不動産買取の基礎知識

相続した土地の3年以内はいつから数える?期限4つと間に合わせる手順

相続 相続税のイメージ

「3年以内に売れば税金が安くなると聞いたけど、いつから数えるの」 「うちの土地にも、その3年って効くのかな」

相続した土地の売却では、「3年以内」という言葉のもとで4つの期限が動いていて、起算日も期限日もそれぞれ違います。まず4つの期限を並べ、そのあとで起算日を確かめる順に進みましょう。

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相続した土地で言われる3年以内とは?期限は4つある

相続税を納めたか家屋があった土地かで効く期限が分かれる様子を、起算日と期限日と対象者の組で4制度並べた分岐図

4つの期限を起算日・期限日・対象者の組で並べました。どれが効くかは相続税を納めたかと家屋の有無で決まります(出典: 国税庁 タックスアンサー No.4205・No.3267・No.3306、法務省 相続登記の申請義務化についてを基に当社作成)

「3年以内」と呼ばれている期限は1つではなく、相続税の申告期限、取得費加算の特例、相続空き家の3,000万円特別控除、相続登記の申請義務の4つに分かれています。どれが自分に効くかは、相続税を納めたか、その土地に亡くなった方が住んでいた家屋があったか、相続登記を済ませたかで変わってきます。

期限の名前起算日期限日誰に効くか
相続税の申告期限亡くなったと知った日の翌日10か月後相続税がかかる人
取得費加算の特例相続税の申告期限の翌日3年を経過する日相続税を納めた人
相続空き家の3,000万円特別控除亡くなった日3年を経過する日の属する年の12月31日家屋があった土地を売る人
相続登記の申請義務所有権を取得したと知った日3年以内相続で土地を取得した人

データ出典: 国税庁 タックスアンサー No.4205、同 No.3267、同 No.3306、法務省 相続登記の申請義務化について。税務の3つと登記の1つは所管が違うため、4つが1つのページにまとまった案内はありません。

4つのうち「3年」と数えるのは下の3つで、相続税の申告期限だけは10か月です。同じ相続から出発するのに起算日が3種類に分かれているところが、この4つの厄介さなんです。

1. 相続税の申告期限は亡くなったと知った日の翌日から10か月

相続税の申告は、亡くなったことを知った日(通常は死亡の日)の翌日から10か月以内に行います(前掲の国税庁タックスアンサー No.4205)。ここだけ単位が違いますが、取得費加算の3年はこの申告期限を起点に数えます。⇒まずカレンダーに10か月後の日付を書き込むと、いちばん遅い期限日まで決まります。

2. 取得費加算の特例は相続税の申告期限の翌日から3年

取得費加算の特例とは、相続税を納めた人が相続した財産を売るとき、納めた相続税の一部を売却の経費(取得費)に足せる仕組みのことです。使えるのは、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売った場合(前掲の国税庁タックスアンサー No.3267)。亡くなった日から数えるとおよそ3年10か月で、4つのなかでいちばん遅い締切です。加算できる金額の計算は相続した不動産の売却でかかる税金の記事で確かめられます。

3. 相続空き家の3,000万円特別控除は3年目の年末が最終ライン

相続空き家の3,000万円特別控除とは、亡くなった方が住んでいた家屋とその敷地を相続した人が売るとき、利益から最高3,000万円を差し引ける仕組みのことです。売る期限は、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。制度そのものも令和9年12月31日までの譲渡が対象です(前掲の国税庁タックスアンサー No.3306)。

対象は、亡くなった方が住んでいた家屋があった土地を、家屋ごと、または取り壊して売る場合です。⇒更地や貸していた土地として相続したなら、この年末は最初から関係がなく、追う期限は相続登記の3年と、相続税を納めていれば取得費加算の3年に絞られます。耐震基準などの条件は3000万円特別控除の適用条件をまとめた記事をご覧ください。

4. 相続登記の申請義務は所有権を取得したと知った日から3年

相続登記の義務化とは、相続した不動産の名義を相続人へ変える手続きを、法律で期限つきの義務にした制度のことです。相続の開始があったことを知り、かつその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります(前掲の法務省の案内)。

施行日は令和6年4月1日ですが、それより前に相続した土地も対象で、期限は令和9年3月31日まで。手続きと費用は土地の名義変更の進め方、売り方の全体像は土地売却の進め方を整理したガイドでつかめます。⇒何年も前に相続して名義を放置したままの土地にも、この3年は効いてきます。

