円特別控除にも当てはめられます。
判定の材料に、住民票の場所は挙げられていません。住民票を実家に残しても期限は延びませんし、施設へ移しても期限内に売れば対象から外れないんです。ただし、売買契約日の前日に住民票の住所が実家と違うときは、確定申告で出す書類が増えます。国税庁 No.3302 は、戸籍の附票の写しなど、実家に住んでいたことを示す書類もあわせて出すよう案内しています。
もう一方の親が実家に住み続けていて、施設から戻れば一緒に暮らすと認められる場合は、同じ通達の考え方で実家が住まいとして扱われる余地があります。個別の判定は税理士や税務署に確かめてください。
子や親族に売ると使えない?特例の対象外になる売り方
親子や夫婦、生計を一にする親族など「特別の関係がある人」に売った場合、3,000万円特別控除は使えません(国税庁 No.3302)。子が親の家を買い取って、その代金を施設の費用に回す形では、この特例は使えないということです。
一方で、買い手が不動産会社か個人かは条件になっていません。仲介で売っても買取で売っても、親が売主で期限内なら対象になりえます。個別の判断は、税理士に確かめましょう。
\ 売るか決める前の価格確認に /
期限の日付が分かったら、家がいくらで売れそうかも確かめると、生前と相続後の売り方を比べやすくなります。
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生前に親が売るか、相続後に子が売るか?税金の特例の違い

親が戻らず期限内に売れるなら生前の売却、古い一戸建てで入所中に貸さなければ相続後の特例も選べる(出典: 国税庁 No.3302・No.3306・No.3307を基に当社作成)
親が実家に戻る見込みがなく、期限内に売れるなら、建てた年に関係なく使える生前の売却を選びます。入所前に親が一人で暮らしていた家が、1981年(昭和56年)5月31日以前に建てた一戸建てだとします。その家を入所中に貸さず、誰も住まないまま相続を迎えるなら、相続後に子が売る特例も選べます。
生前は3,000万円特別控除、相続後は相続空き家の特例(亡くなった親が一人で住んでいた古い家を、相続した子が売るときの特例)を使います。違いは次のとおりです。
生前に親が売る場合と、相続後に子が売る場合の特例の違い
| 比べる点 | 生前に親が売る(3,000万円特別控除) | 相続後に子が売る(相続空き家の特例) |
|---|---|---|
| 売主・申告する人 | 親 | 家を相続した子(相続人) |
| 期限 | 住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日まで | 相続の開始から3年を経過する年の12月31日まで(制度は2027年〔令和9年〕12月31日までの売却が対象) |
| 家の建てた年・種類 | 条件なし(マンションの1室でもよい) | 1981年5月31日以前の建築で、区分所有建物(マンションの1室など)の登記がないこと |
| 施設に入っている間の家の使い方 | 住まなくなった日以後はどう使ってもよい | 親の物品の保管などに使い続け、貸したり家族など他人が住んだりしていないこと |
| 上限額 | 最高3,000万円 | 最高3,000万円(相続人が3人以上なら2,000万円。売却代金は1億円以下) |
| 買い手 | 親子・夫婦など特別の関係がある人は不可 | 同左 |
データ出典: 国税庁 No.3302・No.3306・No.3307を基に当社作成
親が生前に売るなら、3,000万円特別控除を親が確定申告する
生前に売る場合は家の建てた年や種類の条件がないため、古い一戸建てでもマンションの1室でも使えます。申告するのは売主の親で、子が代わりに動いて売った場合も変わりません。
相続後に子が売るなら、相続空き家の特例に施設入所の条件がある
相続空き家の特例の正式な名前は「被相続人居住用家屋の3,000万円特別控除」です。こちらも上限は3,000万円で、期限は相続が始まった日から数えます。
親が施設に入っていた場合は、国税庁 No.3307が次の条件を挙げています。
- 親が要介護・要支援の認定を受けて、老人ホームなどに入所していたこと
- 入所から相続の直前まで、家が親の物品の保管などに使われていたこと
- その間に、貸したり、親以外の人が住んだりしていないこと
建物の条件は国税庁 No.3306のとおりで、たとえば1975年(昭和50年)に建てた一戸建てなら候補になりますが、マンションの1室は対象外です。また、耐震基準を満たすか、建物を取り壊すことも条件になります。
親が戻る見込みがないなら生前の売却、古い一戸建てなら相続後の特例も選べる
親が施設から戻る見込みがあるうちや、親が実家を手放したくないうちは、急いで売らなくてかまいません。期限の日付を手元に置いたうえで、親の気持ちを確かめてから決めましょう。
入所中に家を貸すと、相続後の特例の条件から外れます。家賃を施設の費用に充てる手も比べるなら、売らずに貸す場合の貸し方と家賃収入の税金を先に押さえておくと、どちらの特例を残すかを決めやすくなります。
生前と相続後で税額がどれくらい変わるかは、家を買った値段や持っていた年数で違ってきます。相続前と後で変わる税金の負担を見比べたうえで、具体的な試算は税理士に頼みましょう。
仲介と買取のどちらで売る?売れるまでの期間・価格・内覧・家財で比べる
