「親は施設で元気。でも空いた実家は傷む一方…」 「施設に入った親の家、子どもの判断で解体していいの?」
親の家の解体を考えている方は、このような疑問をお持ちではないでしょうか。親の家の解体は、所有者である親が決めます。子が業者と契約するなら、親の同意と委任状(親が子に手続きを任せる書面)が要ります。親が認知症で同意できなければ、成年後見人(親に代わって財産を守る人)が家庭裁判所の許可を得て解体します。解体後の固定資産税や建物の登記、売り方の違いも解説します。
受付時間 10:00〜19:00(水・日曜定休)
施設に入った親の家の解体は誰が決める?親の同意と委任状

業者に見積もりを頼む前に登記事項証明書で名義を確かめ、親の契約か委任状での代理かを選ぶ(出典: e-Gov法令検索「民法」を基に当社作成)
施設に入った親の家を解体するかどうかは、施設にいても家の名義人である親が決めます。子が業者と契約するなら、親から頼まれたことを示す委任状を受け取り、親の代わりに契約します。親が施設に入っても名義は親のままなので、家族だけで「みんなの家」として決めることはできません。
民法206条は、所有者が自分の物を自由に「処分」できると定めており(e-Gov法令検索「民法」)、建物の取り壊しもこの処分に入ります。
⇒ 業者に見積もりを頼む前に、法務局で登記事項証明書を取り、名義が親かを確かめましょう。名義が祖父母のままなら、先にその相続の整理が要ります。
親に判断能力があれば、親が契約するか子に委任する
親が解体の意味を分かって決められるなら、進め方は2つです。
- 親本人が解体業者と契約する
- 親から頼まれた子が、親の代理人として契約する
代理人とは、本人の代わりに契約などをする人のこと。委任状は「この手続きを任せます」と本人が書いて渡す書面です。子が業者と契約書を交わすなら、発注者は親で、子は「親の代理人」として署名します。
親が施設から戻る見込みがあるなら、解体を急がずに、親の気持ちも聞いてから決めましょう。
兄弟の同意は要る?親が存命のうちは名義人と共有者の同意で決まる
親が存命のうちは、兄弟の同意は法律上の要件ではありません。兄弟は将来の相続人でも、今はまだ家の所有者ではないからです。「相続人全員の同意が要る」という説明は、名義人が亡くなった後の話なんです。
ただし父と母の共有名義なら、民法251条1項により、ほかの共有者の同意なく大きな「変更」は加えられません(e-Gov法令検索「民法」)。取り壊しはこれに当たるため、当社では両方の同意が要ると考えています。個別のケースは司法書士に確かめてください。
法律上の要件でなくても、兄弟に話しておくと、将来の相続で揉めるおそれを小さくできます。
親が認知症で同意できないときは?成年後見人が家庭裁判所の許可を得て解体する
親に意思能力(契約の意味を分かって決める力)がないときは、成年後見人が家庭裁判所の許可を得てから解体します。施設に入っていて今は住んでいない家も、建物の取り壊しも、この許可の対象です(大阪家庭裁判所「居住用不動産処分許可の申立てについて」)。
民法3条の2は、意思表示をした時に意思能力がなければ、その法律行為は「無効とする」と定めています(e-Gov法令検索「民法」)。親が委任状に署名しても、そのとき意思能力がなければ、委任も解体の契約も無効になりえます。
そこで使うのが成年後見制度です。判断する力が衰えた人の財産を、家庭裁判所が選んだ成年後見人が守る仕組みで、親の住まいの処分には家庭裁判所の許可が要ります(民法859条の3)。これが「居住用不動産の処分の許可」(親の住まいを売ったり壊したりするときに要る許可)です。大阪家庭裁判所は「病院や施設等を出たときに居住用となる不動産も含みます」としています。
たとえば施設に入った親が認知症と診断され、雨漏りの進んだ実家を家族が解体したいときは、次の順番で進みます。
- 家族などが家庭裁判所に後見開始を申し立てる
- 家庭裁判所が成年後見人を選ぶ
- 成年後見人が居住用不動産の処分の許可を申し立てる
- 許可が出てから、成年後見人が解体業者と契約する
任意後見(将来の後見人を決めておく契約)や家族信託(家族に財産の管理を託す契約)を、判断する力があるうちに結んでいた家族もいます。その場合は別の進め方もあります。手段ごとの違いは認知症の親の家の扱いで、許可の詳細は家庭裁判所の許可が要る家・要らない家で確かめてから、司法書士に相談しましょう。
認知症でも意思能力があれば親本人が同意できる
認知症と診断されただけで、同意できなくなるわけではありません。民法3条の2の「意思表示をした時に」のとおり、署名する時点で解体の意味を分かっているかで決まります。
家を壊すことと、壊した家には戻れないことを親が自分の言葉で話せるなら、本人が同意できる場合があります。迷うときは、署名の前に司法書士や主治医の意見を聞きましょう。
家族が親に無断で解体するとどうなる?