3年の起算日は3つある|亡くなった日・取得を知った日・申告期限の翌日

空き家特例・相続登記・取得費加算の3つの起算日を別々の線に分け、1月6日の例で締切日が3年近く離れると示した図

3つの起算日を別々の線に分けて置きました。1本の時間軸にまとめられない点が読み違えの原因です(出典: 国税庁 タックスアンサー No.4205・No.3267・No.3306・No.3270、法務省 相続登記の申請義務化についてを基に当社作成)

3年の起算日は制度ごとに3つに分かれます。空き家特例は亡くなった日から、相続登記は土地の所有権を取得したと知った日から、取得費加算は相続税の申告期限の翌日から数えます。なお令和6年3月31日以前に相続した土地なら、登記の期限は令和9年3月31日までです(所有権を取得したことを知った日が令和6年4月以降なら、その日から3年以内)。

遺産分割が長引き、その土地を自分が取得すると決まったのが相続から2年後だった。そんな場合、登記の3年は取得したと知った時点から数えます。空き家特例の年末は、それとは関係なく亡くなった日から動きます。

1月6日に亡くなった場合、4つの期限はいつになるか

国税庁が示す例を当てはめます。1月6日に亡くなった場合、その年の11月6日が相続税の申告期限です(前掲の国税庁タックスアンサー No.4205)。ここを起点に4つを並べると、こうなります。

  • 相続税の申告期限:その年の11月6日
  • 取得費加算の特例:11月7日以後3年を経過する日(亡くなった日からおよそ3年10か月後)
  • 相続空き家の3,000万円特別控除:3年を経過する日の属する年、つまり3年後の12月31日
  • 相続登記の申請義務:所有権を取得したと知った日から3年(分割済みなら1月6日から3年)

いちばん早い締切といちばん遅い締切では3年近く開きます。⇒ご自分の相続開始日で同じ4行を書き出してください。

所有期間の5年は被相続人が買った日から数える

土地を売ったときの税率は、売った年の1月1日時点の所有期間が5年を超えているかで長期と短期に分かれます(国税庁 タックスアンサー No.3208)。ここで起きやすいのが、この5年を相続した日から数える取り違えです。

相続や贈与で取得した土地・建物は、亡くなった方や贈与した人の取得の時期がそのまま引き継がれます(国税庁 タックスアンサー No.3270)。⇒親が30年前に買った土地なら、相続した翌日に売っても所有期間は30年超の扱い。待つ必要のない5年のために先送りすると、待てない3年のほうを落とします。

期限を過ぎて失うものは制度ごとに違う

取得費加算と空き家特例は期限内の売却が要件、相続登記は過料の対象でも申請は可能と、失うものを制度別に分けた図

期限の後に取り返せるかどうかで、税の特例と相続登記を分けて整理しました(出典: 国税庁 タックスアンサー No.3267・No.3306、法務省 相続登記の申請義務化についてを基に当社作成)

期限を過ぎると、取得費加算と相続空き家の3,000万円特別控除は使えなくなり、相続登記は10万円以下の過料の対象になります。ただし性質は同じではありません。税の2つの特例は過ぎたら取り返せませんが、相続登記は3年を過ぎた後でも申請そのものはできます。

特例を逃すと譲渡所得がそのまま課税対象に残る

譲渡所得とは、土地や建物を売った金額から、買ったときの費用(取得費)と売るのにかかった費用(譲渡費用)を差し引いて残る利益のことです。取得費加算も空き家特例もこの譲渡所得を小さくする仕組みで、どちらも期限内に売っていることが要件です(前掲の国税庁タックスアンサー No.3267・No.3306)。⇒期限を過ぎるとこの2つは使えなくなり、譲渡所得はそのまま計算されます。特例を使えなかったときの税額の考え方は、相続した不動産を売ったときの税金の計算で詳しく紹介しています。

相続登記の3年を過ぎると10万円以下の過料の対象

登記の期限を過ぎた場合、まず登記官が違反を職務上知ったときに相当の期間を定めて催告し、それでも正当な理由なく申請がないときに管轄の地方裁判所へ通知されます(前掲の法務省の案内)。正当な理由の例として、相続人が極めて多数で戸籍関係の書類集めに時間がかかる場合や、遺産の範囲が相続人の間で争われている場合が挙げられています。⇒3年を過ぎても登記の申請自体はできます。気づいた時点で申請し、正当な理由に当たるかどうかの判断は司法書士へご相談ください。

取得費加算が効くのは相続税を納めた人だけ

取得費加算の要件には、その財産を取得した人に相続税が課税されていることが入っています(前掲の国税庁タックスアンサー No.3267)。相続財産の合計が基礎控除に収まり、申告そのものが要らなかった場合、この3年を追う理由はありません。