施設の費用の支払い予定に合わせて売る時期を決めたいなら買取、時間をかけてでも相場に近い価格で売りたいなら仲介を選びます。仲介は広告・内覧・買主のローン審査を経るぶん売れる時期が読みにくく、買取は工程が少ないかわりに価格が仲介より低くなりやすいためです。
買主のローン審査とは、買い手が住宅ローンを借りられるかを銀行が調べる審査のこと。通らなければ、契約が白紙に戻ることもあります。同じ基準で並べると次のとおりです。
| 比べる点 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 売れるまでの期間 | 買い手が見つかり、買主が住宅ローンを使うならその審査が通るまで決まらない | 不動産会社が直接買うので買主のローン審査がなく、査定から契約までの手順が少ない |
| 価格 | 相場に近い価格を狙える | 仲介で時間をかけて売る場合の相場より低くなることがある |
| 内覧 | 買主候補の来訪と立ち会いがある | 基本的に要らないことが多い |
| 家財 | 引き渡しの前に撤去・清掃することが多い | 家財が残ったままでも相談できる会社がある |
| 近所への知られ方 | 広告やポータルサイトで広く公開される | 広告で買い手を募らない |
| 費用 | 仲介手数料がかかる(上限は国の告示で決まっている) | 仲介手数料がかからない |
仲介手数料の上限: 国土交通省「宅地建物取引業法関係」
施設の入居一時金や月々の支払いの予定が先に決まっているなら、いつ売れるかの見通しが立つ売り方のほうが段取りを組みやすくなります。
家財をどこまで片付けるかで迷うなら、売る前の実家の片付けの時期と手順を先に見ておくと、売り方を選びやすくなります。不動産買取の仕組みと向いている家を知っておくと、査定額を受け取ったときに比べやすいです。引き渡しまでの段取りは、実家じまいの全体の流れに沿って組むと抜けが出にくくなります。
施設に入った親の家の売却についてよくある質問
親が施設から外出できなくても、子が代わりに売れる?
親に判断能力があれば、委任状を受けた子が代理人として手続きを進められます。契約と決済では親本人の確認が入るため、その方法を依頼先に先に相談しておきましょう。
住民票を実家に残したままなら、3,000万円控除の期限は延びる?
延びません。国税庁の通達は暮らしの拠点で住まいかどうかを判定し、判定の材料に住民票の場所を挙げていません。
売ったお金を子の口座に移してもいい?
親名義の口座で受け取り、親のために使います。子の口座に移して子が自分のために使うと、贈与税の対象になりえます。
施設に入った親の家でも、買取くんに査定を頼める?
はい、売るか決めていなくても査定を相談できます。家具や荷物が残ったままの今の状態でも相談でき、片付けを済ませてから申し込む必要はありません。売買契約を結ぶのは名義人の親で、親に判断能力がないときは成年後見人になります。
施設の費用に合わせて売る時期を決めたい人に、買取くんは合う?
施設の費用の支払い予定に合わせて売りたいときは、価格に加えて「いつ売れるかを先に決められるか」で売り方を比べましょう。売れる時期が読めないと、親の預金でいつまで払うかの見通しが立ちにくいからです。
仲介は相場に近い価格を狙える一方で、買い手が見つかり、買い手が住宅ローンを使うならその審査の結果が出るまで、売れる時期が決まりません。
買取くんは当社が家を直接買い取るので、買い手探しや買主のローン審査を待たずに売却へ進められ、契約が個人の融資審査で流れることもありません。これまでの取引では売却成立まで最短1日の実績があり(過去の実績で、日数をお約束するものではありません)、仲介手数料は0円です。無料査定は最短30分で終わった実績があり(水曜・日曜は翌営業日の対応)、売るか決めていない段階でも相談できます。
ただし、買取価格は仲介で時間をかけて売る場合の相場より低くなることがあります。また最短1日は、親に判断能力があり、親本人か委任状を受けた家族が売る場合の話です。成年後見人が売るときは家庭裁判所の許可を得る手順が別に入るため、この日数は当てはまりません。
親が契約の内容を分かって決められ、施設の費用の支払い予定に合わせて売る時期を決めたい人に、買取くんは向いています。反対に、時間に余裕があり、状態の良い人気エリアの家を少しでも高く売りたいなら、仲介のほうが向いています。
まとめ
施設に入った親の家は、判断能力がある親が売主になって売れ、子は委任状を受けて手続きを代われます。住民票を施設に移しても特例の期限は動かず、子や親族に売ると3,000万円特別控除は使えません。親の判断能力が心配なときは、成年後見などの手続きが先になります。
まずは親が実家で暮らさなくなった年から期限の日付を確かめ、親と売る意思を話し合ったうえで、仲介と買取を売れる時期と価格で比べましょう。売る以外に、貸す・家族が住む・空き家のまま置く・解体する手とも比べてから決めたいなら、親が施設に入った実家の選び方で5つの手を家族の状況に当てはめられます。
買取くんの無料査定は、フォームの必須項目が3つで、入力は約1分、24時間受け付けています。親と売る意思を話し合う前に、家がいくらで売れそうかを手元に置いておきたい人に向いています。
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