誰が何をしたかによって、次のような問題が起きます。
- 意思能力のない親が委任状や契約書に署名した場合: その契約は無効になりえます(民法3条の2)
- 後見人が家庭裁判所の許可を得ずに契約した場合: 大阪家庭裁判所は「裁判所の許可を経ずに行った契約は無効となります」としています
- 家族が親の同意を得ずに家を取り壊した場合: 所有者である親(後見人)から、損害の賠償を求められるおそれがあります(民法709条)
瓦が落ちそうで急ぐ事情があっても、名義人の同意か後見の手続きが先です。刑事上の責任に当たるかは事情で変わるため、心配なときは弁護士に相談してください。
解体した翌年から固定資産税はどう変わる?住宅用地の特例が外れて土地の税が上がる

12月と1月の解体で特例が外れる年度が1年ずれ、評価額600万円の小規模住宅用地で試算すると特例中の課税標準は100万円(出典: 総務省・熊本市・北九州市・不動産登記法・国税庁 No.3302を基に当社作成)
解体した次の1月1日に建物がなければ、翌年度から住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税が上がります(熊本市「住宅用地の特例」)。住宅用地の特例は、住宅が建つ土地の税を軽くする仕組みです。あわせて取り壊しから1か月以内に、親の名義で建物滅失登記を申請します。建物がなくなったことを登記簿に記録する手続きです。
熊本市は、200平方メートルまでの小規模住宅用地の課税標準(税額の計算のもとになる額)を「価格の6分の1」としています。たとえば評価額600万円の小規模住宅用地で計算すると、特例があるときの課税標準は100万円です。解体すると、この6分の1にする計算がなくなります。
ただし、老朽化した危険な空き家を解体した跡地の税を減らす市もあり、久留米市は解体の翌年度から最長3年間です。実際の税額は負担調整などでも変わるため、市区町村の窓口で確かめてください。
建物を残していても、勧告を受けた管理不全空家(放置すると危ない状態になりそうな空き家)は特例が外れます(熊本県)。残す場合は空き家の維持費と放置で増える負担とも比べましょう。
1月1日に建物があるかで、翌年度の税額が決まる
固定資産税は、毎年1月1日にどうなっているかで、その年度の税が決まります(総務省「固定資産税の概要」)。12月に解体すると、翌月の1月1日に建物がないため、次の年度から特例が外れます。1月に解体すれば、特例が外れるのはさらに1年後です。
住宅を取り壊したら申告が要る自治体もあり、北九州市は期限を1月31日としています。解体前の届出と準備を進めるときに、土地のある市区町村の申告もあわせて確かめておきましょう。
滅失登記は名義人である親が1か月以内に申請する
滅失登記は、建物がなくなったことを登記簿に記録する手続きです。不動産登記法57条は、所有権の登記名義人などが「その滅失の日から一月以内」に申請すると定めています(e-Gov法令検索「不動産登記法」)。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象です(同法164条)。
施設に入った親の家なら、申請するのは名義人の親です。子が代わるなら親の委任が要り、意思能力がなければ後見人が行います。「相続人の代表が申請する」という説明は、名義人が亡くなった後の話です。
解体した日を起点に、次の3つの期限が動きます。3つ目は3,000万円特別控除(居住用財産の譲渡所得の特別控除)の期限です。これは、家を売って得た利益(譲渡所得)から最高3,000万円を差し引ける税の特例です。次の表の「親が住まなくなってからの期限」がいつまでかは、期限の数え方と相続空き家の特例で確かめられます。
| 期限 | 何が起きる・何をする | 誰が |
|---|---|---|
| 解体後の最初の1月1日 | 建物がなければ、翌年度から住宅用地の特例が外れる | 市区町村が判定(取り壊しの申告が要る自治体もある) |
| 取り壊しから1か月以内 | 建物滅失登記を申請する | 名義人の親(委任を受けた子・後見人) |
| 取り壊しから1年以内、かつ親が住まなくなってからの期限内(早いほう) | 3,000万円特別控除を使うなら、土地の売買契約を結ぶ | 売主の親(後見人) |
※出典: 総務省・熊本市・北九州市・不動産登記法・国税庁 No.3302を基に当社作成
受付時間 10:00〜19:00(水・日曜定休)
解体してから売るほうが得?建物があるまま売る場合との違い