たとえば土地と預貯金を合わせても基礎控除内で、相続税を1円も納めていない。このケースで残るのは相続登記の3年と、家屋があった土地なら空き家特例の年末だけです。⇒納めたかどうかは申告書の控えが手元にあるかで確かめられます。迷う場合は相続を担当した税理士へご確認ください。

相続開始日から逆算した売却スケジュールの組み方

決済日から遺産分割まで戻す逆算の向きと、時間が読めない遺産分割・買主探しの2段階を示した4段階の工程図

決済日を起点に戻す向きと、確認できる書類を段階ごとに置きました。時間が読めないのは遺産分割と買主探しです(出典: 国税庁 タックスアンサー・法務省 相続登記の申請義務化についてを基に当社作成)

相続開始日を起点に、遺産分割・相続登記・買主探し・決済の4段階へ締切を割り当てると、どの作業がどの期限を使い切るのかが見えてきます。買主へ名義を移すには、その前に相続人への登記を済ませておく必要があります。登記を後ろに回すと、決済日が期限をまたぎます。

段階終わらないと間に合わなくなる期限終わったと確認できる出来事この段階で決めること
①遺産分割相続登記の3年相続人全員が協議書に署名誰の名義にして誰が売るか
②相続登記相続登記の3年・取得費加算・空き家特例(申告期限は無関係)登記完了証が届いた売り出しの条件と時期
③買主探し取得費加算・空き家特例契約書に決済日が入った期限内に決済できる売り方か
④決済・引渡し取得費加算・空き家特例代金を受け取り名義が移った期限まで何日残っているか

期限日は前掲の国税庁タックスアンサーと法務省の案内から取りました。この表に「何か月かかる」を書いていないのは、遺産分割と買主探しの期間が土地と相続人の状況で大きく変わるからです。⇒代わりに置いた「終わったと確認できる出来事」は、どれも実際に手元へ届く書類。日付が入ったところから埋めれば、ご自分のカレンダーになります。

遺産分割・相続登記・買主探し・決済の4段階に締切を割り当てる

取得費加算と空き家特例は「売っていること」が要件ですので、決済までを期限内に終わらせる必要があります。相続登記の3年は、その手前の②で満たせます。売買では通常の書類に加えて、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍や遺産分割協議書がいり、そろえる書類は相続した土地の売却で追加になる書類の記事で確認できます。当社の実務でも、登記が終わっていない土地では決済日を確定できません。⇒早い期限から順にではなく、いちばん後ろの決済日から逆に並べるのが基本です。

時間が読めないのは遺産分割と買主探しの2つ

登記と決済は、書類がそろっていれば日数の見当がつきます。読めないのは前後の2つ、遺産分割と買主探しです。

相続人が兄弟3人で、うち1人が遠方で連絡が取りづらい。そんな状況なら、協議書に全員の署名が集まるまで何度も往復が発生します。買主探しも、内見の申し込みが入らない期間をこちらで短くはできません。⇒この2つは「いつ終わるか」ではなく「いつまでに終わらなければ間に合わないか」で管理してください。分け方そのものは相続した不動産を売却する手順の記事で扱っています。

価格を下げる前に確認する順序

期限が迫ると、まず価格を下げて早く売ろうと考えたくなります。ただ値下げは、買主が現れる保証と引き換えではありません。下げても売れなければ、期限と価格の両方を失います。⇒確認する順序は次の3つです。

  1. 自分に効く特例があるか(相続税を納めたか、家屋があった土地か)
  2. 決済日を先に確定できる売り方があるか
  3. それでも足りない分だけ価格を動かす

1で効く特例がないと分かれば、期限のために売り急ぐ理由が消えます。2で決済日が固まれば、値下げの前に期限の問題が片づきます。価格を動かすのは、この2つを確かめてからでも遅くありません。

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3年以内に売れそうにない土地は?決済日を先に決める売り方

期限に間に合うかどうかは、買主を探す期間が読めるかどうかで決まります。買主をこれから探す売り方のほかに、買い手がすでに決まっていて決済日を先に確定できる売り方(不動産会社による買取)があり、こちらなら期限からの逆算がそのまま成り立ちます。

期限内に決済まで届くかを見分ける手がかり

買主探しが長引きやすいのは、次のような土地です:

  • 売り出しても内見の申し込みが入らない
  • 接道や境界について、隣地や役所と話がついていない
  • 遠方にあって、現地の様子を自分で確かめられない
  • 古い家屋が残っていて、買主が解体費用を見込む必要がある

このどれかに当てはまり、しかも期限までの残りが短い。その状態で買主を探し続ける方法だけに賭けると、期限を過ぎてから次の手を考えることになります。売れない状態そのものの動かし方は相続した土地が売れないときの手放し方にまとめています。