解体費(木造は坪3万〜5万円が目安)を売値の差で取り戻せるかで、解体を先にするか建物があるまま売るかを分ける(出典: 国税庁 No.3302・熊本市・大阪家庭裁判所・当社記事「解体費用の坪単価はいくら?」・当社の買取の条件を基に当社作成)
売値の差で解体費を取り戻せそうな家なら、解体してから売るほうが得です。取り戻せそうにない家は、建物があるまま売れば解体費を先に払わずに済みます。解体してから売ると、解体費を先に払い、翌年度から土地の固定資産税が上がります。3,000万円特別控除を使うなら、取り壊しから1年以内と親が住まなくなってからの期限の早いほうまでに契約します(国税庁 No.3302)。
3つの売り方を並べると次のとおりです。
| 項目 | 解体してから売る | 建物ごと仲介で売る | 建物ごと買取で売る |
|---|---|---|---|
| 先に払う解体費 | 売る前に払う(木造は坪3万〜5万円が目安) | 払わない | 払わない |
| 家財の片付け | 解体の前に家財をどうするか決める | 引渡しまでに片付けるかを買い手と取り決める | 当社の買取なら家財が残ったまま売れる |
| 翌年度の固定資産税 | 次の1月1日に建物がなければ特例が外れて上がる | 建物があるうちは特例が続く(勧告を受けた場合を除く) | 建物があるうちは特例が続く(勧告を受けた場合を除く) |
| 3,000万円特別控除の条件 | 親が住まなくなってからの期限に加え、取り壊しから1年以内に契約し、それまで貸駐車場などに使わない | 親が住まなくなってからの期限までに売る | 親が住まなくなってからの期限までに売る |
| 買い手と売値 | 更地は建てる人が使い道を選びやすく、買い手が付きやすい場合がある | 建物ごと買う人を探し、価格を話し合って決める | 買取業者が直接買う。価格は仲介で時間をかけて売る場合の相場より低くなることがある |
| 親が認知症のとき | 後見人が家庭裁判所の許可を得てから取り壊す。土地を売るときも許可が要る | 後見人が家庭裁判所の許可を得てから売る | 後見人が家庭裁判所の許可を得てから売る |
※ 表は横にスクロールできます。
※出典: 国税庁 No.3302・熊本市・大阪家庭裁判所・当社記事「解体費用の坪単価はいくら?」・買取くんを基に当社作成
建物があるまま売る方法には仲介と買取の2つがあり、売れるまでの期間も内覧の有無も変わります。解体せずに売る場合の進め方を知ってから選ぶと迷いません。家財が多いなら、解体前の家財の片付けの順番も押さえておきましょう。
3,000万円特別控除は、解体すると契約の条件が増える
親が住んでいた家を売るときは、3,000万円特別控除を使える場合があります。家を取り壊して土地だけを売ると、国税庁の挙げる次の条件が加わります(国税庁 No.3302)。
- 敷地の譲渡契約が「家屋を取り壊した日から1年以内に締結され」、かつ住まなくなってからの期限までに売ること
- 取り壊してから契約の日まで、敷地を「貸駐車場などその他の用に供していないこと」
⇒ 「取り壊しから1年以内」と「住まなくなってからの期限」の早いほうが、実際の契約の期限です。
解体したのに1年以内に買い手が決まらないと、この条件から外れます。親が施設に入って何年もたつ家では、住まなくなってからの期限のほうが先に来ることもあります。期限の数え方と相続空き家の特例を先に読んでおくと、解体の日を決めやすくなります。
相続空き家の特例(被相続人居住用家屋の3,000万円特別控除)は、親が亡くなった後に子が売るときの特例です。親が存命の今は使えません(国税庁 No.3306)。どの特例が使えるかは税理士に確かめてください。
更地にすると売りやすい家・建物があるまま売るほうがよい家
更地にしてから売るほうが向くのは、次のような家です。
- 建物の傷みが激しく、建物に値段が付きにくい
- 周りに、家を建てるための土地を探す人が多い
建物があるまま売るほうがよいのは、次のような家です。
- 解体費を先に用意するのが難しい
- 家財が多く、片付けが進んでいない
- 取り壊しから1年以内に買い手が決まる見込みが立たない
- 建て替えができる土地か分からない
解体費を回収できる見込みが立つ家だけ解体を先にし、それ以外は建物があるまま売るのがおすすめです。見込みは、更地と建物ありの両方で査定を取り、売値の差と解体費(木造は坪3万〜5万円が目安)を比べて確かめましょう。貸す・家族が住むといった手とも比べたいなら、解体以外も含めた実家の扱い方から考えるのが近道です。
解体費を先に払わずに売りたいとき、買取くんは合う?
解体費を先に払わずに売りたい家なら、建物があるまま買い取る買取くんが合います。選ぶときは、解体費を払ってから更地で買い手を探すか、建物があるまま買い手の決まっている売り方にするかを比べます。解体費は、売れる前に出ていくお金だからです。
更地にして仲介で売ると、売値を話し合って決められる一方で、解体費の立て替えと、売れるまでの固定資産税、契約の期限を抱えます。
買取くんには、資金力のある20,000名超の投資家が常時スタンバイしているため、買い手を探す期間がいりません。当社は建物を現況のまま買い取るため、残置物の撤去・リフォーム・クリーニングをせずに引き渡していただけます。当社では、すでに解体した土地・更地の査定にも対応しています。買取の仕組みを知っておくと、仲介との違いを比べやすくなります。
買取くんが向くのは、次のような家族です。
- 解体費を先に用意したくない
- 施設に入った親の家財がまだ残っている
- 家が古く、更地にしても1年以内に売れるか不安がある
反対に、時間に余裕があり、状態の良い家なら仲介も選択肢です。買取価格は、仲介で時間をかけて売る場合の相場より低くなることがあります。家財が残っている分が価格にどう反映されるかも、査定のときに確かめておきましょう。
売主は名義人である親です。親に意思能力がないときは、後見人が家庭裁判所の許可を得てから売ります。許可を待つ期間も見込んで、早めに相談しましょう。
施設に入った親の家の解体でよくある質問
施設に入った親の同意なしに家を解体できる?
できません。名義人である親の同意か、意思能力がなければ後見人への家庭裁判所の許可が要ります。無断で壊すと賠償を求められるおそれがあります。
親の家を解体すると固定資産税は上がる?
原則として土地の税は上がります。翌年度から住宅用地の特例が外れるためです。ただ、建物を残していても管理不全空家として勧告を受けると特例は外れます。
親の家の解体費を子が払うと贈与税がかかる?
かかる場合があります。贈与税(人からもらった財産にかかる税)は、親が利益を受けたとみなされると対象になります。1年間にもらった財産の合計が110万円以下ならかかりません(国税庁 No.4402)。当てはまるかは税理士に確かめてください。
買取くんでは、解体していない親の家を家財が残ったまま査定してもらえる?
はい、査定できます。買取くんでは、建物を解体しないまま、施設に入った親の家財が残った状態で査定と買取の相談を受け付けています。一戸建てだけでなく、土地・更地も対象です。無料査定フォームはお名前・電話番号・物件の都道府県の3項目で、入力は約1分。24時間受け付けているので、売るか決めていない段階でも、今の状態をそのまま伝えてみてください。
まとめ
施設に入った親の家を解体するかどうかは、名義人である親が決めます。子が進めるなら親の同意と委任状、親が認知症で同意できないなら成年後見人と家庭裁判所の許可が要ります。兄弟の同意は法律上の要件ではありませんが、家族で話しておくと安心です。解体すると、翌年度の固定資産税、1か月以内の滅失登記、特例の契約の期限が一度に動きます。
解体を決める前に、更地にした場合と建物があるまま売る場合の査定を並べ、解体費を取り戻せるかを確かめましょう。貸す・家族が住むといった手とも比べたいなら、親が施設に入ったあとの実家の扱い方で全体から選び直すこともできます。
買取くんは20,000名超の投資家が常時スタンバイし、建物も家財もそのままの状態で買い取ります。解体費を先に用意するのが難しい家族や、片付けまで手が回らない家族に向いています。
受付時間 10:00〜19:00(水・日曜定休)