仲介と買取の違いは、決済日を先に決められるか

期限から逆算するときは、期間が読めるかどうかだけを見ます。買主をこれから探す売り方(仲介)では、売り出し・内見・条件交渉・契約・決済と進むため、最初の段階の長さが読めません。買い手が先に決まっている売り方(買取)なら、話がまとまった時点で決済日を契約書に書き込めます。⇒価格の出方や手数料にも違いはありますが、期限の話に絞るなら見るところはここだけです。誰に相談すればよいかは相続した土地の相談先の選び方をご覧ください。

残置物や現況のままでも売却先が決まるケース

残置物とは、家財や生活用品など、建物や土地に残されたままの物のことです。現況買取とは、片づけやリフォームをせず、今の状態のまま買い取る方法をいいます。遺品整理が終わるまで売り出せないと考えると、その分だけ買主探しに使える期間が縮みます。

当社の買取くんは、残置物を残したままの現況買取に全国で対応しています。無料査定は最短6時間、条件が合えば最短3日で現金化まで進み、仲介手数料はいただきません。⇒片づけの時間を売却スケジュールから外せると、そのぶんを遺産分割と登記に回せます。

相続した土地の3年以内についてよくある質問

3年以内の起算日は亡くなった日ですか、相続税の申告期限ですか

制度によって分かれます。相続空き家の3,000万円特別控除は亡くなった日から、相続登記は所有権を取得したと知った日から、取得費加算は相続税の申告期限の翌日から数えます。ひとつの起算日で4つをまとめて管理することはできませんので、ご自分の相続開始日を基準に3種類の日付を書き出してください。

相続税を払っていない場合でも3年以内に売る意味はありますか

取得費加算は相続税が課税されている人が対象ですので、こちらは関係がなくなります。残るのは相続登記の3年と、亡くなった方が住んでいた家屋があった土地なら空き家特例の年末です。更地や貸していた土地で相続税も納めていないなら、追う期限は相続登記の3年だけになり、売る時期は維持費や管理の負担から決めることになります。

期限までに買主が見つからないときはどうすればよいですか

買主を探す売り方を続けるか、決済日を先に確定できる買取へ切り替えるかの判断になります。切り替えを考えるのは、残りの期間で売り出しから決済までが収まるか怪しくなった時点です。期限を過ぎてから動いても失った特例は戻りませんので、価格を下げる前にこの判断を済ませてください。

遺産分割が終わらないうちに売却を進めても構いませんか

査定や売り出しの条件整理は先に進められます。ただし買主へ名義を移すには相続人への登記が前提ですので、決済は遺産分割が成立してからになります。なお遺産分割が成立した場合は、その日から3年以内に内容を踏まえた所有権移転の登記を申請する義務も別にかかります(前掲の法務省の案内)。

買取くんでは、相続した実家や空き家を3年以内に売却したい場合の相談も可能ですか

ご相談いただけます。当社はまず相続開始日と建物・土地の状況を伺い、期限内に決済まで届く見込みがあるかを整理します。無料査定は最短6時間、条件が合えば最短3日で現金化まで進み、仲介手数料はいただきません。家財が残ったままの現況買取にも全国で対応していますので、登記簿と物件の場所をお知らせください。

土地を手放すときの方法と、その先の選択肢をまとめて比べたい方は、土地の売却方法と売れない土地の手放し方から全体像を確認できます。

まとめ:相続した土地の3年以内は4つの期限に分かれる

相続した土地の「3年以内」は4つの期限の総称で、そのうち自分に効くのは一部だけです。取得費加算と相続空き家の3,000万円特別控除は期限内に売っていることが要件ですので、過ぎてしまえば取り返せません。一方で相続登記は、3年を過ぎた後でも申請そのものはできます。まず亡くなった日と相続税の申告期限を日付に直し、遺産分割と買主探しにどれだけの期間を使えるかを先に決めてください。

当社の買取くんは、買主をこれから探すのではなく当社が直接買い取るため、話がまとまった時点で決済日を決められます。買主探しの期間が読めないまま期限が近づいている、相続した実家や空き家に向いています。

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監修

株式会社リアテクス 執行役員 鶴野博之

鶴野 博之

株式会社リアテクス 執行役員

宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸経営管理士/FP2級

一棟投資物件専門の仲介会社で不動産業界に参入後、前職では「訳あり・瑕疵物件」に特化したコンサルティングプログラム責任者として600名以上の投資家の購入から売却までに携わる。自身も再建築不可物件を中心に訳あり物件へ投資し、転売売買から保有物件まで数々の実績を持つ。